最近、よく耳にする、”リノベーション”のことをどのくらい知っていますか。
リノベーションは、ラテン語で、”再び、新しくする”といった意味です。
子どもの出産や、両親との同居がきっかけで、これまでのライフスタイルを見直す方も少なくありません。
ですが、建て替えは、費用がかかるうえに、住み慣れたお住まいを失ってしまうので、ハードルが高いですよね。
本記事では、リノベーションでできること、できないことをご紹介しています。
あわせて、リノベーションに向いているケースを載せているので、リノベーションにするのか、建て替えにするのかで悩んでいる方は、ぜひご参考にされてください。
リノベーションってなに
そもそも、リノベーションは、どのようなことをするのでしょうか。
まずは、リノベーションや、リフォーム、建て替えといった似ている用語の違いから確かめてみましょう。
リノベーションとは
リノベーションとは、お住まいを新しくつくり変えることであり、新たな性能を付加することを目的としています。
ですから、間取りから変えるといった大きな模様替えになるケースも少なくありません。
ちなみに、お住まいをいったん骨組みに戻してから、大規模に改修することを、フルリノベーションと呼んでいます。
リフォームや建て替えとはここが違う
リフォームとは、古家を新築に近い状態に戻すことであり、従来の性能に現状回復することを目的としています。
ただし、世間一般では、リノベーションとリフォームを厳密にはわけずにつかっているときも少なくありません。
いっぽうで、建て替えとは、古家をいったん完全に取り壊して、新しく建築し直すことです。
ですから、リノベーションは、お住まいを残しながらも、大規模に改修するといった点で、ちょうどリフォームと建て替えの中間に位置づけることができます。
リノベーションでできること、できないこと
リノベーションとひとくちにいっても、そのバリエーションはバラエティに富んでいます。
それでは、実際に、リノベーションでは、どのようなことができるのでしょうか。
構造を変えてみる、大規模にリノベーション
お住まいの間取りが変わると、お部屋全体の印象もがらりと変わります。
一戸建てでしたら、比較的、自由にリノベーションすることができます。
たとえば、快適な家づくりにとって、“窓”が果たしている役割はとても大きなものです。
窓のサイズや位置を変えるだけで、光や風の入り方が変わりますから、明るく、気持ちが良い住環境になります。
窓の種類によっては、結露を軽減できる結果、カビの発生がおさられて、家が長持ちすることに一役を買っているようなものもあります。
また、一階の天井を取り外して、吹き抜けをつくれば、いっきに開放感が広がる空間に様変わりします。
下の階からはいった風が、上の階へ抜けていくので、空気が循環して、お部屋が快適にたもたれます。
敷地に余裕があるようなら、バルコニーやベランダを増築しても良いかもしれません。
ただし、増築するときは、建築基準法上の条件がありますので、一級建築士さんや地元の工務店さんといった専門家にあらかじめ相談してみましょう。
耐力壁とは、建物を支える壁のことであり、耐震性を高める役割を果たしています。
この耐力壁は、耐震性に影響するので、取り除くことはできません。
耐力壁を新しくつくることはできますが、費用が大幅にかかってしまいます。
機能を変えてみる、暮らしに快適さを
築年数が古くなると、耐震性といった安全面の心配が増えてきますよね。
耐震診断を受けてみて、耐震性能が低いと判断されたときは、柱や土台を補強しなければなりません。
強度が弱い柱と柱の間に、合板をはめ込んで耐力壁をつくったり、筋交いといった木材を斜めに交差する形で組み込んでいきます。
また、外壁や、屋根、床下に断熱材をいれれば、断熱性を高めることもできます。
段差をなくす、スロープをつける、滑りにくい床材にかえる。
バリアフリー化をすみずみまで行き届かせて、日々の生活に暮らしやすさをプラスしてみてはいかがでしょうか。
外装を変えてみる、お住まいを新しく
屋根や外壁は、一年中、雨風にさらされて傷ついていきます。
屋根瓦や塗装を剥がれたままの状態にしておくと、防水性の低下や、ひび割れの原因になります。
リノベーションするときは、お住まいの外側にも目を向けてみましょう。
内装を変えてみる、がらりとイメージチェンジ
リノベーションの実感をもっとも感じる場所は、やはり内装ではないでしょうか。
壁紙クロスやフローリングの張り替えは、リノベーションの定番です。
フローリングを張り替えるときに、段差をなくすだけで、広々とした空間にすることもできます。
また、お部屋の一つを、洋室から和室へ、つくり変えれば、お住まいのなかに、とつぜん和の空間があらわれます。
ウッディで光にあふれたお部屋、モダンで温かみがあるお部屋、モノクロでスタイリッシュなお部屋。
ぜひ、おもいきり、あふれる想像を膨らませてみてください。
設備を変えてみる、住みやすい環境づくり
キッチンや、お風呂、トイレといった設備は移動することができます。
キッチンをアイランド型に変えれば、ご家族といっしょに料理をつくる楽しみが増えるでしょう。
キッチンの片面が壁に接着していないので、開放感があり、数人が同時に料理を楽しむことができるといったメリットがあります。
また、コンセントの位置も、意外に重要になります。
テレビや空調はどこに置こうか、掃除機をかけるときに不便はないか。
リノベーション後の生活を考えてみましょう。
給排水管の位置によっては、給排水のための勾配が不十分になってしまい、水回りの移動場所が制限されるケースもあります。
とくに、トイレは、排泄物が逆流しないために、大きな勾配が必要になりますので、あらかじめ給排水管の位置を確かめるようにしましょう。
どのような人が、リノベーションに向いているのか
これまで、リノベーションでできること、できないことをみてきました。
それでは、最後に、どのようなケースが、リノベーションに向いているのかをみていきましょう。
リノベーションは、お住まいを残すことができます
建て替え以外でも、リノベーションによって、お住まいの大部分が変わることがおわかりいただけると思います。
そうすると、リノベーションにしかないメリットは、住み慣れて愛着があるお住まいを残しながら、部分的にお住まいの模様替えをすることができることといえるでしょう。
また、リノベーションは、一からつくり直すわけではないので、費用を安くおさえることができます。
建て替え費用の相場が1000万円~4000万円程度であるのに対し、リノベーション費用の相場は350万円~2000万円程度と、倍近くの価格差があります。
建て替えとのボーダーラインは、築年数と費用から考える
築年数が古くなりすぎると、柱や梁の老朽化が進んでおり、一から建て替えないと、耐震性をたもてなくなります。
新耐震基準では、震度5強程度の中規模の地震では、ほとんど損傷せず、震度7程度の大規模の地震でも、倒壊しないだけの耐震性が求められています。
また、大規模なフルリノベーションになると、リノベーション費用は、建て替えとほとんど変わらなくなってしまいます。
お住まいの安全面や費用面も考えながら、お住まいを残すのかどうかをじっくりと考えてみてください。
ですが、お住まいの状態によっては、耐震性を補強すれば対処することができることもありますので、実際の寿命が伸びるケースもあります。
ただし、築年数が古くなると、柱や梁といった外からは見えない部分が老朽化しているケースが多いので、専門家にしっかりと確かめてもらうことが必要になります。 参考 木造住宅の平均寿命(国土交通省)https://www.mlit.go.jp/common/001033889.pdf
まとめ
リノベーション後の新居をイメージすることはできましたでしょうか。
まずは、専門家に、建物の状況や、費用の概算を相談してみましょう。
リノベーション業者さんに一度問い合わせてしまうと、しつこく営業されないかどうかといったご不安をお持ちの方は、一級建築士さんや、地元で信頼されている工務店さんに相談してみると良いですよ。
リノベーションによって、ご自身やご家族にあった新たなライフスタイルを手に入れましょう。