新築を建てようと考えた際、気になることの1つに「住居のメンテナンス」があります。
家を建てれば一生そのまま住み続けられると思われがちですが、壁や屋根といった外にさらされている箇所や、劣化しやすい資材が使われている場所は、定期的なメンテナンスが必要です。 特に、屋根や壁の老朽具合によっては、資材をまるごと張り替えるケースもあり、思わぬ出費を強いられることも。
そんな中、最近では「メンテナンスフリーな住居」を提案するハウスメーカーが増えてきました。 メンテナンスが不要になれば嬉しいと、興味を抱いている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、メンテナンスフリーとはどういうものなのかを解説したうえで、サービスを提供しているハウスメーカーをご紹介していきます。
「メンテナスフリーのサービスを提供するハウスメーカーの情報を知りたい」
「ハウスメーカーごとの特徴を知りたい」
と思っている方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
メンテナンスフリーの家とは?
まず、大前提として覚えていただきたいのが「メンテナンスが永遠に不要な住居は存在しない」ということです。 なぜかというと、たとえ外壁や屋根そのものの資材の耐久性が高く、塗装の必要もない素材であっても、資材を接着する素材などが老朽化すれば、当然メンテナンスが必要になるからです。
「それじゃあ、メンテナンスフリーの家とはどういう家なの?」と疑問に思われそうですが、通常メンテナンスフリーの家とは、「長期間メンテナンスの必要がない住居」のことを指します。
長期間が何年を意味するのかはハウスメーカーによって異なりますが、10〜30年ほどの耐用年数を持った外壁資材や屋根資材を耐用期間の長い資材とみなし、「メンテナンスフリー」と呼んでいます。
とはいっても、たとえば外壁であったら、外壁資材そのものの部分がメンテナンスフリーであっても、外壁の接着に使うモルタルなどが劣化する場合があります。そのため、メンテナンスフリーの住居であっても、定期点検に加え、5〜10年に1度のメンテナンスが推奨されるケースが一般的です。
メンテナンスフリーの家は、本当に良い家なの?
住居のメンテナンスに時間とお金をかけたくない方にとって、メンテナンスフリーの住居は魅力的に映ります。
しかし一方で、メンテナンスフリーの家は、一般的な資材を使用した家より割高になる傾向があるため、注意が必要です。ハウスメーカーによって費用はまちまちですが、何十年と住んでみたら、メンテナンスフリーの住居とそうでない住居にかかるトータルの費用に差がないケースもあるそうです。
見方を変えると、建築時の予算を上乗せしメンテナンスフリーを採用すれば、住んでからのメンテナンス費用や頻度を抑えられるということです。新築の建設時なら、住宅ローンの中に費用を組み込める点も大きなメリットといえます。
まとめると、メンテナンスフリーの住居がおすすめな方は、次のとおりです。
- 住み始めてからのメンテナンス費用と頻度を最小限に抑えたい
- 新築建設時に資金の余裕がある
- 住宅ローンに組み込みたい
メンテナンスフリーの住居を検討する際は、建設時や将来の資金計画を考慮したうえで、導入の是非をご判断ください。
メンテナンスフリーを選ぶ前に、押さえておきたいポイント
メンテナンスフリーと一言に言っても、ハウスメーカーごとに使用する資材や特徴はさまざまです。 そのため、やみくもに情報に触れても、何を基準に良し悪しを判断すればいいのか悩む可能性があります。
ハウスメーカーを選ぶ際は、次の4つの項目を踏まえて、総合的に判断していくことが大切です。
- 耐久性
- 耐火性・耐震性
- メンテナンスのしやすさ・費用
- 資材の種類
耐久性の強い資材であれば、交換の必要がなく、長期間使用することができます。万が一火災や地震が住居を襲っても大丈夫なように、外壁や屋根資材の耐火性・耐震性を確保することも重要なポイントの1つです。
メンテナンスのしやすさや、かかる費用も重要なチェックポイントです。メンテナンス費用のかかりやすい箇所の代表格である外壁は、足場を組むだけで多額の費用が発生するため、できるだけ大がかりなメンテナンスとならない外壁材を採用することが理想的です。
資材の種類においては、軽量な素材を使用したほうが地震の揺れに強い利点があります。また、素材そのものの色がキレイであれば、色あせの心配がなく、再塗装する手間も省けるでしょう。
デザインや防音性といった点も気になりますが、メンテナンスフリーのサービス内容を検討する際は、まず上記の4つのポイントを押さえることが大切です。
メンテナンス頻度を抑えられる外壁資材
ここでは、耐久性が強く、メンテナンス頻度をぐっと減らすことの可能な資材を紹介していきます。
サイディング(窯業系、金属系)
外壁に用いる仕上材の板のことを、サイディングといいます。一昔前はモルタルを外壁に塗ることが主流でしたが、工期短縮や安定した品質のメリットから、最近ではサイディングを利用した外壁が増えてきています。
サイディングと一言に言っても、窯業(ようぎょう)・金属・木質・樹脂とさまざまな材質があります。その中でも耐久性に優れているのが、窯業系や金属系のサイディングといわれています。
窯業系や金属系のサイディングであれば、色あせやひび割れも起きにくく、長い間サイディング本体を交換しないで利用し続けられます。もちろん、永遠に劣化しないわけではないので、定期的な点検が求められるほか、劣化や汚れの生じやすい目地材(コーキング材)の部分補修が必要です。
タイル
耐久性の高い材質として評判の高いものが、タイルです。 サイディングと比べても高い耐久性があり、雨風や強い日差しによる劣化の少ない材質です。
タイル自体の劣化がほとんどないことから、メンテナンスをする際には、下地や目地の部分的な補修で済ませられるのも大きなメリットといえます。
建築用語で下地は、仕上げ材を設置するために使用する土台部分を指します。私達が普段目にする壁や床は、下地の上に仕上げ材を設置したものです。下地があることによって、建物の構造が強化されたり、仕上げ材がキレイに設置できたりします。
一方、目地とは材料の継ぎ目の部分を指します。お風呂場の壁を見てみると、タイルの間に白いゴムのような物が挟まっていないでしょうか。これは、タイルとタイルのすき間(=目地)を埋めるために、セメントや合成樹脂のような目地材が使用されている状況です。
高級感のあるタイルは住居をオシャレに見せる効果があることから、外壁をタイルにしようと考えるお施主さまも少なくありません。
このように、耐久性と高級感を兼ね備えたタイルですが、ネックとなるのは価格面です。 サイディングの倍の初期費用がかかるケースもあるため、費用面で外壁タイルを断念される方も多いようです。
メンテナンス頻度を抑えられる屋根資材
続いては、屋根のおすすめ資材を紹介していきます。
日本瓦
日本で古くから利用されている瓦は、耐用年数の長い資材の1つです。セメントで作られた瓦の耐用年数は30〜40年ほどですが、粘土が素材の伝統的な日本瓦の場合、50〜80年の耐用年数があると言われています。
日本瓦は、耐火性・防水性に優れているのに加え、塗装する必要があまりないことも、大きな強みです。 デメリットとしては、瓦に重みがあるため、地震が発生した際に揺れを感じやすい建物構造となってしまうことが挙げられます。
銅板
銅を板状にしたものを銅板と呼びます。銅板も日本瓦と同様に、古くから日本の住居に使用されてきた、耐久性のある屋根資材です。
耐久性があるだけでなく、軽量であることから、耐震性も期待できます。 和風建築と組み合わせると建物の統一感がぐっと増すため、和テイストな住居をお考えの方にとって魅力的な屋根資材といえるでしょう。
デメリットとしては、防音性の低さがあります。雨音などが大きく響きやすいため、気になる方にとってはストレスに感じてしまいます。 また、最近では使用されることが少なくなってきたことから、施工できる業者が少ないのも悩ましいポイントです。
ガルバリウム鋼板
アメリカ発のガルバリウム鋼板は、アルミニウム・亜鉛・シリコンを混ぜて作られた資材です。
軽量で耐久性に優れていることから、屋根だけでなく外壁にも使用されます。一昔前は屋根資材といえば瓦でしたが、最近ではガルバリウム鋼板のような金属の屋根を採用する住居が増えています。
錆びにくく、メンテナンス頻度を抑えられるガルバリウム鋼板ですが、厚みがないため、ほかの資材と比べると断熱性や防音性が低い傾向にあります。
そのため、ガルバリウム鋼板を屋根資材として使用する際には、断熱材を加えたり、断熱効果を備えたガルバリウム鋼板を使用したりするケースが一般的です。
メンテナンスフリーを実現できる住宅会社の選び方
ここまで、メンテナンスフリーの考え方や、メンテナンス頻度を抑えられる外壁・屋根材について解説してきました。
ここからは、それらを実際の家づくりで実現できる住宅会社をどう選ぶかという視点でお話しします。
ポイントを押さえて比較することで、住んでから後悔しない家づくりにつながります。
標準仕様かどうかを確認する
まず確認したいのが、メンテナンスフリーをうたう素材が「標準仕様」なのかどうかです。
標準仕様とは、最初からプランに含まれている基本グレードのことを指します。
「オプションで変更できます」と言われることもありますが、標準仕様が一般的なグレードの場合、その会社自体が高耐久な素材や施工に慣れていない可能性も否定できません。
デザイン性だけで判断するのではなく、「標準仕様で、どこまで耐久性の高い素材を使っているか」を冷静にチェックすることが大切です。
長期保証の内容と免責事項を確認する
「最長60年保証」など、長期保証をアピールする住宅会社は少なくありません。
ただし、その内容をよく見ると、一定期間ごとの有償メンテナンス工事が条件になっているケースも多く見られます。中には、1回あたり数百万円かかることもあります。
本当にメンテナンスフリーを目指すのであれば、以下の点を契約前に必ず確認しておきましょう。
- 保証を延長するために必須となる有償工事はあるのか
- 雨漏りや構造上の不具合が起きた場合、無償対応の範囲はどこまでか
信頼できる住宅会社であれば、メリットだけでなく施主側が負担する条件や免責事項についても、隠さず丁寧に説明してくれるはずです。
築10年以上の「OB宅」を見学させてもらう
営業担当者の説明や資料も大切ですが、実際の建物を見ることで言葉以上に説得力をもって感じられるはずです。
可能であれば、完成直後のモデルハウスではなく、建築から10年〜15年ほど経過した「OB(入居者)宅」の見学をお願いしてみましょう。
外壁や屋根の状態、汚れ方、ひび割れの有無など、経年変化のリアルな姿を見せてくれる会社は、自社の施工品質に自信がある証拠とも言えます。
反対に、頑なに見学を断られる場合は、将来的な劣化に不安がある可能性も考えられます。
メンテナンスフリーな家づくりについてのまとめ
メンテナンスフリーな家は、新築後の点検や修繕にかかる手間や費用を大きく抑えることができます。
住み始めてから「こんなに維持費がかかるとは思わなかった」と後悔したくない方にとって、有力な選択肢の一つと言えるでしょう。
『コノイエ』では、メンテナンスフリーな家づくりを重視している建築家・工務店のご紹介も行っています。
少しでも気になる方は、お気軽にご相談ください。










