「いま住んでいる家が古くなってきた」「両親が暮らしていた実家を相続した」「中古住宅つきの土地を購入した」 このような理由から、老朽化したお家を新築に建て替えたいとお悩みの方はいらっしゃるかと思います。
しかし、初めての建て替えにおいては、色々と分からないことばかりですよね。
そこで本記事では、新築への建て替えを検討中の方に役立つ情報を、下記の3項目にまとめました。
古くなったお家を新築に建て替えたいとお悩みの方は、ぜひ本記事を参考になさってください。
建て替えとリフォーム、どちらがいいのか?
老朽化したお家を新しくするための代表的な手段には、「建て替え」以外にも「リフォーム」という選択肢があります。 このうち、どちらを選択すべきかは場合によって異なり、一概にどちらが良いとは言い切れません。
既存の建物の状態、希望する仕上がり、かかる費用などを総合的に見たときに、建て替えてしまったほうがいい場合もあれば、リフォームのほうが結果的に満足感を得られる場合もあるのです。
「新築」「建て替え」「リフォーム」の違い
建て替えをした後で「やっぱり、リフォームにしておけばよかった…」と後悔をしないためには、建て替えとリフォームの違いをしっかり把握することが大切です。
建て替えとリフォームは、どちらも老朽化したお家を新しくすることを目的とした工事です。しかし、工事内容が大きく異なるため、費用相場や工事期間に違いが現れます。
下の表は、「新築」「建て替え」「リフォーム」それぞれの概要です。
新築 | 建て替え | リフォーム | |
---|---|---|---|
工事内容 | ・土地を探す ・その後、新築を建てる | ・既存の家屋を解体する ・その後、新築を建てる | ・既存の家屋を改築する |
工事開始時の状況 | ・土地探しから | ・既存の家屋がある | ・既存の家屋がある |
工事の自由度 | ・自由度が高い (プランによる) | ・自由度が高い (プランによる) | ・既存の家屋の影響を受ける |
費用相場 | ・3,000~6,000万円程度 (土地代+新築費用) | ・2,000~4,000万円程度 (解体費用+新築費用) | ・1,000~2,000万円程度 (改築費用のみ) |
工事期間 | ・1年程度 (土地探し+新築工事) | ・半年程度 (解体工事+新築工事) | ・1~3ヶ月程度 (改築工事のみ) |
新築、建て替え、リフォームでは、上記のように費用相場や工事期間に差が出ます。
それぞれの概要が確認できたところで、建て替えとリフォームのメリット・デメリットを確認していきましょう。
「建て替え」のメリット・デメリット
建て替えのメリット・デメリットは、下記の通りです。
【メリット】最新の耐震設備や断熱性能などを取り入れることができる
【メリット】基礎や構造体から新しくなるので、家の寿命がリセットされる
【デメリット】引越しが発生するため、仮住まい家賃が掛かる
【デメリット】リフォームよりも、コスト高になるケースが多い
【デメリット】リフォームと比べて、工期が長くなるケースが多い
新築への建て替えは、主に費用面でのデメリットが多く挙げられます。
しかし、既存の家屋を取り壊して新たに家をたてるため、新築ならではのメリットが多いことが分かります。
「リフォーム」のメリット・デメリット
リフォームのメリット・デメリットは、下記の通りです。
【メリット】必要な箇所だけ改築すればいいので、予算管理がしやすい
【メリット】建て替えと比べて、工期が短くなるケースが多い
【デメリット】既存の家屋を活かすため、希望の間取りにならないことがある
【デメリット】あくまでも改築なので、家の寿命が大幅に伸びるわけではない
【デメリット】大規模なリフォームの場合、想定よりも費用が掛かるケースがある
既存の家屋のリフォームは、コストパフォーマンスの高さがメリットです。しかし、基礎や構造体はそのままであるため、家の真新しさは建て替えに劣ります。
新築に建て替えをするときの流れ
新築への建て替えが現実味をおびてきたとき、多くの方は「施主は何をすればいいの?」と疑問に感じるかと思います。
そこでまずは、建て替えの流れを把握し、具体的な行動のイメージを掴みましょう。新築への建て替えの大まかな流れは、下記の通りです。
- 「新築の依頼先の選定」→「設計プランの決定」→「契約」
- 「建て替えローンの審査」→「申し込み」
- 「仮住まい探し」→「引越し」
- 「解体業者探し」→「解体工事」
- 「地盤調査」→「地盤改良」
- 「新築工事」→「引き渡し」→「引越し」
なお、建て替えをするときは複数の行程が同時に行われることもあります。また、順番が前後する場合もあります。それぞれの行程について、詳しく確認していきましょう。
1.「新築の依頼先の選定」→「設計プランの決定」→「契約」
まずは、新しく建てるお家の依頼先を選定します。新築の依頼先は主に「ハウスメーカー」「工務店・ハウスビルダー」「建築家・設計事務所」の3種類があります。
依頼先を選定する際、ハウスメーカーの場合は資料請求やモデルハウスの見学をし、工務店や設計事務所の場合はメールや電話でアポイントを取り、家づくりの相談に乗ってもらうのが一般的です。
依頼先が決まったら設計プランを決定し、「工事請負契約書」を交わすことで契約が完了します。
なお、当サイト『コノイエ』では、家づくりの専門家のインタビュー記事を多数掲載しております。よろしければ、依頼先の選定や設計プランの決定にお役立てください。
「工務店・ハウスビルダー」のインタビュー記事はこちら 「建築家・設計事務所」のインタビュー記事はこちら2.「建て替えローンの審査」→「申し込み」
次は、ローンの審査と申し込みを行います。このとき、住宅ローンの残債が残っていなければ、また新たに「住宅ローン」を組むことが可能です。
しかし、住宅ローンの残債が残っている場合は新たに住宅ローンを組むことができないため「建て替えローン」を組むのが一般的です。建て替えローンとは、住宅ローンの残債に新築の建築費用を加えた金額の融資を新たに組み直せるローンです。
また、二世帯住宅で建て替えローンを組む場合は「親子ローン」を組むこともできます。親子ローンには、親から子へ返済義務を引き継げる「親子リレーローン」と、1つの住宅に対して親子それぞれがローンを組める「親子ペアローン」の2種類があります。
ただし、建て替えローンの融資を受けられるのは審査基準をクリアできた場合に限ります。建て替えローンの審査基準に関してまとめられた記事がありますので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
3.「仮住まい探し」→「引越し」
建て替え期間中は仮住まいで暮らすことになるため、仮住まい探しを行う必要があります。
ただし、およそ半年程度しか暮らすことのない仮住まい探しにおいては、様々な条件の厳しさがつきまとうため、なかなか条件に合う物件が見つからないことがあります。
仮住まいを見つけるための方法についてくわしくまとめられた記事がありますので、心配な方はこちらの記事をお役立てください。
無事に仮住まいが見つかったら、引越しをしましょう。
4.「解体業者探し」→「解体工事」
次は、解体業者探しを行います。具体的には、解体業者から見積りを取り、工事の日取りを決め、契約を行うという流れです。解体工事が始まったら、およそ2週間で完工します。
なお、解体業者によって解体費用は大きく異なるため、解体業者を探す際は複数の業者から相見積りを取るのがおすすめです。
解体費用の総額を確認するなら
解体費用の総額を把握するためには、付帯工事費を明らかにする必要があります。しかし、付帯工事費は、付帯工事内容だけではなく取り壊す建物や立地状況によって価格も変動します。例えば、建物が密集していて重機の進入ができない場合、手壊しで解体する人件費用が見積りに加算されます。そのため、明確な解体費用は現地を測量して算出しなければなりません。
私たち一般社団法人あんしん解体業者認定協会が運営する「解体無料見積ガイド」では、お施主様が最適な解体業者を選べるよう、7万5千件以上の解体実績データを元に現場所在地・立地条件・解体時期から厳選した6社を完全無料でご紹介しております。解体業界の透明化を目指し、お施主様と優良な解体業者様が適切に出会えるよう、生まれたサービスです。補助金申請等のご相談も歓迎しておりますので、どうぞお気軽にご連絡ください。
5.「地盤調査」→「地盤改良工事」
解体工事が終わったら、次は地盤調査を行います。地盤調査とは、その土地が安全にお家を建てられる地盤であるかどうかの調査です。 地盤調査を行う際は、一般的に新築の依頼先にお任せすることになります。または、ご自身で専門業者に依頼することも可能です。 なお、判定の結果によっては地盤改良工事が必要になることがあります。地盤改良工事が必要になった場合、1~3日の工期が発生します。
6.「新築工事」→「引き渡し」→「引越し」
新築工事が始まったら、完工するのを待ちます。 無事にお家が出来上がったら引き渡しを受け、仮住まいから新築に引越しをします。
建て替えで注意したほうがいい7つのポイント
建て替えを行う際は、いくつかの注意点があります。 建て替えで注意したほうがいい7つのポイントは、下記の通りです。
- 【建築基準法】「再建築不可物件」に該当しないか確認しよう
- 【固定資産税】建て替えをすると税額が上がるケースがある
- 【補助金】適用となる補助金があるか確認しよう
- 【登記】建て替え時に必要な登記は全部で4つ
- 【近隣トラブル】挨拶なしでの建て替えには要注意
- 【地鎮祭】施主負担が少なく手軽に行える
ぞれぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。
【建築基準法】「再建築不可物件」に該当しないか確認しよう
建て替えをする場合、建て替え予定地が「再建築不可物件」に該当しないかを確認する必要があります。
再建築不可物件とは、いま建っている建物を解体した後に新しく建築できない土地のことです。具体的には「4メートル以上の幅員を持つ道路に、2メートル以上の間口で接道していない土地に建つ建物」のことを指します。
もしも建て替え予定地が再建築不可物件だった場合、敷地の一部を道路扱いにする「セットバック」と呼ばれる手段を使うことで、建て替えができる可能性があります。
セットバックについては下記の記事に詳しくまとめられていますので、気になる方は参考になさってください。
【固定資産税】建て替えをすると税額が上がるケースがある
土地に課せられる固定資産税は、住宅用地である場合に限り「住宅用地特例」が適用され軽減措置が受けられます。
しかし、固定資産税の基準日である1月1日の時点で家屋が未完成の場合、住宅用地としてみなされず住宅用地特例が適用されない可能性があります。
ただし、住宅用地特例が適用されない場合であっても、いくつかの要件を満たした場合「建て替え特例」が適用となる場合があります。建て替え特例が適用されれば、1月1日の時点で家屋が未完成の場合であっても、住宅用地としてみなされる可能性があります。
建て替え特例の要件について詳しくまとめられた記事がありますので、不安な方はこちらの記事をあわせてご確認ください。
【補助金】適用となる補助金があるか確認しよう
新築を建てる際は、国や市区町村から補助金・助成金が降りるケースがあります。
新築時に申請できる補助金・助成金には「すまい給付金」「ZEH(ゼッチ)補助金制度」「地域型住宅グリーン化事業補助金」「各自治体の補助金」の4種類があります。
こちらの記事に補助金・助成金に関する詳しい情報がまとめてありますので、ご自身が申請できる補助金・助成金があるかどうか、ぜひ確認してみてください。
【登記】建て替え時に必要な登記は全部で4つ
建て替え時に必要な登記は「建物滅失登記」「建物表題登記」「所有権保存登記」「抵当権設定登記」の4種類です。
これらの登記は専門家に代行してもらうのが一般的で、代行してもらった場合は1つ1つの登記に手数料がかかります。
なお、手数料の目安と登記するタイミングは下記の通りです。
手数料の目安 | 登記のタイミング | |
---|---|---|
建物滅失登記 | 4~5万円 | 既存の家屋の解体後 |
建物表題登記 | 8~9万円 | 新築の完成後 |
所有権保存登記 | 2~3万円 | 住宅ローンを組む前 |
抵当権設定登記 | 3~5万円 | 住宅ローンを組むとき |
合計 | 17~23万円 |
【近隣トラブル】挨拶なしでの建て替えには要注意
建て替えに伴う解体工事と新築工事では、騒音の発生や粉塵の飛散などにより、近隣住人に多大なるご迷惑が掛かるものです。
そこで最近では、多くの施工会社が「ご迷惑に対するお詫び」「ご理解・ご協力への感謝」「工事に関する情報の提供」といった目的のため、近隣住人に対する挨拶回りを積極的に行っています。しかし、施主からの挨拶を期待している近隣住人も中にはいるので、施主も挨拶回りに同行することをおすすめします。
こちらの記事には近隣住人への挨拶についてまとめられていますので、施工会社の挨拶回りに同行する際はぜひ参考になさってください。
【地鎮祭】施主負担が少なく手軽に行える
地鎮祭は「土地の神様から土地利用の許しを頂く」「工事の無事を祈る」「新しい家で暮らす家族の繁栄を祈る」といった目的のために、新築を建てる際に行う儀式です。
なお、地鎮祭を行うかどうかは任意で、行わないからと言って工事の品質が劣るわけでもありません。しかし、地鎮祭に必要な費用や準備の施主負担は想像以上に少ないので、建て替えの思い出づくりのためにと気軽に行うご家庭もあるようです。
地鎮祭についての詳細はこちらの記事にまとめてありますので、興味のある方はあわせてご覧ください。
まとめ
本記事では、新築への建て替えを検討中の方に役立つ情報を、下記の3項目にまとめてご紹介いたしました。
老朽化した家屋の状態や新しいお家に望むことは、人それぞれ異なります。思い切って新築に建て替えてしまったほうがいい場合もあれば、リフォームで事足りるケースもあるでしょう。
いずれにせよ高額な費用が掛かる人生のビッグイベントですから、ご家族でよく検討し後悔のない選択をしてくださいね。
なお、建て替えに伴う解体工事では、複数の業者から相見積りを取ることをおすすめします。
当協会『あんしん解体業者認定協会』は、解体業者探しのプロフェッショナルです。解体業者探しでお困りの際は、ぜひ当協会が運営する「解体無料見積ガイド」をご活用ください。