「不動産オークション」の実態とは?「仲介業者抜き」で相場よりも高値の理由

「オークション」と聞くと日常生活では関係のないように思えますが、インターネットの普及により不動産売買は手軽に行える環境になりつつあります。

不動産売買のなかでもオークションは不動産に相場以上の評価がでる一方、金額が「1,000万単位」なので慎重に行わなければなりません。安全性を確保したうえで、「時価」でやりとりされるオークション取引のメリットと注意点についてご紹介したいと思います。

不動産のオークション売買の基本的なルールと評価基準

不動産オークションは、まだ日本ではメジャーな取引ではありません。従来の仲介業者を通しての売買が一般的です。

その背景として、日本では1999年まで不動産をオークションでの売買が認められていませんでした。オークションが解禁されてから日が浅いため、不動産所有者の中では取引に不安を感じる方が多いのも事実です。

落札者の決定方法

落札者の決め方として、価格順総合評価の2パターンがあります。

価格順

「価格順」は文字通り、期限内に最も高値をつけた入札者が落札します。価格順の場合、原則として「入札条件」は統一します。

総合評価

「総合評価」は「価格」に「購入条件」「用途」「購入名義」も加えた4点の総合評価にて落札者を決定します。

最低売却価格・入札条件の決め方

オークションは主にインターネット上で行います。最低売却価格入札条件はおよそ4週間、物件によっては8週間ほど前から顧客へ営業活動したうえで、購入検討者に価格目線や条件等をヒアリングします。

その後、売主と協議の上決定します。決定後は決定事項を「入札要綱」に取りまとめ、購入検討者に配布します。入札要綱配布後、およそ2~3週間後に入札を実施します。

情報公開先について

情報の公開方法として、「限定公開」方式と「半限定公開」方式の2パターンがあります。
なお、誰でも見ることができる「一般公開」方式は個人情報の観点から取扱い件数は減っています。

①限定公開

「限定公開」は、不動産会社が購入検討者となる土地のような、個人や一般法人が購入対象ではない物件に適しています。購入する可能性がある買主(戸建分譲用地ならおよそ80社前後)に直接情報を開示し、秘密保持契約を締結した上で資料を開示します。

②半限定公開

「半限定公開」は、個人や一般法人・資産管理会社・不動産投資会社・個人投資家などが購入する場合に適しています。特定の金融機関や仲介会社等に情報開示し、買主を集めます。どこまで情報を広げるかは売主と協議のうえ決定します。

情報管理は細心の注意を!インターネットオークションの仕組み

オークションの公開方法についてご紹介しましたが、多くの会社が運営しているのは一般非公開のオークションです。オークションを運営する会社と提携している取引先(金融機関、不動産仲介会社他)へ検討者のみにIDやパスワードなど付与し、入札参加できるようにします。

入札システムの概要

最低売却価格のみ提示し、入札者は随時、競りによって入札を行う方法です。入札は非公開オークションサイト上にて行います。

入札価格は「最低売却価格」と同額以上の価格での成立、または「最低売却価格」よりも〇〇万円以上でなければ落札しないなど、入札方法は選択できます。

一般的な入札方法は「通常入札」と「自動入札」の2種類

「通常入札」は入札金額がそのままインターネット上に反映されます。「自動入札」は、上限価格を入力すると、最初はその時点で入札可能な最低価格が自動的に入札されます。他から入札者があった場合、設定済みの「上限価格」に達するまでサーバーが自動的に入札価格を上げて入札します。

入札額が同額の場合の順位

金額が同額になった場合、入札時間が早い入札者が優先されます。その後、落札者は「第一優先交渉権」を得ます。売主に通知の上、特に問題がなければそのまま売買契約、決済へと進みます。

紙入札の仕組みとは?

紙入札は、原則「買付証明書」を封書にて期限までに提出、または郵送にて提出し、売主の立会のもと開封し落札者を決定します。入札者にその結果を伝えます。

MEMO
買付証明書(不動産購入申込み書など)とは
買主が売主に対して、不動産を購入する意思があることを伝える書面で、契約書を交わす前に用いられます。 契約書と違い、売主と買主の双方に権利や義務は発生しませんが、不動産の売買では慣習として使われています。

紙入札の概要

一般的に紙入札は「一回限り」が多いですが、一回目の入札で価格が均衡する場合、入札者に入札価格の上積みが可能か聞いたうえで「最低売却価格」を再設定する場合があります。

およそ1週間後を目処に「2回戦」を実施します。この「2回戦方式」を選択する場合、入札要綱に「一次入札の金額に差異がない場合、二次入札を実施する場合があります」と事前に告知します。

「価格優先」と「価格以外も含めた総合評価」

入札は基本的には最高値の入札をした入札者が落札します。ただ不動産の場合は価格以外の要素も重視されます。

「総合評価」として、「価格」以外に用途購入名義購入条件も判断材料になります。「総合評価」は入札要綱に「入札に関しては、金額だけでなく、用途、購入名義、購入条件の3点も加えた総合評価によって選定いたします」と事前に告知します。

相続物件こそ「オークション」で売却すべき理由

相続物件はオークションに向いているのをご存知ですか?最近は相続準備や相続時に、オークションを活用する事例も増えています。

兄弟姉妹や親族など世代の違う複数の相続人が集まって、不動産を売却するとなった場合、お金に関わる話なので妥協点を探すのに一苦労します。そこで注目されているのが「オークション」なのです。

親族が紹介するという「不動産屋」の存在

トラブルでありがちなのが、「自分の知り合いの不動産会社を連れてくるから」というケースです。他の相続人たちは「売却額をピンハネするのではないか?」と疑心暗鬼になってしまいがちです。また、紹介された不動産会社が高く売る業者だとはいえません。

お金に関わる話は「私情」を挟むと必ずトラブルになります。相続人同士の仲の良し悪しは別として、「高く売る」という利害は一致しているため、オークションに参加して高値を付けて売却すればいいのです。

市場価値に付加価値を!「不動産オークション」の実態と活用方法

普通の土地売却では1億円で売り出した場合、売値で売買されます。しかし、オークションの場合「1億1,000千万円」で売れる可能性もあるのです。また、ネット上に公開されるため、多くの顧客の目に触れる機会が増えます。

通常売却とオークションで売却金額の違いは10%ですが、相続時の空き家特別控除などを考えた場合、税金を差し引いた後の金額は多いに越したことはありません。不動産のオークションは高く売る手法のひとつとして、相続では効力を発揮します。

MEMO
空き家特別控除について
空き家の売却で3000万円の特別控除が適用されます。最大で609万4500円の減税ができ、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの売却期間限定です。

国税庁 「土地や建物を売ったとき」

まとめ

不動産仲介業者は物件を売買する際、「早く売ること」を優先します。しかし、自社の物件を売買する場合、時間をかけることをリスクと考えません。「高く売ること」を優先するからです。

「オークション」が高値になりやすい相場でも、時間がかかる主流ではない取引手法を不動産仲介業者はやりたがらないのです。

時間と労力はかかりますが「相場」よりも不動産が割安だと感じたら、オークション取引は有効な売買方法といえるでしょう。