部屋数が多く隣家と一定の距離がある一軒家は、最も空き巣被害の多い建物です。
さらに、ピカピカの新築住宅となると、泥棒にとっては格好の餌食。 新築を建てるだけのお金がある家=裕福な家と見なされ、狙われやすいのが現状です。
ただ、いくら新築住宅であっても、防犯性が高く侵入しにくい家であれば話は別です。 泥棒が1番重視しているのが、捕まらずいかに安全に侵入できるかだからです。
そこで、本記事では、泥棒が侵入しにくい家、侵入してもすぐわかる家にするためにどのような対策ができるか解説いたします。 ぜひ、参考になさってください。
玄関ドアの防犯
警視庁の令和元年中の住宅対象侵入窃盗の発生状況によると、忍び込みと居空きの侵入手段で最も多いのが「無締り」、つまり鍵がかかっていない箇所からの侵入です。
そのため、まずやっておきたい防犯対策というのが、「戸締まり」です。
戸締まりは大半の方が毎日行っていると思いますが、「うっかり閉め忘れていた」なんて日もあるかもしれません。また、しっかり戸締まりをしていても鍵が泥棒にとって開けやすかったら容易に侵入されてしまいます。
そこで、下記では、鍵の閉め忘れ防止に有効なスマートコントロールキーや、泥棒にとって開けにくい玄関ドアについてご紹介します。
スマートコントロールキー(電気錠)
スマートコントロールキーは、電気信号で開け閉めの命令をする、鍵を差し込まずにドアを解錠できる鍵のことです。 別名で、電気錠とも言い、スマートコントロールキーを略してスマートキーと表現することが多いです。
スマートキーは車でよく利用されていますが、最近は家で導入される方も増えています。
スマートキーを導入するメリットは主に2つ。 ピッキング被害がなくなることと、鍵の閉め忘れがなくなることです。
鍵がなくても鍵を開けることができるピッキング技術は、鍵を紛失してしまった際に便利ですが、泥棒はこの手法を逆手にとって住宅に侵入します。
しかし、スマートキーを採用している家ならそもそも鍵穴がないため、ピッキング被害に遭うことはありません。 また、スマートキーについているオートロック機能は、鍵の閉め忘れ対策に有効です。
ちなみに、「閉め出しが心配」という方は、オートロック機能をOFFにすることも可能です。ほとんどのスマートキーでは、施錠時と解錠時にドアハンドル部の色が変化するようになっているため、鍵がしっかり閉まっているか目で確認できます。
引用:YKK/ピタットKey
その他、製品にもよりますが、非常用カギがついているスマートキーであれば、電気が使用できない時でも解錠可能です。
引用:YKK/ピタットKey
なお、スマートキーは、リモコンに反応するリモコンキーやICチップに反応するカードキーとシールキーがあります。
リモコンキー
リモコンをバックやポケットに入れたまま施錠、解錠ができるリモコンキー。 ドアハンドルのボタンを押すことで反応するタッチタイプが多いですが、LIXILなどのメーカーの機能設定によっては、ノータッチでドアを開けることも可能です。
ノータッチタイプは帰宅時両手が塞がっていても、リモコンを携帯しておけば自動でドアが空き、楽々入れるのがメリット。 タッチタイプとノータッチタイプ共通のメリットは、紛失してしまった際も交換不要なことです。設定でリモコンキーを再登録すれば、紛失してしまったリモコン情報は削除されるからです。
カードキー/シールキー(かざすタイプの鍵)
カードキーは、その名の通りICチップが内蔵されている鍵を開けるためのカードで、読み取り部分にカードキーを近づけることでドアの施錠、解錠が可能です。
一方、シールキーはICチップが内蔵されたシールです。スマートフォンなど日常的に携帯しているモノに貼りつけることで、そのモノ自体を鍵にできます。
カードキーやシールキーはリモコンキーより比較的、安価なのがメリット。 また、カードキーもシールキーもリモコンキー同様、紛失してしまった場合、新しく再登録することで過去の情報は削除されます。
泥棒が侵入しにくいドア
スマートキーは防犯性が高い電子ロックですが、故障のリスクがあったり、暗証番号などでも解錠できるタイプのモノでなければ閉め出されてしまう可能性があったりします。 こういったデメリットがご心配な方は、「防犯性の高いドアにする」という方法もあります。 防犯性の高いドアにする場合、チェックしたい項目は主に下記の3点です。
なお、最近のハウスメーカーでは、上記装備を標準採用している所が多いです。 スマートキーにしない場合は、最低限、この3つを備えている玄関ドアを選びましょう。
二重鍵(ワンドア・ツーロック)にする
引用:積水ハウス/防犯住宅
二重鍵とは、鍵を二重につけることで「ワンドア・ツーロック」とも呼ばれており、最近の新築ではこの二重鍵が主流です。
プロの泥棒が一般的な二重鍵でないドアを開錠するのにかかる時間は、7分程度。 これが二重鍵の場合だと、鍵が2つあるので倍の時間、約14分かかります。
警視庁によると泥棒が犯行にかける時間は、5分を超えた10分以内が最も多いです。 10分以上犯行に時間をかけてしまうと、見つかるリスクが高くなってしまうからです。
つまり、鍵を開けるのに時間がかかる二重鍵は、見つかるリスクを避けたい泥棒にとって犯行を避ける抑止効果があるということです。
ディンプルキーにする
ディンプルキーは、鍵の差し込み部分の表面や側面に小さなくぼみが開いている鍵のことです。 なお、ディンプルキーの「ディンプル」は「くぼみ」という意味です。
一般的な鍵(シリンダー錠)は、差し込み部分がギザギザしており、そのギザギザ部分とピンの高さが合致することで解錠する仕組みです。 一方、ディンプルキーは、それぞれのピンのくぼみの高さや深さが複雑で、全部のピンの高さが合致しないと解錠しない仕組みになっています。
そのため、ディンプルキーはピッキングしにくく複製に時間がかかると言われています。 ぜひ、鍵を選ぶ際はディンプルキーを選んでください。
取り外し可能なサムターンにする
引用:YKK/脱着サムターン
サムターンとは、玄関ドアを内側から解錠、施錠するためのつまみ部分のことです。
泥棒が鍵を開ける方法として、ピッキング以外に「サムターン回し」という方法があります。
ドアを直接破壊されてしまう厄介な手口なため、できたらサムターン回しで侵入されないよう事前に対策しておきましょう。
サムターン回しで侵入されないために有効なのが、取り外し可能なサムターンを選ぶことです。 サムターンのつまみを回して内側から鍵をかけた後、サムターン(つまみ)を取り外すことで、鍵をかけている間泥棒がつまめる部分はなくなります。
引用:YKK/脱着サムターン
つまり、つまみを回すのに必要なサムターンがないので、泥棒はサムターン回しができないということです。 なお、この「取り外せるタイプのサムターン」は、サムターンがないと中からドアを開けられないので、認知症の方がいるご家庭などで徘徊防止対策としても使用されています。
窓の防犯
空き巣の住宅侵入で最も多いのが、窓からの侵入です。
そのため防犯に強い家にするためには、窓からの侵入対策をしておくことが重要です。
窓からの侵入防止対策は、主に下記の3つです。 なお、下記の内1つだけでも防犯効果はありますが、併用することでより防犯効果は高まります。
防犯ガラスか防犯フィルムを採用する
ガラスを破って侵入されないよう、ガラスを防犯ガラスにするか、ガラスに防犯フィルムを貼って対策しておきましょう。
防犯ガラス
防犯ガラスとは、2枚のガラスの間に中間膜(防犯膜)を挟んだガラスのことです。 この中間膜があることで犯人が外から衝撃を加えても中まで貫通しにくく、穴が空きにくい仕組みになっています。
ガラスの種類は色々ありますが、この防犯ガラスが最も防犯性が高いガラスで、強度は一般的なガラス(フロートガラス)に比べ6倍以上です。
なお、強化ガラスや針金入りガラス、ペアガラス(複層ガラス)などは防犯性が高いガラスとして誤解されやすいので注意しましょう。
参考 防犯ガラス窓ガラス・サッシ専門店 窓工房防犯フィルム
防犯ガラスは強度が高く最も防犯性の高いガラスですが、費用相場は、一般的なフロートガラスの約1.5倍と高額です。 そのため費用面で考えると、導入を躊躇される方もいるのではないでしょうか?
参考 窓ガラス交換の料金相場を種類やサイズごとにご紹介!機能の良さに比例して費用は高くなるガラス110番そんな方にオススメなのが、ガラスに防犯フィルムを貼るという方法です。 防犯フィルムの価格相場は、防犯ガラスの2~4分の1です。 さらに内側から割ることができるので、災害時、窓を割って脱出することも可能です。
デメリットととしては、約10~15年に一度、貼替えが必要なことです。 一方、防犯ガラスの耐用年数は約20年です。
防犯フィルムで防犯効果を高めるためには、厚みのある防犯フィルムを貼るのが効果的です。 防犯フィルムの厚みは「ミクロン」という単位で表記されますが、防犯効果の高い厚みは350ミクロン以上と言われています。
防犯フィルムを選ぶ際は、厚さ350ミクロン以上のフィルムを選びましょう。
参考 日本ウインドウ・フィルム工業会日本ウインドウ・フィルム工業会防犯性の高いクレセント錠にする
内鍵の一種で、回転させる部分が半円の締め金具のことを「クレセント錠」と言います。
よく目にすることの多いクレセント錠ですが、実はこのクレセント錠は防犯目的ではなく、防音性や気密性を高めるためのモノなんです。
泥棒はこのクレセント錠の事実をよく知っています。 プロの泥棒にとってこのクレセント錠タイプの窓は容易に開けることができるため、注意が必要です。
対策方法としては主に下記の2つです。
クレセント錠本体に鍵が必要なタイプを選ぶ
引用:楽天/鍵付きクレセント
クレセント錠からの侵入防止対策の1つ目は、本体に鍵や暗証番号が必要なタイプのクレセント錠を選ぶことです。 仮に、防犯ガラスや防犯フィルムを割られてしまった場合も、しっかり鍵がかかっていれば容易に侵入できません。
警告音がなる防犯アラームをつける
クレセント錠からの侵入防止対策の2つ目は、窓に振動でアラームがなる防犯センサーをつけることです。
窓に貼るだけでいいので設置も簡単。泥棒を音で撃退するのに最適な方法です。
さらに強化したいならシャッターも
シャッターは、泥棒に視覚的に侵入に時間がかかることをアピールできます。 シャッターを閉めていれば、窓を開けて過ごすことができたり、外から留守かどうか判別しにくかったりするのもメリットです。
ただ、何日もずっと閉めていると留守だとわかってしまうため、ずっと閉めっぱなしにしないことも大切です。
デメリットは、手動式の場合、毎日の開閉が面倒なことです。 電動式の場合は開閉の手間はありませんが、電気代やメンテナンス費がかかってしまいます。
外で行う防犯対策
これまで家の中で行う防犯対策をご紹介してきましたが、ここからは家の外で行う防犯対策についてご紹介します。外で行う防犯対策は、主に下記の4つです。
砂利を敷く
音を嫌う泥棒にとって、歩くと音が出やすい砂利は有効な防犯対策の1つです。 ぜひ家の周りに敷き詰めておきましょう。
砂利の中で最も防犯効果が高い砂利は、防犯用の防犯砂利です。
引用:Amazon/アイリスオーヤマ 砂利 防犯砂利 防草 60L ミックス
防犯砂利は、普通の砂利に比べ踏んだ時の音が大きいのが特徴で、掃除機と同じくらいの音が出ます。
デメリットは、掃除が大変だったり、自分が足を踏み入れる際も音が出るため気をつけないと近隣トラブルになる可能性があったりすることです。 なお、おすすめの防犯砂利を知りたいという方は、下記記事を参考にしてみてください。
参考 【2021年】防犯砂利のおすすめ人気ランキング10選mybest - おすすめ情報サービスよじ登りを防ぐ
最近は、雨樋(あまどい)をよじ登って2階の窓から家に侵入するケースが増えています。
対策法としては主に2つです。全部の窓を防犯性の高い窓にして泥棒がよじ登っても侵入しにくい家にするか、雨樋に「忍び返し」をつけてよじ登れないようにすることです。
部屋数が多い一軒家は、窓の数も多く全部の窓を防犯性のある窓にした場合、どうしてもコストがかかってしまいます。 そこで、コストを気にされる方にオススメなのが、予めよじ登りしにくい「忍び返し」をつけることです。
鋭利で見た目にインパクトがあるため、泥棒のよじ登り防止に最適のアイテム。 4,000円くらいから購入可能なため、ぜひおすすめしたい商品です。
センサーライトの設置
引用:楽天/ソーラーガーデンライト 人感 センサーライト 屋内・屋外使用可 分離型 4.8Mケーブル 1200ルーメン
センサーライトは、動いている人や物体の熱に反応することでセンサーが作動し、自動で一定時間照らしてくれる照明器具です。 一般的に泥棒に狙われやすい時間帯は、不在にしやすい午前10時から午後4時ですが、多くの人が寝静まった午前2時から4時ぐらいも狙われやすい時間帯です。
外にセンサーライトを設置していれば、夜に人が来た時明かりで周りに気づかれやすく、侵入者に警戒感を与えることが可能です。
センサーライトの設置場所として効果的なのは、玄関や窓に近い場所や死角となりやすい場所、カーポートや庭などです。 注意点としては、何かが動くことでセンサーが作動するため、風で揺れやすい樹木や室外機の場所を避けたり、通行人に光が当たらないようにしたりすることです。 センサーライトを設置する際は、十分注意しましょう。
なお、センサーライトは、大きく3種類に分類されます。
コンセントから電源を供給するコンセントタイプ、太陽から電源を供給するソーラータイプ、乾電池を入れて動かす乾電池タイプです。 それぞれの特徴や、おすすめのライトを知りたい方は下記を参考になさってください。
参考 【2021年】屋外用センサーライトのおすすめ人気ランキング8選mybest - おすすめ情報サービス防犯カメラの設置
最近では、一戸建てに「防犯カメラを導入しよう」と考える方も増えてきています。 防犯カメラは、防犯性の高さをアピールできるので抑止効果があるのがメリットです。さらに、万が一侵入されてしまっても証拠を残すことが可能です。
ただ、防犯カメラは、防犯カメラ本体+HDDレコーダー+設置工事費で1台につき約15万ほどかかります。また、初期の導入費にプラスしてランニングコストもかかります。
なお、費用節約のため録画機能のない「ダミーカメラ」の設置を考えている方もいますが、安すぎるダミーカメラは逆効果です。 泥棒は事前に下見をすることが多いため、防犯カメラについても詳しいからです。
参考 ダミーカメラ偽の防犯カメラの効果やデメリット|防犯カメラ・監視カメラの専門販売店アルコムダミーカメラ偽の防犯カメラの効果やデメリット|防犯カメラ・監視カメラの専門販売店アルコムそのため、防犯カメラを導入するなら、ある程度質のいい防犯カメラを設置することが大切です。 ただ、そうなると費用がかかってしまいますよね。
防犯カメラの設置を迷われる方は、新築時に空配管をしてもらうのがオススメです。
空配管を設置することで、後から防犯カメラを取り付けたくなった際、配線などを表面に出さずきれいに取り付けることが可能です。
とはいえ、防犯カメラだけでは防犯対策は不十分です。 プロの泥棒は防犯カメラについても詳しいため、防犯カメラは自分たちの住宅に本当に必要か十分に検討してから設置しましょう。
新築の防犯についてのまとめ
防犯対策は、1つだけでなく複数行うのが効果的です。 ですが、どのくらい防犯対策をすればいいかは「どこに家を建てるか」や「どのくらい家にいることが多いか」でも変わってきます。
例えば、田舎など住民みんなが「顔見知り」という所では、知らない人が歩いていると目立つため泥棒に狙われにくいです。 反対に、近所付き合いが少ない地域で角地に立つ家なんかは、泥棒にとって目立ちにくく逃げやすいためターゲットとされやすいです。
また、泥棒は一般的に不在にしている家を狙うため「共働きの家庭」などは、防犯対策に力を入れておいたほうが賢明です。 ライフスタイルや家の場所を考慮して、自分たちに合った防犯対策を行いましょう。