不動産担保ローンの審査項目と基準

保有している不動産を担保にして、まとまったお金を借り入れる不動産担保ローンは、利用するにあたり審査に通過する必要があります。

このとき、審査の材料として参照される項目は、大きく分けて「融資希望者の信用力」と「不動産の価値」の2つです。どちらか一方でも基準を満たせなければ、希望通りの条件で融資を受けられません。

「ほかにカードローンなどの借金がある」方や「融資希望額が年収を上回っていて、審査に通るか不安」な方は、不動産担保ローンの融資審査を受ける前に、審査で判断される項目と基準を本記事でチェックしておきましょう。

不動産担保ローンの審査の流れ

不動産担保ローンの審査から借り入れまでのプロセスは、以下のような流れが一般的です。

  1. 電話・公式ホームページから問い合わせ
  2. 担保にする物件や諸条件をもとに仮審査
  3. 来店して借入申込書に記入し、本申込を実行
  4. 本審査によりローンの可否が決定
  5. 契約に関する説明を受けたのちに契約・融資実行

融資実行までの期間はローンの種類や金融機関によって異なり、「スピード融資」を謳う会社であれば申し込みから数日でローンを利用できるケースもあります。

ただし、不動産担保ローンは「不動産の担保価値」を評価する作業を要するため、余裕をもって最長1~2ヶ月程度かかるものだと認識しておきましょう。

仮審査

不動産担保ローンにおける仮審査は、次の情報をもとにして簡易的に融資の可否を判断するものです。

  • 担保に設定する「不動産の所在地・面積」
  • 融資希望者が提示した「ローンの希望条件」

この工程で担保評価の概算を求め、その評価が希望する融資額より高く見積もられた場合に、不動産担保ローンの本申込・本審査へ進みます。

本審査

仮審査を通過して正式に本申込を行ったのち、本審査が始まります。仮審査とは異なり、本審査は融資可能額を見極めるために、多数の書類を提出しなければなりません。

どのような書類が必要となるのか、以下に一例をピックアップしました。

本審査に必要な書類の一例

  • 不動産登記簿謄本
  • 本人確認書類
  • 収入証明書
  • 公図
  • 固定資産評価証明書
  • 納税証明書

これら以外に、他のローンがある場合は「残債を確認できる書類」を求められたり、法人であれば「商業登記簿謄本」が必要になったり、申し込んだ金融機関や融資希望者の立場に応じて必要書類は増減することに留意してください。

こうして提出した情報をもとに、金融機関が設定した審査基準をもちいて本審査が行われます。

不動産担保ローンの審査基準

不動産担保ローンの審査において、金融機関は次の要素から融資希望者の返済能力を判断します。

  • 融資希望者の信用力
  • 不動産の価値(担保評価)

それぞれ、具体的にどのような項目が評価対象になるのかご説明します。

融資希望者の信用力の審査

融資希望者の信用力は、過去の借り入れ情報や収入など、金銭に関するパーソナルな情報から判断されます。

希望通りの金額で審査を通過し、融資を受けたい方は、どのような条件を満たせば「優良な融資希望者」だと判断されるのか事前に確認していきましょう。

過去の借り入れで延滞をしていないか

過去に借りた債務の返済を複数回延滞したり、自己破産を行ったりしていた場合は、融資審査に通る可能性が極めて低くなります。確率としては、ほぼゼロだといっても過言ではありません。

延滞や債務整理などのお金にまつわる事故情報を参照すると、金融機関は「返済能力に問題がある」と判断します。また、個人信用情報に登録された事故情報は、5~10年のあいだ残り続けます。

なお、延滞による事故情報の記録は、61日以上滞納した場合、3ヶ月連続で返済を延滞した場合に行われるため注意してください。意図的に消す方法はないため、対策としては「今後、支払いを延滞しない」程度に限られます。

自身の信用情報が気になるのであれば、「CIC」に開示を申請することで閲覧可能です。

現在、他の金融機関から借り入れをしているか

全く借り入れをしていない状態と、他の金融機関から借り入れをしている状態では、後者の方が返済能力を低く見積もられます。借入金額によっては貸し倒れのリスクが高くなると判断されるため、審査に通らない可能性が高くなるのです。

審査の成否は担保とする不動産、および融資希望者の信用力に大きく依存するため、一概に「すでに借り入れがある」といって審査落ちするわけではないものの、プラスの材料にはならないものと考えておきましょう。

毎月の返済額が収入と釣り合っているか

毎月の返済額と収入のバランスを算出するとき、「返済負担率」という考え方はもちいられます。返済負担率の求め方は以下の通りです。

返済負担率の計算式
返済負担率=返済額÷収入

たとえば、毎月の収入が30万円であるのに対し、月々の返済額が10万円であれば返済負担率は30%です。一般的には、返済負担率が35%を超えたあたりから、審査通過が難しくなるといわれているため、これを1つの目安として考えましょう。

ただし、年収が増えるに従って、許容される返済負担率は高くなる傾向にあるため、返済負担率が35%を超えた場合に必ず否認されるわけではありません。他の項目と同様に、ケースバイケースで対応が変わるポイントのため、目安程度に捉えておきましょう。

安定して返済が続けられるか

不動産担保ローンを利用するとき、参照される返済能力は現時点のものだけではありません。勤続年数や年齢をもとに、今後も安定して返済できるのか判断されるのです。

一般的には、勤続年数(法人の場合は事業年数)が長いほど「今後も同じ勤務先で働き続ける」と判断されやすく、借入時の年齢が若いほど「現役で働ける期間が長い」と評価される傾向にあります。そのため、勤続年数・定年までの年数が長いほど、審査に通過する可能性は高いと捉えて問題ありません。

不動産の価値の審査

不動産の価値は、土地と建物部分の合計価格によって審査されます。簡単に説明すると担保の不動産価値が、希望の融資額より高いほど、審査において有利です。それは将来ローンの返済が滞ったとき、担保にした不動産で補填が可能と判断されるからです。

数あるローンのなかで、たびたび「不動産担保ローンの審査は易しい」と評されます。これは、契約によって「債務不履行となれば担保の不動産を売却できる」といった、金融機関側のリスクを軽減する取り決めが行われるからです。
どのような項目をもとに不動産の価値が決まるのか、順を追って解説していきます。

土地の審査

不動産の価値は「土地の価値+建物の価値」の合計であるため、担保評価を求めるにあたり土地の価値を算出しなければなりません。土地の価値を評価するとき、もちいられる判断材料は以下のような指標です。

土地評価 公表する機関
路線価 国税庁
公示価格 国土交通省
基準地価 都道府県知事
固定資産税評価額 各市町村

それぞれ、自治体や官公庁が算出している評価で、不動産の担保評価や売買価格を決める際に利用されます。

このうち、一般的には路線価を基準にするケースがほどんどです。路線価は、道路に面した宅地における「1㎡あたりの土地評価額」を示したもので、相続税や贈与税を計算する場合にも使われます。

こうした役割を持つ路線価は、実際に売買される土地価格よりも、1~2割ほど下回る価格が付けられています。そのため、路線価を担保評価として採用することで、土地の評価は「実際の市場価値より低い評価」としてあらわれるのです。

つまり、金融機関が提示する担保評価は、いざ売却する際に「これより1~2割は高く売れるだろう」といえる、債務回収の確実性を重視した評価が下されます。

建物の審査

建物部分の価値は、土地の評価とは異なり公開されている指標がありません。そのため、担保にする不動産の建物構造・築年数・延べ床面積をもとに、以下のような方法で算出します。

建物価格を求める計算式
建物価格=再調達価格×延べ床面積×(残存年数÷法定耐用年数)

上記のうち「残存年数」は、法定耐用年数から築年数を差し引いた年数です。この計算式に対して、建物構造に応じた再調達価格と法定耐用年数を当てはめます。

建物構造 再調達価格 法定耐用年数
木造 15万円/㎡ 22年
軽量鉄骨造 15万円/㎡ 19年
重量鉄骨造 18万円/㎡ 34年
鉄筋コンクリート造 20万円/㎡ 47年

築年数が10年経過している、延べ床面積200㎡の木造物件であれば、次のような計算により建物価格は約1,636万円だと分かります。

建物価格を求める計算式
約1,636万円=15万円/㎡×200㎡×(12年÷22年)

なお、残存年数がゼロになっていた場合、建物価格はないものとして扱われるため、担保評価は土地の価値のみを採用することに注意してください。

不動産の価値が低い場合は審査結果に影響する

ここまでのプロセスで、担保にする不動産の価値を算出できました。しかし、土地と建物の合計価格が、そのまま融資額として反映されるわけではありません。

不動産の売却価格は時期によって変動するため、現時点の評価額で売れない懸念があります。そのため、担保評価を求める際は「掛目(かけめ)」を適用して、よりシビアに融資の上限額を算出します。

一般的には、不動産の価値(土地の価値+建物の価値)に対して、0.7~0.8を掛けた値を「融資限度額」として採用するケースが大半です。

建築基準法を違反した物件・再建築不可の物件は原則NG

既存不適格建築物等の建築基準法に抵触している物件や、再建築不可となっている物件を担保にした場合、審査を通過する確率は極めて低くなります。

これらは債務不履行となった際、売却しても債務を回収できない可能性があり、金融機関側が大きなリスクを負うからです。

なお、担保にする物件が、何らかの条件に抵触しているのか事前に調べる際は、建築確認を行う指定確認検査機関や役場に相談する必要があります。

不動産担保ローンをどこで組むか

不動産担保ローンを組むときは、資金が必要となるタイミングに間に合うよう、融資スピードが希望範囲内かつ低金利な商品を選ぶのが一般的です。ただし、理想通りに進むとは限らないのが不動産担保ローンの難しいところ。

たとえば、融資希望者の信用力・不動産の価値が評価されづらい、もしくは住宅ローンなどのローンをすでに利用しているなど、個々の問題に悩まされるケースは多々あります。

こういった場合には、融資スピードや金利、事務手数料などと折り合いを付けながら、以下のような選択肢を検討しなければなりません。

問題 ローンを利用するための対策
信用力・担保が評価されづらい 審査の易しいノンバンクを利用
ローンをすでに利用している 抵当権が第二順位でも問題ない機関を利用

一般的な銀行融資は審査が厳しく、信用力・不動産の価値をシビアに評価されるため、これらの項目に自信がなければノンバンクを利用するべきです。

ノンバンクは金利がやや高いものの、銀行とは異なる審査基準を設けているケースが多く、銀行に比べて審査に通過する可能性はグッと高まります。

また、すでにローンを組んでおり、抵当権(担保売却による債権回収の権利)の第一順位が決まっている場合は、抵当権が第二順位でも問題ない金融機関を探すことで対応可能です。

銀行よりノンバンクの方が、抵当権の順位に寛容であるケースは多いのですが、銀行のなかにも第二抵当権を受け入れているケースはあります。一例として、メジャーなネット銀行の1つである、住信SBIネット銀行の回答をご紹介します。

Q.〔不動産担保ローン〕住宅ローンの抵当権がついていますが、借入れることはできますか?
A.担保物件については、住宅ローンの抵当権が付いていても、お申込みができます。
なお、お借入れには各種条件がございますので、お申込み時にご確認ください。

引用元:住信SBIネット銀行「Q&A・よくあるご質問

このようなスタンスの金融機関は多数見つかるため、ローンの利用が必要だと分かった段階で早々にリサーチを始めましょう。

まとめ

担保にできる不動産があれば、不動産担保ローンは有力な資金調達の選択肢になります。しかし、自身の信用力だけでなく不動産の価値も審査基準に加わるため、融資の可否が決まるまでの仕組みはやや複雑です。

これを理解しないまま、やみくもに融資交渉をしても希望通りの条件で審査に通る確率は低いため、本記事で学んだ知識をフル活用して利用先を探してみてください。