マイホームの維持費は年30万円以上!維持費を節約できる家造りのポイント

ついに念願のマイホームを購入! 「コツコツ貯めてきた頭金もあるし、住宅ローンの審査が通ったら、あとは毎月ローンを返済するだけだ!」とお考えの方は、少しだけ注意が必要です。

マイホームに住んで毎月出ていくお金は、住宅ローンだけありません。税金・保険料・修繕費といった維持費が年間で30万円以上も必要となるのです。

そこでこの記事では、マイホームを建てたあとにかかる維持費や、維持費を抑えられる家造りのポイントについて解説していきます。 これからマイホームを建てたいとお考えの方は、ぜひ参考になさってください。

マイホームに必要な3つの維持費

マイホームを建てると、必ず必要となるのが「①税金」と「②保険料」です。 さらに、建物の経年劣化を見越した「③マイホームの修繕費用」もあらかじめ積み立てておくとなると、マイホーム全体にかかる維持費は年間30万円以上にものぼります。

戸建て

そこでこのトピックでは「①税金」「②保険料」「③修繕費用」について、順番に解説していきます。

①税金

税金

マイホームに必要な税金は「固定資産税」と「都市計画税」の2つです。

固定資産税

固定資産税は「建物」や「土地」といった不動産を所有している人に課される税金です。毎年4月~6月に各自治体(東京23区は東京主税局)から「課税明細書」が送付されますので、具体的な金額は課税明細書で確認しましょう

固定資産税の相場 10万円30万円/年
支払いのタイミング 年4回(東京都では6月、9月、12月、2月)の分割払い、年払いも可

固定資産税は、地価の変動や建物の構造・設備等によって大きく異なるため、場合によっては10万円未満になったり30万円以上になったりすることもあります。

固定資産税の計算方法

あらかじめ金額を把握しておきたい方は、以下の方法で概算を計算できます。なお、土地と建物は別々に計算してください。

固定資産税」=「固定資産税評価額」×「標準税率(1.4%)

固定資産税評価額とは、各自治体によって算定された、土地や建物の評価額です。 しかし正確な評価額を求めるには、土地の場合は「路線価」等を、建物の場合は「再建築費評点」や「経年減点補正率」等を考慮しなければならないため非常に複雑です。

そのため、目安として、土地の評価額は公示地価の70%、建物の評価額は購入金額の70%で計算するのが一般的です。また税率は各市町村によって異なりますので、詳しくはお住まいの自治体に確認してみてください。

固定資産税の軽減措置

土地や建物の固定資産税には、負担を減らすための軽減措置が設けられています。

土地 小規模住宅用地(200㎡以下の土地) 評価額が1/6になる
一般住宅用地(200㎡を超えた部分) 評価額が1/3になる
建物 戸建て 評価額が1/2になる(3年間のみ)
マンション 評価額が1/2になる(5年間のみ)

なお、建物の軽減措置は、令和4年3月31日までに建てられた新築が対象です。そのため、中古住宅の場合は土地の軽減措置のみが対象です。

固定資産税の具体的な計算例

軽減措置を踏まえて、実際にマイホームの固定資産税を計算してみましょう。

例:公示地価3000万円の土地(200㎡以下の小規模住宅用地)と、購入金額2000万円の新築住宅の場合

  • 土地

    評価額:3000万円×70%=2100万円
    軽減措置:2100万円×1/6=350万円
    固定資産税:350万円×1.4%=4万9000円

  • 建物

    評価額:2000万円×70%=1400万円
    軽減措置:1400万円×1/2=700万円
    固定資産税:700万円×1.4%=9万8000円

  • マイホームの固定資産税

    4万9000円(土地)+9万8000円(建物)=14万7000円

なお、固定資産税は3年に1度見直しがあります。その際に、地価の変動や、建築資材の物価変動(再建築費評点補正率)等を考慮して、新たな評価額が算出されます。

都市計画税

都市計画税は、道路建設や上下水道の整備などに充てられる税金で、マイホーム が「市街化区域」内にある人に課せられます。あなたのお住まいが市街化区域かどうかは自治体に確認してみてください。

また「課税明細書」は、固定資産税とひとまとめにして毎年4月~6月に各自治体(東京23区は東京主税局)から送付されます。

都市計画税の相場 1万円5万円/年
支払いのタイミング 年4回(東京都では6月、9月、12月、2月)の分割払い、年払いも可
都市計画税の計算方法

都市計画税は、以下の方法で概算を計算できます。

都市計画税」=「固定資産税評価額」×「制限税率(0.3%)

都市計画税の税率も一律ではなく、0.3%を上限に各市町村で設定しています。詳しくはお住まいの自治体に確認してみてください。

都市計画税の軽減措置

固定資産税と同様、都市計画税にも軽減措置がありますが、対象は「土地」のみとなります。

土地 小規模住宅用地(200㎡以下の土地) 評価額が1/3になる
一般住宅用地(200㎡を超えた部分) 評価額が2/3になる
都市計画税の具体的な計算例

では、実際にマイホームにかかる都市計画税を計算してみましょう。

例:公示地価3000万円の土地(200㎡以下の小規模住宅用地)の場合

  • マイホームの都市計画税

    評価額:3000万円×70%=2100万円
    軽減措置:2100万円×1/3=700万円
    都市計画税:700万円×0.3%=2万1000円

②保険料

保険料

マイホームに必要な保険は、「火災保険」と「地震保険」の2つです。

火災保険

住宅ローンを利用する場合、原則として火災保険への加入が必須です。

火災保険は、火災だけでなく、必要に応じて「落雷」「破裂・爆発」「風災」「ひょう災」「雪災」「水災(台風・暴風雨)」「家の損傷・汚損」「水濡れ」「外部からの衝突・落下・飛来」「盗難」等も補償対象にできます。

火災保険の相場 5,000円50,000円/年
支払いのタイミング 長期一括払い(契約期間分の一括払い)、年払い、月払い

なお、火災保険の保険料は「保険の補償範囲」「建物の構造(木造なのかマンションなのか)」「お住まいのエリアが災害が多いかどうか」等の条件によって大きく異なります。

SBI

例えば、SBI損保では「火災」「落雷」「破裂・爆発」を基本補償とし、必要に応じて他の補償内容も選べるようにしています。繰り返しになりますが、補償範囲が広くなるほど保険料も高くなります。

引用:火災保険|SBI損保

火災保険の保険料は「価格.com」や「i保険」といったサイトで見積もり比較ができますので、希望条件に合わせて確認してみてください。

地震保険

地震保険は、地震に起因して発生した「家の損壊」「火災」「津波」「家財の損壊」等を補償する保険です。地震保険単独での加入はできず、火災保険とセットで加入する必要があります。なお、火災保険と違って地震保険の加入は必須ではありません。

地震保険の相場 (保険金額1000万円あたり)7,100円38,900円/年
支払いのタイミング 長期一括払い、年払い、月払い

地震保険はどの保険会社でも金額は同じで、「お住まいのエリア」「建物の構造」によって算定されます。

所在地(都道府県) 構造
耐火(鉄骨・コンクリート造など) 非耐火(木造など)
北海道、青森、岩手、秋田、山形、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、長野、岐阜、滋賀、京都、兵庫、奈良、鳥取、島根、岡山、広島、山口、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島 7,300円 11,200円
宮城、山梨、愛知、三重、和歌山、大阪、香川、愛媛、大分、宮崎、沖縄 11,600円 19,500円
福島 11,600円 11,950円
茨城 23,000円 41,100円
徳島、高知 23,000円 41,100円
埼玉 26,500円 41,100円
千葉、東京、神奈川、静岡 27,500円 41,100円
参考 2021年6月10日金融庁長官への届出(2021年7月7日 適合性審査終了)記者発表資料 損害保険料率算出機構

例えば東京都の木造住宅の場合、保険金額1000万円あたりの年間保険料は41,100円です。もし保険金額を倍(2000万円)にしたい場合は、保険料も2倍になります。

③修繕費用

修繕費

マイホームに住み始めて10年を過ぎた頃から、徐々に家の傷みが目立ち始め、リフォームが必要になってきます。 そのために、あらかじめ積み立てておきたいのが「修繕費用」です。

修繕費用の相場 550万円600万円
年間の積み立て目安 35年住み続ける場合、17万円/年

アットホーム株式会社の調査によると、「平均築年数35.8年の木造一戸建てで、これまでに使った修繕費用は、平均556万円」というデータが出ています。 つまり、20年30年と長くマイホームに住み続ける予定の方は、住宅ローンや税金・保険料の支払いとは別に、修繕費用も計画的に積み立てておく必要があると言えます。

修繕が必要な場所・時期

下の表は、30年以上マイホームに住み続けている人を対象に実施した、マイホームの修繕に関する調査結果です。

修繕場所 修繕した人の割合 修繕時の築年数 修繕費の合計平均
外壁 84.4% 20.1年 135万円
給湯器 83.2% 19.1年 49万円
トイレ 76.0% 23.3年 51万円
風呂 76.0% 24.7年 107万円
屋根 74.5% 23.3年 137万円
キッチン 64.6% 25.2年 131万円
洗面台 64.2% 23.4年 30万円
壁紙・内壁 62.8% 22.2年 74万円
53.1% 24.4年 65万円
ベランダ・バルコニー 39.8% 21.1年 47万円
玄関 39.0% 24.3年 53万円
シロアリ関連 37.8% 18.3年 40万円
給水管 34.3% 23.6年 54万円
床下 17.2% 23.8年 48万円

引用:「一戸建て修繕の実態」調査|アットホーム株式会社

このデータを見てみると、雨風に曝される「外壁」や「屋根」を修繕した人が多いことが分かります。 また、給湯器・バス・トイレ・キッチン・洗面台といった、使用頻度の高い水回り設備も、修繕した人の割合が多くなっています。

修繕の時期が重なると出費も大きくなりますので、将来を見越して毎月少しずつ積み立てておくと安心です。

マンションに必要な維持費

次に、マンション独自の維持費を確認していきましょう。マンションの維持費は、これまで解説してきた税金・保険料・修繕費用以外に、「管理費」と「修繕積立金」の2つが必要になります。

マンション

管理費

管理費とは、以下のようなマンションの共用部分を維持・管理するための費用です。

  • 管理人の人件費
  • 共用部分の保守点検費用
  • 共用部分の保険料
  • 共用部分の水道光熱費
  • 定期的な補修費用

占有面積が広い部屋や、設備が充実したハイグレードなマンションになるほど、管理費も高額になります。

管理費の相場 1万円2万円/月

修繕積立金

修繕積立金とは、以下のようなマンションの共有部分を維持・修繕するための費用です。

  • 一定年数ごとに定期的・計画的に行う修繕費用
  • 不測の事故その他特別の事由によって必要となる修繕費用
  • 敷地及び共用部分等の変更(共用部のリフォーム等)や処分に必要な費用

管理費が「日常的に必要な費用」であるのに対し、修繕積立金は「将来の大規模修繕に備えた積立金」という違いがあります。

修繕積立金の相場 1万円2万円/月

マイホームの維持費についてのまとめ

この記事では、マイホームを建てたあとに必要となる維持費や、そんな維持費を抑える家造りのポイントについて解説しました。

マイホームの維持費は、大きく「税金」「保険料」「修繕費」の3つに分けられます。このうち、「税金」と「保険料」の節約は難しいものの、「修繕費」は工夫次第で抑えられます。

修繕費を抑えられる家にするには、家造りの段階で「無垢材を使用すること」「漆喰を使用すること」「外断熱にすること」「シンプルな設計にすること」が大切です。 マイホームに長く住み続けたい方は、ぜひ検討してみてくださいね。

著者情報

コノイエ編集部

コノイエは、東京都港区に本社を置く株式会社アールアンドエーブレインズが運営するオウンドメディアです。累計80,000人以上が利用する「解体無料見積ガイド」の姉妹サイトとして、住宅関連コンテンツを発信しています。人が生活する基本となる「衣・食・住」の中でも、コノイエでは「住」にフォーカスして独自の情報をお届けします。

監修

中野達也

一般社団法人あんしん解体業者認定協会 理事
解体工事施工技士 登録番号:23130106
石綿作業主任者 修了証番号:13820
解体工事業登録技術管理者
公益社団法人 日本建築家協会(JIA)研究会員
一般社団法人東京都建築士事務所協会 世田谷支部会員

静岡県出身。日本全国の業者1,000社超と提携し、約10年間で数多くの現場に関与。自身でも解体工事業登録技術管理者としての8年間の実務経歴を持つ。専門家として、テレビ番組をはじめとする多数メディアに出演。これまでに一般家屋はもちろん、マンション、ビルなど様々な建物の取り壊しに従事し、工事を行いたい施主、工事を行う業者の双方に精通している。

出演メディア
めざまし8(フジテレビ系列)、ひるおび!(TBS系列)、情報ライブ ミヤネ屋(日本テレビ系列)、バイキングmore(フジテレビ系列)、CBCニュース(CBCテレビ系列)他多数

当協会の運営サイト「コノイエ」は、工務店・ハウスビルダー・建築家・建築設計事務所等の500以上のインタビュー記事を掲載。また、新築・建て替えを検討中のユーザーにとって有益となる情報を発信しています。
当協会は、建て替えに伴うお住まいの取り壊しのご相談を年間で2,500件ほど承っており、各地域の住宅関連会社の情報が集まります。今後も「コノイエ」では、新築ユーザー様の発注先や評価、住宅関連会社様への独自インタビューといった当協会ならではの独自のリアルな情報をお届けします。

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