不動産投資をするにあたって賃貸管理会社を探してみると、色々な会社があってどこに頼めば良いのか悩んでしまいますね。とはいえ、大事な物件の管理を任せるわけですから、賃貸管理会社選びで失敗するわけには行きません。
そこでこの記事では、賃貸管理会社を選ぶ際に最低限おさえておいてほしいポイントを分かりやすくまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
今回ご協力いただいた家づくりの専門家
この記事は横浜市を中心に100年以上に渡って地元の建築業界を支えている「
ジェクト株式会社」さんの三代目社長、市川さんにご協力をいただいて作成しています。
ジェクト株式会社
ジェクト株式会社さんでは土地探しから建築、賃貸管理までを一括で行っており現在3,000戸近くの賃貸物件を管理されています。
賃貸管理会社を比較する時に見るべきポイント
スタッフ
市川さん、こんにちは。
今日は賃貸管理会社の選び方について教えていただけるんですよね。
市川さん
はい、賃貸管理は不動産投資において重要な役割を担っていますからね。色々とアドバイスをさせてください。
「入居率」を鵜呑みにしてはいけない理由
スタッフ
では早速ですが、賃貸管理会社を選ぶ時に最初に見るべきポイントを教えてください。
市川さん
一番最初にチェックしておきたいのは「入居率」ですね。入居率とは貸し出し可能な物件に対してどれくらい入居者が入っているかを表す指標です。
計算方法はシンプルですが、賃貸管理会社の集客力を見る上で参考になります。
入居率の計算式
入居率 = 「貸し出し中」の物件戸数 ÷ 「貸し出し可能」な物件戸数
スタッフ
つまり入居率が高いほど満室に近いわけですから、それだけ収益も大きくなるわけですね。
市川さん
そのとおりです。仮に20室貸し出すことができるマンションで、そのうち16部屋が借りられていれば入居率は80%になります。
スタッフ
物件戸数のカウント方法は会社次第
スタッフ
実際にネットで調べてみると、入居率95~98%という管理会社がたくさんありますね。
でも、仮に1,000戸を管理している会社で入居率が97%だった場合、空室はわずか30戸ということになりますが......。これほど高い入居率を維持することはできるのでしょうか?
市川さん
良いところに気が付きましたね。
もちろん、営業力のある会社なら入居率は高くなります。とはいえ、あまり入居率を過信しすぎるのは良くないかもしれません。
市川さん
というのも、入居率は会社ごとに算出の仕方が違うので、仮に同じような規模で同じくらいの入居がある会社であっても、入居率は異なる場合があるんですよ。
スタッフ
市川さん
例えば、自社で保有している物件や、管理を始めたばかりの物件は入居率の計算に含めないなど、「貸し出し可能な物件」という定義が業界全体で曖昧なんですよ。
スタッフ
確かに、リフォーム中だったり、フリーレントの期間内だったりすると物件をどう扱うか意見が分かれそうです。
市川さん
さらに、入居率の具体的な算出方法は基本的に何処の会社も公開していないのが現状です。「入居率」は賃貸管理会社の営業力を見るうえで参考になりますが、あくまで目安程度に留めておいた方が良いでしょう。
「長期空室」で分かる潜在的な集客力
スタッフ
しかし、入居率だけでは管理会社の集客力が分からないのであれば、他にどんな基準を見て判断すれば良いのでしょうか?
市川さん
それなら、長期間に渡って空室になっている物件がどれくらいあるのかチェックしてみるのがおすすめですよ。長期間あたらしい入居が無い物件は客付けが疎かになっている恐れがありますからね。
市川さん
公開している業者さんは少ないですが、3ヶ月、半年、1年と同じ物件がずっと空室になっていないかを定期的にチェックする「長期空室率」などが分かると良いですね。
長期空室を抑える改善活動
なお、「
ジェクト株式会社」さんでは、現在2,754戸の物件を管理されていますが、3ヶ月以上空室になっている物件は片手で数えられるほどに抑えられているそうです。これには、
月に2回、営業店舗を閉めて行われる長期空室のみを対象にした対策会議の影響が大きいといいます。
※2021年10月時点の空室状況 管理数 2,754戸 3ヶ月長期空室 4戸 6ヶ月長期空室 0戸
スタッフ
未入居が続いている物件が少なければ、それだけ営業活動にも力を入れているのが分かるわけですね。
「家賃回収率」に惑わされないための基礎知識
スタッフ
他にも賃貸管理会社を比較する際の基準になるものは無いのでしょうか?
市川さん
それならもう一つ、「家賃回収率」も抑えておきましょう。
家賃回収率は、入居者さんが家賃の滞納をしてしまった際に、管理会社がきちんと回収しているかどうかを表す指標です。仮に、この数値が100%を下回ってしまうと滞っている家賃があることになります。
スタッフ
家賃の滞納は限りなく少ない方が良いですからね。
「家賃回収率」もまた、賃貸管理会社を比較する際の基準になりそうです。
スタッフ
家賃がしっかり担保されていると余計な心配をしなくて良いので、安心して不動産経営ができそうです。
「賃貸保証システム」で滞納リスクを回避
「どうしても家賃が滞ってしまうのは避けたい」という場合は、入居者に賃貸保証会社に加入してもらい、万が一、滞納が発生した時に「保証会社」から家賃を肩代わりしてもらう方法があります。
ただし、賃貸保証会社を利用する場合は、事前に入居者に「保証料」を負担してもらう必要があります。保証会社によっては保証料の金額や審査の方法が異なるので、入居者に配慮した保証会社を選ぶのもポイントです。
参考
平均入居率が信用できない理由をどこよりも詳しく徹底解説します | 不動産投資ライフ不動産投資ライフ
参考
入居率とは?入居率95%〜99%の範囲の差を気にする必要がない理由ウェルスハック
安定収支に欠かせない「サブリース契約」の仕組み
市川さん
ちなみに、賃貸経営をする上で「最も避けたいリスク」は何だと思いますか?
スタッフ
やっぱり、空室が増えてしまうことではないでしょうか。できるなら満室になって家賃が安定して入ってくるのが理想です。
市川さん
そうですよね。でも実は空室の数に関わらず、決まった額の賃料を保証する「サブリース契約」という契約の形態があるんですよ。
一括借上げで空室のリスクがなくなる
市川さん
サブリース契約とは「一括借上げシステム」とも呼ばれていて、賃貸管理会社が物件ごと一括して借り上げる賃貸契約のことをいいます。
スタッフ
確かに、物件を丸ごと借りてくれるなら空室に悩む必要はなくなりますね。でも、そんなことをして賃貸管理会社は大丈夫なのでしょうか?ちゃんと利益が出るのか心配です。
市川さん
賃貸管理会社が物件を借り上げる時の賃料は、部屋単位で見ると相場の80~90%が一般的です。なので、きちんと集客をして入居者を募ることができれば利益が出るようになっているんですよ。
スタッフ
空室のリスクが減って家賃収入が安定するのはオーナーにとって嬉しいですし、賃貸管理会社にも利益が出るなら申し分ないですね。
黒字経営を続けるために必要な確認事項
市川さん
ただしサブリース契約だからといって油断はできません。サブリース契約は、長期契約が主流で、1~2年おきに賃料の更新が行われるケースがほとんどです。
スタッフ
場合によっては、賃料が下がってしまう恐れがあるのでしょうか?
市川さん
そのとおりです。そのため、ローンの返済などがある場合は、契約の段階で万が一、賃料が下がってしまった時でもどこまで黒字をキープできるかシュミレーションをしておく必要があります。
スタッフ
契約の内容も会社ごとに違うでしょうから、無謀な契約内容になってないか心配です。
市川さん
もちろん、中には必ずオーナーさんの利益を大事に考えてプランを提案してくれる管理会社さんもあります。ぜひ、親身になって相談にのってくれる会社さんを見つけてほしいですね。
「大手」と「地場企業」頼むならどっちが正解?
スタッフ
では、具体的なサービス内容から賃貸管理会社を選びたい時は、どのようにして比較すれば良いのでしょうか?
市川さん
まずは「大手」と「地場企業」の2つに分けて賃貸管理会社を考えていくのが良いでしょう。
知名度では断然「大手」が有利
スタッフ
ではまず、「大手」の賃貸管理会社にはどのような特徴があるのでしょうか?
市川さん
一般的に「大手」と呼ばれる賃貸管理会社さんは知名度が高いので、「集客力」に優れていると言われています。
スタッフ
「聞いたことがある」という安心感から依頼に繋がるケースは多そうですね。
市川さん
また、取り扱っている物件数が多いので、マニュアル化されている部分もあり、「安定した管理力に期待ができる」というメリットもあります。
【大手に期待できるメリット】
- 知名度があり集客力に優れている
- 安定した管理力に期待ができる
扱う戸数が多いため画一的なサービスになりがち
市川さん
ただし、大手の賃貸管理会社の場合、「人事の関係で担当者が変わる」といったケースは珍しくありません。
また、マニュアル化されている部分はメリットにもなっていましたが、言い換えると「柔軟な対応が難しい」といった懸念もあります。
スタッフ
広告費などにお金がかかっていると、その分の費用が高くならないかも心配ですね。
【大手で懸念されるデメリット】
- 担当者が頻繁に変わる可能性がある
- 対応が遅かったり、融通が効かないケースもある
- 広告費などの影響から費用が高くなる恐れがある
対応力で選ぶなら「地場企業」の一択
市川さん
一方、地元に根付いて活動をしている賃貸管理会社さんは、地域に特化した情報力や迅速な対応を活かした「手厚いサービス」を売りにしているところが多いですね。
スタッフ
その土地ごとの専門家なら、人の動きや時期によって細かい提案をしてもらえそうです。また、同じ社員が長く在籍している会社さんも多そうですね。同じ担当社さんが管理してくれるなら気兼ねなく相談ができそうです。
地域密着ならではのユニークなサービス
なお、ジェクトさんでは施工から賃貸管理までをワンストップで担当している物件は、全て365日24時間体制で対応をされているそうです。
独自のフットワークの軽さを活かした満足度の高いサービスだと言えます。
【地場企業に期待できるメリット】
- 地域ならではの専門性と情報力がある
- 迅速・柔軟な対応に期待ができる
- 長期的に同じ担当者が続く可能性がある
集客力は担当者である個人の実力次第
市川さん
しかし、依頼する会社さんや担当者によっては、管理力に大きな差が出てしまうリスクはありますね。
どうしても大手に比べると知名度は高く無いので、集客力は会社の評判や担当者の実力に頼る部分が大きいでしょう。
スタッフ
大手に比べると取り扱える戸数にも限界があるでしょうから、管理できる規模も限られそうですね。
【地場企業で懸念されるデメリット】
- 依頼する会社や担当者で管理力にムラがある
- 集客は会社の評判や担当者の実力に頼るしかない
- 管理できる規模が限られる場合がある
賃貸経営は長期戦「提案力」が成功のカギ
スタッフ
「大手」と「地場企業」というだけでも、それぞれ色々な特徴があるんですね。
市川さん
そうですね。契約の内容にもよりますが、賃貸管理会社は一度決めると簡単には変えられません。なので、できるだけ長期的な視野で選んでもらうのが良いと思います。
変化するニーズと賃貸管理の現状
市川さん
また、最近では建築技術が進歩したおかげで、世代を超えて建物が受け継がれるケースが増えてきました。しかし、30年もすれば世の中のライフスタイルが変わり、求められる物件は変わっていきます。
スタッフ
そういえば畳がある家なんかはめっきり少なくなりましたね。逆に、カウンターキッチンなどの新しい設備はますます普及しているように感じます。
市川さん
長い目で見ると賃貸経営には「修繕」や「リフォーム」が付き物です。その時の流行りや予算などを考慮して、「状況を見極めて柔軟な提案ができる」というのも賃貸管理会社に欠かせない重要なポイントです。
スタッフ
確かに、修繕ひとつをとっても規模は様々ですからね。その都度、効果的な対策を自分で見極めるのは難しいかもしれません。いざという時に、的確なアドバイスをしてもらえる会社に管理が任せられると心強いですね。
デザイン性が生み出すワンランク上の提案力
「大半は味気がない白い壁とありきたりな間取りの家が多い」と、賃貸業界の現状を危惧する市川さん。そのため、
ジェクト株式会社さんでは「
差別化をするためにも、特にデザイン性を重視した物件づくりに力を入れている」とのことで、賃貸リノベーションでは
デザイナーズ物件で人気の「
Renotta(リノッタ)」を採用されています。
賃貸管理会社の選び方についてのまとめ
賃貸経営は管理をお願いする会社によって利益が大きく左右される可能性があります。もちろん、集客力は最も重要ですが、家賃の回収や対応力、さらに長いスパンで見た時の提案力も比較するうえで重視したいですね。
やはり、物件は大切な資産だからこそ「この会社なら任せられる」、という信頼が管理会社を選ぶうえでの基準になるのかもしれません。
なお、「管理を任される以上は信頼関係が大切」という、ジェクト株式会社さんでは戦前からお付き合いが続いている取引先もあるそうです。
「もっと詳しい話が聞きたい」と思った方は、ぜひ相談してみてください。
ご協力いただいた「ジェクト株式会社」さんの詳細
会社名 |
ジェクト 株式会社 |
代表者名 |
市川 功一 |
住所 |
〒211-0053 神奈川県川崎市中原区上小田中6-20-2 |
電話番号 |
044-755-2525 (代表) |
公式HP |
https://www.jecto.co.jp/ |
営業時間 |
8:30~17:30 ※土曜日(第一土曜日は営業)、日曜日、祝日は休み |
主な業務 |
建物企画・設計、施工・リニューアル、 不動産賃貸管理事業 |
対応エリア |
東京都・神奈川県 |
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