日本で古くからおこなわれている家づくりの技法のひとつに、伝統構法による「木組みの家」があります。釘などの金物を使用せず、パズルのように木だけを組み合わせて築き上げる「木組みの家」は、年月が経っても色褪せず、丈夫で災害にも強いことが特徴です。
そんな「木組みの家」にこだわり家づくりをしているのが、川崎市にある春紫建築設計事務所の赤川さんです。伝統構法を取り入れながらも、現代生活に合った省エネで快適に暮らせる家を目指されており、古さと新しさを融合させた家づくりが評判を呼んでいます。
今回は、赤川さんの伝統構法の家づくりへの想いや、仕事に対するやりがいについて、お話をお聞きしてきました。
得意なことを活かして、建築の道に進もうと決意
スタッフ
赤川さん
高校の時の先生が、その得意分野を活かせるだろうということで、建築の道を薦めてくださったことがこの仕事を選んだ最初のきっかけです。
スタッフ
赤川さん
そんな中、ある時、建築特集が組まれている雑誌を見つけたんです。そこに載っていた作品を見て、「美しい建物だなあ」「かっこいいなあ」と、とても心がときめきました。
こういう「人の心を動かせる美しい建物をつくってみたい」と思って、建築の道に進むことを決意したんです。
スタッフ
赤川さん
スタッフ
赤川さん
想い描く家のイメージを引き出す“スタイリング”
スタッフ
スタッフ
なにか印象に残っているエピソードはありますか?
赤川さん
何千万もかかった家づくりに対して、「お得」という言葉が出てくるとは思ってもみなかったので、そういう風に思ってくださるんだと驚きましたね。
スタッフ
その住まい手さんは、どんな家を造られたのですか?
赤川さん
「木組みの家」は、「木」を組み合わせて家を築き上げていくのですが、接合部分にも釘などの金物を使わずに本当に「木」だけを使って家を組み立てていくんです。材料で使う木材は、家に合うようにそれぞれ違う木から採ってきて、機械に頼らず職人さんの手で一本一本加工していく伝統的なやり方です。
スタッフ
赤川さん
職人の手で一つ一つ木材を加工していく伝統構法の家づくりは、現代の一般的な構法に比べ、施工期間が長くなってしまいます。ですが、その住まい手さんはその長さを逆手にとって、家が出来上がる工程も楽しまれていました。
赤川さん
スタッフ
赤川さん
自分の家が出来上がる工程をひとつひとつ楽しみながら、普通に家を建てるのと同じくらいの費用で伝統構法の家を建てることができたので、「お得感が満載なお家」という一言が出てきたのかもしれないですね。

柱や梁がむき出しになっている「木組みの家」

「木組みの家」の外観。木の持つぬくもりが伝わるデザインです。
スタッフ
赤川さん
家具や家のパーツも、住まい手さんが想い描いたイメージに合うように、最初はいくつかの候補を私の方で選んでから提案するようにしています。流行りの物だと、何年か経つと部品が作られなくなって、修理ができなくなることもあるのでなるべく避けて、木をメインに普遍的なものを選ぶことが多いですね。
赤川さん
アドバイスをするときも、「こういうのが良いんじゃないか」と家づくりがいい方向へ進むような、ポジティブなアドバイスをしています。
スタッフ
会話の中からイメージを引き出してくれて、理想を形にしてくれるのは、住まい手さんにとってもありがたいことですね。
次世代に技術を継承していくことが当たり前の世界に

「木組み」の見本を触られている赤川さん
スタッフ
赤川さん
だから、古くから地域や国で継承されてきた伝統的な文化や技術に、自分も携わっていたいと思っています。
スタッフ
赤川さん
赤川さん
1,000年間受け継がれてきた技を次の世代へ繋ぐために、伝統構法の家も残したいと思っています。
スタッフ
ちなみに、赤川さんが思われる「木組みの家」の魅力はどういうところにありますか?
赤川さん
機能としても優れていて、伝統構法で建てられた家は丈夫なことも魅力的です。木は変形する性質を持っているので、強い力が加わってめり込んだとしても、元に戻る粘り強い特性があります。地震にも強いので、倒壊を防ぐこともできるんですよ。
スタッフ
快適に暮らせる家は、心と体の健康に繋がる
スタッフ
赤川さん
スタッフ
赤川さん
伝統構法の家は、「寒い」というイメージをお持ちの方も多いのですが、実は温熱環境に関しては昔からすごく研究されているんです。
通常、建物を建てる時は1年を通したその家の室内温度を想定して、建物の性能を高められるような設計をしています。伝統構法の家でも他の建物と同様の温熱環境を保てるように、温度や湿度をしっかりと計算をして設計しています。
赤川さん
スタッフ
赤川さん
空気の流れや窓の位置などをしっかりと計算して、熱が逃げない仕組みを考えつつ、同時に住まい手さんの要望も叶えられるように工夫を凝らしています。
スタッフ
どうして、そのような断熱性能の高い家をつくろうと思われたのですか?
赤川さん
快適に暮らせる環境は健康にもつながるし、精神的にも安定するんです。人にも環境にもいい効果をもたらしてくれると思います。
スタッフ
赤川さん
家を建てる時は、まずは設計事務所を探すことになると思いますが、設計者と話してみて波長やコミュニケーションの仕方が自分と合わないと感じたら、その方は諦めて別の方を探した方がいいと思っています。
スタッフ
どうしてそう思われるんでしょうか。
赤川さん
家づくりでは「私の家はこうしたい」とあらゆる要望を設計者に伝えなければいけないですが、自分と合う設計者だといいアドバイスを沢山いただけると思いますが、自分に合わない設計者だとそういうコミュニケーションが全然できないんです。だから、まずは自分の波長に合う設計者を見つけることが大切なんです。自分に合う設計者と巡り会えると、本当にいい家ができると思いますよ。
スタッフ
本日は、インタビューありがとうございました。

木を繋ぎ合わせている仕組みについて、模型を使いながら丁寧に教えてくださりました。
まとめ
伝統構法を守る傍ら、現代生活にも合った快適な家づくりを目指されている赤川さん。
「伝統構法の技術は、時間軸の中で今は私のところにあるだけで、次世代へ繋げることが当たり前」と語られる姿から、技術を守ろうとする強い想いが伝わってきました。
職人さんたちの精巧な技術と、木が持つ素材の強さを活かした伝統構法による「木組みの家」が気になった方は、ぜひ赤川さんの事務所に問い合わせしてみてくださいね。
会社名 | 合同会社 春紫建築設計事務所 |
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代表者名 | 赤川 真理 |
住所 | 〒211-0001 神奈川県川崎市中原区上丸子八幡町1495-1-406 |
電話番号 | 044-789-8170 |
公式HP | http://www.harushi-architect.jp |
営業時間 | 10時〜18時 |
定休日 | 日・祝日 |
主な事業 | 伝統構法を主とした木造建築の設計監理 |
対応エリア | 全国エリア |