新築づくりを検討している際、選択肢にふと上がってくるのが「吹き抜けのある家」ではないでしょうか。TVや雑誌などで目にしたオシャレな吹き抜けを、自分の家にも作ってみたい!と憧れを抱く人は、数多くいます。
しかし一方で、ネットの口コミなどを見ると、「冬が寒すぎる」「1階の音が2階にまで聞こえる」「吹き抜けの窓や照明の手入れが大変」といったネガティブな意見も目にします。こうした情報を見て、「吹き抜けはやめたほうがいいのかな?」と迷われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで本記事では、吹き抜けのメリット・デメリットを解説することに加え、デメリットへの対策も1つ1つ詳しくご紹介していきます。 吹き抜けのあるマイホームを検討されている方は、ぜひ本記事の情報をご活用ください。
吹き抜けとは?
吹き抜けのある家とは、下の階と上の階の間に床を設けないことで、空間を1つに繋げている家のことを指します。イメージが湧きづらいかもしれませんので、次に画像を掲載しておきます。
引用:ハウスネットギャラリー
吹き抜けは、ホテルやマンションのエントランスでよく使用されるつくりですが、戸建てにおいても人気のあるつくりとなっています。吹き抜けにすることで空間に広がりが生まれ、開放感のあるスペースとなるのが特徴です。
吹き抜けの設置例
下と上の空間を1つに繋げる吹き抜け。実は吹き抜けと一言で言っても、設置する場所によって、家のイメージはガラリと変わります。
ここでは、4つの吹き抜け設置例をご紹介します。
リビング階段+吹き抜け
引用:nexthouse
吹抜けの家と聞くと、まずイメージするのが「リビングとリビング階段」の組み合わせです。リビングに階段を設置することで、家族の出入りが確認しやすく、家族間のコミュニケーションが自然と増える素敵な間取りです。
階段を登った先のスペースを利用し、ミニ書斎や子どもの勉強机を配置する人もいます。リビングにいる家族の様子を眺めながら作業が可能なので、適度な距離を取りながらテレワークにも取り組めそうです。
2階に窓+吹き抜け
引用:iemiru
2階部分の壁に窓を設置する吹き抜けも、人気のあるデザインの1つです。
高い位置に窓を配置することで、家の中にたくさん光を取り込める点が魅力的です。日中でも電気をつけないと暗い家もありますが、吹き抜けがあれば、家全体が明るくなり、日中は自然の光だけで過ごすことも可能です。
キッチン+吹き抜け
引用:SUVACO
通常だと日の入りにくいキッチンでも、吹き抜けにすることで明るい空間になります。上に広い空間があるため、料理の臭いがこもりにくいのも嬉しいポイントです。
天井にシーリングファンをつけてあげれば、オシャレ度や換気効果がアップします。
玄関+吹き抜け
引用:名古屋木材株式会社
モデルハウスでよく見かけるのが、吹き抜けの玄関です。家は、入った時の印象が大事と言いますが、天井の高い、明るい玄関で出迎えることができれば、来客の方へ好印象を与えられそうです。
「明るい玄関にしたい」「オシャレな玄関で来客を出迎えたい」といった理由で、抜き抜けの玄関は根強い人気があります。
吹き抜けの設置にはいくらかかるのか?
魅力たっぷりの吹き抜けですが、いざ新築で吹き抜けを付ける際、一体どれくらいの費用がかかるのでしょうか? できれば費用を把握した上で、設置の是非を検討していきたいですよね。
吹き抜けの対象範囲やデザインなどにもよりますが、注文住宅で吹き抜けを新設する場合、最低でも200万円はかかります。単なる吹き抜け工事だけであれば100万円程度が相場ですが、レイアウトを変更したり、断熱対策や廊下の設置などをしていくと、200万円程度は最低かかると覚えておいてください。
参考 注文住宅の吹き抜け費用の相場とは?注文住宅の最強大百科吹き抜けのメリット
吹き抜けをつけるかどうか判断する際、知っておきたいのが吹き抜けのメリット・デメリットです。オシャレな見た目だから、という理由だけで吹き抜けありの新築にしてしまうと、住み始めてから「こんなデメリットがあるなんて、知らなかった……」と後悔しないとも限りません。
はじめに、吹き抜けのメリットについてご紹介していきます。吹き抜け付きの新築を建てることで、どのような住環境が実現できるか、順を追って解説していきます。
メリット1:開放的な空間を作り出せる
吹き抜けの醍醐味と言ってもいいのが、「開放感の演出」です。 下と上の階の仕切りを無くすことで、天井が高くなり、空間の広がりを作ることができます。天井の高さが圧迫感を無くしてくれるため、狭小住宅ではリビングを吹き抜けにすることが好まれています。
「マイホームでは、広々とした空間でのんびり家族と過ごしたい」と思い描いている方にとって、開放感を演出する吹き抜けは、一考の価値があるといえるでしょう。
メリット2:部屋が明るくなる
2階部分に窓を設置することから、光が入りやすくなり、部屋全体が明るくなるのが吹き抜けのメリットです。 南側に接した家の場合、光が入らず暗くなりがちですが、吹抜けを作ることで採光(光を室内へ取り込むこと)の良い生活空間へと改善できます。
冬は太陽の位置が低くなることから、日の光が室内に入りにくくなります。ところが、吹き抜けであれば2階からの光を1階にも取り込めるため、冬でも明るい室内環境を作りだせます。
メリット3:風通しが良い
吹き抜けによって空気の流れが生まれると、風通しが良くなります。
夏の暑い時期には、吹き抜けの上の窓から熱気を外へ出してあげると涼しくなり、冬は1階のストーブの暖かさが2階にまで届くため、ストーブ1台で部屋全体を暖めているご家庭もあるようです。
天井にシーリングファンを設置すれば、部屋の空気の循環をさらに活性化できるので、照明付きのシーリングファンを設置される方もいらっしゃいます。
メリット4:家全体の繋がりと家族間の繋がりが生まれる
床という仕切りを設けず、下と上の階を繋げた吹き抜けにおいては、家全体に一体感が生まれるだけでなく、住む人同士の距離感を近づける効果もあります。
通常の一軒家ですと、1階と2階は別々の空間という認識となってしまいますが、吹き抜けであれば、2階にいながらリビングにいるご家族とお話しできるので、家族間のコミュニケーションが取りやすい環境といえます。
ご家庭によっては、2階の踊り場スペースにお子さんの勉強スペースや、お父さん・お母さんのミニ書斎を作るケースもあり、程よい距離感でプライベートな時間を楽しめているご様子です。
吹き抜けのデメリット
ここまでは、吹き抜けの魅力的なポイントについてご紹介してきました。
こうしてメリットだけをお伝えすると、「やっぱり吹き抜けのある生活は良さそう!早速建築会社へ相談しよう」と思わせてしまいそうですが、吹き抜けにはいくつかデメリットも存在するので、ご注意ください。
ここからは、吹き抜けで生じるデメリットについてご紹介します。 とはいえ、デメリットに対しては工夫次第で十分対策が可能ですので、必要以上に恐れなくても大丈夫です。各デメリットの対策についても丁寧に解説していきますので、気になるデメリットは対策内容をご確認ください。
デメリット1:暖房の効きが悪く、冬が寒い
吹き抜けのデメリットとして、よく耳にするのが「冬がとても寒い」という声です。インターネット上での口コミでも、冬の寒さが厳しいとコメントする方が多数いらっしゃいました。
冬場は朝起きた時の寒さは大変です。床暖房なので入れると寒くないですが、それまでは寒いですね。暖まる速さは吹き抜けがあっても変わらないと思いますが、 エアコンでの対応であれば若干厳しいかもしれませんね。
引用:Yahoo!不動産
ご存知のように、通常、暖かい空気は上に向かいます。吹き抜けによって縦長の空間が生まれるため、1階でエアコンやストーブなどの暖房をつけても、暖められた空気が2階へと逃げてしまい、部屋全体の暖まりに時間がかかるケースがあります。部屋を暖めるために、暖房を強めたり、暖房器具を増やしたりすると、今度は電気代が気になります。
デメリット2:掃除やメンテナンスの手間・コストがかかる
吹き抜けの家での悩ましい点が、掃除です。 窓や照明が高い位置にあるので、ハシゴなどで足場を作らないと掃除ができません。そのため、長い間掃除せずに放置してしまい、窓や照明がホコリまみれになってしまうケースもあります。
天井の照明の電球交換では、位置が高いため、自力でやるのは危険が伴います。そのため、業者へ電球交換を頼むご家庭も少なくありませんが、当然ながら交換費用は、自分で電球を買って交換するより高くつきます。
ほかにも、窓に結露が発生しやすい冬は、こまめに拭き取ってあげる必要がありますが、高い位置に設置した窓は、拭くだけでも一苦労です。結露を放置しておくとカビになってしまうため、頭の痛い問題といえます。
新築を建てる段階でキャットウォークを設けられなかった場合は、脚立か伸縮性のモップを利用しての掃除をご検討ください。モップは、3〜5mまで伸びる商品があるので、高い位置にある窓であっても、掃除が可能です。
引用:Amazon
脚立を使用する場合は、高所での作業になるため、安い脚立は使わず、品質の確かな脚立を使用するよう心がけてください。なお、ご自身で清掃するのが難しい場合は、業者へ任せる方法もあります。
料金の目安としては、80~100平米前後の一軒家の場合、照明・窓・壁紙といった箇所のクリーニングに47,300〜64,900円かかることがあります。 頻繁に業者へ依頼する必要はありませんが、1年に1度ぐらいクリーニングしておけば、吹き抜けをキレイな状態のまま長く利用できるでしょう。
参考 吹き抜けクリーニング|埼玉県さいたま市|ハッピーおそうじサービスハッピーおそうじサービスデメリット3:ニオイや音が気になる
吹き抜けの場合、1階と2階の空間が繋がっているため、音とニオイが広がりやすい点があります。
下の料理のニオイが2階へ、2階の部屋のニオイが1階に行ってしまうため、ニオイに敏感な方はストレスに感じてしまうかもしれません。料理の最中は、部屋のドアを閉めるように気をつけているご家庭もあるようです。
においに関してですが、2階の方がよくにおう気がします。料理の際はできるだけ各部屋のドアは閉めています。
引用:Yahoo!不動産
また、1階と2階に仕切りがないことで、音が筒抜け状態となる問題もあります。そのため、家庭内で生活リズムの異なる人がいる場合、音で家族をイライラさせてしまうことも。
仕事から帰ってきたお父さんが、深夜にリビングでTVを観ていたところ、2階で寝ている赤ちゃんを起こしてしまった、といった話を聞いたことがあります。せっかく吹き抜けを付けて開放感を作れたのに、音の問題で家族の仲に亀裂が入ってしまったら、悲しいですよね。
まずニオイの対策としては、ニオイが蔓延しないよう、頻繁に換気することが重要です。特に料理などでニオイが発生する際は、欠かさずに換気を行なうように心がけてください。吹き抜けに設置した窓の開閉が困難な場合は、天井にシーリングファンを設置することで、空気の循環を試みてください。
キッチンから発生する料理のニオイを広げない工夫としては、キッチンを半個室にする方法があります。
引用:RoomClip
キッチン→リビング→上の階の仕切りが全くない状態だと、キッチンからのニオイが上の階まで届きやすくなってしまいます。かといってキッチンを完全に仕切ってしまうと、開放感を著しく落としてしまうため、機能性とデザイン性のバランスを重視したい方は、半個室をご検討ください。
音の対策としては、2階の部屋の扉を防音にしたり、2階で音の発生しそうな部屋(子供部屋など)を、吹き抜けや階段から離れた場所に配置したりすると、一定の効果が期待できます。
また、家族間で話し合い、音に配慮した生活を心がけることも、快適な新築生活には欠かせません。子どもの寝ている夜の時間帯は、ヘッドホンをしながらTVを観る。来客時は、2階で走り回らないよう、事前に子どもへよく言い含めておくなど、無理のない範囲で音への対策を行なってください。
デメリット4:2階スペースが狭くなり、収納スペースが減る
吹き抜けを作ると2階の面積が小さくなるため、間取りを工夫しないと2階が窮屈な空間となってしまいます。
また、2階面積の縮小に伴い、収納スペースが減るため、収納に困るケースもあります。たとえば、吹き抜けと相性のいいスケルトン階段の場合、開放的な空間を演出してくれる一方で、階段に収納スペースを設けづらい短所も存在します。
対策としては、空間を狭く感じさせない間取りを考えることです。たとえば、スキップフロアを設けるのは、空間を活用する方法として有効です。
引用:RoomClip
ほかには、階段下のデッドスペースを、ミニ書斎や収納スペースとして活用することも有効です。
引用:RoomClip
階段下を活用している事例です。シンプルなオープンシェルフが、空間を圧迫することなく機能しています。
新築の吹き抜けについてのまとめ
新築住宅を建てる上で、吹き抜けのある家にするかどうかは、ご家族の間でも意見の分かれるポイントだと思います。
本記事でご紹介したように、吹き抜けには「開放感」「風通し」「家全体の繋がり」といったメリットがある一方で、「音やニオイが気になる」「冬が寒い」「掃除やメンテナンスが手間」といったデメリットも存在します。そのため、吹き抜けのある家にするかどうかは、メリット・デメリットを踏まえた上で、「自分たちの家に必要か?」「デメリットへの対策はできるか?」を、ご家族としっかり話し合うことが大切です。
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