本記事では、新築DIYについて徹底解説していきます。「建築費用を抑えたい」「より自分好みの家にしたい」「家族で家づくりに参加したい」といった様々なニーズによって、新築DIYは注目を集めています。しかし、新品の家に手を加えるわけですから、それなりの心構えや準備をしたうえで臨みたいですよね。
そこで今回は、新築DIYの進め方を目的別にご紹介するとともに、おすすめの新築DIY、失敗しないための対策などをご紹介したいと思います。これから新築DIYをしようとお考えの方は、ぜひ本記事を参考になさってください。
新築DIYの基礎知識
これから長く暮らしていく新築のマイホーム。新築DIYによる大きな失敗や後悔は避けたいところですよね。
実際に新築DIYを行う前に、まずは正しい知識を身に着けましょう。
新築DIYをする人は増えている
新築一戸建てを建てる方々の間で密かなブームとなっているのが「新築DIY」。
一昔前であれば「新築に手を加えるなんて勿体ない!」という声が聞こえてきそうですが、最近はスタンダードな考えになりつつあります。なお、新築DIYを行う範囲や内容は人それぞれです。ちょっとした工作から大掛かりな工事まで、みなさんそれぞれの都合にあわせて新築DIYを楽しまれています。
新築DIYの進め方|3つのパターン
これから新築DIYをしようとお考えの方々が、漠然と悩んでいること。それは、「まず何をすればいいの?」ということだと思います。
ここで大前提となるのは、「現在の家づくりの進捗度やDIYの目的が人それぞれ異なる」ということです。それに伴い、新築DIYの進め方も異なります。新築DIYの進め方として考えられるのは、次の3パターンです。ご自身がどのパターンに当てはまるか、まずは確認していきましょう。
パターン1:新築の建築費用を節約したい人
節約したい人
このようにお考えの方は、「予算オーバーなので自分たちでできることはDIYで行いたい」といった旨を家づくりの依頼先に伝え、どの部分をDIYにするのか施工前に計画を練る必要があります。
なお、多くのハウスメーカーではトラブル防止のため、引き渡し前に施主が手を加えることを認めない傾向にあります。つまり、新築のDIY作業は引き渡し後に行うことが一般的です。
未完成のまま暮らすと不便が生じるような箇所をDIYでつくると決めた場合は、引き渡し後にある程度のスピード感を持って行う必要があるでしょう。そのためには、少なくとも引き渡し前にはDIYに必要な材料や工具をリストアップしておき、引き渡しを受けてからスムーズに作業に着手できるよう準備を整えておくことが大切です。
パターン2:建売住宅を自分好みに改造したい人
改造したい人
このような理由から、すでに暮らし始めた新築の建売住宅をDIYで自分好みに改造しようと考えている方は多いかと思います。好きな色や柄のタイルを貼ったり便利な場所に棚をつくったりすることで、より居心地の良い空間に近づけることが可能です。
暮らしてみて物足りなさを感じる箇所やオリジナリティを出したい箇所が出てきたら、休日などを利用して準備や作業を行うと良いでしょう。
この場合、生活する上で必要な設備は整ったうえでのDIYになりますので、完成を急ぐ必要もなく自分のペースで作業を行うことができます。また、材料や工具にこだわりたい方は下記の記事もあわせてご覧ください。
インタビュー記事:「株式会社ミライノベーションズ」
フリマアプリの建築版『TEBU-KURO』を運営されている会社です。TEBU-KUROでは、家づくりのプロが使用する材料や工具が手に入ります。このアプリは建築関係の方々だけでなく誰でも利用可能なので、本格的にDIYを楽しみたい一般の方におすすめです。
パターン3:新築の家づくりに加わりたい人
加担したい人
憧れのマイホームを建てる方々の中には、「自分で建てた家に住むのが夢!」という方が意外にも多いものです。しかし、先程もお伝えした通り、引き渡し前のDIY作業は一般的に叶わないことがほとんど。
そんな時は、施主の想いに寄り添った家づくりをしてくれる依頼先を見つけると良いでしょう。地元の工務店や設計事務所では、施主自らが家づくりに参加できるよう取り計らってくれることがありますよ。
下記の記事は、住み手と一緒に家づくりをされている設計事務所のインタビュー記事です。気になる方は、あわせてご覧ください。
インタビュー記事:「andfujiizaki一級建築士事務所」
東京都中央区にあるandfujiizaki一級建築士事務所さん。家づくりにおいて、住み手の方々にペンキ塗りなど参加してもらうことが度々あるそうです。家に対して愛着やポジティブな気持ちを持てるよう「住み手と一緒につくる」ということを大切にされています。
建築基準法に関わる部分はプロに任せよう
新築DIYの進め方のイメージが掴めたら、次は「どこをDIYでつくろうか?」と検討することになります。 しかし、新築DIYをする箇所は100%自由に選べるわけではありません。中には、建築基準法の観点から許可を得なければ施工ができない箇所も存在します。 そういった箇所に関しては、無理にDIYをしようとせず、プロにお任せしたほうが良いでしょう。
建築基準法の観点から許可が必要となる箇所は、家そのものの構造に関わる部分です。- 外壁
- 屋根
- 基礎
- 窓
- 躯体(柱、梁など)
上記はいずれも、家そのものの安全面や機能面に関わる箇所です。 こうった箇所の施工はプロにお任せし、DIYを行う箇所は内装や外構などから選ぶようにしましょう。
建築基準法の第6条では、面積が10㎡(約6畳ほど)を超える建築物を建てる際、役所に対して「建築確認申請」を行うことが義務付けられています。 建築確認申請をした結果「確認済証」の交付を受けることができた場合のみ施工を行うことができますが、確認済証の交付を受けるためには、安全面や機能面に関わる様々な項目をクリアする必要があります。
ですから、面積が10㎡を超える建築物(つまり、家そのもの)を建築の素人がDIYによって建てるのは、あまり現実的とは言えません。 一方で、内装(壁紙・床材など)や外構(植栽・芝生など)をはじめ、面積が10㎡を下回る物置や屋根のないウッドデッキなどは、建築物として扱われません。そのため、建築確認申請を行う必要がなく、建築の素人の方でも自由にDIYを行うことができます。
※建築物の定義…「屋根があり、3方以上外周壁や建具で囲われていること」「基礎等で土地に固定されていること」「居住、作業、貯蔵等に利用できる状態にあること」の3つの条件を全てを満たしているもの。
参考 建築基準法 | e-Gov法令検索建築基準法 | e-Gov法令検索新築DIYでできること
次は、新築DIYでできることをご紹介していきます。
先ほどお伝えした通り、特別な許可が不要で、素人が自由に施工できるDIYの箇所は内装と外構がメインです。その中でも、新築DIYの作業としてポピュラーなものをいくつかピックアップしてみました。難しさのレベルやおすすめ度も一覧表に記載してありますので、施工箇所の検討材料にしてください。
作業の名前 | 難しさのレベル | おすすめ度 |
---|---|---|
表札の取り付け | Lv.1 | ★★★ |
無垢床のオイルがけ | Lv.1 | ★★★ |
庭の植栽 | Lv.1 | ★★☆ |
庭の芝生張り | Lv.1 | ★★☆ |
タイル張り | Lv.1 | ★★☆ |
壁の塗装 | Lv.2 | ★☆☆ |
ウッドデッキの施工 | Lv.3 | ★☆☆ |
床材の取り付け | Lv.3 | ★☆☆ |
クロス張り | Lv.3 | ☆☆☆ |
表札の取り付け
DIY初心者の方に一番おすすめなのが、表札の取り付けです。
表札の作成を業者に依頼をすると、およそ1万円~2万円ほどの費用がかかります。しかし、100円ショップやホームセンター、量販店などに売っているタイルや板、カッティングシートを利用すればコストを抑えてオリジナルの表札を作成することが可能です。
また、取り付けは強力な両面テープや接着剤などで行うほか、玄関ドアにフックを取り付けてヒモで掛けることもできます。
表札をDIYで自作した事例です。他にはないオリジナリティがあって、愛着が湧きますね。
取り付け:強力な両面テープ、接着剤、フックとヒモ
無垢床のオイルがけ
他のDIY作業の比較して初心者向けなのが、無垢床のオイル仕上げです。
ちなみに、同じ無垢床でも「ウレタン塗装」で仕上げる場合は大工さんに塗装済みの床板を張ってもらう必要があります。無垢床の仕上げを「オイル塗装」にする方は、ぜひDIYでチャレンジしてみましょう。
無垢床のオイル塗りの様子です。作業自体は比較的簡単ですよ。
画像出典:EcoDecoブログ|DIYでオイル塗ってみた!(床フローリング編)
庭の植栽
植栽は、家そのものに手を加える作業ではないため初心者の方におすすめのDIYです。植木や土のほかに必要な道具もスコップだけなので、手軽に行うことができるでしょう。
植栽を行う場合は、好きな植木、庭用の土、スコップを用意し、お好みの位置に植えていきます。その際、日当たりなどを考慮して位置を決めると良いでしょう。また、大きな木はかなりの重量がありますので、複数人で行うなどの工夫が必要です。
庭の植栽の事例です。大きな植木の植栽は一人では難しいですか、小さな植木なら一人でも出来ますよ。
画像出典:26歳家好き素人が2年掛けて造った注文住宅あれこれ|【庭造り】DIYで安くできる庭の植栽
庭の芝生張り
芝生は比較的簡単にDIYで張ることができますので、ぜひチャレンジしましょう。ただし、真夏や真冬は芝生張りに適さないので控えたほうが良いでしょう。 芝生張りは、芝生を種から蒔いて育てるパターンと既に成長している芝生のシート(ソッド)を敷くパターンがあります。失敗が少ないのは後者です。
庭の芝生張りは、このように行います。適さない季節もあるため、行う時期には注意が必要です。
画像出典:GardenStory|芝生の庭をつくろう! じつは簡単、芝生の張り方&お手入れ
タイル張り
タイル張りはDIYの中でも比較的メジャーな作業ですよ。実際に、キッチン周りなどにご自身でタイルを貼られている方は多くいらっしゃいます。大きな工具などは必要ないので、初心者の方も手が出しやすいDIY作業かと思います。
タイル張りを一度経験しておけば、経年劣化によりタイルが割れた場合の交換などもご自身で行うことができるため、おすすめです。
DIY作業としてメジャーなタイル張り。キッチンや洗面台など水回りへの施工がおすすめです。
画像出典:toolbox|キッチンと洗面にモザイクタイルを貼ってみた!
壁の塗装
壁の塗装はクロスを貼るよりも簡単なので、ご自分で壁を仕上げたいDIY初心者の方にはおすすめのDIYです。
ホームセンターやインターネットなどを利用してお好みの塗料を用意したら、塗料がついて欲しくない部分にマスキングテープを貼って保護します。そして、壁のデコボコを解消する下処理を行ったあとローラーを使用して塗装していきます。2度塗りをするとより美しい仕上がりになりますよ。
壁の塗装は、DIY初心者の方にもおすすめです。ローラーを使って簡単に塗ることができます。
ウッドデッキの施工
ウッドデッキの床を張るためには、下地や支柱、基礎石の固定など多くの工程を要します。かなりの手間がかかるため、DIY初心者の方や時間があまりない方にはおすすめできません。また、ウッドデッキはお子様が遊んだり来客が上がったりする可能性も考えられますから、安全も担保する必要があるでしょう。そのため、専門業者に依頼をするほうが安心です。
ウッドデッキの施工は下準備に多くの工程を必要とするため、DIY初心者の方にはおすすめできません。
画像出典:InNatural|理想のウッドデッキをdiyで!失敗しないポイントは?
床板の取り付け
ポリ塩化ビニルやコルクなどで出来たシート状の床板の場合、比較的簡単な作業なので初心者の方にもおすすめのDIYです。
しかし一般的な木製のフローリングは、必要な工具が多いことに加えまっすぐ張るのにコツや技術を要します。また、はみ出た部分のカットも専用の機械が必要になります。床板の取り付けはプロに任せたほうが無難です。
木製のフローリングなどの取り付けは、専用の工具を必要とします。初心者にはおすすめできません。
クロス(壁紙)張り
クロス張りは、糊(のり)付けが必要か不要かで作業の難易度が変わります。糊付けが必要なクロスの場合、プロは糊付け専用の機械を使用して作業を行います。専用の機械を持っていない素人の場合、糊付け不要のクロスを使用するほうが現実的でしょう。しかし、糊付け不要なクロスの場合はクロス自体の値段が割高なので、大きな節約にはなりません。
また、空気が入ったりつなぎ目の柄が合わなかったりといった失敗が多いことも、素人によるクロス張りの失敗例としてよくあることです。壁の仕上がりは家の見栄えに大きく関わるものなので、プロに任せたほうが良いでしょう。
クロス張りはDIY作業としてメジャーなイメージがありますが、実はとても難易度が高いためおすすめできません。
画像出典:山小屋大家日記|(76)DIYで輸入壁紙を貼って失敗したけど、振り返るとあきらめがついた
新築DIYで失敗や後悔をしないために
新築DIYをめぐっては、下記のような声もあがっています。
新築DIYで失敗した人
新築DIYで失敗した人
新築DIYで失敗した人
新築DIYで、このような失敗や後悔をしないためにはどうすればよいのでしょうか?考えられる対策を確認していきましょう。
かかる費用を計算する
新築DIYを行うためには、当たり前ですが材料費がかかります。専用の工具が必要な場合、それも用意しなければなりません。こういった準備にかかる費用が想定よりも高く、後々後悔する方が多いものです。
また、引き渡し後のDIY費用は住宅ローンに組み込めないことも忘れてはいけません。
新築DIYの目的が家族との思い出づくりや趣味である場合は、費用に対する心配はあまりないかもしれません。しかし、節約が目的の場合は注意が必要です。新築DIYを実際に行うかどうかは、かかる費用を計算してから決めるようにしましょう。
なお、新築DIYに必要な材料や工具は、建築業者向けの通販サイトに一通り揃っています。必要な道具をチェックして費用の概算を出してみましょう。下記の2つのサイトでは会員登録を行うことで一般の方でも購入可能です。
工期を多めに見積もる
新築DIYは、建築施工のプロが行う工事を素人が代わりに行うようなものです。DIYに慣れている方であっても、工事内容や範囲によっては手こずるのも無理はありません。 想定よりも作業が難航した場合、休日返上でDIY作業に追われる可能性も出てきます。「最初は楽しかったけど、なかなか終わらなくてイライラ」という声は、新築DIYにおいてよくあるものです。
新築DIYをご家族にとって良い思い出にするためにも、工期は多めに見積もり余裕を持った計画を立てるようにしましょう。
粗(あら)が出ても良い箇所に行う
手慣れた職人さんと違い、どうしても素人の施工には粗が出る可能性があります。それを「味」と思えるのであれば良いですが、その人の価値観や施工箇所によっては見栄えの悪さを後悔することになります。
DIYを行う際は、あくまでも素人が行ったなりの仕上がりになることを覚悟する必要があります。また、無理をせず難易度の低いものから行うことをオススメします。
まとめ
本記事では、新築DIYの進め方を目的別にご紹介するとともに、おすすめの新築DIY、失敗しないための対策などをご紹介しました。新築DIYについての基本的なことをお分かり頂けたかと思います。
新築DIYをお考えの方は費用や工期などについて十分に検討し、楽しみながら新築DIYを行いましょう。なお、本サイト「コノイエ」では、家づくりにまつわる様々な記事を掲載しております。よろしければ、他の記事もごらんください。