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日本で古くからおこなわれている家づくりの技法のひとつに、伝統構法による「木組みの家」があります。釘などの金物を使用せず、パズルのように木だけを組み合わせて築き上げる「木組みの家」は、年月が経っても色褪せず、丈夫で災害にも強いことが特徴です。
そんな「木組みの家」にこだわり家づくりをしているのが、川崎市にある春紫建築設計事務所の赤川さんです。伝統構法を取り入れながらも、現代生活に合った省エネで快適に暮らせる家を目指されており、古さと新しさを融合させた家づくりが評判を呼んでいます。
今回は、赤川さんの伝統構法の家づくりへの想いや、仕事に対するやりがいについて、お話をお聞きしてきました。
得意なことを活かして、建築の道に進もうと決意
スタッフ
まずはじめに、赤川さんが建築の仕事を選ばれたきっかけを教えてください。
赤川さん
学生の頃は、数学と絵を書くことが得意だったんです。
高校の時の先生が、その得意分野を活かせるだろうということで、建築の道を薦めてくださったことがこの仕事を選んだ最初のきっかけです。
スタッフ
先生に薦められたことが最初のきっかけだったんですね。
赤川さん
そうですね。当時は建築の仕事と言っても何があるのか分からなかったので、自分で色々と調べてみたりしました。
そんな中、ある時、建築特集が組まれている雑誌を見つけたんです。そこに載っていた作品を見て、「美しい建物だなあ」「かっこいいなあ」と、とても心がときめきました。
こういう「人の心を動かせる美しい建物をつくってみたい」と思って、建築の道に進むことを決意したんです。
スタッフ
その作品と出会いが、建築の世界へ進むことに繋がったわけですね。
赤川さん
はい。それに、先生の言う通り自分の得意なことも活かせそうですし、向いているのかもしれないと思いました。
スタッフ
実際に建築の仕事に就かれてみて、数学や美術が得意だったことは活かせていますか?
赤川さん
そうですね。建築には美術的な感覚が必要ですし、数学の問題を解く行為と建物を設計をする行為はとても似ていると思いました。きっかけをくださった先生のおかげで、得意だったことを仕事に活かすことができています。
想い描く家のイメージを引き出す“スタイリング”
スタッフ
赤川さんのお仕事をされる上でのやりがいを教えてください。
住まい手さんに喜んでもらえた時が、仕事をしている中で一番やりがいを感じます。完成した家を喜んでいる住まい手さんを見ていると、こちらも嬉しく思いますね。
スタッフ
住まい手さんに喜んでもらえることですか。
なにか印象に残っているエピソードはありますか?
赤川さん
出来上がった家を見て、「お得感が満載なお家」と言って喜んでくださった方がいらっしゃいました。
何千万もかかった家づくりに対して、「お得」という言葉が出てくるとは思ってもみなかったので、そういう風に思ってくださるんだと驚きましたね。
スタッフ
たしかに、お家を建てる時にはなかなか出てこなそうな言葉ではありますね。
その住まい手さんは、どんな家を造られたのですか?
赤川さん
私のところでは、新築住宅は伝統構法による「木組みの家」をつくっているので、その方も「木組みの家」を建てられました。
「木組みの家」は、「木」を組み合わせて家を築き上げていくのですが、接合部分にも釘などの金物を使わずに本当に「木」だけを使って家を組み立てていくんです。材料で使う木材は、家に合うようにそれぞれ違う木から採ってきて、機械に頼らず職人さんの手で一本一本加工していく伝統的なやり方です。
スタッフ
そうなんですね!なぜ住まい手さんは「木組みの家」を「お得感が満載のお家」と感じられたのでしょうか?
赤川さん
家づくりをとことん楽しまれたのだと思います。
職人の手で一つ一つ木材を加工していく伝統構法の家づくりは、現代の一般的な構法に比べ、施工期間が長くなってしまいます。ですが、その住まい手さんはその長さを逆手にとって、家が出来上がる工程も楽しまれていました。
赤川さん
例えば、家づくりは材料の木を山から伐採してくるところから始まりますが、木が山から届いた時もワクワクしながら見に行きましたし、職人が木を加工する作業の時は友達も呼んで皆で見守っていました。内装のタイルの色選びも、一枚一枚じっくり迷いながら一緒に決めていきました。
スタッフ
家づくりの工程を思いっきり楽しまれて、大満足されたのでしょうね。
赤川さん
恐らくそうだとそうだと思います。それに、伝統構法の家は高いイメージをお持ちの方もいるかもしれないですが、実は坪単価はハウスメーカーさんと同じような値段なんです。
自分の家が出来上がる工程をひとつひとつ楽しみながら、普通に家を建てるのと同じくらいの費用で伝統構法の家を建てることができたので、「お得感が満載なお家」という一言が出てきたのかもしれないですね。
柱や梁がむき出しになっている「木組みの家」
「木組みの家」の外観。木の持つぬくもりが伝わるデザインです。
スタッフ
赤川さんは、住まい手さんとはどのように関わりながら家づくりをされているのですか?
赤川さん
私の事務所では、家の設計をするときは「スタイリング」という方法を取っています。建てる木を選ぶ時も内装を考える時も、「どういう空間にしたいのか」住まい手さんと話をしながら、イメージを図面に書いていく方法です。
家具や家のパーツも、住まい手さんが想い描いたイメージに合うように、最初はいくつかの候補を私の方で選んでから提案するようにしています。流行りの物だと、何年か経つと部品が作られなくなって、修理ができなくなることもあるのでなるべく避けて、木をメインに普遍的なものを選ぶことが多いですね。
赤川さん
家は大きな買い物なので、住まい手さんは内装のタイル一枚を選ぶのにも迷われることもありますが、そういう時は「どういう家にしたい?」と聞きながら、住まい手さんが想い描かれているイメージを引き出すようにしているんです。
アドバイスをするときも、「こういうのが良いんじゃないか」と家づくりがいい方向へ進むような、ポジティブなアドバイスをしています。
スタッフ
なるほど。頭の中では家のイメージがばっちりできていても、言葉で表現できないこともありますからね。
会話の中からイメージを引き出してくれて、理想を形にしてくれるのは、住まい手さんにとってもありがたいことですね。
次世代に技術を継承していくことが当たり前の世界に
「木組み」の見本を触られている赤川さん
スタッフ
赤川さんの家づくりにおける想いや信念も聞かせてください。
赤川さん
私は、伝統的な建物がとても好きなんですよね。
だから、古くから地域や国で継承されてきた伝統的な文化や技術に、自分も携わっていたいと思っています。
スタッフ
まさに、「木組みの家」も長い間受け継がれてきた伝統的な技術ですね。
赤川さん
そうですね。ですが、全国で造られている木造の家の中で、伝統構法による「木組みの家」はシェアが1%ほどしかないんです。伝統のモノはずっとあるので無くならないと皆さん思っているのかもしれませんが、1%まで少なくなってしまっているのだから、残す努力をしないと無くなってしまいます。
赤川さん
そして、技術だけではなく、伝統構法の家も残していく必要があると感じています。新築の家を建てる時はもちろんですが、伝統構法で建てられた家を修理する時も技術は必要となります。だけど、伝統構法の技術を持つ者がいなくなると、家は修理ができなくなるので取り壊さなければいけなくなってしまうんです。
1,000年間受け継がれてきた技を次の世代へ繋ぐために、伝統構法の家も残したいと思っています。
スタッフ
技術者が少なくなると、家を直すことができなくなってしまうのですか。長い間受け継がれてきた技術ですから、これからも残していきたいですよね。
ちなみに、赤川さんが思われる「木組みの家」の魅力はどういうところにありますか?
赤川さん
1,000年も前からあった技術だというところです。伝統的な技術を次世代に受け継いでいくことは、社会貢献的な役割も担えますよね。
機能としても優れていて、伝統構法で建てられた家は丈夫なことも魅力的です。木は変形する性質を持っているので、強い力が加わってめり込んだとしても、元に戻る粘り強い特性があります。地震にも強いので、倒壊を防ぐこともできるんですよ。
スタッフ
日本は災害が多い国ですから、安心して住める家は魅力的ですね。木がそんなに強い性質を持っているとは意外な発見でした。
快適に暮らせる家は、心と体の健康に繋がる
スタッフ
住まい手さんには、「木組みの家」でどのような生活を送ってもらいたいですか?
赤川さん
家の中では寒さや暑さを感じずに、快適な生活を送ってもらいたいと思っています。
スタッフ
そのような生活を送るために、家にはどんな工夫がされているんですか?
赤川さん
どの家も、温熱環境をしっかりと考えながら設計しています。
伝統構法の家は、「寒い」というイメージをお持ちの方も多いのですが、実は温熱環境に関しては昔からすごく研究されているんです。
通常、建物を建てる時は1年を通したその家の室内温度を想定して、建物の性能を高められるような設計をしています。伝統構法の家でも他の建物と同様の温熱環境を保てるように、温度や湿度をしっかりと計算をして設計しています。
赤川さん
温熱環境を整えることで、寒さや暑さを感じにくい家になるので、全ての部屋で快適に過ごすことができるようになります。「寒いから動きたくない」といった気温の影響を受けることもなくなるので、どの季節でも気温の制約なく快適に過ごすことができるんですよ。
スタッフ
1年中快適な温度で過ごせる家ですと、気温の変化によるストレスも減るので住み心地も良さそうですね。断熱性能が高いと熱が逃げにくいため光熱費も抑えられますし、環境にも優しい暮らしができるんじゃないでしょうか。
赤川さん
そうですね。過去にはエアコン1台で家全体を温められる家を設計したこともあります。
空気の流れや窓の位置などをしっかりと計算して、熱が逃げない仕組みを考えつつ、同時に住まい手さんの要望も叶えられるように工夫を凝らしています。
スタッフ
家には温度を逃がさない様々な工夫が取り入れられているのですね。
どうして、そのような断熱性能の高い家をつくろうと思われたのですか?
赤川さん
私はエコロジーな考え方に日頃から興味を持っていて、エネルギーをあまり使わない環境に優しい生活が送れたらいいなと思っているんです。そういう考えが根本にあるので、住まい手さんにも、家の中ではあまりエネルギーを使わずに快適に住んでもらいたいと思っています。
快適に暮らせる環境は健康にもつながるし、精神的にも安定するんです。人にも環境にもいい効果をもたらしてくれると思います。
スタッフ
最後に、これから家を建てようと考えている方にアドバイスをお願いします。
赤川さん
家づくりは、自分と合う設計者さんを見つけることが大切です。
家を建てる時は、まずは設計事務所を探すことになると思いますが、設計者と話してみて波長やコミュニケーションの仕方が自分と合わないと感じたら、その方は諦めて別の方を探した方がいいと思っています。
スタッフ
自分と合う設計者を見つけることが大事なんですね。
どうしてそう思われるんでしょうか。
赤川さん
家づくりにおいての設計者は、自分の気持ちを代弁して図面を書いてもらう、すごく大事な役割を担う人なんです。
家づくりでは「私の家はこうしたい」とあらゆる要望を設計者に伝えなければいけないですが、自分と合う設計者だといいアドバイスを沢山いただけると思いますが、自分に合わない設計者だとそういうコミュニケーションが全然できないんです。だから、まずは自分の波長に合う設計者を見つけることが大切なんです。自分に合う設計者と巡り会えると、本当にいい家ができると思いますよ。
スタッフ
自分に合う設計者と出会うことが、いい家づくりへの第一歩ですね。
本日は、インタビューありがとうございました。
木を繋ぎ合わせている仕組みについて、模型を使いながら丁寧に教えてくださりました。
合同会社春紫建築設計事務所のインタビューまとめ
伝統構法を守る傍ら、現代生活にも合った快適な家づくりを目指されている赤川さん。
「伝統構法の技術は、時間軸の中で今は私のところにあるだけで、次世代へ繋げることが当たり前」と語られる姿から、技術を守ろうとする強い想いが伝わってきました。
職人さんたちの精巧な技術と、木が持つ素材の強さを活かした伝統構法による「木組みの家」が気になった方は、ぜひ赤川さんの事務所に問い合わせしてみてくださいね。
合同会社春紫建築設計事務所の詳細情報
会社名 |
合同会社春紫建築設計事務所 |
所在地 |
〒211-0001 神奈川県川崎市中原区上丸子八幡町1495-1-406 |
代表者名 |
赤川真理 |
電話番号 |
044-789-8170 |
営業時間 |
10:00~18:00 |
公式HP |
http://www.harushi-architect.jp |
対応する工事 |
日・祝日 |
対応エリア |
伝統構法を主とした木造建築の設計監理 |
その他 |
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