不動産を担保にして資金調達をする方法はいくつかあります。その中でも、今の環境をできるだけ変えずに資金調達する方法がリースバックです。
この記事ではリースバックの仕組みやリースバックを利用する際の注意点についてまとめています。
リースバックとは?
リースバックとは不動産を売却して現金化する方法の一つです。そのため、不動産を担保にした融資やローンとは異なります。
リースバックのメリット
リースバックの最大の特徴は、売却した後も賃料を払い続ければ同じ不動産に住み続けられる点にあります。さらに、売却した不動産はいつでも買い戻せる仕組みになっています。実質、まとまったお金が手元に入り、引っ越しの必要なく同じ家に住み続けられるのです。
また、リースバックは不動産売買に比べて現金化が早いのも特徴です。中には最短5日で現金化できるところもあります。
- 不動産を売却しても住み続けられる
- いつでも不動産を買い戻せる
- 現金化が早い
リースバックを利用するリスクや条件は?
リースバックの特徴に注目するといいことばかりに見えますが、リースバックを利用する際には当然リスクもあります。
賃料が割高
リースバックを利用して同じ物件に住み続ける場合、賃料は相場に比べて割高になる傾向にあります。なお、賃料の算出方法はリースバックを運営している会社ごとに異なります。賃料の算出方法を公開しているところや、売却者と相談して賃料を決めるところなど様々です。
なお、算出方法を公開していた運営会社さんは、賃料の計算に年利が影響していました。
運営会社名(賃料の計算方法記載あり) | 年利 | 詳細ページ |
リースバック支援センター | 7~13% | 詳細はこちら |
一般社団法人 全日本任意売却支援協会 | 6% | 詳細はこちら |
賃料の計算方法が記載されている運営会社さんはいずれも計算方法は同じでした。計算式は売却額に年利を掛けて12ヵ月で割った金額です。
【計算式】
売却額 × 年利 ÷ 12 = 毎月の家賃
そのため、売却額が高くなればその分毎月の賃料は高くなり、売却額が安くなればその分毎月の賃料が安く設定されます。なお、計算方法が掲載されていなかった運営会社さんは、周辺相場を参考に売却者の支払い能力を加味して決定されるとなっていました。
運営会社名(賃料の計算方法記載なし) | 詳細ページ |
センチュリー21 | 詳細はこちら |
株式会社 セゾンファンデックス | 詳細はこちら |
売却額は相場よりも低い
リースバックを利用して不動産を売却する際の一番のデメリットは相場よりも売却金額が低くなる点です。大体、売却額は相場の30%前後低くなるようです。
現金化が手軽にできる分ある程度売却額が低くなるのは仕方ないかもしれません。また、リースバックを利用して売却した不動産はいつでも買戻しが可能です。ただし、買い戻す際の金額は当然売却した時の金額よりも高くなります。この辺りは質屋さんの仕組みに似ていますね。
利用する際の条件
リースバックを利用する際にはいくつか注意点があります。特に、リースバックは不動産を所有していれば誰でも利用できるわけではありません。
- 一定収入がある
- オーバーローンではない
ただし、リースバックを運営する全ての会社が同じ条件ではありません。特に、不動産の評価額が一定金額以上でない場合もリースバックを利用できない場合があります。各運営会社さんによって審査基準や条件が異なるので、利用する際は余裕を持って事前に確認しておくのがおすすめです。
リバースモーゲージとの比較
「不動産を担保にして資金調達をしたい」と考える方が利用するサービスは他にもあります。それがリバースモーゲージです。リバースモーゲージはリースバックと同じく、不動産を担保にして資金調達をした後も同じ物件に住み続けられる仕組みですがリースバックとは異なります。
リバースモーゲージの仕組は?
リバースモーゲージは金融機関が行っている金融商品の一つで、自宅を担保に融資を受けるものです。
リースバック→売却
リバースモーゲージ→不動産を担保に融資
リバースモーゲージは老後の不安を解消するために利用する方が多いようです。利用者は、不動産を担保に毎月一定額の融資を受けて収入を補填したり、一括してまとまったお金を受け取れるようになっています。
ただし、リバースモーゲージで受けられる融資は事業用資金には当てられません。あくまで、老後の生活資金を補填するためのサービスだと思って下さい。
さらに、リバースモーゲージの最大の特徴は契約者が死亡時に自宅を売却して一括返済される点にあります。(期間満了時に一括返済される場合もある)
そのため、利用者の年齢も65歳以上と高齢者に限定さている場合があります。
リースバックとリバースモーゲージは異なるサービスです。事業資金など調達した資金を自由に使えるリースバックに比べて、リバースモーゲージは老後の生活を補填する仕組みになっています。
不動産担保ローンも視野に入れる
さて、ここまで資金調達をする方法としてリースバックやリバースモーゲージなどできるだけ環境を変えずに資金調達する方法を紹介してきました。特に、リースバックは環境を変えずに上手に不動産を現金化できる優れた方法です。ただ、不動産を活用した資金調達の方法は他にもあります。最後に不動産担保ローンについても見直しておきましょう
抵当権のおさらい
不動産を担保にした融資やローンで一番ネックになるのは抵当権です。今住んでいる家を建てる際に抵当権を設定してローンを組んだ方は多いでしょう。抵当権は今現在支払っている債務の支払いが滞った際、債権者が不動産を売却して債権を回収できる権利です。具体的にローンの支払いが滞った場合、不動産が競売に掛けられ強制的に現金化されます。
さらに、抵当権は複数の債権者を設定できるようになっています。
抵当権には順位がある
抵当権の債権者に設定できるのは一人だけではありません。同じ不動産を担保に複数の債権者を設定できるのです。ただし、抵当権には順位があり、上位ほど優先的に債権を回収する権利を持っています。
そのため、2番目以下だったとしても不動産の評価額や残りのローン残高を加味して融資をしてくれる金融機関があるのです。
ノンバンクを利用した不動産担保融資が有効
抵当権があっても状況次第で融資を受けられる可能性があるのは分かりました。しかし、融資の審査が甘くなったわけではありません。むしろ、抵当権の2位以下でも融資をしてくれるところは限られます。
特に銀行などの金融機関は審査が難しいです。なので、既に抵当権が設定されている不動産を担保に融資を検討している場合はノンバンクがおすすめです。
とは言っても当然審査があり、年利も1%~10%と融資を受ける金融機関によってばらつきがあります。抵当権が設定されていても必ず融資を受けられるわけではありませんが、資金調達の候補先としてノンバンクも視野に入れてみてはいかがでしょうか?
まとめ
リースバックを利用する最大のメリットは資金調達をしてもなお同じ家に住み続けられるところに尽きます。そもそも、資金に余裕があるのであればリースバックを利用する意味はありません。また、資金を調達したあとに同じ家に住み続ける理由がない場合も同様です。
さらに、資金調達の方法にはリースバックの他にもいくつか方法があります。1つの方法にこだわらず、自分にあった資金の調達方法がどれなのかしっかり比較して選んで下さい。