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人がどのように住みつづけるのかを問う、「住まい方」という言葉があります。
その人にとって最も快適な暮らしを実現するうえで、避けては通れない重要なテーマです。
そのため、住宅を新築する際には、ご自身に合った住まい方を知ることが欠かせません。
住宅を自分の住まい方に合わせてこそ、いきいきとした暮らしを実現できるからです。
神奈川鎌倉市のアトリエスプリング(Atelier Spring)さんは、住宅を中心に手がける一級建築士事務所です。
建物に使う素材の良さを存分に引き出しつつ、お施主様の住まい方に合わせた快適な住宅をつくっていらっしゃいます。
そこで、鎌倉「泉ガ谷(いずみがやつ)」の地にあるアトリエスプリングさんの事務所を訪ねてみました。
この記事では、アトリエスプリングの代表を務める石原さんの、住宅に対する想いについて紹介いたします。
お施主様に合わせた住宅を考える
スタッフ
最初に、石原さんがどういった種類の建物を設計していらっしゃるのか、教えていただけますか?
石原さん
数でいえば、住宅が最も多いです。
あとは、教会や幼稚園などの公的な建物も設計していますね。教会の共同墓地を設計することもあります。
スタッフ
住宅以外に、教会まで手がけていらっしゃるのですね。
教会の設計は、住宅の設計とどのようなところが異なりますか?
石原さん
教会の場合、相反する2つの側面を持つことを意識しながら、設計に臨む必要があります。この点が住宅と異なりますね。
教会の聖堂は、大勢の人が集まる場でありながら、静かに祈りを捧げる場でもあります。どうやって双方のバランスを取るか、慎重に検討しなければなりません。
スタッフ
教会に足を運ぶと、温かさと厳かさ、どちらの雰囲気も感じます。そのような雰囲気になるように、設計段階から意識していらっしゃるのですね。
ところで、独立する前から住宅と公的な建物の両方を手がけていらしたのでしょうか?
石原さん
勤めていたころは、住宅に携わる機会はあまりありませんでした。
最初に就職した会社では、ニュータウンの景観ガイドラインの作成や公園・道路の設計といった「まちづくり」に関わる仕事をしていましたし、次の会社でも、どちらかといえば教会や老人ホームなどの公的な建物がメインでしたから。
スタッフ
独立してから住宅を多く手がけるようになったのは、どうしてでしょうか?
石原さん
2つ理由があります。
1つめの理由は、私の個人的な知り合いを経て、多くのご依頼が回ってくるようになったからです。
建築設計事務所を立ち上げると、まず最初にぶつかる壁が「いかに仕事を依頼していただくか?」なんですよ。私の場合は、ありがたいことに知人からの依頼や紹介が多く、そのため住宅がメインとなりました。
スタッフ
実力が備わっていても、仕事が回ってくるとは限りませんからね。やはり、人のつながりは大切なのですね。
ちなみに、住宅を多く手がけるようになった、もう1つの理由は何ですか?
石原さん
住宅には公的な建物とは別の面白さがあり、私自身が積極的に受けたいと思っているからです。
住宅はお施主様の住まい方によって有り様が大きく変わるので、規模は小さくとも、やりがいがあるのですよ。
スタッフ
お施主様の住まい方によって有り様が変わる、ですか。
石原さん
はい。ですから、案をつくるときは、お施主様の住まい方のイメージを些細なことでもお聞きするようにしています。
住まい方は人それぞれなので、そのお施主様からヒアリングした内容をもとに素案をつくり、お施主様の意見を踏まえて案を練り直していくのです。
敷地の条件や予算などで実現できないこともありますが、そのお施主様ならどういう住宅にすべきか想像しながら設計するのは楽しいですね。
スタッフ
だから十人十色の住宅ができあがるのですね。
たしかに住宅の設計は面白そうですが、大変なお仕事ではないですか?
石原さん
たしかに時間がかかることもありますが、お施主様にいきいきと暮らしていただける住宅をつくりたいので妥協はしません。それに、3Dのモデリング技術を使うようになってから、提案するスピートもかなり上がりましたしね。
私自身も楽しみながら、お施主様に喜んでいただける住宅をつくれることに、喜びを感じています。
お施主様の感性をもとにして素材を活かす
スタッフ
石原さん
木造・鉄骨造・RC造(鉄筋コンクリート造)、どんな建物でもオールマイティーにできますし、作風というものも特にありません。
ただ、すべての建物に共通しているのは、素材感を大切にしているという点です。
スタッフ
石原さん
はい。それぞれの素材がもつ良さを引き出し、木造は木造らしく、鉄骨は鉄骨らしく仕上げたいと考えています。
ですから、新建材でくるんで隠してしまうようなやり方は、できればしないようにしています。長年使いこなせる無垢(むく)の素材が持つ素材感を、きちんと出したいと思っています。
スタッフ
無垢の素材が持つ素材感を大切にするのは、どうしてですか?
石原さん
少し手間がかかるかもしれませんが、やはり無垢のものの方が長く付き合える住宅になるからです。フィルム張りしたような新建材は、湿気や傷に弱いですからね。
石原さん
ちなみに、建築の状態としては柱や梁(はり)などで基本構造を完成させたあとの上棟段階に、すごく格好良さを感じています。
「柱や梁が屋根や床を支える空間」が現れた素の状態が、インダストリアル※な感じで好きです。仕上げた後もその格好良さ・素材感が少しでも残るようにしたいと考えています。
※直訳すると「工業的」。ここでは、むき出しの建築資材が醸し出す無骨な格好良さのこと。
石原さんは、エコハウス研究会に所属して「そらどまの家」の考え方を取り入れるようにしていらっしゃいます。
太陽と地球の熱を取り込み、呼吸する家や輻射(ふくしゃ)を利用した温熱環境を実現するのが「そらどまの家」の特徴です。
→「エコハウス研究会」の公式サイトはこちら
スタッフ
過去を振り返ってみて、特に素材感を上手く活かせた建物はどちらでしょうか?
石原さん
1つに絞るのは難しいのですが、この鎌倉の地に建てた店舗兼住宅でしょうか。
1階がお店、上階がお施主様のお住まいという鉄骨造の建物で、内装は「レンガ倉庫を改装したアパートメント」をイメージした建物です。
スタッフ
レンガを楽しめる内装なんて、ちょっと珍しいですね。
レンガの素材感によって、何だか室内が暖かく感じられそうです。
石原さん
お施主様はアメリカで生活していたことがあったそうです。そのとき経験された「レンガ倉庫を改装したアパートメント」のイメージをはっきりと持っていたため、レンガにこだわっていらっしゃいました。
相談を受けて、「鉄骨造のスチールとレンガの素材感の組み合わせ」というイメージが見えてきたとき、お施主様と私の波長がピタッと合ったように思います。
住居部分の階段に用いたレンガ壁。
複数の候補から、オランダの古レンガを採用しました。
石原さん
ちなみに、その建物が強く印象に残っているのは、ほかにも理由があります。
実は、工事に入る段階になって、お施主様がお仕事で1年間海外に行くことになってしまったのですよ。
スタッフ
直接お会いできないとなると、意思疎通がかなり大変だったでしょうね。
石原さん
そうですね。メールでやり取りしました。
でも、現地と日本とでは時差があるため、夜中に図面や現場写真をメールで送っておくと、翌朝には先方からご返信いただけました。ですから、意外とスムーズにやり取りできましたね。
スタッフ
施工中はお施主様もさすがに気がかりだったでしょうが、今では石原さんにお願いしてよかったと思っていらっしゃるでしょうね。
石原さん
そう思っていただけているなら、私も嬉しく思います。
直接お会いできない状況で意思疎通を大事にしたからこそ、お施主様と私とで一緒につくったのだという感覚が、より一層強くなりましたね。
活力や原動力となる建物をつくりたい
スタッフ
石原さん
実際に家が建っていく様子を見て、建築が面白そうだと思ったのがきっかけです。
小学5年生のときに横浜へ引っ越したのですが、そのときに自宅の隣にある空き地が建築中でした。家が建っていくのを階段の踊り場から毎日見ていて、面白そうだと思いましたね。
それで、進路を決めるときに、建築を選びました。
スタッフ
石原さん
好きでしたね。学校の授業でも図工が得意でした。
今は私たちのいるこの家も、内装は私自身でつくったのですよ。
スタッフ
壁は漆喰(しっくい)でできていますよね?
普通なら専門業者に依頼すると思うのですが、この壁も石原さんが手がけたのですか?
石原さん
そうですよ。あと、テーブルやカウンターも自分でつくりました。
入居したときは断熱材が見えている状態だったので、ずいぶん手をかけましたね。
→
石原さんの「自主施工記録」はこちら
石原さんの愛犬、コタロー君。
つぶらな瞳が愛くるしいワンちゃんです!
スタッフ
子どものころには横浜に住んでいて、仕事場に鎌倉を選んだのには何か理由があるのでしょうか?
石原さん
鎌倉には母の実家があって、馴染みがあったからです。
私が鎌倉に住み始めてから16、17年くらい経ちましたが、景色の良い土地で気に入っています。
谷あいで小川が流れ、梅雨時あたりに小道を歩くと情緒を感じられるのです。緑が多くて、海が近くて……鎌倉は本当に良い土地ですよ。
スタッフ
そういえば、公式サイトを拝見したときに、社名の「スプリング(Spring)」が井戸に由来することを知りました。
井戸は、事務所の近くにあるのでしょうか?
石原さん
この事務所の敷地内にあります。また、この地では古くから「泉ノ井」という有名な井戸がありますね。
この「泉ガ谷」は、たくさん湧き水が出る恵まれた土地ですので、数多くの井戸が存在するのです。
スタッフ
石原さん
そうおっしゃっていただけると嬉しいです。
ちなみに、ご存知かもしれませんが、英語の「Spring」には「井戸」のほかに「活力」や「原動力」といった意味もあります。
つまり、スプリングという社名には、お施主様の暮らしや地域のまちづくりにとって、活力や原動力となる建築・プロジェクトを手がけていきたいという想いも込められているのですよ。
鎌倉十井(じっせい)の一つに数えられる「泉ノ井」。
清らかな水が湧きつづける貴重な水源として、古来より大切にされてきました。
スタッフ
これから新築したいと考えていらっしゃるお施主様に、何かアドバイスはありますか?
石原さん
まずは、「こんな家にしたい」という理想を、ご自身で具体的に想像してみることをお勧めします。そして、ちょっとした使い勝手や些細なことでも遠慮せずにおっしゃってください。
そうすれば、お施主様の住まい方に最適な提案をできると思います。
スタッフ
理想を思い浮かべて、そのまま石原さんに伝えてみることが大切なのですね。
本日はお忙しいところ、誠にありがとうございました。
値段感と坪単価
坪単価:60万円~120万円
アトリエスプリング一級建築士事務所のインタビューまとめ
新しく建てた住宅で、一体どれほどの月日を過ごすのでしょう?
もしかすると、人生の大半を過ごすことになるかもしれません。
それだけに、あなたとご家族の住まい方を、石原さんは大切にします。
あなたとご家族が送ることのできるはずの、最高の暮らしを提供したいからです。
石原さんがつくるのは、家族が元気になれる「しかけ」。
アトリエスプリングさんが手がけるのは、活力と原動力の源となる住宅なのです。
アトリエ スプリング一級建築士事務所の詳細情報
会社名 |
アトリエ スプリング一級建築士事務所 |
所在地 |
〒248-0011 神奈川県鎌倉市扇ガ谷2-24-18-2 |
代表者名 |
石原潔 |
電話番号 |
0467-40-3009 |
営業時間 |
9:00~17:00 ※土日は定休日 |
公式HP |
http://a-spr.com/ |
対応する工事 |
住宅、店舗、幼稚園、教会、診療所などの設計監理 |
対応エリア |
首都圏エリア |
その他 |
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