建築設計事務所 可児公一植美雪

建築設計事務所 可児公一植美雪

神奈川県鎌倉市を拠点に全国で活躍している、建築設計事務所 可児公一植美雪さん。
今回インタビューにご協力いただいた可児公一さんと植美雪さんのお二人は、同じ大学のご出身で、さらに同じ恩師を仰いだ同期なのだそうです。そのためか、和気あいあいとした雰囲気の中、息ぴったりでインタビューに答えてくださいました

今回はそんな可児さんと植さんが家づくりをされる上で大切にしていることや、お二人のつくる住宅の特徴、心に残っているお施主様とのエピソードなどについてご紹介します。
ぜひご覧ください。

柔軟に住まい方を変えられる、余地を残した家づくり

建築設計事務所 可児公一植美雪

スタッフ

早速ですが、住宅を設計する上で大切にしていることを教えてください。

可児さん

僕は「固定観念にとらわれないこと」を1番大切にしています

スタッフ

固定観念とは、具体的にどういうものでしょうか?

可児さん

例えば「敷地の南側に庭、北側に寝室があるのが普通だ」といった、「家とはこうあるべきだ」という考えのことです。
こうした固定観念を持って家づくりをスタートすると、出来上がる建物はみんな似たようなデザインになってしまうんです

スタッフ

それではまるで建売住宅のようになってしまいますね。

可児さん

土地にはそれぞれ個性があります。いろいろ試してみないと、何がベストが分かりません。なので僕は、普通では有り得ないようなデザインであっても、必ず一度は考えてみるようにしています

スタッフ

なるほど。
では、もしお施主様のほうが固定観念を持っている場合はどうするのですか?

可児さん

お施主様の中にある「こうあるべき」という考えを解きほぐした上で、新しい提案をしてみるように意識しています。
すると、これまでお施主様も想像していなかったような新たな価値観が生まれ、お施主様と建築家がお互いに考えを共有・共感し、一緒に新しい住み方をつくっていけるようになるんです。

スタッフ

思ってもみないような素敵な家が出来上がったら、とても嬉しいですね。

スタッフ

植さんは、住宅を設計するにあたってどんなことを大切にしていますか?

植さん

私はニュートラルな設計をすることを大切にしています

スタッフ

ニュートラルな設計とは、一体どういうことでしょうか?

植さん

住宅にもなるしそうでないものにもなるような、お施主様が柔軟に住まい方を変えられるような設計を心掛けているんです

可児さん

例えば、私たちはこれまで子ども部屋を作ったことがないんですよ。

スタッフ

どうしてですか?

植さん

子どもはいつか自立してしまうからです。子どもが巣立つと、子ども部屋だった場所は物置になってしまいますよね。
なので、あえて子ども部屋はつくらずに、将来的に何か別の用途で使える部屋にするなど、可変性のある部屋にできるような提案をしています

スタッフ

なるほど。
もし子ども部屋として使っていた場所がお父さんの書斎になったりお母さんの趣味部屋になったりしたら、子どもの独立後に夫婦が第二の人生を謳歌するのにもぴったりですね。

可児さん

もちろん、将来を見越しすぎて今すぐ使えない部屋にしても意味がないですので、その時その時のベストな状態に限りなく近付けるような部屋をつくっています

植さん

そうですね。
状況に応じて使い方を変えられるような、「余地」を残した家づくりを目指しています

本質的に必要な部分だけが残った「細マッチョ」な建築

建築設計事務所 可児公一植美雪

スタッフ

可児さん、植さんが手掛ける住宅の特徴を教えて下さい。

可児さん

この事務所ならではの特徴は、あまり思い当たらないかもしれません。
これまで手掛けてきた建物は作風もバラバラですし、「絶対に自然素材を使いたい」といったこだわりもないですね。

スタッフ

そうなんですね。
では、住宅を設計するときにはどんなことに気を付けているのですか?

可児さん

間取りや設備というよりも、本質的にお施主様のツボに入るような部分を建築に出していきたいと思っています。
そのために、お施主様にこだわりを押し付けるのではなく、お施主様の個性やオリジナリティを引き出すように意識しています

スタッフ

なるほど。
可児さんの手に掛かれば、自分にぴったりの家が完成しそうですね。

スタッフ

住宅の特徴について、植さんはいかがでしょうか?

植さん

「細マッチョ」な建築が特徴かもしれません

スタッフ

えっ、細マッチョですか?それはどういう意味でしょう?

植さん

建物は最初、お施主様の要望をふんだんに盛り込んだ、いわば贅肉がたっぷりついた状態になります。そこから「本当にこの設備は必要か?」「そこに本質はあるのか?」等をお施主様とすり合わせしていきます。すると、だんだんと無駄な贅肉は削ぎ落とされていって、本当に必要な部分にだけ筋肉がつくように洗練されていくんです。
それこそが、私たちのつくる細マッチョな建築です。

スタッフ

なるほど。
ですが、いろいろと要望を盛り込んだ、贅肉がついた建築のままではいけないのですか?

植さん

あれもこれもと要望を詰め込んでしまうと、予算がいくらあっても足りなくなってしまいます。無理をして導入した設備も、いざ住んでみるとまったく使わなかったということもよくあります。
つまり、細マッチョな建築にすることで、家づくりにおいて本質的に必要なものが何かを見極め、本当に必要な部分にだけお金をかけられるようになるんです。

スタッフ

なるほど。
本当に必要な部分に充分なお金をかけられた家は、お施主様の満足度も高くなりそうですね。

地上15メートル。スロープを巻きつけた家

スロープの家

スタッフ

印象に残っている建物や、お施主様とのエピソードはありますか?

可児さん

1番心に残っているのは「普通の宅地に15メートルの高さの住宅を建てたい」と依頼されたときのことです。

スタッフ

15メートルって相当高いですよね。何階建てになるのでしょう?

可児さん

4階建てです。4階までは、建物をぐるっと囲んでいる外のスロープを使って上がるんですよ。
スロープの家

建物を囲うようにスロープが巻きつけられています。

可児さん

階段でもエレベーターでもなく、スロープで上がるというアイディアは、お施主様からいただいたものなんです。

スタッフ

珍しいデザインですよね。
すごく斬新なアイディアをお持ちのお施主様だったんですね。

可児さん

そうなんです。
ただ、最初にスロープをつけたいと言われたとき、お施主様には一旦お断りしたんです。

スタッフ

それはどうしてですか?

可児さん

お施主様から「上までスロープで上がりたい」とご要望されたとき、当初はお施主様も自分も、通常の「室内」のスロープを想像していました。
ですが、お施主様のご自宅は15メートルという高さから平面が制限されたこともあり、室内にスロープを設置する余裕がないのは明白でした
なので、僕たちは瞬時に不可能だと思って、お断りしてしまったんです。

スタッフ

高い建物は、いろいろ制限されることも多いんですね。

可児さん

ですが、お断りをして以降ずっとモヤモヤしていて、「普通に考えたらスロープなんて無理だけど、100%不可能なのだろうか? 何か別の方法はないだろうか?」と何度も自問自答しました
そのとき、家の外にスロープを巻きつけるというアイディアが思い浮かんだんです。

スタッフ

すごい発想ですね。
でも、これだと建物の上り下りをする度に外に出ないといけないんですよね。お施主様の反応はどうだったのでしょうか?

可児さん

僕たちもこのアイディアを受け入れてもらえるか不安でしたが、お施主様は「まったく問題ない」と手を叩いて喜んでくれました

スタッフ

それは嬉しいですね。
まさに、先ほど可児さんのおっしゃっていた、固定観念にとらわれない家づくりです。

可児さん

いいえ。このときは、僕らよりもお施主様のほうがずっと固定観念にとらわれない考え方をお持ちでした。
お施主様に気付かされたことも多かったですし、それで今でも強く印象に残っているのだと思います

スタッフ

なるほど。可児さん、ありがとうございます。
スロープの家

スロープの家。外にスロープがある分、室内は広々としています。

スタッフ

植さんは、印象に残っているお施主様とのエピソードはありますでしょうか?

植さん

私は「とにかく直線だけの家にしたい。曲線は許せない」という確固たるこだわりをお持ちだったお施主様ですね。

スタッフ

そんなお施主様もいらっしゃるんですね。

植さん

そうなんです。自分のこだわりは絶対に妥協しない方でした
例えば、キッチンのシンクってどうしても角に丸みがありますよね。このちょっとしたカーブでさえ「直角にしたい」とおっしゃるほどだったんです。

スタッフ

すごいお施主様ですね。
ちなみに直角になっているシンクって存在するんですか?

植さん

既製品ではなかなか見つからないので、板金屋さんに相談しました。板金屋さんも最初は難しいと言っていたのですが、次第にお施主様の熱意に打たれ、最終的には限りなく直角に近い形を生み出せる道具を開発し、ほぼ直角のシンクをつくってくれました
キューブの家

直線にこだわった家は、もちろん外観も四角いです。

スタッフ

お施主様も職人さんも情熱がすごいですね。
そのお施主様は、どうしてそこまでこだわりが強かったのでしょう?

植さん

そのお施主様は、それまで家を転居するたびに不満はあったものの、「家なんてこういうものだろう」と我慢してきたそうです。
ですが、今回は私たちが予想以上に要求に応えてきたので、「何でも言ってみるだけ言ってみよう」という気になったとおっしゃっていました。

スタッフ

そうだったんですね。
きっと打ち合わせを通して、可児さんと植さんならお任せできると確信したんでしょうね。

本質的な豊かさを感じる生活を送ってほしい

建築設計事務所 可児公一植美雪

スタッフ

最後の質問となりますが、家を引き渡したあと、お施主様にはどんな生活を送ってほしいですか?

可児さん

僕は、どこまでも豊かに住んでほしいですね。

スタッフ

それは、物質的な豊かさとはまた違うものですか?

可児さん

そうです。
いま、世界はいろいろなモノや情報に溢れていますが、衣食住の基本的な豊かさは太古の昔から変わっていません。例えば「風が気持ちいい」「日差しが暖かい」といった、本質的に「いいな」と思えるようなものです。
こういったお金では買えない豊かさを、僕らのつくった家で感じてもらえたら1番嬉しいなと思います。

スタッフ

本質的に豊かな生活、とても素敵ですね。

スタッフ

植さんは、お施主様にどんな生活を送ってほしいでしょうか?

植さん

私たちは住まい方を限定しないような設計を目指しています。
なので、お施主様にはぜひ、私たちの意図していない家の使い方をしてもらって、私たちを驚かせてほしいです。

スタッフ

これまで、予想外な家の使い方をされたお施主様はいらっしゃいましたか?

植さん

いろいろな方がいらっしゃいました。
玄関のつもりでつくった場所にテーブルが置かれていて井戸端会議をしていたり、寝室のつもりでつくった部屋があるのに夏は土間で寝ていたりと、みなさん面白い使い方をしてくださっています

スタッフ

それは面白いですね。
住まい方をいろいろ冒険できるのは、お施主様にとってもワクワクしそうですね。

値段感と坪単価

坪単価:70万円~

仕様によって異なります
一般的な仕様であれば70万円~となります。仕様によっては70万円以下、もしくは70万円以上になる場合もあります。

まとめ

憧れのマイホームを建てようと思ったとき、多くの人はまず住宅展示場に足を運ぶと思います。しかし、もし「ハウスメーカーでは理想が叶えられないかもしれない」と感じたら、ぜひ可児さんと植さんに相談してみてください。
建築家と協力して行なう家づくりは、お施主様自身もやらなければならないことが多いため、大変かもしれません。しかし、その苦労を乗り越えたあとには、あなたにぴったりの理想のマイホームが待っているでしょう。

会社名 建築設計事務所 可児公一植美雪
代表者名 可児 公一、植 美雪
住所 神奈川県鎌倉市小袋谷2-15-30
電話番号 046-795-0767
公式HP http://www.kaniue.com/
営業時間 9:00〜18:00
主な業務 建築設計監理
対応エリア 全国