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例えば、あなたの自宅の階段が、途中から机や椅子になっていたとします。何気なく椅子に腰掛けてみると、机の上には読みかけの本が置いてありました。
そんなとき、あなたはどうするでしょうか?
2階にある自分の部屋から1階に下りてお風呂に入る予定だったのに、思わず読書を始めてしまうかもしれませんね。
人間の行動は「食べる」「入浴する」「寝る」といったシーンごとに分断されているのではなく、それぞれのシーンが連続したものです。つまり、いま行なっている行動は、次のシーンに至るためのプロローグでもあります。もちろん予定通り次のシーンに進むこともあれば、ときには寄り道をしてしまうこともあるでしょう。
冒頭の例のように「入浴」しようとしたのに「読書」という寄り道をすることは、非効率的かもしれません。しかし、「住まう」ということは杓子定規にいかないのが本来の姿ではないでしょうか?
今回インタビューさせていただいた田建築研究所の田中代表は、効率的なだけの住宅からは得られない、心の余裕にもつながるようなお家づくりをされている建築家さんです。
この記事では、そんな田中代表が建築家を目指したきっかけや、お家づくりをするにあたって大切にされている「3つの哲学」についてもご紹介しますので、ぜひご覧ください。
みんなの得意分野を活かしながら、協力してひとつのものをつくる仕事をしたい
スタッフ
田中代表
子供の頃から絵を描いたりモノを作ったりすることが好きだったので、クリエイティブな仕事がしたいと思って建築を意識するようになりました。
スタッフ
そうなんですね。
クリエイティブな仕事というと、芸術家になっていた可能性もあるのですか?
田中代表
いや、それはないと思います。
アートは自分ひとりの中だけで完結してしまうものですが、私はみんなと協力して、それぞれの得意分野を活かしながらひとつのものを作っていくような仕事をしたかったんです。
スタッフ
なるほど。
建築はお客様、大工さん、工務店さんなど、いろいろな人と協力してつくるものですもんね。
田中代表
そうですね。
それに建築は、周りの人と協力するだけでなく、広く影響を与えられる仕事でもあるので、とても面白いなと思いました。
スタッフ
まさに建築は天職ですね!
現在のように独立する前は、どこかの事務所で働いていたのですか?
田中代表
はい。
大学卒業後は、栗生明(くりゅう あきら)さんの事務所で5年半ほど修行させてもらいました。
スタッフ
栗生さんの事務所では、どんな建築を手掛けられたのですか?
田中代表
一番最初に担当したのは博覧会のパビリオンです。
単純に図面を引くだけでなく、プロデューサーやアートディレクター、展示に関わる方、施工に関わる方、役所の方など、博覧会を支えるさまざまな人と関わることができて非常に面白かったです。
スタッフ
まさに田中代表が理想としていた働き方ですね。
どうして周りの人と協力して仕事をするのが好きなのですか?
田中代表
自分ひとりでできることには、どうしても限界があります。
ですが、たくさんの人と関わって仕事をすることで、ひとりでできることの限界を超える瞬間に立ち会うことができます。私はその瞬間が大好きなんです。
スタッフ
素敵な考え方ですね!
パビリオン以外には、どんな建物をつくったのですか?
田中代表
公共建築をメインで扱っている事務所だったので、博物館や予備校の校舎といった建築をいろいろと手掛けましたね。
スタッフ
たくさん経験を積まれたんですね。
栗生さんの事務所には5年半お勤めされて、その後独立されたのですか?
田中代表
そうです。
ちょうど30歳の節目の年に退職し、独立しました。
「対話」「骨格」「舞台」の3つの哲学
スタッフ
田中代表が家をつくる上でのこだわりを教えて下さい。
田中代表
「対話」「骨格」「舞台」という3つの哲学を大切にしています。
対話
田中代表
まずは対話についてご説明します。
例えば、アートとデザインはよく似ていますが、まったくの別物です。
アートは「これがアートだ」と言えば、それがどんなものであっても個の力のみでアートとして成立します。
ですが、デザインはひとりでは成立しません。「対話」をし、共鳴してくれる相手が必要です。つまり、対話なくしてデザインの仕事は成立しないのです。
スタッフ
デザインとは、誰かに自分の表現したものを見てもらったり使ってもらったりすることなのですね。
田中代表
その通りです。
家を設計するというデザインの仕事を生業とする上では、「対話」が一番大切なものです。
骨格
スタッフ
田中代表
骨格とは「こういうものをつくりましょう」と考えているものを共有するためのベースになるものです。
田中代表
例えば、容積が100㎡必要なお宅があるとします。
容積を包括するだけの面積が物理的に足りないときは、土地に対して層を重ねていきます。
ですが、土地をただ何層も積み上げるだけが解決策ではないのです。
スタッフ
田中代表
例えばスキップフロアのように、小上がりや床下収納を作ったりすれば、100㎡の容積を内包できるお家をつくることができます。
これが「骨格」です。
骨格をベースにしてお客様と情報共有できれば、そのあとで多少家づくりの方向性がブレてしまった場合でも、骨格が「戻ってくる場所」になります。
スタッフ
なるほど。
骨格は、建物の基本の形とも言い換えられますね。
舞台
田中代表
最後に舞台についてご説明します。
家探しをするときに見ている「間取り」とは、寝る・食べる・入浴する等、使用する用途に応じたスペースに部屋をあてがい、それを足し算したものと言えます。
それぞれの場面は足し算されたものなので、その間にはドアがあり、場面と場面の間はぶつ切りになっています。
スタッフ
確かにリビング・寝室・浴室など、ドアで仕切られているのが普通ですよね。
田中代表
ですが、本来人間の生活は連続したものなので、完全に分けることはできません。
なので私は、それぞれのシーンが繋がっていくような「舞台」をつくることを大切にしているんです。
スタッフ
なるほど。
ただ現状では、間取りによってスペースが分断されている建物がほとんどですよね。
どうして間取りによってぶつ切りにされた家が多いんですか?
田中代表
間取りによって生活を時間軸で区切るのは、その方が効率的な生活の仕方だからです。
つまり、お風呂に入ろうと思ったのにテレビを見たり本を読んだりといった寄り道をするのは非効率的というわけです。
スタッフ
確かに「何をするための場所」というのがあらかじめ決まっていて、部屋が割り当てられていれば、それ以外のことには目を奪われないですね。
田中代表
ですが、「住まう」というのは、住まう場所を自分で見つけて、その場所を自分にとって快適な場所にしていくことの連続ではないでしょうか?
杓子定規な計画に基づいてぶつ切れなものを間取りと称してパズルのように組み合わせるのは、私は少し違うのではないかなと思っています。
スタッフ
なるほど。
田中代表は、効率的なだけの住宅からは得られない、心の豊かさにもつながるようなお家づくりをされているんですね。
記憶に残る、20年経っても健在の住宅
スタッフ
これまでいろいろな住宅を手掛けてきたと思いますが、心に残っている建物はありますか?
田中代表
どの住宅も心に残っていますが、独立して1番最初に手掛けた住宅は外装材に「竹」を使うというチャレンジをしてみたので、今でも記憶に残っていますね。
スタッフ
田中代表
私は関西出身なんですけど、京都の嵐山って竹林がたくさんあるんですよ。
「この竹を使えないだろうか?」と思ったのが、竹を使おうとした一番最初のきっかけです。
スタッフ
田中代表
元気に残っています。
もう建ててから20年以上になりますが、未だに叩けばカーンといういい音が鳴りますよ。
ただ豪雨や地震の影響で、しならせた部分の竹がいくつか外れてしまったので、外れてしまった部分だけ今年直しました。それ以外は一度も張り替えもしていません。
スタッフ
すごい長持ちですね。
竹には経年劣化はあまりないんですか?
田中代表
色はすぐに落ちてしまいます。
竹ならではの青々しい状態は1週間~10日しか保たず、そのあとは1~2年ほど黄土色のような色味になって、最後はグレーになります。
スタッフ
グレーも格好いいですね。
年を経るごとの変化も楽しめますし、竹を使った住宅も面白いですね。
田中代表
竹に始まった素材への興味は今にもつながっていて、竹・土・木といった自然素材から鉄・コンクリート・プラスティックという工業素材にまで至っています。
断片的でも、三次元的なイメージを伝えてほしい
スタッフ
最後に、これから新築を建てる人へ向けて、アドバイスをいただいてもよろしいでしょうか?
田中代表
間取りという平面的な考え方ではなく、垂直方向の使い勝手や気持ちよさをイメージしてお住まいを考えたほうがいいと思います。
「天井がもっと高いほうがいいかもしれない」「床下にも収納があったら助かる」など、三次元的に考える意識を持っていただいた上で建築家に話を持ちかけると、建築家から提案されるものも大きく違ってくると思います。
スタッフ
建築家に伝えるのは、具体的なイメージでないといけませんか?
田中代表
いいえ。
「こういう感じのスペースがいい」「こういう感じの軌跡がいい」といった断片的な情報でも問題ありません。
それを形にするのが我々建築家の仕事です。打ち合わせを通して、何となく意識としてあったもののお客様自身が気づいていないようなことをご提案できればなと思っています。
スタッフ
打ち合わせの中でお客様のイメージを形にしていくのは、まさに「対話」ですね。
値段感と坪単価
坪単価:70万円~200万円
広さによっても異なる
木造・RCが可能です。設計料は別途いただきます。また、広さによっても異なりますので、詳細はお問い合わせください。
一級建築士事務所田建築研究所ATELIER“DEN“のインタビューまとめ
田建築研究所のご自宅兼事務所
今回インタビューにお邪魔させていただいた田中代表のご自宅兼事務所は、自宅と事務所が中で繋がっている回遊性のある建物です。
自宅と事務所をぐるっと周って戻ってきたり、自宅からでも事務所からでも中庭に出たりできます。
こうした行き止まりがない建物にすることで、家族の空気を身近に感じられるのはもちろんのこと、住むことを想像しただけでワクワクしませんか?
平面の効率的な間取りだけでは得られない、ワンランク上のお家づくりに挑戦してみたい方は、ぜひ田建築研究所に田中代表に相談してみてください。
「対話」を通して、あなたの潜在意識にある要望を汲み取った提案をしてくれるはずです。
一級建築士事務所 田建築研究所 ATELIER“DEN“の詳細情報
会社名 |
一級建築士事務所 田建築研究所 ATELIER“DEN“ |
所在地 |
〒167-0043 東京都杉並区上荻3-10-15 |
代表者名 |
田中秀弥 |
電話番号 |
03-5303-9802 |
営業時間 |
9:30〜18:30 ※土・日・祝は定休日 |
公式HP |
https://atelier-den.com/ |
対応する工事 |
建築の設計・監理・運営企画/都市計画、再開発の企画・調査・設計/ランドスケープ企画・調査・設計・監理/各種イベント、舞台美術等の企画・調査・設計・監理/家具・インテリア・プロダクトなどの企画・設計 |
対応エリア |
全国(別途交通費) |
その他 |
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