新築で最も防カビ対策が必要なのは「浴室」と「壁」

新築で最も防カビ対策が必要なのは「浴室」と「壁」

新しい家ではカビを見たくたい」「カビを見るだけで具合が悪くなってしまう」、というカビ嫌いの方のために、この記事では防カビの方法について詳しくご紹介していきます。新居では絶対にカビに悩まされたくない、という方はぜひ参考にしてみてください。

最も防カビ対策が必要なのは「浴室」と「壁」

一度発生すると完全に取り除くのが難しく、放っておくと体にも被害を及ぼす厄介なカビ。「新しく暮らす新居では絶対にカビを見たくない」という方も多いでしょう。 ちなみに、カビには色々な種類がありますが、基本的に室内やクローゼット、天井などに発生するのは黒カビと呼ばれる種類のカビです。

MEMO
カビには、青カビや赤カビ、白カビなどさまざまな種類があります。しかし、そのほとんどは主に食品や植物、木材などに繁殖するカビです。ここでは割愛して黒カビに絞った対策方法についてご紹介していきます。

カビが生える主な原因は「湿気」と「温度」です。そのため、室内でもジメジメとした場所で温度が高いところにカビは発生しやすくなります。なお、カビが発生しやすい環境は湿度60%以上、温度は20~25℃前後だといわれています。 そのため、カビは「浴室」などの湿度が多い所や、結露が発生している近くの「壁」などに発生しやすいです。

ここからは、新築戸建てのカビ対策で最も注意が必要な、「浴室」と屋内の「壁」、それぞれの防カビの方法についてご紹介していきたいと思います

浴室は「コーティング」と「くん煙剤」のダブルで防カビ

浴室は特に湿気が溜まりやすく、室内の温度が高くなることから最もカビが繁殖しやすい場所です。そのため、防カビの対策には、まず「カビが発生しにくい環境づくり」が欠かせません。

例えば、浴槽などは長く使うにつれて傷がつき、その隙間に溜まった汚れが原因となってカビが繁殖してしまいます。そこで、浴室にはあらかじめ傷や菌がつきにくいコーティングをすることで防カビ対策を行います。

防カビのコーティング方法は主に2種類

防カビのコーティング方法には、「シリコン系コーティング」と「ガラス系コーティング」の2つがあります。一般的には、ガラス系コーティングの方が防カビ効果が高く、効果が長持ちするといわれています。ただし、費用は割高です。

ちなみに、浴室の防カビ加工を目的としたコーティングの他に、防汚加工を目的とした「フッ素コーティング」という方法があります。フッ素コーティングは、汚れがつきにくくなる、という効果がありますが、直接的な防カビ効果はありません。混同しないようにご注意ください。

シリコン系コーティング

防カビ効果のあるシリコンを含んだ、硬く厚い膜を浴室内に張るコーティング方法です。光沢が強く見た目にもはっきり分かるのが特徴で、皮脂や水垢などの汚れが付くのを防いでくれる効果もあります。

持続期間 2~5年
費用の目安 約4万円~

ガラス系コーティング

ガラスの皮膜を吸着させるコーティング方法で、シリコン系コーティングよりも防カビ効果が高いのが特徴です。ガラスという素材が持つ、撥水力や抗菌性、耐熱性など色々な特徴があり、浴室をキレイな状態で長く保つ事が出来ます。

持続期間 5年
費用の目安 約6万円~
水垢が付くので掃除が大変

ただし、ガラスには水垢が付きやすいという欠点があります。そのため、ガラス系コーティングをした浴室は、しっかり乾燥させて水気が残らないようにしておくのが大切です。

また、ガラス系コーティングは高い施工技術が必要になるので、取り扱っている業者さんが限られます。浴室ごとに適切な方法で施工する必要があり、業者さんによって防カビ効果にも差が出てしまう場合があるので、依頼する業者さんは慎重に選びましょう。

参考 浴槽コーティングの効果と費用相場は?失敗しない業者選びのポイント家事タウン 参考 浴室コーティングの体験談・ナノGコートの料金相場と効果ハウスクリーニング業者比較サイト

なお、傷や汚れが付いたままでは、十分なコーティング効果が得られません。そのため、新築やリフォームを行った直後が、防カビ対策を行う上で最も良いタイミングだという意見もあります。浴室には、なるべく早期に防カビのコーティングをしたいですね。

「くん煙剤」を使った防カビ対策も効果的

また、「水垢」や「皮脂汚れ」はカビの栄養分となり、繁殖を助ける原因となります。そのため、防カビ対策をする上で、こまめな掃除は欠かせません。また、定期的なメンテナンスとして、くん煙剤などを使った防カビ対策も効果があります。

定期メンテナンスには「防カビくん」が便利

「黒カビ掃除は、もうやりません!」のキャッチフレーズで注目を集めている、「防カビくん」は、LIONから発売されている手軽に防カビ対策ができる人気商品です。 水を入れて置くだけという手軽さで、銀イオンを含んだくん煙剤が、目に見えない黒カビの菌も99.9%除去してくれます。

防カビくん

水を入れて90分放置した後は、30分換気をするだけ。2ヶ月に1回の使用で継続的に黒カビを防ぐことができます。

引用:防カビくん|LION

ピンク色のカビはどうやって除去するの?

ちなみに、お風呂場などの水回りでピンク色のカビのような物を見たことがありませんか。実はこれ、カビではなく「ロドトルラ」という酵母菌の一種です。毒性はありませんが、繁殖力が高く黒カビが発生する原因にもなるので、見つけたら早めに除去しましょう。

なお、エタノールや重曹などを使えば簡単に取り除くことができます。カビと同じような環境で繁殖しやすいので、除去した後は水気をしっかり切って十分な換気を心がけてください。

参考 クラドスポリウム「食品衛生の窓」東京都福祉保健局

壁の防カビは「素材選び」と「結露の予防」がポイント

屋内のカビ対策は一段と注意が必要です。というのも、壁やクロスは浴室のようなコーティングでカビ対策をすることができないからです。 もちろん、「防カビ塗料」などを使つ方法もありますが、「室内の壁の中には塗料が使えない」「塗料の独特な臭いが気になる」という方も多いでしょう。

そこで、この記事では少し違った防カビ対策をご紹介していこうと思います。

「調湿効果」がある素材を活用しよう

壁にカビを繁殖させないために、まず検討していただきたいのは素材選びです。 例えば、自然素材の「漆喰(しっくい)」は強アルカリ性で抗菌作用があり、カビが生えにくいという特徴があります。

漆喰の壁

漆喰の壁。

引用:【ふだんの掃除/念入り掃除】漆喰壁のお掃除方法の解説|HAGS

加えて、漆喰は湿度が高い時は湿気を吸収し、逆に乾燥している時は水分を放出するという調湿効果があります。そのため、防カビ対策として天然素材の漆喰が壁材に使われるケースが多いです。

自然素材で空気もキレイに!

同じように、バスマットなどに使われる「珪藻土(けいそうど)」も速乾性があので、カビが生えにくい素材として有名です。漆喰と同様に調湿効果があるので、壁や壁紙などにも多く活用されています。

珪藻土の壁

珪藻土の壁。

引用:珪藻土の壁の魅力とは?性能、効果、お手入れ、費用など徹底解説|ホームプロ

珪藻土の表面にある小さな気泡のような穴は、空気を取り込む事ができ、ホルムアルデヒドなどの有害な物質を分解して綺麗にしてくれる働きがあるのも魅力です。 表面の汚れはヤスリなどで削ると綺麗になるので、手入れが簡単な素材としても人気があります。

換気や温度調整も忘れずに

ただし、漆喰の強アルカリ性は、数年経過すると中性になるため抗菌作用は低下していきます。また、調湿効果にも限度があり、全ての湿気を吸収できるわけではありません。漆喰が持つ特性に頼るのではなく、「換気」や「温度管理」も並行しながら上手に活用していきましょう。

機能性壁紙でもっと手軽に除湿

他にも、クローゼットや収納といった換気が難しくてジメジメしがちなところには、調湿効果のある壁紙を活用するのが効果的です。

サンゲツの壁紙

サンゲツの「吸放湿壁紙」。おむつなどに使われる吸水性ポリマーを使っており、吸湿性に優れているのが特徴。

引用:サンゲツ壁紙 吸放湿・通気性|スタイルダート


家具と壁の隙間や、風通しが悪くて死角になっているところは意外にたくさんあります。 壁材を変えるのが難しい場合は、壁紙を張り替えたりこまめに掃除をしたりして、場所に合わせて上手に対策していきましょう。

断熱効果の高い「二重窓」で結露を防止

当然、結露が溜まった部屋は湿度が高くなり、カビが発生しやすくなります。そのため、カビ対策を行う上では結露を防ぐのも重要なポイントです。

なお、温度変化が起こりやすい「」や「サッシ」の周りは、結露が発生しやすい傾向にあります。そこで効果的なのが、「二重窓」を用いて結露を防ぐ方法です。二重窓は空気の層がクッションになって、室内に外気の温度が直接伝わるのを防いでくれます。そのため、断熱性が上がり結露が発生しづらくなります。

YKKapの二重窓の構造

サッシメーカーのYKKAPでは二重構造の窓に加え、熱伝導率が低い「樹脂フレーム」をサッシに使うなど、素材にもこだわった商品を取り扱っています。

引用:もう結露になやまない|YKKap

窓そのものを二重にする方法だけでなく、内側に追加で窓を取り付ける方法など、メーカーによって色々なラインナップがあります。気になる方はチェックしてみてください。

関連グッズで効率的にカビ対策

なお、これから安心して長く同じ家に住み続けるためには、こまめに防カビ対策を行うのが大切です。換気や温度管理も重要ですが、防カビの関連グッズを使うとより効果的に防カビ対策を行うことができます。

お部屋の防カビ剤カチッとおすだけ

お部屋の防カビ剤カチッとおすだけ

引用:お部屋の防カビ剤カチッとおすだけ|アース製薬

アース製薬から発売されている「お部屋の防カビ剤カチッとおすだけ」は、室内のウィルスやカビの原因菌を除去してくれる防カビ用グッズです。前述したくん煙剤の「防カビくん」と同様、2ヶ月に1回使用することでカビが発生するのを抑えてくれます。煙が出ないエアゾールタイプなので、手軽に防カビ対策ができるのもポイントです。

参考 らくハピ お部屋の防カビ剤カチッとおすだけ 無香料アース製薬

新築の防カビ対策についてのまとめ

この記事では、これから新築や新居で生活をスタートする方のために、今のうちからできる防カビ対策の方法について詳しくご紹介しました。カビは一度繁殖すると除去が大変です。そのため、防カビ対策は最初が肝心です。しっかり備えて快適な新生活を送ってください。

著者情報

コノイエ編集部

コノイエは、東京都港区に本社を置く株式会社アールアンドエーブレインズが運営するオウンドメディアです。累計80,000人以上が利用する「解体無料見積ガイド」の姉妹サイトとして、住宅関連コンテンツを発信しています。人が生活する基本となる「衣・食・住」の中でも、コノイエでは「住」にフォーカスして独自の情報をお届けします。

監修

中野達也

一般社団法人あんしん解体業者認定協会 理事
解体工事施工技士 登録番号:23130106
石綿作業主任者 修了証番号:13820
解体工事業登録技術管理者
公益社団法人 日本建築家協会(JIA)研究会員
一般社団法人東京都建築士事務所協会 世田谷支部会員

静岡県出身。日本全国の業者1,000社超と提携し、約10年間で数多くの現場に関与。自身でも解体工事業登録技術管理者としての8年間の実務経歴を持つ。専門家として、テレビ番組をはじめとする多数メディアに出演。これまでに一般家屋はもちろん、マンション、ビルなど様々な建物の取り壊しに従事し、工事を行いたい施主、工事を行う業者の双方に精通している。

出演メディア
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