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近年多くの人の関心を集めている環境問題。ニュースや雑誌を見て、環境に対する意識が変わったという方も多いのではないでしょうか。
神奈川県川崎市にあるDEN設計工房は、人や環境に優しい自然素材を使った住まいづくりを行っている設計事務所です。今回は、代表の酒井行夫様に、建築家を目指したきっかけや家づくりへのこだわり、想いなどをインタビューしてきました。
中学生の時の経験をきっかけに建築家を目指す
スタッフ
まず酒井様が建築家を目指されたきっかけを教えてください。
酒井様
だいぶ前のことなので定かではないのですが、中学の時に自宅を増築して子供部屋を作ってもらう機会がありまして。その時の経験がきっかけだったと思います。
スタッフ
そうなんですね。当時はどんな子供部屋を作られたんですか?
酒井様
その頃は2階建ての家はほとんどなく、平屋が一般的だったので、父親から後ろの家が日陰にならないように計画しなさいと言われたのを覚えています。あとは玄関で人と対応できるような空間が欲しいという要望があったので、現場を見ながら図面を書きました。
スタッフ
酒井様
図面というよりも間取り図のようなものですが、寸法を測って自分なりに描いていました。子供部屋増築の一切を任されていたので、計画も大工さんへの相談も、すべて自分で行っていました。
スタッフ
寸法まで測って本格的に間取り図を描かれていたんですね。難しくはなかったですか?
酒井様
当時は構造計算ができるわけではないし、ディテールがわかっているわけでもありませんでしたが、そういう構造とか専門的なことは知らなくても、大工さんに「こうしたい」ということを伝えればちゃんと通じていましたね。両親の意向を汲みながら行っていましたし、そう難しくなかったです。そう考えてみると、今やっていることとあまり変わりないのかもしれませんね。
スタッフ
酒井様
その時に建築家を目指そう!と強く思ったわけではないのですが、中学の卒業文集には建築家になりたいと書いていました。当時は子どもなりに、何か大きな建物を建てたいという気持ちがあったことは覚えています。でも大学の時に、大きな建物から一変して、小さな住まいを作りたいという気持ちになりました。
スタッフ
住宅を作りたいと思うきっかけは何だったのでしょうか?
酒井様
大学時代にアルバイトでつくばの学園都市をつくる手伝いに行ったことがあったんですが、大きさも計画の規模もとても巨大な都市をつくるというのは、個人的にあまり心惹かれるものではなかったんです。例えば「この道路に何人通る」とか、実用的な意味合いで設計していくところを見て、人間的ではないな、と思ってしまって。そういう風に作る都市は機能的には優れているのかもしれませんが、ある意味無味乾燥で、あまり面白くはなかったんです。そういう経験があって、逆に人間が生きていく原点である住まいに興味を持つようになりました。
環境にも人にも優しい自然素材にこだわる
スタッフ
設計・建築をするうえで、特に気を付けている点やこだわりはありますか?
酒井様
住み手がどういう風に暮らしていくのか、どういう社会の中で、どんな風な生き方ができるのかを第一に考えています。住まいはひとつの社会そのものだと考えているので、そのうちのひとつを作るためのお手伝いをしているという意識で取り組んでいます。
スタッフ
興味深いお話です。住まいがひとつの社会そのものとはどういうことでしょう?
酒井様
例えば家が集まっていくと、村や町になりますよね。そこには家という物質的なものとコミュニティがあって、そういうものの集合体が色々な意味で村や町、果ては国を担っていくわけです。私たちはその集合体の中で暮らしていて、私は建築家としてその構成の一部を担っていると考えています。
スタッフ
そこまで広い視野で考えたことが無かったです…。確かに言われてみれば、家は社会の一部としての役割も果たしていますね。
酒井様
例えば、今は少し前よりも小さな住宅で良いと言われていますよね。これには省エネ化や少子化も関係していますが、なにより核家族化が進んだことが理由だと思います。私も今は夫婦2人暮らしですが、もしかしたら今後、独居状態になるかもしれない。そうなった時、社会とのつながりがどうしても薄れてしまうと思うんです。
スタッフ
確かに、特に年配の方の一人暮らしは心配ですね。だんだん外出なども面倒くさくなってしまいそうです。
酒井様
そうですね。私は今まで建築家としてたくさんの住宅を手掛けてきましたが、今は住宅を設計するということだけでなく、住宅と変わりゆく今の社会をどうつなげるのかということにも興味を持っています。例えば今狭小住宅の需要が高いように、社会が変わるにつれて家の在り方も変化していきます。そういう世の中と家の変化に柔軟に対応していきたいですね。
スタッフ
なるほど、長く建築に携わってこられた酒井様ならではの想いだと思います。他にお仕事の中でこだわっている点などはありますか?
酒井様
お客様が望んでいることと、私がプロとして培ってきた経験をどうマッチさせるかを考えて設計しています。総合的に考えて、施主様の要望とは違う意見を提案させていただくこともあります。
スタッフ
そうなんですね。具体的にはどのような提案をされるんですか?
酒井様
例えばなんとなく居心地が良い場所ってありますよね。生き物はいろいろな意味で意識的か無意識的かによらず、自分の居心地の良い場所を選ぶことがあります。家の天井の高さや広さなど、施主様の好みとは別の、そういう生物的な居心地の良さというのは必ずあるものなんです。
スタッフ
酒井様
住まいの場合、土地の環境に合わせる必要があるので、必ずしも施主様の要望通りに造ることが最適だとは限りません。そのため、総合的に考えて、施主様の要望とは別の意見を提案させていただくこともあります。もちろん断られてしまったら無理には通しませんが…。
スタッフ
でも提案してもらえるのはお客様にとってもありがたいと思います。
ほかに素材などでこだわりはありますか?
酒井様
自然素材を採りいれています。いま日本で使われている木材はほとんどが杉と檜ですが、栗なども使用しています。
スタッフ
栗は聞いたことがないです。珍しいですね。自然素材の魅力はどんなところにあるとお考えですか?
酒井様
自然素材はいろいろな要素を持っているんです。例えば木材は、吸湿性に優れていて人の汗も吸ってくれるので、長く使っていても肌触りがとても良い特徴があります。しかし新建材は見た目こそ木材ですが、中身は違うので調湿性も備わっていませんし、長く使っているとペタペタしてきます。
自然素材は時間が経てば経つほど風合いが出てきますし、紫外線でダメージを受けてグレイに変色してしまっても、カンナをかけてあげると元の色合いに戻ります。
スタッフ
1枚削ると元通りになるのは知らなかったです。良いところ尽くめですね!
酒井様
自然界にあるものは基本的に私たちに害がないんですね。でもその代わり、木も生き物なので、扱いには注意が必要です。例えば無垢材は梅雨の時期などに湿気を吸って膨らんで盛り上がってしまいますし、近くに火気があるとひび割れてしまうこともあります。
スタッフ
酒井様
そうですね。でもやっぱり自然素材は人にやさしい素材なので、長く暮らしていく住まいだからこそ、木材や土など体に害がないもので作ることは大事だと思います。そんな作り方をこれからも大事にしていきたいですね。逆に新建材などはほとんど使うことはありませんし。
スタッフ
酒井様
新建材はペラペラの木材を表面だけに張り付けたものなので、調湿などの効果は期待できないんです。確かにリーズナブルかもしれませんが、せっかく家を建てるなら多少高くても、床材や壁材などはこだわった方が良いと思います。
スタッフ
酒井様
それもそうですが、やっぱりひとつのものを大事に使うという気持ちが大切だと思うんです。現代は安いものから高価なものまでモノにあふれていますよね。でも個人的に長く使うものなどは高いものでも良いと思っています。最近は環境汚染の問題も浮き彫りになっていますし、個人個人の意識を変えることが大切なのではないでしょうか。そういう意味では、自然素材を家づくりに使うことは環境にも良いので素晴らしいと思います。
伝統工法を採り入れた最良の住まいづくりを心掛ける
スタッフ
酒井様は伝統的な木工法に力を入れているとお聞きしました。どういったものなのか詳しく教えて下さい。
酒井様
伝統工法は縄文、弥生時代にはじまり、長い歴史の中で日本人が日本の風土に合わせて培ってきた伝統的な木造の建築方式のことを言います。およそ1400年前にある程度確立された方法で、昭和初期位までずっと続けられてきました。
スタッフ
酒井様
そうですね。例えば伝統工法を引き継いで生まれたものとして軸組工法というものがあります。この軸組工法は、もともと戦後に材料もなく、職人さんもいない状況で、焼け野原に建物を作らなくてはいけなくなった時に、簡単で安く、早く、職人さんの技術が無くても建てることができる方法として確立されたものです。伝統工法は木と木だけで組んで、いろいろな技術を駆使して建物を建てていきますが、それは技術が高くないと難しい方法なんですね。
スタッフ
なるほど。確かにサイズを合わせるだけでも難しそうです。
酒井様
伝統工法に対して、在来工法は簡易的に木と木を組み、金物で補強するという方法です。今の家は在来工法で建てられた家がほとんどだと思います。2000年の建築基準法改正により、いろいろな基準が具体的に決まったため、今は金物を使ってしっかりと固める工法が為されています。それが良いのか悪いのかは言いづらいのですが、技術がない中では頼らざるを得ないのです。
スタッフ
そうなんですね。伝統的な住まいの魅力はどのようなところにあるとお考えですか?
酒井様
一概には言えませんが、開放的で、日本の四季が感じられるところだと思います。例えば日本の伝統的な住宅には、縁側や廊下など、外にもうちにも属さない中間的な空間があるんですね。縁側は特に、日本の四季を感じられる空間だと思います。今の住宅はインテリア・エクステリアと呼ばれるように、内と外が明確に分かれてしまっているので、そういう楽しみはあまりないのかなと思います。
スタッフ
確かに縁側などは開放感もありますし、四季を感じとれる場所ですね。他にも何かありますか?
酒井様
そうですね。伝統的な住まいは機械化や大量生産とは一線を画しているので、ゴミもあまり出ませんし、環境にも優しいと思います。今環境問題が深刻化してきていますし、大量生産・大量廃棄となるような家づくりはもう時代遅れですよね。
スタッフ
確かに環境問題には配慮しなければいけない状況ですよね。伝統的な住まいに興味を持ったきっかけがあれば教えてください。
酒井様
はっきりとした出来事があったわけではないのですが…やっぱり伝統的な建物や街並みはて美しいですし、魅力的だからです。世界各国を旅しましたが、観光地のほとんどは伝統的な建物や街並みがありますよね。ヨーロッパはその中で暮らしてもいますし。そこで培われてきた歴史と共に歩んできた建物の、ひとつひとつに意味もある。見た目だけでなく、そういう背景にあるものもとても魅力的に感じます。
スタッフ
酒井様にとって伝統的な住まいはどのようなものですか?
酒井様
伝統というもの自体が、守るべきものではなく、それを参考にしながら新しいものにしていくものだと思っています。代々継がれてきた伝統があるからこそ、次の社会が見えてくる。形そのものや工法は変わっていっても良いと思いますが、根本的な考え方や自然の在り方などは参考にしていかなければいけないなと思っています。
値段感と坪単価
坪単価:90~110万円万円
設備費などを含め90~110万円
DEN設計工房さんの坪単価は、設計費を除いて90~110万円くらいです。設備費などを含むトータルでの価格となります。
DEN設計工房のインタビューまとめ
長きにわたって受け継がれてきた伝統工法を、今の時代に合わせて採り入れ、家づくりに生かしている酒井様。環境問題にも着目したうえで、自然と人にどちらにもやさしい住まいづくりを心掛けていらっしゃいます。
「木の温もりが感じられる家を作りたい」「居心地の良い家が良い」という方は、ぜひDEN設計工房さんに相談してみてください。
DEN設計工房の詳細情報
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