この記事では、シックハウス症候群を引き起こす要因の1つである「化学物質」の基本的な知識を解説したうえで、「素材選び」の点から専門家の意見をもとにシックハウスを予防する方法について紹介していきたいと思います。
田中さん
シックハウス症候群とは?
スタッフ
田中さん
スタッフ
田中さん
環境を離れると症状が軽くなったり、消えたりするケースがありますが、発症するメカニズムはまだ分かっていません。
なお、シックハウス症候群は重症化すると「化学物質過敏症(かがくぶっしつかびんしょう)」といった重い症状を引き起こしてしまう場合があります。 化学物質過敏症になってしまうと、洗剤やアルコールといった日常的によく使われる化学物質にも反応してしまったり、ごく少量でも症状が出てしまったりするので対策が難しくなります。くれぐれも発症する“前”に”対策をしましょう。
参考 シックハウス対策のページシックハウス対策のページシックハウスの原因となる化学物質
スタッフ
田中さん
「シックハウス法※」により現在使用が制限されている化学物質は、ホルムアルデヒドとクロルピリホスの2種類のみです。人体に影響が懸念されている化学物質は他にもありますが、いずれも一部制限されているだけで建材への使用は禁止されていません。 ※2003年に国土交通省より「建築基準法」に整備された法律
参考 建築:建築基準法に基づくシックハウス対策について - 国土交通省建築:建築基準法に基づくシックハウス対策について - 国土交通省さまざまな建材に使われている化学物質
スタッフ
田中さん
田中さん
合板の断面。 年輪の異なる複数の木がボンドで貼り合わさって出来ているのが分かります。
「合板」は、フローリングや壁面といった見えるところだけでなく、下地や構造などにも使われるため、化学物質の取り扱いに気をつけている工務店さんであっても、建材の一部に化学物質が含まれている場合があります。
気密性の高い家は要注意
田中さん
スタッフ
2003年には「建築基準法」により、新築する全ての建物に24時間体制で換気が出来る設備の導入が義務付けられました。
厚生労働省が発表したデータからは、翌年以降のシックハウスに関連する相談件数が減少したことが分かり、住環境を整えることでシックハウス症候群のリスクを抑えられるという事実が明らかになりました。
データ参考:科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル(改訂新版)|厚生労働省
スタッフ
田中さん
リフォームなどの前に、工務店や設計者と十分な話し合いを行い、自分の希望をしっかり伝えて材料選びを行うことが大切です。
「自然素材」を使った住宅建材
スタッフ
田中さん
化学物質を含む施工例 | 天然由来の建材による施工例 | |
---|---|---|
木材 | 集成材、合板 | 無垢材 |
壁材 | ビニールクロス | ホタテの貝殻が原料の塗り壁 |
下地材 | シーラー処理 | 「でんぷん」を含む自然素材 |
シロアリ対策 | 農薬系の駆除剤 | ほう酸 |
ホタテの貝殻を主成分にした塗り壁。樹脂系の建材が含まれていないのでホルムアルデヒドの影響を受ける心配がありません。
田中さん
無垢の表面はコーティング加工がされていないので、さらっとした独特な触り心地が特徴です。蓄熱性が高く床材としても人気があります。
無垢をふんだんに使ったお家の施工例。
無垢を使って建てるお家は、木が持っている本来の魅力が活かせるのも大きな特徴です。 例えば、建材になった無垢材から出る「フィトンチッド」という成分には森林浴の効果があり、防虫効果やリラックス効果、睡眠の質向上といった人に有益な作用があることが分かっています。
参考 フィトンチッドについておしえてください。:農林水産省フィトンチッドについておしえてください。:農林水産省無垢材の表面には「空隙(くうげき)」と呼ばれる隙間があり、水分を吸収・放出する働きがあります。そのため、室内の湿度がある程度一定に保たれるので、「カビ」や「ダニ」などの発生を抑える効果があるといわれています。
無垢材の表面の拡大写真。
新築に「自然素材」を使うデメリット
スタッフ
田中さん
- 価格が高くなる傾向がある
- 無垢材は表面にキズがつきやすい
スタッフ
田中さん
田中さん
スタッフ
価格を抑える方法の1つとして、「無垢材を仕入れる流通ルートの改善がある」と指摘する田中さん。
従来の方法では、産地から製品になって市場に届くまでの間に、多額の「中間マージン」が発生しているのが現状です。 しかも、この方法では「森」に還元される利益が少なくなり、山の管理や経営維持が難しくなってしまう恐れがあるといいます。
そこで、田中さんは山から直接仕入れをすることで中間マージンを削減して、森に還元されるお金を増やすといった取り組みを行っているそうです。
新築のシックハウス対策についてのまとめ
スタッフ
田中さん
この記事は、国産の無垢材を使い、「自然素材の家」を提供されている「株式会社天然住宅」の田中さんにご協力をいただいて作成しました。
新築に使う大黒柱を建主さんご自身で切り出してもらう無垢材の伐採体験の様子。
「価格を抑えた自然素材の家をもっと多くの方に広めたい」という思いで設立された「株式会社天然住宅」さんでは、森を守りつつ、住む人が健康に、そして長持ちする家を探求されています。興味がある方は、ぜひ問い合わせてみてください。
日本の国土の約68%は森林が占めています。しかし、その多くは人の手が入らなくなって放置されている森です。こうした森は土壌が育っておらず、最悪の場合、大雨や地震などの災害で土砂崩れが発生してしまう恐れがあります。 ところが、安く家を建てるためには安価な集成材を使わざるを得ません。集成材の原料となる木材の半分以上は海外からの輸入に頼っているのが現状です。
スタッフ
会社名 | 株式会社天然住宅 |
---|---|
代表者名 | 田中 竜二 |
住所 | 〒188-0001 東京都西東京市谷戸町3-26-6 加藤ビル5F |
電話番号 | 042-439-6262 |
公式HP | https://tennen.org/ |
営業時間 | 10時〜18時 定休日:土・日・祝(打ち合わせは可) |
主な業務 | 住宅・一般建築の設計・施工監理 |
対応エリア | 設計:全国 施工:東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県 |