新築の賃貸物件を借りる時のメリットとデメリット

新築の賃貸物件を借りる時のメリットとデメリット

「せっかくなら新築の物件に住みたい!」とお考えの方は多いでしょう。「でも、新築の物件は費用が高そうだし、ちょっと不安」と諦めている方も多いようです。確かに巷では「新築の物件は避けた方が良い」といった意見を耳にすることがあります。

そこで、この記事では新築の賃貸物件を借りるにあたって抑えておきたいポイントをまとめてご紹介していきたいと思います。気になる物件がある方はぜひ参考にしてみてください。

引っ越しで心機一転、新生活にぴったりな新築物件

新築の賃貸物件に住むメリットは、「とにかく新しい家に住める」という点に尽きます。
水回りはピカピカでエアコンも新品。設備やデザインも、築年数の古い家に比べて洗練されているケースがほとんどです。

新築の定義
「新築」と呼ばれるのは、建物が完成してから1年以内で、なおかつ一度も入居がない物件のことを指します。

当然、賃貸なので古くなったらいつでも引っ越すことができます。建物の税金や、劣化によって資産価値が落ちることを心配する必要もありません。新築の賃貸物件に住めるチャンスがあるなら、ぜひ前向きに検討したいですね。

意外と知らない新築の賃貸に住むデメリット

しかし、一方では新築の賃貸物件にデメリットがあることを指摘する声もあります。確かに、「賃料が他の物件に比べて高い」というのはうなずけるかもしれませんね。
他にも「内見ができないから間取りで失敗しがち」といった意見や、「建材に含まれる有害物質の影響を受ける」といった見方もあります。

  • 賃料が他の物件に比べて高い
  • 内見ができないから間取りで失敗しがち
  • 建材に含まれる有害物質の影響を受ける

「正直、費用の他にデメリットがあるなんて予想してなかった」という方も多いのではないでしょうか。でも安心してください。実は、こうしたデメリットは、必ずしも全ての人に当てはまるとは限らないからです。物件を比較する際の間違った判断材料にならないためにも、一つずつ詳しく解説していこうと思います。

「新築は賃料が高い」という考えは古い?

新築の賃貸物件を検討する中で、最も懸念されているのは費用面ではないでしょうか。実際、新築は貸し出す中で、最も賃料が高くなる傾向にあります。というのも、不動産は時間が経つにつれて価値が下がっていくため、築年数が経過すると賃料を下げて貸し出すのが一般的だからです。そのため、物件を貸し始める新築の時が一番賃料が高くなるは当然といえるでしょう。

人気エリアでは約3万円の金額差

では、新築というだけで一体どれくらいの金額差が生じるのでしょうか。まずは2021年住みたい街ランキングで1位を獲った横浜の例を見てみましょう。
下記は横浜駅の周辺にあたる「横浜市西区」の平均家賃をグラフと表にしたものです。

横浜市西区の平均家賃の推移

横浜市内の平均賃料の変化

経過年数 賃料
新築(築1年未満) 14万3,800円
築3年以内 11万4,800円(▲2万9,000円)
築5年以内 11万7,600円
築10年以内 11万2,500円
築15年以内 11万9,900円
築20年以内 11万9,300円

なんと「新築(築1年未満)」と「築3年以内」とでは、2万9,000円と約3万円もの金額差がありました。やはり人気のエリアでは、新築ゆえのプレミアム価格があり、新築というだけで賃料が高額になる傾向があるようです。
横浜市のその他の地域についても、いくつかピックアップして年数ごとの平均賃料を表にしてみました。

参考 【アットホーム】横浜市西区の家賃相場から賃貸の物件を探す|賃貸情報賃貸マンション、賃貸アパート、貸家や部屋探し【アットホーム】横浜市西区の家賃相場から賃貸の物件を探す|賃貸情報賃貸マンション、賃貸アパート、貸家や部屋探し
横浜市内の平均賃料の変化(一部地域を抜粋)
区名 新築(築1年未満) 築3年以内 差額
鶴見区 7万6,200円 7万3,300円 ▲2,900円
神奈川区 8万7,200円 8万2,800円 ▲4,400円
中区 9万1,600円 9万7,100円 +5,500円
保土ケ谷区 6万6,000円 6万8,500円 +2,500円
磯子区 6万6,700円 6万2,500円 ▲4,200円

横浜市内のその他のエリアでも、「新築」に比べて「築3年以内」の物件の方が、3,000円から4,500円ほど賃料が下がっていました。西区ほどの金額差あると新築の物件に住むのを諦めてしまいそうですが、数千円プラスするだけで新築の物件に住めるならむしろラッキーだと感じる方も多いのではないでしょうか。

「新築だから賃料が高くなる」とは限らない?

ただ、不思議なことに「中区」と「保土ケ谷区」を見てみると、平均家賃がむしろ上がっているのが分かります。

区名 新築(築1年未満) 築3年以内 差額
中区 9万1,600円 9万7,100円 +5,500円
保土ケ谷区 6万6,000円 6万8,500円 +2,500円

※中区のサンプル数 新築(1,102件)、築3年以内(1,348件)
※保土ケ谷区のサンプル数 新築(286件)、築3年以内(532件)

実は、都内でも同様に、新築の方が平均家賃が低いという地域がいくつかありました。

新宿区の平均家賃の推移

新宿区」の平均家賃の推移。新築の平均家賃の方が築3年以内の物件に比べて約2千円ほど低い

このように、新築の賃料は地域や時期によっても変わるため、一概に「新築だから高い」といって諦めてしまうのはもったいないかもしれません。実際に物件を比較する際は築年数に頼るのではなく、ご予算を目安に、価格をしっかりチェックして見極めることが重要だといえそうです。

新築の物件は基本的に内見ができない

新築の物件を検討する際に注意しておかなければいけないのが、「内見ができない可能性が高い」という点です。というのも、新築の物件では建物が完成する前に入居者を募集し始めます。そのため、内見をしないまま契約を済ませてしまうケースも多いです。
住宅情報サイトを見ていると、施工中で間取り以外はほとんど写真が掲載されていなくても、入居者を募集している物件を見かける事がよくあると思います。

急いで契約してしまうのはリスクが高い

しかし、未完成の物件に対して急いで契約をしてしまうのはリスクがあります。図面で間取りを確認することは出来ても、細かい使い勝手までイメージすることは難しいですよね。そのため、住み始めてから致命的な欠点があった時に、取り返しがつかないといったケースも考えられます。

また、建物の工期も必ず予定通りに進むとは限りません。トラブルが起こる可能性を考えると、完成後に内見をしてから賃貸契約を結ぶのが無難でしょう。
優良な不動産屋さんなら、キャンセルされる可能性を承知のうえで、完成後の内見まで契約を待ってくれるところもあります。

「もしかしたら、すぐになくなるかもしれない」と、新築の物件を急いで契約しようと考えている方は、少し落ち着いて検討してみてください。同様に、不動産会社から強引に契約を求められている方もご注意ください。

参考 意外と重要な募集開始時期 | 賃貸経営・アパート経営ならヒロ・コーポレーション意外と重要な募集開始時期 | 賃貸経営・アパート経営ならヒロ・コーポレーション

「シックハウス症候群」を発症しやすい?

もうひとつ、新築の賃貸物件でよく言われるのが「シックハウス症候群」の発症リスクです。

シックハウス症候群とは?
建材や家具に含まれる「ホルムアルデヒド」などの有害物質が原因で、目の痛みや頭痛、吐き気などの症状が起こること。

近年は建築技術が発達したこともあり、「高気密」で「高断熱」な家が建てられるようになりました。そのため、有害なガスや、結露により発生したカビが室内に溜まりやすく、シックハウス症候群を引き起こす原因になっているといわれています。
特に、新築は有害物質が完全に揮発(きはつ)していない可能性があるため、よりシックハウス症候群のリスクが高いと考えられています。

換気システムの導入で大幅に改善

そこで、2003年に建築基準法が改正され「24時間換気システム」を導入することが義務付けられました。その結果、2003年以降はシックハウス症候群に関する相談件数が大幅に減少し、現在は相談件数も横ばいの状況が続いています。
加えて、ホルムアルデヒドなどの有害物質を含む建材の使用が制限されるなど、引き続き健康に考慮した家づくりが進められており、以前に比べてシックハウス症候群を引き起こすリスクは少なくなっているといえます。

シックハウス症候群の相談件数

シックハウス症候群関連の相談件数の推移

いくら新築でも、病気を発症するかもしれない不安を抱えたままでは、安心して過ごすことができませんからね。ただ、リスクが完全になくなったわけではありません。アレルギーなどの不安がある方は、念のため注意された方が良いかもしれません。

新築には導入が必須「24時間換気システム」の仕組みと注意点新築には導入が必須「24時間換気システム」の仕組みと注意点

ここまで、新築の賃貸物件に住むにあたって、デメリットと言われているさまざまなリスクについて解説しました。これから快適な新生活を送るためにも、1つひとつ確認して事前に備えられると安心ですね。

新築の賃貸物件がお得に借りられるケースもある

物件探しをしていると、時どき驚くほど手頃な初期費用で入居できる新築の物件に出くわす事があります。実際、新築なのに築浅の物件や築年数の古い物件よりもお得に入居が出来てしまうケースは珍しくありません。では、なぜそのような新築が存在するのでしょうか。

フリーレントなどの特典が用意されている

一番の理由は「少しでも多くの人に入居してもらおう」というオーナーさんの狙いがあるからです。前述したとおり、新築と呼べるのは建物が完成してから最初の1年間だけです。それを過ぎると「築浅物件」という扱いになり、「新築」として入居者を募集することができなくなります。そのため、他の物件と差別化ができる「新築」という期間に少しでも多く入居者を集めたい、というのがオーナーさんの意向でもあるわけです。

また、新築はもともと入居者がゼロの状態からスタートします。空室のままでは家賃収入が得られないので、オーナーさんからすると最低限の入居者を確保することも重要になります。そこで、礼金などの初期費用を免除したり、家賃を一定期間無料にしたりして、少しでも魅力的だと思える条件を提示している新築の物件があるわけです。

大手情報サイトでも初期費用を抑えて入居できる新築物件は多数取り扱いがある。

大手情報サイトでも初期費用を抑えて入居できる新築物件は多数取り扱いがある。

参考 不動産のことなら【アットホーム】物件探しから住宅情報まで!不動産のことなら【アットホーム】物件探しから住宅情報まで!

ただし、条件の良い物件ばかりではありません。実際には立地や間取りなど細かい要素によって価格が決まります。なので、過度な期待は禁物です。「新築でも他の物件と変わらず特典を利用してお得に借りられる物件がある」、という程度に認識を留めておくのが良いでしょう。

事故物件だから条件を下げているのでは?

条件が良い物件に出会った時、最初に頭をよぎるのが「事故物件かもしれない」という不安ではないでしょうか。もし、本当なら怖いですが、実際は賃貸契約を結ぶ際、物件を提供する側には「契約不適合責任(前:瑕疵担保責任)」という情報開示義務があり、事件や事故があった事実を隠すことができない決まりになっています。
気になる物件があった時は遠慮なく確認をして、不安を解消した上で話を進めていくのが大切です。同じように墓地や歓楽街が近くにあるかもしれない、という場合も事前にしっかり確認してもらいましょう。

不動産屋による物件情報の格差がなくなってきた

実際に新築の賃貸で初期費用の見積りを取られた方の中には、「あれっ、他の物件と金額や条件がほとんど変わらないんだけど」と疑問に思った方もいるでしょう。
確かに、新築なのに他の物件と条件がほとんど変わらない、というのも不安になってしまう要因ですよね。

情報の流通により「適正価格」が実現

実は、物件情報の多くはいくつかの不動産情報サイトに登録されており、近年では多くの不動産会社が共通の情報として物件を共有できるようになりました。
その結果、同じ物件を他の不動産会社でも紹介できるようになり、自然と価格競争が起きて適正な価格で取引がされるようになっていったわけです。
そのため、新築だから費用が極端に割高になる、というケースは少なくなっている傾向にあります。

MEMO
不動産の情報サイトには、建設省(現在の国土交通省)によって企画された「レインズ」などのネットワークシステムがあります。

とはいえ、全ての物件が情報サイトに登録されているわけではありません。また、初期費用の項目や特典などの細かい条件は、不動産会社ごとに異なる場合があります。もし、気になる物件を見つけたら、他にも取り扱っている不動産屋さんがないか確認して、相見積りを取って比較しながら検討できると安心ですね。

参考 【ホームズ】レインズとは?レインズの意味を調べる|不動産用語集【ホームズ】レインズとは?レインズの意味を調べる|不動産用語集

新築でも良い条件で借りられるケースはたくさんあります。しかし「新築だから良い」という気持ちで借りてしまうのはおすすめできません
たとえ、新築であっても予算をはじめ、立地や日当たり、水回りの設備関係など、日常の生活に深く関わる部分を見落とさないようにご注意ください。

まとめ

この記事では、新築の賃貸物件を借りるにあたって気をつけていただきたいポイントをご紹介しました。
新築の賃貸物件には大きな魅力があります。しかし、人気のエリアでは費用が割高になる傾向にあり、内見ができない可能性が高い、といったデメリットがあるのも事実です。
気になる物件があった時は、落ち着いて詳細を確認したうえで冷静な判断をしましょう。ぜひ、物件をお探しになる時はまたこの記事を参考にしてみてください。