不動産は金融機関から融資を受けて自己資金以上の物件を購入します。低金利が続き、バブル以来の不動産投資も注目されている状況です。
自己資金の範囲を超えた不動産購入を行う場合、融資先の金融機関を検討する必要があります。融資を受けるうえで、最も重要なのは金利です。金利は金融機関によって異なり、個人の就労形態や購入する投資物件により変動するので注意が必要です。
不動産に関わるローンの種類をおさらいしておきましょう
不動産投資ローンは投資用物件のみ利用できる融資です。アパートローンとも呼ばれます。居住用住宅を購入するための融資より「属性」や「物件の価値」などが重視され、金融機関ごとにプランが用意されています。一方で、住宅ローンは不動産投資には適用できません。
※「属性」…体の色や形、人の能力、素性、社会的関係など。ここでは社会的信用・経済力を指します。
不動産投資ローンと住宅ローンとの違い
不動産投資ローンは投資物件を購入する目的で利用します。ご自身が投資物件の一部屋などに住む場合に限り、面積案分で利用できます。そして、住宅ローンが固定金利が多いのに比べ、不動産投資ローンの約9割は変動金利です。
また、不動産投資ローンは住宅ローンよりも審査基準が厳しくなります。そのため「事業の信頼性」が重視されます。そして「事業」であるため、経済的信用が重視されます。
金融機関ごとの金利相場の比較
融資を受ける金融機関の選択は多岐にわたります。
- メガバンク・都市銀行
- 地方銀行
- 信用金庫・信用組合
- 政策金融公庫
- ノンバンク系列
上記のような金融機関があります。勿論、金利や融資の審査基準も金融機関ごとに異なります。どの金融機関を利用するのかによって、投資家の職業・年収・保有資産・自己資金・担保の有無などの選択肢が変わります。
それでは、金融機関ごとの金利相場を比較してみましょう!
メガバンク・都市銀行
一般にメガバンク・都市銀行といえば、三菱東京UFJ銀行・みずほ銀行・三井住友銀行の3行です。
メガバンクの金融機関の金利は1%前後となっており、各行ともに大きな差はありません。支店が全国各地にあるため、全国の広いエリアの物件が対象になるのが利点です。投資家がどこに住んでいても、遠隔地の物件を購入できる場合があります。
しかし、融資の審査基準は金融機関のなかで最も厳しくなります。まず属性は、十分な自己資金・過去3年間の年収・担物物件などがないと審査基準を通るのは難しいでしょう。また、購入物件も築年数・立地などの条件を満たし、事業の収益率確が求められます。
地方銀行
地方銀行はエリアによって金利に幅があります。不動産投資に力を入れている銀行もあれば、街の活性化に熱心な銀行もあります。
神奈川県や東京都の銀行では1%半ば〜2%前後です。ここ数年、三大都市圏以外の銀行の場合、不動産投資に積極的です。金利は高い利率の場合、4.5%ほどですが、全国平均では3.5%前後の金利が設定されています。
金利は高いですが比較的長期の借入が可能で、キャッシュフローでは他行に劣りません。
信用金庫・信用組合の金利相場
基本的に地方銀行と大差はありません。金利は約2%前後が相場です。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は財務省所管の金融機関です。金利は固定のみで1.2~1.9%程です。日本政策金融公庫の特徴は、女性・高齢者へは優遇措置として借入上限が引き上げられ、借入期間も通常10年が15年に延長可能な点です。
審査基準は属性や物件よりも「事業性」を重視しています。日本政策金融公庫を利用する際は最寄りの支店に融資を受ける本人が行なければなりません。他の金融機関であれば、不動産業者が代行して行うことも可能ですが、日本政策金融公庫では本人が手続きをする必要があります。
特徴として金利が安く、他の金融機関では絶対に融資が出ない物件でも審査が通る場合があります。支店ごとに審査基準の判断が違うのも政策金融公庫の特徴です。
どちらを選べばいいの?固定金利と変動金利の違い
固定金利は金利の変動がなく、融資を受けた時点の金利が返済まで続きます。金融機関によっては最初の数年間が固定で、後から変動に切り替わる商品もあります。
固定金利のメリットは、返済額が一定しているために事業計画が立てやすくリスクが少ないことがあげられます。
デメリットは、大きく金利が下がった場合に高い金利で返済を続けなければいけません。低金利が続く金利状況では、金利が下がる可能性は低くメリットの部分が大きくなります。
金利が変わる変動金利
変動金利は長期金利の変動によって金利の見直しが行われます。ただ、来月以降いきなり数倍になるような変動はあり得ません。長期金利が徐々に上昇し、返済金額が微増する可能性はありますが、固定金利より金利が低く設定されている一般的な融資です。
金利上昇リスクよる利回りへの影響
金利が変動すれば月々の返済額が連動するので、当初の利回りで計算していた資金繰りは悪化する可能性はあります。しかし、金利上昇は好景気である状態なので、物件価値も上がるのです。また賃貸物件のオーナーであれば、賃料の値上げも検討しやすいでしょう。
金利は引き下げ交渉することも可能
金融機関では金利にある程度の利幅が設定されています。審査基準に照会し投資家の金利を決めるためです。つまり、交渉によって金利を下げることも可能で、交渉次第では事業の信用性をアピールできます。
ただ、不動産投資の初心者が金融機関と交渉しても好条件は得られません。個人での交渉よりも不動産業者による仲介をお薦めします。実際、多くの投資家は不動産業者に交渉を依頼しています。
まずは信用できる不動産業者と連携し、金融機関に対し投資家の事業計画や属性を交渉するのがベストです。
不動産投資ローンの審査基準
住宅ローンと不動産投資ローンでは審査基準も異なります。
住宅ローンは個人が住むための物件購入に当てられるので、個人の勤務先や年収、返済能力などの不動産業界内で言われる「属性」で判断されます。これに対して不動産投資ローンでは、そのような属性に物件の収益性や資産性が加味されます。ローンが滞りなく返済されるためには、経営上、不測の事態が起こったとしても事業が継続できることが重要です。
そのため、住宅ローンよりも不動産投資ローンの審査基準は厳しくなる傾向にあるようです。
断トツの金利の低さ!日本政策金融公庫で借りるメリット
日本政策金融公庫は、新たに会社を設立した個人事業主や中小企業支援が目的なので、1%台の固定金利で保証人も不要という好条件で融資が受けられます。一般的な不動産投資ローンと比較するとかなり低金利です。
ただし、日本政策投資金融公庫は事業のための融資機関なので投資目的の案件には融資しません。融資の申請は、あくまでも賃貸事業が目的でなければなりません。また、最長で20年までしか融資を受けられません。ローン期間としては短期ですので、高額物件の購入費用には向いていません。
不動産ローンの金利についてのまとめ
不動産に関する金利は長期にわたって返済に影響するので、固定・変動金利の選択など判断材料が多いに越したことはありません。
特に不動産投資において金利は重要な要素となります。月々の融資返済で資金繰りが厳しくならないよう、金融機関の選定や交渉は専門家のアドバイスを受けましょう。
金利は投資家の属性や物件によって決定するので、ご自身でも情報収集を怠らないことが金利で失敗しない不動産投資をする重要なポイントです。