ご結婚やお子様の成長などライフステージの変化に合わせて、憧れのマイホームを持とうとお考えになる方は多いと思います。
新築の購入を検討し始めた時に、最初に気になるのは費用に関することですよね。
「新築を建てたいけど、いくら用意すれば良いのか見当もつかない」
「どのくらいの費用で、どのくらいこだわった家を建てられるのか知りたい」
「今の自分の収入で家を建てられるのか不安」
新築の購入費用に関しては、様々な不安や疑問の声が挙がっています。
本記事では、家そのものの購入費用以外にどんな費用を用意すれば良いのかを明らかにし、総額でいくら用意すれば良いのかを解説します。 また、地域ごとに異なる新築の購入価格の平均値や、価格帯ごとにどんな家が建てられるのかについてもご紹介していきます。
新築の購入費用をどのくらい用意すれば良いのかお悩みの方は、本記事をご参考になさってください。
新築の購入費用の内訳
新築の購入は、多くの方にとって一生に一度の大きな買い物です。
ご予算の設定は慎重に行う必要がありますが、そもそも新築の購入費用はどのような項目から構成されているのか、ご存知でない方も多いと思います。 まずは、新築の購入費用にはどのような項目が含まれているのか、内訳を解説していきます。
家そのものの購入費用は全体の7割
新築の購入は家そのものの購入費用だけでなく、その他の費用がかかることをご存知でしょうか?
実は、新築の購入費用の総額のうち、家そのものの購入費用はおよそ7割と言われています。つまり、その他の費用は3割もかかるのです。
例えば、3,000万円の物件を購入する場合は、家そのものの購入費用が2,100万円、その他の費用に900万円かかることになります。 その他の費用は、決して安い金額ではありません。
新築の購入費用の総額は家の購入費用のみだと思っていた方は、その他の費用についても必ず頭に入れておきましょう。
また、3割かかるその他の費用の内訳としては、付帯工事費が2割、諸費用が1割と言われています。 その他の費用にはどのような項目が含まれているのか、詳しくご紹介していきます。
付帯工事費
付帯工事費は、建物そのもの以外の工事にかかる費用のことを指します。
一般的に考えられる付帯工事の内容として挙げられる一例は、下記の通りです。
- 電気、水道、ガスなどの「ライフライン整備」
- 工事中に発生した「産業廃棄物の処分」
- もともと建っている物件の「解体工事」
- 門扉、カーポート、塀などの「外構工事」
付帯工事の具体的な内容は人によって異なりますが、新築の購入費用の総額に対しておよそ2割かかると言われています。 つまり、3,000万円の新築を購入する場合には、およそ600万円の付帯工事費がかかります。
かなり大きな金額になりますので、新築購入の予算を検討する際は付帯工事費についても必ず頭に入れておきましょう。
諸費用
諸費用は、新築の購入に関わる税金や各種手続きにかかる費用のことを指します。 諸費用は、新築購入の総額に対しておよそ1割が目安となるので、3,000万円の新築を購入する際にはおよそ300万円がかかります。
また、諸費用は住宅ローンに含まれず、現金で支払いをする必要があります。 まとまった現金が必要になりますので、予め備えておきましょう。
諸費用の一部をご紹介しますので、どのような費用がかかるのかご参考にしてください。
印紙税
印紙税とは、一定以上の経済取引に課せられる税金のことで、いわゆる収入印紙代のことです。 新築の購入は数千万円以上の経済取引が行われますので、印紙税が課せられます。
登録免許税
不動産を取得した際には、不動産が自分のものであることを法務局の登記簿に記録する必要があります。 登録免許税は、不動産を登記する際に課せられる税です。
司法書士報酬
上記でご説明した登記は、司法書士に代行してもらうのが一般的です。 司法書士に支払う手数料を司法書士報酬と言います。
融資事務手数料
多くの方が、新築の購入時には住宅ローンを組んで分割払いをします。 住宅ローン契約時には、金融機関に支払う手数料が発生します。
火災・地震保険料
火災保険および地震保険の保険料です。 住宅ローンを組んだ場合、多くの金融機関で加入が義務化されています。
地鎮祭・上棟式費用
地鎮祭や上棟式など、家を建てる場合にはいくつかの式典・祭典が執り行われる場合があります。
これらの諸費用は一例であり、物件の種類や購入時のケースによって様々な諸費用が発生します。 新築の購入で必要な諸費用について詳しくまとめられた記事がありますので、合せてご覧ください。
全体の予算配分に注意
家そのものの購入費用にかける予算を設定する際は、その他の費用を差し引いて検討する必要があります。 下記の表は、家そのものの購入費用にかけられる予算と、その他の費用をどのくらい用意すれば良いのかを、総予算ごとに示したものです。
家の購入費用(7割) | その他の費用(3割) | |
---|---|---|
2,500万円 | 1,750万円 | 750万円 |
3,000万円 | 2,100万円 | 900万円 |
3,500万円 | 2,450万円 | 1,050万円 |
4,000万円 | 2,800万円 | 1,200万円 |
4,500万円 | 3,150万円 | 1,350万円 |
5,000万円 | 3,500万円 | 1,500万円 |
5,500万円 | 3,850万円 | 1,650万円 |
6,000万円 | 4,200万円 | 1,800万円 |
6,500万円 | 4,550万円 | 1,950万円 |
7,000万円 | 4,900万円 | 2,100万円 |
その他の費用に占める金額が、想像以上に多いと感じた人も多いのではないでしょうか。 ご自身の収入と照らし合わせながらどのくらいの総予算を設定できそうか検討し、その他の費用を考慮した上で、家そのものにかける費用を決めましょう。
次は、家そのものの購入費用について解説していきます。
建売住宅を購入する場合の費用について
新築の購入には、新築と土地をセットで購入する『建売住宅』と、新築と土地を別々で購入する『注文住宅』の2パターンがあります。
建売住宅は、既に完成している新築や間もなく完成予定の新築を、土地代込みの値段で購入します。
建売住宅を購入する際には、どのくらいの費用がかかるのか解説していきます。
建売住宅の購入費用は地域ごとに差がある
下記の表は、2019年に首都圏で購入された建売住宅の購入価格帯の割合です。
建売住宅を購入された方々の中で最も多かった購入価格帯は「3,000~3,500万円未満」で16%となっています。 しかし「2,500万円未満」は14.9%、「3,500~4,000万円未満」は13.6%と、最も多い価格帯との大きな開きはありません。
つまり、建売住宅を購入されている方々のほとんどが「2,500万円未満~4,000万円」を新築購入の予算とされていることが分かります。
2,500万円未満 | 14.9% |
---|---|
2,500~3,000万円未満 | 15.0% |
3,000~3,500万円未満 | 16.0% |
3,500~4,000万円未満 | 13.6% |
4,000~4,500万円未満 | 10.4% |
4,500~5,000万円未満 | 9.1% |
5,000~6,000万円未満 | 11.6% |
6,000万円以上 | 7.2% |
また、建売住宅は販売価格に土地代が含まれているため、地域による金額の差が大きいことも特徴です。 下記の表には、地域ごとの購入平均価格を示してあります。
各地域の平均購入価格は3,902万円となっています。しかし、東京23区が5,710万円と高額であるのに対して千葉県では3,047万円と、2,663万円もの差があります。
東京23区 | 5,710万円 |
---|---|
東京23区外 | 4,287万円 |
神奈川県 | 3,831万円 |
埼玉県 | 3,067万円 |
千葉県 | 3,047万円 |
茨城県 | 3,622万円 |
平均 | 3,902万円 |
引用:株式会社リクルート住まいカンパニー|~2019年首都圏新築分譲一戸建て契約者動向調査~
建売住宅は土地代が含まれて新築の購入価格が付けられているため、お住まいになる地域によって購入価格は大きく異なります。
建売住宅は家づくりやプランを規格化することで家そのものにかかるコストを抑えていることが特徴でもあるため、家そのものの性能には大差がありません。 ですから、建売住宅の購入価格を調整する際は、購入する地域から検討することも有効な手段と言えます。
注文住宅を建てる場合の費用について
注文住宅の場合は、土地と建物を別々で購入します。
つまり、注文住宅を建てる際の費用は土地代と建築費用の合計となります。
もともと土地を所有している場合は土地の購入費用はかからず、建築費用のみがかかります。 注文住宅を建てる際にはどのくらいの費用がかかるのか、建築費用と土地代についてそれぞれ解説していきます。
建築費用の平均
下記の表は、2019年に首都圏で建てられた注文住宅の建築費用の価格帯ごとの割合です。 最も多い建築費の価格帯は「2,000~2,500万円未満」で22.3%となっており、次いで多い「3,000~3,500万円未満」の14.7%や、「2,500~3,000万円未満」の13.1%と大きく開きがあります。
注文住宅を建てる方々の多くは、家そのものの建築費用に「2,000~2,500万円未満」をかけていることが分かります。
1,500万円未満 | 10.7% |
---|---|
1,500~2,000万円未満 | 9.9% |
2,000~2,500万円未満 | 22.3% |
2,500~3,000万円未満 | 13.1% |
3,000~3,500万円未満 | 14.7% |
3,500~4,000万円未満 | 8.6% |
4,000~4,500万円未満 | 7.6% |
4,500~5,000万円未満 | 2.6% |
5,000万円以上 | 10.5% |
引用:株式会社リクルート住まいカンパニー|2019年注文住宅動向・トレンド調査
首都圏における土地代の平均
注文住宅を建てる際の総費用を大きく左右するのが、土地代です。 下記の表は、首都圏の地域ごとの土地の坪単価の平均価格です。
建売住宅と同様に、土地の価格は地域ごとに大きく異なることが分かります。
東京都 | 343万0,199円/坪 |
---|---|
神奈川県 | 91万5,259円/坪 |
埼玉県 | 47万1,353円/坪 |
千葉県 | 33万7,047円/坪 |
茨城県 | 12万2,867円/坪 |
東京都は突出して高額なため、都内に注文住宅を建てる場合は新築の建築費用を土地代が上回る可能性もあります。 ただし、東京都内でもエリアによって土地代は大きく異なります。
ご自身がお住まいになる地域の選定は、ご予算と利便性のバランスを考え慎重に行いましょう。
いくらの予算で、どんな家が建つか?
注文住宅の場合、設定しているご予算によって建つ家の内容が異なります。
一般的には、建売住宅にはないこだわりを実現するために注文住宅を建てるケースがほとんどです。
しかし、建売住宅よりも安く家を手に入れたい場合に、ローコスト住宅を得意としているハウスメーカーに依頼をするなど建築費用を大幅に抑えることで、総費用を建売住宅よりも安くできるケースもあります。
いくらでどのくらいの家が建つのかご紹介していきます。
【1,000万円台】コストを抑えたシンプルな家
1,000万円台の家はローコスト住宅と呼ばれ、材料費を抑えたり複雑な間取りを避けることで実現する家です。
ローコスト住宅の場合、高価な自然素材などは使用できず、安価な合板や集成材などを使用するケースが多いです。 間取りに関しても、中庭がある家やコの字型の間取りは、施工の手間がかかったり壁の表面積が多くなるため、凹凸の少ない正方形や長方形のシンプルな形になります。
家づくりにおけるこだわりがなく、とにかくコストを抑えたい方に適した価格帯と言えるでしょう。
【2,000万円台】コスト配分によってこだわりを叶える家
2,000万円台は、お金をかける部分とかけない部分のメリハリをつけることで、一部のこだわりを叶えることが可能な価格帯です。
例えば、材料の一部に無垢材や漆喰を使うために、間取りをシンプルにしたり設備のグレードを下げるなど、ご自身のこだわりたい部分に予算を集中させることが可能です。
ただし、こだわりを詰め込みすぎると予算オーバーしてしまうため、こだわりたい部分と妥協点を吟味する必要があります。 家づくりに強いこだわりのある方にとっては物足りなさがあるかと思いますが、建売住宅では実現できないこだわりを一部だけでも取り入れられる価格帯と言えるでしょう。
【3,000万円台】多くの希望が適う家
3,000万円台は、注文住宅らしいこだわりを取り込める価格帯です。
平均よりもグレードの高い設備を導入したり、材料に無垢材や漆喰などの自然素材を使用することも可能です。逆に言えば、材料や間取りにそれなりのこだわりを盛り込んだ注文住宅を建てたいならば、3,000万円ほどの費用がかかると考えておく必要があると言えるでしょう。
ただし、3,000万円台では全ての要望を叶えることは難しい場合も多く、部屋によって床材を変更するなどコスト調整が必要になる場面もあるかもしれません。
【4,000万円台】強めのこだわりを叶えるにも十分な予算
4,000万円台は、一般的な30坪~40坪ほどの家を建てるならば、あらゆるこだわりを叶えることが可能な価格帯です。 凹凸の多い複雑な間取りにしたり、全ての部屋に自然素材を使用するなど、予算を気にすることなくこだわりを盛り込むことが可能です。
注文住宅の場合は、新築にかかる総額のうち建築費用と土地代を分けて考えることが可能なため、
「都内に住むことを優先したいので、土地代が高いぶん建築費用を抑えたい」
「広くて高級感のあるこだわりの家に住みたいので、土地代の安い地方に引っ越そう」
といった、ご自身の価値観に沿った予算立てが可能です。
新築費用の総額や費用の内訳、購入価格の平均値ついてのまとめ
新築を購入する際は、家そのものの購入費用がおよそ7割かかる以外に、その他の費用が3割かかります。
どんな家に住もうか検討する際は、総額からその他の費用を差し引いた予算が、家そのものにかけられる予算となることを念頭におくようにしましょう。
また、建売住宅も注文住宅も共に、土地代によって総額が左右されます。 予算オーバーの可能性がある場合は、居住地について再検討することで予算内に納めることも可能です。
ご自身やご家族の理想の暮らしに最も近い家に住むことが出来るよう、予算立てや居住地について今一度考えてみましょう。