“3回建てなければ理想の家にならない”という言葉を知っていますか?
実は、念願のマイホームを建てた人の中には「想像していたより狭かった」「実際に住んでみたら昼間でも薄暗かった」など、様々な理由で後悔を残している人がたくさんいるんです。
しかし、ほとんどの人にとって家を買うことは、一生に一度あるかないかという大きな買い物です。せっかく家を建てるのなら、もちろん1回で満足のいく家にしたいですよね。
そこでこの記事では、新築一戸建てを建てる上でのよくある失敗例やその対策方法、また家造りで後悔しないためにやるべきことについてご紹介します。
家を新築したいと考えている方は、ぜひ参考になさってください。
間取りの失敗例と対策
まずは「LDK」「寝室」「水回り」のそれぞれのスペースごとに、新築の間取りでよくある失敗例と対策方法をご紹介します。
LDK
最初にご紹介するのはリビング・ダイニング・キッチンの失敗例です。
LDKは、家族が多くの時間を過ごすことになる、家の中心部分です。そのため、新築で失敗したときのショックは計り知れません。
「何となく格好いいから」「何となくこういうものだから」で間取りを決めず、しっかり自分たち家族の生活スタイルに合ったLDKにしましょう。
家を建てた人
明るく開放的な雰囲気にしたくてリビングを吹き抜けにしたのだけど、エアコンの効きが悪くて光熱費が高くなってしまいました。
それに、窓が高い位置にあるので掃除も大変です。
スタッフ
天井にシーリングファンを設置しましょう。温かい空気は上に、冷たい空気は下に集まる性質があります。シーリングファンを回して空気を循環させれば、効率よくリビングを暖かくしたり涼しくしたりできます。
また、高い位置にある窓やシーリングファンは、柄を長く伸ばせるタイプのワイパーやモップを使えば簡単に掃除できますよ。ただ、それでも届かない場合は、専門業者に定期的に掃除を依頼する必要があります。
リビングを吹き抜けにしたい方は「光熱費が高くなる可能性があること」「メンテナンスが大変なこと」を知っておいたほうがいいですね。
家を建てた人
新居に住み始めた当初は、今までの家で使っていたダイニングテーブルをそのまま使用していたのですが、しばらくして新居にぴったりのダイニングテーブルを購入しました。
でも、いざ部屋に入れてみると、もとのダイニングテーブルにあわせて設置していたペンダントライトの位置と、新しいダイニングテーブルの大きさが合わなくて、照明の位置が中心から微妙にズレているんです…。座る位置によって手元の明るさが違うので、すごく気になってしまいます。
スタッフ
レール(ダクトレール)のついているペンダントライトであれば、照明の位置を自在に動かすことができます。ダクトレールがついていない場合は、天井にフックを取り付けて位置を調整するようなアイテムも売っています。ですが、見た目は少し不自然になってしまいます。
やはり、実際の家具を使って間取りをシミュレーションすることが大切ですね。

ダクトレールのついたペンダントライト
家を建てた人
オシャレで開放的な雰囲気に憧れて、アイランドキッチンにしました。
でも、キッチンで発生した臭いは部屋中に広がってしまうし、調理中の汚れもキッチンの外に飛び散ってしまうので、普通のキッチンのほうが使い勝手がよかったかもしれません。
それに、キッチン全体が周りから丸見えなので、常に整理整頓しておかなければならず気を遣います…。
スタッフ
臭い問題に関しては、しっかり臭いや煙を吸収してくれるような換気扇を選んだり、消臭機能がある壁材を使ったりすることである程度対策できます。
また、汚れ対策には、ガラス製の「油はねガード」を使うといいでしょう。透明なガラスであれば、アイランドキッチンの開放感を損なうこともありません。
また、アイランドキッチンを整理整頓しやすくするためには、まずキッチンそのものに出来るだけ多くの収納スペースを確保しておくことが重要です。また、食品や調理器具をストックしておけるパントリーを設置するのもいいですね。
アイランドキッチンは普通のキッチンに比べて高価なので、メリットだけでなくデメリットも考慮した上で取り入れるかどうか決めましょう。

周りに囲いのないアイランドキッチン
寝室
次に、寝室の失敗例をご紹介します。
「どうせ寝るだけだから」と思って何となく間取りを決めたりせずに、1日の疲れがしっかり取れるような寝室を目指しましょう。
家を建てた人
寝室の東側に窓があるので、朝日が眩しくて夏は早朝に目が覚めてしまいます。せっかく素敵なオーダーカーテンにしたけど、遮光カーテンを買い直そうと思っています…。
家を建てた人
ベッドに寝転んだときに、真上にあるダウンライトが眩しすぎて、目を開けていられないほどでした。現在は応急処置として電球を外していますが、ダウンライトの設置場所まできちんと考えておけばよかったと後悔しています。
スタッフ
寝室に余剰スペースがあるのなら、ベッドの位置を動かしてしまうのも手です。
こういった不測の事態に備えるためにも、寝室を「寝るだけだから狭くてもいいや」と思わず、広さに少し余裕を持たせたほうがいいですね。

ダウンライトは真上にあると眩しいです
家を建てた人
寝室にクローゼットを設置したのですが、主人と生活リズムが異なるので、主人の就寝中にクローゼットに荷物を取りに行く際にはとても気を遣います。
スタッフ
「クローゼットは寝室に設置するもの」という先入観は捨てましょう!
最近では洗面脱衣所の近くにウォークインクローゼットを設置する家も増えているんですよ。着替えや洗面が一箇所で済ませられるので便利ですし、ウォークインクローゼット内に物干し竿を設置すれば、洗濯機から出してすぐに洗濯物を干して、乾いたらそのまま収納することもできます。
間取りはあとから変更することが難しいので、後悔のないよう入念なリサーチが必要ですね。
水回り
最後にバス・トイレ・洗面所といった水回りの失敗例を見ていきましょう。
水回りは「プライベートな空間だからこそ」の後悔をしている人が多いようです。毎日使うスペースですから、失敗例を参考にしてゆったり過ごせる空間づくりをしてください。
家を建てた人
トイレをリビングの真横に設置しました。そのため音や臭いが気になってしまって、リビングに家族や来客がいるときはなかなかトイレに行けません。
スタッフ
トイレの設置場所は、他にも失敗例が多く見られます。
例えば、トイレを玄関付近に設置してしまったために、玄関を開けたときにトイレが丸見えになってしまったり、水音が家の外まで漏れたりして、恥ずかしい思いをしたという人もいます。
プライベートな空間であるトイレは、リビングや玄関といった人目につく場所からは少し離れたところに設けたほうがよさそうです。
家を建てた人
毎朝、主人も私も子ども2人も、それぞれ会社や学校に行く準備をするので、洗面所がとても混雑してしまいます。
スタッフ
子どもが多いご家庭や、身支度をする時間帯が集中しているご家族は、洗面台を2台設置したり、ドライヤーやひげ剃りに使うためのコンセントを多めに設置したりすることで、慌ただしい朝でも使い勝手のいい洗面所スペースになるでしょう。
家を建てた人
ゆったり入れるお風呂に憧れて、1.5坪のワイド浴槽を導入しました。
ですが、使うお湯の量が増える分、水道代が思ったよりも高くなってしまいました。
スタッフ
湯量が多いと、追い焚きするときのガス代も高くなってしまいます。ですが、せっかく広い浴槽にしたのに、光熱費を気にして湯量を少なくしてしまっては本末転倒です。
大人ひとりが浸かるのであれば、もう少し小さめの1.25坪の浴槽でもゆったり足を伸ばせますので、「何となく広いお風呂がいいな」と即決する前に、じっくり検討してみてください。
収納や設備の失敗例と対策
ここでは「収納」「設備」などの導入における失敗例と対策方法についてご紹介します。
収納
まずは、収納の失敗例を見ていきましょう。収納は少ないと不便ですが、だからといって使いづらい収納スペースをたくさん造っても意味がありません。ご自分の荷物の量や大きさ、家の広さを勘案し、計画的に収納スペースを確保しましょう。
家を建てた人
友人から「収納は多いほうがいい」とアドバイスをもらいました。なので新居ではせっかく広い収納部屋を確保したのに、肝心の収納部屋のドアが小さくて、大きめの荷物が中に入りませんでした…。
スタッフ
収納スペースに何をしまう予定なのかを把握し、事前にサイズを測っておくべきでしたね。
もしもあまり使う予定のない荷物の場合は、思い切って処分するのもひとつの手です。リサイクルショップに持っていったりフリマアプリに出品したりすれば、部屋を圧迫する荷物がお金に変わる可能性もあります。
荷物が少ないほうが引越し代も抑えられますし、スッキリした気持ちで新生活を始められますよ!
家を建てた人
オシャレな家によくある、シューズクローゼットを我が家でも導入してみました。
でも、シューズクローゼットのせいで玄関スペースが狭く、圧迫感を感じるようになってしまいました。それに、ベビーカーも入り切らないので結局玄関に置いていますし、シューズクローゼットの靴の臭いも気になります…。
こんなことなら、普通の靴箱で充分だったかもしれません。
スタッフ
もしシューズクローゼットに3畳以上のスペースを確保できるのでしたら、靴だけでなくベビーカーやアウトドア用品、雨具や防災グッズなども収納できて、便利に使えるかもしれません。
ですが「玄関にそこまでスペースを割けない」という方は、中途半端に空間を圧迫してしまうだけですので、普通のシューズボックスにしたほうが使い勝手がいいでしょう。
靴の臭い対策としては、まずは窓を開けたり換気扇を回したりして定期的に換気することが大切です。あとは壁材に除湿・消臭効果のある素材を使うことである程度臭いを防ぐ効果もあります。
設備
次に、設備面での失敗例をご紹介します。
夢のマイホームにはあれもこれもと設備をつけたくなりますが、その前に「本当に必要か?」「きちんとメンテナンスできるか?」をしっかり考慮することが必要です。
家を建てた人
見た目のスタイリッシュさに惹かれて、浴槽も洗い場も、黒を基調としたバスルームにしました。
ですが、黒い風呂はとにかく白い水垢がよく目立つんです…。
反対に、白いお風呂に比べてカビは目立たなくなりました。ですが、白いお風呂はカビが目立つ分、気付いたらすぐに掃除できたのですが、黒いお風呂は気付かないうちにカビが繁殖しているかもしれないので、恐ろしいです。
スタッフ
水垢やカビの発生を防ぐためには、毎日お風呂を掃除するほかありません。
また、お風呂場に発生した黒カビは人体にも悪い影響を及ぼします。せっかく家族がゆったり過ごすためのお風呂で病気になってしまっては意味がありませんよね。
毎日こまめにお風呂を掃除するのが難しい方は、黒いお風呂は避けたほうがいいかもしれません。

中には浴槽や洗い場の床まで黒いお風呂もあります
家を建てた人
お風呂のオプションで「テレビ」とか「ミストサウナ」をつけたんだけど、1回か2回使ったきりで今は全然使っていません。こんなことなら他のオプションにお金を使えばよかった…。
スタッフ
一人暮らしなら、お風呂でゆっくりテレビを見たりミストサウナを楽しむのもいいですが、家族が順番にお風呂に入る場合はそこまでの時間的余裕はなさそうです。せっかくならお風呂を上がってみんなでテレビを見たほうが、一家団欒にもなりますしね。
それに、ミストサウナは30分あたり40円~50円のコストがかかるので、もし1日1時間使用すれば1ヶ月で3,000円になります。さらに、カビの発生を防ぐために浴室乾燥機を使うと、さらに光熱費は跳ね上がりますので、ミストサウナの使用には注意が必要です。
周辺環境の失敗例と対策
最後に、「周辺環境」に起因する失敗例と対策方法についてご紹介します。
視線・音・日当たり
周囲からの視線・音・日当たりといった周辺環境に起因する失敗は、家が完成してからでは取り返しがつかないことが多々あります。そのため、図面を見るだけでなく、実際にその土地の状況を把握した上で家造りに臨むことが大切です。
家を建てた人
湿気対策のために浴室に大きな窓を取り付けたのだけど、お風呂が道路に面しているので、外からシルエットが丸見えでとても恥ずかしいです。
それに、お風呂で子どもが騒ぐ声も外に丸聞こえなので、ご近所迷惑を考えるとゆっくりお風呂に入っていられません。
スタッフ
浴室の窓は小さめにしたほうがいいでしょう。
大きな窓は、外からの視線が気になったり声が漏れたりするほか、冬場の寒さにもつながります。また、浴室の窓を割って空き巣が侵入することもありますので、防犯のためにも窓は小さめがいいとされています。
家を建てた人
日当たりのいいリビングにしたいと思って、大きな窓をつくってもらいました。
ですが、実際に完成した家を見てみると、隣の家にちょうど遮られる形であまり光が入ってきませんでした…。図面だけで判断するのでなく、実際に周辺環境を確認するべきだったと後悔しています。
スタッフ
日当たりで後悔しないために、気に入った土地が見つかったら、時間帯を変えて何度か訪れてみましょう。時間帯によって日の当たり方は大きく変化します。
また、日当たりは季節ごとでも変化するため、近所の方に他の季節の日当たり状況について聞いてみるのもひとつの方法です。
新築で後悔しないためにやるべきこと
家を新築する上での失敗例をいろいろとご紹介しましたが、これらはほんの一握りに過ぎません。家を建てる人は、それぞれ土地も、家族構成も、趣味嗜好も異なるため、新居で失敗したと感じるポイントも十人十色なのです。
しかしながら、マイホームに失敗した人の多くに共通していることがあります。それは家を建てる前の「勉強」や「リサーチ」不足です。住宅について勉強したり、間取りやデザインについて入念にリサーチしたりすると、自分たち家族にはどんな家がぴったりなのかも明確になり、失敗も少なくなります。
そこで最後にご紹介したいのが、家を建てる前にやっておくべきことについてです。家造りを予定している方は、まずはここから始めてみてください。
住宅に関する本を読んでみよう
インターネットにも家造りの情報は溢れていますが、「情報が多すぎて、逆に何を調べたらいいのか分からない」「何が正しいのか分からない」とお悩みの方も多いと思います。
そこでおすすめしたいのが、住宅に関する書籍を読んで、知識を身につけることです。以下の本は図解も多く、初心者の方向けに分かりやすく書かれていると評判です。
住宅展示場に行ってみよう
住宅に関してある程度知識が身についたら、ハウスメーカーや工務店の住宅展示場へ足を運んでみましょう。
実際にモデルハウスを見て回ることで、文字や画像だけでは分からない住まいの雰囲気や、断熱・自然素材などの性能について体感することができます。
しかし、住宅に関して何も知識がない状態で住宅展示場へ行ってしまうと、デメリットをきちんと理解しないまま、営業さんに流されて契約を交わしてしまう危険があります。そのため「本を読むなどしてある程度知識を身につけてから訪れること」「その場の流れで契約せず、何社かを比較検討すること」を心掛けましょう。
建築家に依頼するという選択も
家を建てるにあたって、建築家に依頼するという方法もあります。
建築家と聞くと、「高そう」というイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、「オプションをいろいろと追加したハウスメーカーの住宅」の中には、「建築家とつくる注文住宅」とほとんど価格が変わらない住宅も多いんですよ。ちなみに住宅展示場のモデルルームは、見栄えをよくするため標準仕様ではなくオプション仕様になっているところがほとんどです。
建築家は、お客様のご希望を聞いてゼロから家を設計してくれるため、ハウスメーカーや工務店では実現できないような自由度の高い設計が可能です。こちらのページでは、そんな建築家たちの想いにフォーカスしたインタビュー記事を多数掲載していますので、ぜひご覧になってみてください。
口コミを確認してみよう
住宅に関する知識、実際の性能に関する知識が身についたら、最後は実際に家を建てた人の「生の声」を確認してみましょう。専門家からは聞けないような失敗談やアドバイスをもらえる可能性が高く、家造りを進めるにあたって非常に参考になるでしょう。
口コミは以下の方法で確認できます。
- 家を建てた知り合いがいる場合は、遊びに行って話を聞いてみる
- 住宅完成見学会に行って施主に聞いてみる
- 家を建てた人のブログを読んでみる
- インスタグラムでハッシュタグを検索してみる
(「#注文住宅」「#マイホーム計画」等)
新築一戸建ての失敗例や対策についてのまとめ
家造りで失敗したと感じるポイントは人それぞれです。
しかし、家を建てる前に住宅ついてしっかり勉強したり、間取りやデザインについて入念にリサーチしたりすれば、自分たちにどんな家が合うのかも明確になり、失敗も少なくなります。
人生で1番大きな買い物かもしれないマイホーム。ぜひこの記事を参考にして、後悔のない家造りを進めてくださいね。