新築を建てる方にとって悩ましい問題の1つである、“暖房選び”。 特に、厳しい冬の期間が長い北海道や東北地方の地域に住む場合はなおのことかと思います。 また、暖房の種類は様々あることから「どれが一番良いのかよく分からない」「コスパの良い暖房ってなに!?」と頭を抱えている方も多いはず。
まずはじめにお伝えしたいのは、快適な暖かさや必要なコストへの印象は人それぞれなため、一概に「これが一番良い!」とは言えない、ということです。 とはいえ、なるべくコスパの良い暖房を選びたいですよね。
そこで本記事では、11種類の暖房のおすすめポイントや欠点、費用についてご紹介します。 今後の暖房選びの参考になさってください。
最もコスパの良い暖房は「エアコン」
先にお伝えしてしまうと、数ある暖房の中で最もコスパの良い暖房は「エアコン」です。 なぜなら、「ヒートポンプ」という技術を用いているため、ほかの暖房と比べてエネルギー効率が良く、暖まるまでの速度が早いからです。
日本で販売されている最新のヒートポンプエアコンは1の投入エネルギーで7の熱エネルギーを得ることができます。 高効率なので電気の消費量は1/7。 ※電気ヒーターと比較した場合
下記の表を見てみても、その差は歴然です。
※表の項目にある「初期費用」は、本体代と設置費用を足したものです。
種類 | エネルギー源 | あたたまる速さ | 初期費用 | 暖房費 | 寿命 |
---|---|---|---|---|---|
エアコン | 電気 | ◎ | 約10〜15万円 | 1時間約13円〜92円 | 約10年 |
床暖房(電気式) | 電気 | × | 約30万~40万円 | 約15円~30円 | 約30〜50年 |
床暖房(温水循環式) | 電気、ガス、灯油 | × | 約50万〜60万円 | 約9円
※作動させてから温水になるまでは約38円 |
約30年 |
蓄熱式暖房 | 電気 | △ | 20万前後〜35万円前後 | 1ヶ月:約14,000〜18,000円前後 | 蓄熱体自体は半永久的 |
ガスストーブ | ガス | × | 本体代のみ | 1時間:約43円 | 約5年 |
ガスファンヒーター | ガスと電気 | ◎ | 本体代のみ | 1時間:約30円 | 約10年 |
石油ストーブ | 灯油 | △ | 本体代のみ | 1時間:約27円 | 約3年~5年 |
石油ファンヒーター | 灯油と電気 | ◎ | 本体代のみ | 1時間:約21円 | 約8年 |
床下暖房 | 電気、ガス、灯油 | △ | 暖房器具による | 暖房器具による | 暖房器具による |
セントラルヒーティング | 電気、ガス、灯油 | △ | 約100万円 | 1ヶ月:約2〜6万円(熱源による) | 10年前後 |
薪ストーブ | 薪 | × | 100万円以上 | 薪の入手方法による | 約20〜30年 |
ペレットストーブ | 木質ペレットと電気 | × | 約30万〜60万円 | 1ヶ月:約15,000円 | 約10年 |
※価格幅があるものに関しては、使用する設備・器具の規模が大きいものほどコストがかかるとお考えください。
ほかの暖房と比較してみると、速暖性があり、暖房費が最も低いのはエアコンです。
さらにエアコンは暖房としてだけでなく、冷房や除湿など、寒い季節以外にも役立つ機能を持つものがほとんどです。 火を使わないことによる安全性の高さ、スイッチひとつで稼働できる手軽さ、冷房としてエアコンを設置する方が多いなどの点を踏まえると、一年中活躍できるエアコンが一番おすすめできる暖房といえるでしょう。
寒冷地には“寒冷地仕様”のエアコンを
しかしヒートポンプ技術には、外の空気を利用するがゆえに極端に外気温が低いと効率が悪くなるという弱点があります。エアコンをつけても室内がなかなか暖まらないという状態になるのです。
「外気温が低いと暖まらないなら寒冷地には向かないな……」と感じるかもしれませんが、エアコンには寒冷地仕様のものがあります。通常(一般地用)のエアコンとは違い、霜や雪、凍結対策が施されており、外気温が極端に低くても効率よく暖めてくれるため、北海道や東北地方にお住まいの方におすすめです。
メインで使える暖房は11種類
最もコスパの良い暖房はエアコンです。
しかしエアコンには、持ち運びができない、空気の乾燥を感じやすい、フィルターが汚れていると嫌な臭いがする、温風を循環するがゆえにホコリが舞いやすいといった欠点も多くあります。 また、快適と感じる暖かさや、かかるコストへの印象は人それぞれです。「他の暖房も考慮したうえで暖房を選びたい」という方もいらっしゃるでしょう。
そこでつぎに、エアコンのほかにメインで活躍できる暖房についてご紹介します。
種類は大まかに分けると11つあり、必要なエネルギー源がそれぞれ異なります。 エネルギー源とは、暖房のパワーを生み出す源のことで、電気やガス、灯油などがあります。
エネルギー源が「電気」の暖房3つ
「電気」をエネルギーとする暖房は先ほど説明した「エアコン」を含め、「床暖房」「蓄熱式暖房」の3つがあります。
灯油やガスに比べて火事や一酸化炭素中毒になる心配が無いといった安全性の高さや、水蒸気の発生がないため結露が起こりにくい、カビやダニが発生しにくい、といった特徴があります。
【電気2つめ】足元からじんわり温まる「床暖房」
床暖房とは、床を直接暖める暖房です。 熱が床下から床を伝い、天井や壁に反射しながらゆっくりと部屋をあたためます。あたたかい空気は上に上がっていく性質があるため、時間はかかりますが満遍なく部屋を暖められます。
暖房器具自体が床下に隠れているため、置く場所やレイアウトを考える必要がなく、部屋を広く使えます。 エアコンのように風もないため、乾燥を感じにくくホコリが舞うこともありません。
種類によってかかるコストが変わる
床暖房には、電気の力で床を温める「電気式」と、温水を床下で循環させて床を暖める「温水循環式」があります。 温水循環式は電気(ヒートポンプ技術)のほか、ガスや灯油をエネルギー源にすることが可能です。
引用:敷設・レイアウト|電気式床暖房システム「ゆか暖らん」|サンライズ工業株式会社
室内の暖め方は同じですが、初期費用やランニングコストに違いがあります。
床暖房のタイプ | 初期費用 | 1ヶ月にかかる光熱費 |
---|---|---|
電気式 | 約30万~40万円 | 約6,100円 |
温水循環式 | 約50万~60万円 | 約2,800円 |
※1ヶ月にかかる光熱費に関しては、広さは8〜10畳ほど、1日8時間使用した場合の例
参照元:新築に床暖房は必要?メリット・デメリット、エアコンとの比較も|ナチュリエ
電気式は初期費用が低いのに対し、ランニングコストは高い。
温水循環式は初期費用は高いのに対し、ランニングコストは低いのが特徴です。 温水循環式はエネルギー源によって光熱費が変動するため一概には言えませんが、電気式よりもランニングコストは低いことがほとんどです。
【電気3つめ】どこにいても暖かい「蓄熱式暖房」
引用:蓄熱式暖房機のメリットとデメリットと今後の展望|あめりか屋 篠原秀和のブログ
「蓄熱式暖房」とは、日中に比べて電気代が安い深夜帯に、蓄熱体(レンガ)を電力で加熱し、長時間にわたって加熱したレンガを放熱して空間を暖める暖房です。 放熱したときに発生する赤外線により、壁や床、天井などを通じて室内全体を暖めます。 また、蓄熱している間も放熱してくれるため寒くなる時間が存在しません。
引用:蓄熱暖房器-エルサーマットシリーズについて|日本スティーベル株式会社
部屋によって温度差が少なく、低めの温度を設定しても快適に過ごしやすいため、家で過ごすことが多いご家庭におすすめです。
急な温度変化に対応できない
設定した温度に合わせて蓄熱・放熱するため、急な温度変化には対応できません。 温度設定を誤ると暑すぎたり寒すぎたりすることがあるため、翌日の気候や気温などを入念にチェックしてから温度設定をする必要があります。
サイズが大きい
重さは小さいものでも100kg以上、大きいものだと300kg以上・幅が150センチ以上あるものもあり、自力で移動させるのは難しいです。 新築の設計段階で置く場所を確定させておくのが良いかもしれません。
参考 蓄熱暖房機のメリットとデメリットとは | タイナビスイッチタイナビスイッチ■エアコン
・トータル的に最もコスパが良い
→極端に外気温が低いとエネルギー効率が悪くなるため、最低気温が-10度になる地域は寒冷地仕様を選ぶ
■床暖房
・足裏からあたたまる
・部屋を広く使える
・乾燥を感じにくい
→初期費用がエアコン、蓄熱暖房機と比べて割高
→ランニングコストは種類によって異なる
■蓄熱暖房機
・室内全体があたたまる
→翌日の気候や気温を入念にチェックする必要がある
→サイズが大きい
→ランニングコストがエアコン、床暖房に比べて割高
エネルギー源が「ガス」の暖房2つ
「ガス」をエネルギーとする暖房は、「ガスストーブ」と「ガスファンヒーター」の2つがあります。
火災の原因になるなどの印象が強いガスですが、ガスを自動的に止めるセーフティ機能が備えられており、不完全燃焼を起こしそうなときや、転倒したとき、炎が消えてしまったときなど、万が一の事態になっても安心です。
また、燃焼時に水蒸気を発生させるため、室温が上がっても部屋が乾燥しにくいのが特徴です。
【ガス1つめ】乾電池で着火する「ガスストーブ」
引用:【都市ガス用】リンナイ ガスストーブ R-852PMS3(C) 都市ガス【赤外線ガスストーブ】|リンナイ(楽天)
ガスストーブは、本体内の燃焼筒をガスで燃焼させて熱を発し、あたたかい空気と周囲の冷たい空気を対流させて部屋をあたためる暖房です。電力は不要ですが、着火するには乾電池が必要となります。
灯油ストーブと比べて燃料をタンクに入れる必要がないため、サイズ感はスリムで軽量。場所を取らず掃除するときなどの移動がラクです。 しかし熱を風で循環させる暖房よりも、部屋全体が温まるまでに時間が掛かります。
【ガス2つめ】短時間で温まる「ガスファンヒーター」
引用:シンプルで使いやすく優れた操作性のガスファンヒーター。|リンナイ
ガスファンヒーターは、ガスホースで燃料となるガスを供給し、電気の力で稼働させる暖房です。 ガスストーブとは違い、ガス代のほかに電気代が掛かります。 スイッチを入れてから短時間で温風が出て、ファンの力でお部屋全体がすぐに暖まります。
ガスストーブとガスファンヒーターのランニングコストは下記の通りです。 初期費用は本体代のみなため、載せていません。
種類 | 1時間にかかる光熱費 |
---|---|
ガスストーブ | 約43円 |
ガスファンヒーター | 約30円 |
※木造11畳の広さで使用した場合
参照元:ガスストーブのガス代は高め!効率よく節約する方法は?|ミラとも電力
ガス代は使用するガスの種類(都市ガスかプロパンガス)によっても変わります。
新築で選べるガス2種類|都市ガスとLPガスって何が違うの?換気は十分に
ガスを利用する暖房は、部屋の空気を使ってガスを燃焼させるため、不完全燃焼による一酸化炭素中毒を起こす可能性があります。安全装置が備えられているとはいえ、万万が一のために定期的な換気を習慣化させることが重要です。
■ガスストーブ
・暖まり方はじんわり
・サイズはコンパクトで軽量
■ガスファンヒーター
・短時間で部屋全体があたたまる
→定期的な換気をする必要がある
エネルギー源が「石油」の暖房2つ
「石油」をエネルギーとする暖房は、「石油ストーブ」「石油ファンヒーター」の2つがあります。 ほかの暖房と比べて本体代が安く、熱効率が良いのに加え、ガスと同様、灯油燃焼時には水分が発生するため空気が乾燥しにくいのが特徴です。
【石油1つめ】災害時に活躍する「石油ストーブ」
石油ストーブは、燃料に灯油を使用します。コンセントやガスコードに繋ぐ必要が無いため、停電などの災害時でも使用できるほか、キャンプやバーベキューなどアウトドア用としてもぴったりです。
乾電池やマッチが切れたときでも使えるように、ハンドルを手で回して点火できるものもあります。設置できるスペースが限られている部屋に最適な「反射式」と10畳を超える広い部屋に最適な「対流式」があり、用途に合わせて選べます。
引用:KS-67H | 暖房製品 | トヨトミ-TOYOTOMI 公式サイト
引用:コロナ ポータブル石油ストーブ RXシリーズ 木目 RX-2920WY M(1台)|楽天市場
【石油2つめ】即温性のある「石油ファンヒーター」
引用:【2020年~2021年冬版 失敗しない暖房器具の選び方】石油ファンヒーターの10大ポイント&おすすめモデルをチェック!|ダイニチ
石油ファンヒーターは、灯油を燃焼して発生させた熱を送風ファンによって素早く室内をあたためます。 石油ストーブは最大火力の約6割までしか火力を絞ることができない一方、最大火力の約2割〜3割にまで火力幅を変えられるため、温度調節が簡単にできます。 灯油以外に電気が必要なため、停電が起きたときには使えません。 石油ストーブと石油ファンヒーターのランニングコストは下記の通りです。 初期費用は本体代のみなため、載せていません。
種類 | 1時間にかかる暖房費 |
---|---|
石油ストーブ | 約27円 |
石油ファンヒーター | 約21円 |
火災につながるリスクが大きい
石油ストーブや石油ファンヒーターは、灯油を必要とするがゆえにほかの暖房と比べて火災につながるリスクは大きいです。 平成30年8月7日に発表された総務省消防庁の「建物火災の発生原因」を見てみると、「ストーブ」が第4位となっています。 この「ストーブ」というのは、石油ストーブや石油ファンヒーターのことです。
第1位 こんろ 2,986 件(14.0%)
第2位 たばこ 2,025 件(9.5%)
第3位 放火 1,635 件(7.7%)
第4位 ストーブ 1,330 件(6.2%)
第5位 配線器具 1,036 件(4.8%)
圏内にランクインするほど火災につながってしまう原因となっているのは、灯油を補充しなければならない点です。
火を消化せずに灯油を補充し引火、燃料タンクの蓋締めが甘かったために使用中灯油が漏れ引火、といったことが原因で火災が発生します。 ちなみに、石油ファンヒーターは電気を使って各部の機能をコントロールできるため、石油ストーブよりも火災のリスクは低いです。
また、ガスと同様、定期的な空気の入れ替えが必要です。
■石油ストーブ
・災害時でも使える
→火災につながるリスクが最も大きい
■石油ファンヒーター
・短時間で部屋があたたまる
・温度調節が幅広くできる
→停電時には使えない
エネルギー源を選べる暖房2つ
暖房には、電気・ガス・石油の中から、使用したいエネルギーを選べるものもあります。 つぎに、エネルギー源を選べる暖房「床下暖房」「セントラルヒーティング」の2つについてご紹介します。
【1つめ】床下の空間に暖房を設置する「床下暖房」
「床下暖房」は床を直接暖める「床暖房」と名称は似ていますが、室内のあたため方はまったく違います。 床下の空間にエアコンやストーブなどの暖房を設置し、その暖房が暖めた空気を循環させて床面をあたためます。「床面だけが温かい」ということがなく、部屋全体の温度差はほとんどありません。
引用:床下暖房|エアコン
床下空間を乾燥状態に保つことにも繋がるため、暗所で湿度の高い場所を好むシロアリの予防にもなります。 また、床暖房の場合、床暖房対応の床材を選ばなければなりませんが、床下暖房ではどの床材でも問題ないため、床材にこだわりのある方におすすめです。
導入には「高気密・高断熱・基礎断熱」仕様の家であることが条件
床下暖房を導入するには、「高気密・高断熱・基礎断熱」仕様の家であることが条件となります。 「高気密・高断熱」とは、外からの熱が室内に伝わりにくく、室内の熱は外へ逃げにくい構造のこと。「基礎断熱」とは、基礎の下にも断熱を設置し、床下空間を暖かく保つ工法のことです。
引用:基礎断熱で床冷えを防ぐ|磐田・浜松プロデューサーブログ
この構造・工法を取り入れないと、暖房が暖めた空気が室外に出てしまい、暖房としての機能を果たせなくなります。
【2つめ】室内全体をあたためる「セントラルヒーティング」
セントラルヒーティングとは、熱源装置で温水や温風をつくり、建物内のあちこちに設置されているパネルヒーターを通じて室内全体をあたためる暖房設備です。 北海道の新築戸建て住宅では、7割~8割の方が導入しているといわれています。
石油・ガス・電気のどの熱源でも可能なうえに切り替えもできるため、将来の環境変化にも対応できるのが嬉しいポイント。 他にも、火を使わないため火災の心配がないといった安全性の高さや、インテリアの邪魔をしないデザインが魅力です。
引用:セントラルヒーティング導入メリット・デメリットを徹底紹介!|マイナビ子育て
初期費用・ランニングコストが高い
熱源装置やパネルヒーター、この2つをつなげるための導線など設置するものが多いため、ほかの暖房よりも初期費用はかかります。 また、24時間運転が基本なため、その分ランニングコストが高くなります。暖房費を抑えるために運転を止めたとしても、家の中を再び適温にするまでに大きなエネルギーを必要とするため、暖房費の節約にはつながりません。
■床下暖房
・室内全体があたたまる
・シロアリ予防効果
・どの床材でもOK
→「高気密・高断熱・基礎断熱」仕様の家が条件
■セントラルヒーティング
・室内全体があたたまる
・熱源の切り替えが可能
・火災の心配がない
・インテリアを邪魔しないデザイン性
→初期費用・ランニングコストが高い
他を燃料とする暖房2つ
暖房には、電気・ガス・石油をメインで必要としないものもあります。 つぎに、電気・ガス・石油以外を燃料とする暖房「薪ストーブ」「ペレットストーブ」の2つについてご紹介します。
【1つめ】暖房面積はおよそ40坪!「薪ストーブ」
薪ストーブは薪を燃やすことで発生した遠赤外線によって、人の肌や床、壁、天井など建物の内側も同時に暖めます。 暖房面積は130平米以上(およそ40坪)のものがほとんどなため、1台でどこにいてもあたたかい状態を保てます。 エネルギーに頼らない天然もののあたたかみ、リラックス効果のある炎の灯りを味わえるのは薪ストーブならでは。
引用:薪ストーブのある暮らし〜薪の入手方法やお手入れについて〜|木の家専門店 谷口工務店
薪の入手・管理に手間がかかる
薪を燃料とすることで光熱費がかからない反面、薪の入手・管理に手間がかかります。 原木から薪を割る・運ぶといった肉体労働が必要となるほか、薪を乾燥させるスペースや1シーズン乗り切れるほどの薪の量を置けるスペースが必要となります。
薪が無料で手に入らなければホームセンターなどで購入することになるため、結局暖房費と変わらない、もしくはそれ以上のランニングコストがかかる可能性もあります。
【2つめ】環境に優しい「ペレットストーブ」
ペレットストーブは木質ペレットを燃料とする暖房で、本体に貯蔵されているペレットを電力を使って少しずつペレットを燃焼室へ送り出します。そのため、ペレット代に加え電気代がかかります。 排気はファンで自動的に屋外へ排出するため、薪ストーブと比べて煙突の設置が容易でコストも低い傾向にあります。
操作はリモコンや本体のタッチパネルで管理でき、電源のON・OFF、着火、ペレットの送り出し量の調整、温風の強さなどの操作が容易にできます。 着火不良や給排気不足などの異常を感知したら運転を停止するといった安全装置もついています。
年に一度のメンテナンスが必要
薪ストーブ、ペレットストーブともに、最低でも年に1回の煙突掃除が必要となります。 煙突掃除を行う際には本体の点検も行います。 専門業者に依頼する場合、薪ストーブ約3万円~、ペレットストーブ約2万4千円~かかります。
参考 煙突掃除・メンテナンス有限会社 フランシス■薪ストーブ
・暖房面積が広い
・リラックス効果がある
→薪の入手・管理に手間がかかる
■ペレットストーブ
・リサイクル燃料で環境に優しい
・薪ストーブより初期費用は低い
・操作が簡単
→ペレット代のほかに電気代がかかる
→両方とも年に1度のメンテナンスが必要
暖房性能を生かすために
最後に、暖房性能を生かすためにできることについてお伝えします。
これまで、広範囲をあたためるパワーを持つ暖房についてご紹介しました。 どの暖房にもメリットとデメリットは存在します。 そのため、「暖房1台で冬を乗り切る!」といった考えに縛らず、複数の暖房を適材適所で使用してみるのも良いかもしれません。
小規模な暖房を併用する
しかし、パワーの強いものを複数同時に使った場合、「快適に過ごせるが暖房費が高くついた」「快適な温度になかなかならない」といった悩みが出てくるかもしれません。 住宅で使用できる暖房には他にも、ハロゲンヒーターや電気(ホット)カーペット、こたつなど部分的にあたためるのに効果的なものが様々あります。
当たり前ですが、部屋全体をあたためるパワーを持つ暖房よりもランニングコストは低いため、キッチンで料理をする、書斎で仕事をする、床に座ってくつろぐなど、部屋のとある場所から長時間動かないときに役立ちます。
種類 | 1時間にかかる暖房費 |
---|---|
ハロゲンヒーター | 約9円 |
電気(ホット)カーペット | 約11円 |
こたつ | 約4円 |
建物の構造を見直す
床下暖房を導入する条件でもある、「高気密・高断熱・基礎断熱」を取り入れるなど、建物の構造から室内の暖かさについて考えるのもおすすめです。 建物の気密性や断熱性が高くなることで、暖房の効率性もグッと上がります。 取り入れるにはそれなりのコストが掛かりますが、「無駄なく暖房を使用したい」とお考えの方はぜひ検討してみてください。
新築の暖房11種類の特徴や費用についてのまとめ
暖房にはそれぞれ長所と短所があり、暖かさの感じ方や必要な費用などは異なります。 初期費用やランニングコストは部屋の広さや気温など使用状況によって異なるため、あくまでも参考程度に留めてください。
また、快適と感じる暖かさやコストへの印象は人それぞれなため、どれが一番良いかは一概には言えません。
そのため、まずはショールームや家電屋などで実際のコスト相場や暖かさを確認してみましょう。 大手ハウスメーカーでは、家全体の住み心地を体験できる「宿泊体験」を開催しているところもあります。
どの暖房を使用するかによって、今後の暖房費負担や住み心地が左右されます。 家族のライフスタイルや暖かさの好み、長年使用するといった様々な点を踏まえ、ご自身に最適な暖房を選んでくださいね。