新築のプランを見た目の良し悪しで考えようとする方は少なくありません。
ところが、見た目を先に決めてしまうと、快適な住まいを造るのが難しくなってしまいます。
なぜなら、日差しや風の出入りなどを考慮した建物にならないからです。
設計においては、自然のエネルギーをいかに効率良く取り入れるのかが重要になります。
自然の原理原則を意識することで、はじめて機器に頼りきらない最高のエコ住宅が造れるのです。
東京都練馬区にあるヤマダマシナリーオフィス合同会社さんは、水道・ガス・電気・空調換気などの設備設計を行っている事務所です。
設備設計を踏まえて、風の流れや日の入り方を計算に入れた、自然のエネルギーを活かす住宅設計を提唱しています。
今回は、ヤマダマシナリーオフィスの所長である山田さんにお話をうかがいました。
この記事では、山田さんが理想とする家づくりについて紹介いたします。
機能性の優れた家を考えるのが設備設計者の役割
スタッフ
設備設計とは、どのようなお仕事なのでしょうか?
山田さん
具体的には、水・お湯・排水設備、ガス設備、電気設備、空調換気設備、床暖房など、家中のあらゆる設備の設計ですね。
設備設計をおろそかにすると、いざ暮らし始めてから、暑い、寒い、結露が起きる、臭いが消えない、設備が使いづらいといった、さまざまな問題が起きかねません。
ですから、暮らしやすい家を造るうえで、設備設計は重要な役割を担っているのです。
スタッフ
失礼ながら、建築家さんが設備設計まですべて考えているものだと思っていました。
山田さん
ちなみに、建物の設計は、意匠設計・構造設計・設備設計の3つに分かれます。意匠設計では見た目を、構造設計では骨組みを考えます。
設備設計は人間に例えるなら内臓の働きのようなものですから、重要な役割を担っているにもかかわらず、注目を浴びる場面はほとんどありません。
スタッフ
建物の設計と聞くと、建築家さんだけを思い浮かべる方が大半だと思います。
山田さん
ところが、建築家さんは設備について専門外なので、本当に良い家を建てるには設備設計者の存在が欠かせません。
スタッフ
山田さん
建築家さんだけで設計するとデザインが優先されるので、設備についてはデザインに合わせて無理やり詰め込むハメになることが珍しくありません。
その結果、室外機が機能しづらいところに配置されてエアコンが効きにくくなってしまう、なんてトラブルが起きてしまうのです。
スタッフ
山田さん
建築家さんからお仕事をいただいている立場上、設備設計者である私にはアドバイスしかできないからです。
しかしながら、自分のデザインに強いこだわりを持っている建築家さんだと、アドバイスをしても聞き入れてもらえないケースも少なくありません。
スタッフ
山田さん
一応、現代の高度な設備を駆使すれば、快適な住環境を強制的につくり出すことは容易にできます。しかし、それではエネルギー効率が悪すぎて、財布にも環境にも優しくない家になってしまいます。
この仕事を始めてしばらくは、「本当に建て主さんがそんな家を求めているのか?」と疑問を持ちながらも、何もできない状態が続きましたね。
スタッフ
何か打開策はなかったのでしょうか?
山田さん
山田さん
日当たりや風通しによって建物の配置や間取りなど、快適性を左右する要素を先に決めたあとにデザインを考えるという、今までとは真逆のやり方を提案してみたのです。
スタッフ
山田さん
それだけに、自然のエネルギーを意識した住まいが実現して、建て主さん家族の幸せそうな笑顔を見たときは、本当に嬉しかったですね。
先人の知恵を活かして理想の建築を造る
スタッフ
山田さん
スタッフ
山田さん
山田さん
最適な間取り・形状・配置が判明したら、あとは導入する設備だけを決めて、そのほかは建築家さんにお任せしています。
スタッフ
山田さん
風は入口から出口に向かって流れる、暖まった空気は上に向かう、日の入り方は方位と太陽高度によって決まる、といった原理原則に沿って考えていくと、やがて1つのパターンに落ち着くのです。

高窓を取り付けると、高低差と温度差によって上昇気流が生じます。
すると空気の道ができて、自然と換気が行われます。
スタッフ
山田さん
ちなみに、日差しや熱の出入りを考えると、窓ガラスは不必要に大きくしてはいけません。
たまに大きなガラス張りの建物を見かけますが、エネルギー効率の視点から考えると避けた方がよいですね。見た目だけを優先すると、夏は暑く、冬は寒い建物になってしまいます。
スタッフ
山田さん
でも、なかには窓を閉め切った部屋は気持ち悪い、エアコンの風が嫌いだ、という方も少なくありません。そういう方々のために、私は昔ながらの日本建築をつくりたいのです。
スタッフ
エアコンなんて存在しない時代の、エネルギー効率に優れた建築を目指したいのですね。
山田さん
それだけに、昔の家は自然の原理原則を完全に読み取って造られています。自然のエネルギーを最大限活用して循環させる昔の家こそ、本当に凄い建物なんです。
スタッフ
もっと昔の知恵を活かさないと、もったいない気がします。
山田さん
現代になって、伝統的な日本建築の良さは全部捨てられてしまいました。これだけの素晴らしい知恵を、なぜ捨ててしまったのでしょうか?
本当にもったいないと思うからこそ、私は先人の知恵を活かした家づくりを目指したいのです。
建て主様が笑顔になれる家をつくりたい
スタッフ
山田さん
ただ、お問い合わせをいただいたときは、仲の良い建築家さんと協力して新築を引き受けます。建て主さんの期待には、ぜひ応えたいですからね。
スタッフ
ちなみに、山田さんに直接お問い合わせをする方は、何をきっかけに山田さんを知るのでしょうか?
山田さん
自然のエネルギーを効率的に活かす仕組みについて書かれた本なんですよ。

こちらが「エアコンのいらない家」の表紙です。
オフィシャルサイトもあります。
山田さん
スタッフ
山田さん
私が打ち合わせに行ったときには、2年3年と時間をかけて間取りをほぼ決め、ようやく設備設計について決めようとしているタイミングでした。
山田さん
そんな状況で「エアコンのいらない家」の著者である私に出会ったので、建て主さんは建築家さんと相談のうえ、ゼロからプランの作り直しを決めました。
スタッフ
一から作り直し始めたあと、どのくらい時間がかかったのでしょうか?
山田さん
建物の周辺環境を読み取り、最良の間取りを軸に据えて考えたプランですから、建て主さんも納得しやすかったのだと思います。建て主さんから、「子どもたちの走り回る姿が想像できます。この家にすぐに住みたいです」とおっしゃっていただきました。
一生に一度の買い物で失敗するのは本当に不幸ですから、上手くいって良かったと思います。
スタッフ
山田さん
私が表に出る機会は滅多にありませんが、建て主さんから「山田さんに相談して良かった」とおっしゃっていただけたら、すべてが報われる気がします。
まとめ
京都には中世に造られた古いお寺が数多く残っています。
そのなかに、「蓮華(れんげ)寺」という紅葉で知られる小さなお寺があります。
屋内へ足を踏み入れた瞬間に感じるのは、空気の流れです。
肌をなでるような心地良い風に、安らぎを覚えることでしょう。
さながら呼吸をしているように感じるかもしれません。
昔の日本建築は、建物そのものが自然の一部となっています。
自然の動きを正確に読み取り、逆らうことなく、意図する方へと導きます。
山田さんが目指すのは、そのような自然と一体となった最高のエネルギー効率を誇る建物です。
住みやすさを求めるのなら、ヤマダマシナリーオフィス合同会社さんにぜひご相談ください。
会社名 | ヤマダマシナリーオフィス 合同会社 |
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代表者名 | 山田 浩幸 |
住所 | 〒177-0041 東京都練馬区石神井町3-30-23-502 |
電話番号 | 03-6913-4123 |
公式HP | https://www.ymo-gbac.com/ |
営業時間 | 10:00~19:00 |
主な業務 | 「エアコンのいらない家」の設計・監理、 「エアコンのいらない古民家リノベーション」の基本設計 |
対応エリア | 基本的には東京近郊の地域 |