海外旅行にも行けず、おうち時間が増えた今。「いかに自宅を居心地の良い空間にするか」を、誰しもが真剣に考えるようになってきました。
色鮮やかなコバルトブルー、キラキラと輝く水面。 プール付きの住宅は、自宅にいながらリゾート気分を味わうことができる「居心地の良い家」の最高峰とも言えるでしょう。
本記事では、プール付きのマイホームを検討している方にとって必要な情報をご紹介いたします。
「一体いくらで建つんだろう?」「掃除はどうするの?」「水道代が心配…」
プール付きの家に興味を持ち、このような疑問が湧いてきた方は、ぜひ本記事を参考になさってください。
プールのある暮らしの基本を知ろう
海外ではよく見かけるプール付きの家も、日本においては滅多に見かけることがありません。
そのため「どんな費用がかかるのか?」「どんな利点があって、どんな欠点があるのか」といった、リアルな情報を得るのが難しい現状があります。
そこでまずは、プールのある暮らしを具体的にイメージできるように、必ずかかる費用や、メリット・デメリットについて解説していきます。
かかる費用は「施工費」と「維持費」
プライベート用のプールにかかる費用は、大きく「施工費」と「維持費」に分けられます。
施工費
一般家庭におけるプール施工費の相場は、およそ300万円~500万円と言われています。プールの価格は、大きさ、仕様、施工方法(材質の違い)によって変動します。
維持費
自宅用プールの維持費の相場は、ひと月で6千円ほど。多く見積もっても、1万円以内で収まることがほとんどです。
プールを維持するために必要な費用は、主に下記の3点です。
- 電気代(ろ過装置を稼働させるため)
- 塩素などの薬剤代(水質保持のため)
- 水道代(目減りした水量の補充のため)
プールの水は、ろ過装置による循環と塩素による殺菌で水質が保持されます。そのため、水の入れ替え作業は基本的に発生しません。
ただし、自然蒸発やプール使用時に水量は少しずつ目減りするので、補充のための水道代は発生します。量としては、年間でプール全体のおよそ三分の一ほどと言われています。
自宅にプールがあるメリット
自宅にプールがあるメリットは、下記の4点です。
- 子供の遊び場になる
- 自宅でトレーニングができる
- 優雅な時間を過ごせる
- 断水時の備えになる
それぞれ詳しく確認していきましょう。
子供の遊び場になる
小さな子供にとって、プールは絶好の遊び場。
手頃な価格で手に入るビニールプールが多くのご家庭で利用されていますが、使うたびに空気を入れて膨らまし水を貯めるなどの準備が必要で、さらに片づけまでする必要があります。
備え付けのプールが自宅にあれば、面倒な準備や片づけは必要なく、ビニールプールよりも手軽に遊ぶことができます。
自宅でトレーニングができる
健康維持のため、スポーツジム併設のプールに通っている方は多いものです。
しかし、スポーツジムの営業時間内に行く必要があるため、忙しいビジネスマンは時間の都合がつかないことも珍しくありません。また、休日や平日の夜などはスポーツジムが混み合うため、思いきり泳げないこともあるようです。
自宅にプールがあれば、早朝から深夜まで時間を問わず、好きなタイミングで存分にトレーニングに打ち込むことができます。
優雅な時間を過ごせる
プールは、鑑賞物としても楽しむことができます。
プールサイドにデッキチェアを置いて読書やお酒を愉しめば、とびきり優雅なリラックスタイムとなるでしょう。
友人を招いて、プールを囲みながらのガーデンパーティーも素敵です。
断水時の備えになる
災害時など断水状態が続いた際は、プールの水がトイレや洗濯、入浴などの生活用水として役立ちます。
ちなみに、夫婦2人+子供1人の3人家族が浴槽一杯分の水をトイレの水洗に使用した場合、およそ3日で使い切ると言われています。つまり、断水状態がしばらく続いた際は、浴槽に溜まった水だけでは満足な量とは言えないのです。
そんな時、プールの水は重宝するでしょう。
自宅にプールがあるデメリット
自宅にプールがあるデメリットは、下記の3点です。
- 維持費がかかる
- 水漏れしたら大惨事が起きる
- 使わなくなる可能性がある
維持費がかかる
プールに水を張ったら、水質を保持するための維持費が毎月継続的に発生します。 なお、維持費の節約のためにろ過器や塩素を使用しなければ、下記のようなリスクやトラブルが発生します。
- 使用する度に水を交換するため水道代がかかる
- 藻が付着しデッキブラシによる掃除が必要になる
- 混入したゴミなどを網で取り除かなければならない
- ボウフラ(蚊の幼虫)が発生しやすくなる
このように、ろ過装置や塩素を使用しないことで面倒な作業が増えたりかえって維持費が高くついたりすることがあります。
水漏れしたら大惨事が起きる
言うまでもなく、プールには大量の水が入っています。 そのため、地震など何かの拍子にプールが破損し中の水が漏れた場合、家の基礎の周りの土が流れ大惨事となることがあります。
とくに日本の場合は住宅同士の距離が近いため、プールの水漏れは近隣の家にまで被害が及ぶ可能性があります。最悪の場合、被害の出た家から損害賠償を求められる可能性も。
そのため、プールをつくる際はデザインや機能性よりも、耐久性を優先して考える必要があります。
使わなくなる可能性がある
興味本位でプールをつくった場合、生活スタイルの変化やお子様の成長などによってプールを使わなくなる可能性があります。
使わないプールのために毎月の維持費をかけるのは勿体ないですし、かと言って、水を抜いてしまえばプールはデッドスペースとなってしまいます。
将来的にプールを使わなくなる可能性はあるのか、また、もし使わなくなった場合はどうするかを、一度冷静に考えてみることをおすすめします。
用途に合わせて選べる!プールのバリエーション
プールの使い道は人によって様々で、それぞれ適したプールの設置場所や機能があります。
ご自身がプールをどんな風に使うかをイメージすることで、具体的な設置場所や機能が決まってくるでしょう。
設置場所のバリエーション
住宅用プールの主な設置場所には、主に「庭」「屋上」「中庭」「室内」の4つの選択肢があります。それぞれの特徴を説明していきます。
庭
庭は、家の敷地の中でもとくに来客を招き入れやすい場所。
子供同士で水遊びをさせたり大人同士でガーデンパーティーを楽しんだりと、プールを交流の場として活用したい方におすすめです。ただし、外からの視線が気になる場合もあるため、背の高いフェンスを設置する必要があるでしょう。
また、建物内にプールをつくる場合は、数トン以上ある水の重さを考慮して設計を行う必要があり、家の構造体や間取りに制限が出ることがあります。
ですが、庭であれば水の荷重が家に影響を与えることがないため、自由に家づくりをすることができます。
屋上
屋上は、開放感がありつつも道路からの視線は気にならず、プライバシーを守れるメリットがあります。
しかし、屋上から数トン以上ある水の重さが家全体にかかるため、RC造など強度の高い構造体での家づくりが必須となります。そのため、家そのものの建築コストが高くなる可能性が高いです。
中庭
家の形状をコの字やロの字にし、中庭をつくってプールを設置することも可能です。中庭は外からの視線が気にならないため、プライバシーを守れる庭として人気を集めています。
室内
室内であれば、天候に左右されることなくプールを使うことができます。
健康維持のためプールでのトレーニングがルーティンになっている方は、室内にプールを設置することで天候の影響を受けずに済むでしょう。
あったら便利!プールの機能
次は、プールについていると便利な機能をご紹介します。
温水プール
四季を問わずプールを一年中楽しみたい人には、温水プールがおすすめです。
プールの水温は気温によって左右されるため、基本的に冬はプールを使うことができません。しかし、プール専用のヒーターを設置することで、プールの水温を30°程度まで上げることができます。
流水プール
水流を生むためのジェット機能をつけることで、流れるプールのように水流を楽しむことができます。
また、流れに逆らうように歩くことで、水中トレーニングにもなります。
プールづくりの依頼先を選ぼう
住宅用プールは、新築時に建物と同時に設計・設置するか、既存の庭に後付けするかで最適な依頼先が分かれます。建物の構造に関わる場合は「建築設計事務所」、庭の意匠やコストを優先する場合は「外構業者や専門業者」が適しています。
それぞれ、どのようなケースに適しているのか解説していきます。
ハウスメーカー
大手としての安心感があります。新築時に建物と一括してローンや保証をまとめられます。
信頼性を最優先し、家づくりと窓口を一本化して手間を減らしたい方におすすめです。
デメリット:主に提携業者での施工となるため中間マージンが発生する。自由度も制限されやすい。
工務店
地域密着型の柔軟な対応が魅力で、新築時に予算に合わせた細かな調整が可能です。
コストを抑えながら、できるだけ自分好みのプール設置したい方におすすめです。
デメリット:プールの施工実績に差があり、ろ過設備等の専門知識が不足している工務店を探さなければいけない。
設計事務所
デザインの自由度が最大で、建築家と一緒に世界に一つだけのラグジュアリーな空間を作れます。
予算をかけてでも、デザインや意匠性にこだわりたい方におすすめです。
デメリット:設計料が別途発生する。比較的、完成までの期間が長く総コストも高くなりやすい。
外構業者
エクステリアのプロフェッショナルとして、既存の住宅への後付けや、庭の景観に馴染むプール作りを得意とします。
庭の改修に合わせて後付けしたい方や、ガーデニングの一部として楽しみたい方におすすめです。
デメリット: 建築工事は一緒に依頼できない。プールづくりの実績のある外構業者を探さなければいけない。
プール専門店
特殊な防水技術やろ過システムなど、プールの「機能」に特化したプロ集団です。
ろ過性能やメンテナンス性を重視し、高性能なプールを導入したい方におすすめです。
デメリット: 建物自体の設計は行わないため、新築時は建築会社との複雑な連携が必要になる。
大型フレームプールで代替する
「やっぱり、うちにプールは無理かも…」と感じた方には、大型のフレームプールがおすすめです。フレームプールとは、ビニールプールのように空気を入れる必要がなく、よりお手軽に利用できる家庭用プールです。
最近は、海外製のオシャレなフレームプールをAmazonなどの通販サイトで購入することができるため、気になる方はチェックしてみてください。
プールのあるマイホームを建てる時のポイントについてのまとめ
本記事では、プール付きのマイホームを検討している方にとって必要な情報をご紹介してきました。
プールの設置費用は、およそ新車一台分ほど決して安い金額ではありません。しかし、維持費は年間1万円程度に抑えられます。プールのある暮らしがご自身のライフスタイルにマッチするのであれば、後悔のないよう検討することをおすすめします。
ただし、プールは使わなければ潰しの効かないデッドスペースとなってしまいます。
プールがあることで暮らしが豊かになるかどうかは、人それぞれです。ご家族とよく相談をし、今だけでなく将来も見据えて、居心地の良い家づくりを実現してくださいね。
コノイエでは、プール付きの住宅建築の実績を持つ工務店・設計事務所のご紹介が可能です。










