引き渡されたばかりの、ピカピカの新築。 普通はこのタイミングで害虫が発生するなんて、思いも寄らないものです。
ですが、害虫は新築であっても簡単に侵入してしまいます。 また、引き渡されたばかりであっても、家の手入れを少しでも怠れば、害虫たちはみるみるうちに繁殖を繰り返します。
そのため、引き渡し後であっても油断せず、害虫対策を行う必要があるのです。
本記事では、新築で発生しやすい害虫の種類と、住み始めてからの対策方法を解説しています。虫とは無縁な生活を送りたい方は、ぜひご覧ください。
新築に害虫が出る理由と害虫の種類
まずは、「新築になぜ害虫が発生するのか」「どんな虫が発生するのか」を確認していきましょう。
害虫は汚い場所以外にも発生する
害虫は「食べ物がある場所」や「汚れている場所」に寄り付いてくるイメージがありますが、実はそういった場所だけが好きなわけではありません。 害虫は「湿気の多い場所」「人気(ひとけ)の少ない場所」を好む傾向にあります。
新築の木材には水分が多く含まれており、引き渡し前は人の行き来も少ないため、「湿気の多い静かな場所」になっています。 この条件が害虫たちにとっては好都合となり、棲家として狙われてしまうのです。
新築で発生しやすい害虫たち
次に、新築で発生しやすい害虫たちの生態をご紹介します。
積極的には知りたくないことかもしれませんが、害虫を発生させないためには、害虫たちの生態や特徴を把握することが大切です。 適切な対策を練るために、敵の情報収集を進めていきましょう。
→害虫対策から知りたい方はこちらゴキブリ
主な侵入経路 | 排水口や通気口など |
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家や人に与える影響 | 見た目が不快、大量繁殖 |
好きなもの | 玉ねぎ、油、アルコール |
嫌いなもの | ハッカ、ミント |
家に出る害虫の代表格、ゴキブリ。
ゴキブリは3mmの隙間があればどこでも通り抜けられると言われており、人が住む前の新築であっても容赦なく入り込みます。 暗くて湿気の多い場所を好むため、誰も生活していない新築はゴキブリに狙われることが少なくありません。
雑食なので基本的には何でも食べますが、中でも玉ねぎや油が大好き。キッチン周りの対策を怠ると、あっという間に繁殖してしまいます。
クモ
主な侵入経路 | 排水口、排気口など |
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家や人に与える影響 | 基本的に無害、稀に人を噛む |
好きなもの | ゴキブリ、ハエ |
嫌いなもの | りんご、レモン |
クモはゴキブリやハエなどを好んで食べるため、室内の害虫を駆除してくれる一面があり、益虫(人にとって良い虫)としても扱われています。
とはいえ、クモが発生するということは「室内に獲物となる害虫がいる」可能性が高いので、放置して良いわけではありません。 また、稀ではありますが人を噛むこともあります。
カツオブシムシ
主な侵入経路 | 人の衣服に付着する |
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家に与える影響 | 衣服などを食い散らかす |
好きなもの | 毛繊維、植物、乾燥食品 |
嫌いなもの | 水 |
カツオブシムシは主に衣類に付着し、服の繊維を食べてしまう害虫です。服以外にも乾燥食品などを好み、名前の通り鰹節には目がありません。 侵入経路としては、人が着ている衣服や外に干した衣服に付着し、そのまま室内へ連れ込んでしまうパターンが多いです。
生命力と繁殖力が高いうえに、一度バルサンを炊いても服の奥などに隠れてしまい、絶滅させるのが難しいのが厄介なところ。 ただ、水には非常に弱く、服に付着していても洗濯をすれば駆除することができます。
コクヌストモドキ
主な侵入経路 | 換気口など |
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家に与える影響 | 穀物を食い散らかす |
好きなもの | 化学物質、穀類 |
嫌いなもの | アルコール |
新築に使われる接着剤や建材の匂いを好むため、新築に引き寄せられやすい害虫。 また、小麦粉や米などが大好きで、放置すると食品のそばで大繁殖するため注意が必要です。
大量発生すると不快な臭いを放ち、ペットが中毒を引き起こした事例も存在します。
→コクヌストモドキを発生させないためにはチャタテムシ
主な侵入経路 | ダンボールや衣服に付着 |
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家に与える影響 | ダニの繁殖を助ける |
好きなもの | カビ、ホコリ |
嫌いなもの | アルコール、乾燥 |
チャタテムシは直接人を刺したり噛んだりはしませんが、ダニの繁殖を助長させる害虫です。繁殖力と生命力が高いため、放置するとダニと共に大量発生する厄介な虫です。
雑食性で何でも餌にしますが、特にカビやホコリを好みます。 侵入経路は外からの資材、特にダンボールに付着して持ち込ませるケースが多いです。
コバエ
主な侵入経路 | 排気口、通気口など |
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家に与える影響 | 家中を飛び回る |
好きなもの | 水場、アルコール、果物など |
嫌いなもの | ハーブ、ミント |
「コバエ」とは小さいハエの総称で、細かくは「ショウジョウバエ」「キノコバエ」「ノミバエ」「チョウバエ」に分けられます。 ショウジョウバエは食品全般、キノコバエは植物、ノミバエは生ゴミ、チョウバエは水回りを好みます。
コバエはどこからでも侵入し、室内で簡単に繁殖を繰り返すため、「寄せ付けないこと」と「繁殖させないこと」が大切です。
カメムシ
主な侵入経路 | 換気扇、洗濯物 |
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家に与える影響 | 植物を食べる、独特な臭気 |
好きなもの | 野菜、明るい光 |
嫌いなもの | ミント、ハッカ |
独特な臭いを放つことで知られるカメムシ。2mmほどの隙間があれば侵入できるため、新築においても発生する可能性があります。 野菜や果物が大好きなので、家庭菜園をやっている家は要注意です。
また、暖かい場所や太陽の光が好きで、春に最も活発に動きます。侵入経路としては、洗濯物にくっついたまま取り込んでしまうケースが多いです。
新築に出る害虫の対策
次に、新築で害虫を発生、繁殖させないための対策方法をご紹介します。 住み始めてからの立ち回り次第で、害虫とは無縁の生活を送ることができるため、適切な対策を確認していきましょう。
室内の湿度を安定させる
新築に出やすい害虫の多くは湿気を好むため、一年を通して湿度が50%以下になるように調整しましょう。 特に現代の住宅は高気密高断熱が基本なので、普通に暮らしているだけでは湿気が籠もりやすくなってしまいます。
湿度を上げすぎないための対処法は、以下の通りです。
・エアコンの除湿機能を使う
・除湿機を使う
・サーキュレーター(扇風機)を使う
・除湿剤を使う
エアコンの除湿機能や除湿機は便利ですが、湿度調整の基本は換気。 よほどの豪雨でない限りは雨の日でも換気が必要で、室内の空気を淀ませないことが大切です。
換気のコツなどは、以下の記事も参考になさってください。
参考 ジメジメした梅雨の時期……家のイヤな湿気を取る方法は? - 解体工事の情報館解体工事の情報館室内の害虫を駆除する
住み始める前に侵入した害虫が気になる方は、くん煙剤を使用して、家全体に潜む害虫を一網打尽にしましょう。 くん煙剤とは、煙を噴射しながら家全体に薬を行き届かせる殺虫剤です。くん煙剤のタイプはおよそ3つあります。
1 昔ながらのくん煙剤
バルサンに代表される、昔ながらのくん煙剤です。 煙をモクモクと噴射するため、使用する際には室内の家具や火災報知器などにカバーをかける必要があります。 多少手間がかかりますが、その分効き目は抜群ですので、本格的に家具を入れる前に使うのがオススメです。
2.ペットや観賞植物、観賞魚などは部屋の外に移動させる
3.家具や家電、精密機器、食品などはビニール袋などでカバーをする
4.火災報知器にカバーを付ける
5.缶をセットし煙を発射させたら、2時間以上無人の状態で部屋を閉め切る
6.2時間以上経ったら、室内の空気を吸い込まないように部屋へ入り、換気を行う
2 煙が出ない霧タイプ
煙が気になる方は、くん煙剤のように煙が出ない霧タイプがオススメです。 火災報知器が鳴らない、煙たくならないといったメリットがあります。ただ、くん煙剤と同じく家具へのカバーは必須になりますので、お気をつけください。
2.ペットや観賞植物、観賞魚などは部屋の外に移動させる
3.家具や家電、精密機器、食品などはビニール袋などでカバーをする
4.缶をセットし煙を発射させたら、2時間以上人がいない状態で部屋を閉め切る
5.2時間以上経ったら、室内の空気を吸い込まないように部屋へ入り、換気を行う
3 新進気鋭のお手軽タイプ
近年、KINCHOが発明した画期的な駆除剤「ゴキブリムエンダー」や「イヤな虫ムエンダー」もオススメです。 これらは人体への影響の少ない「ピレスロイド」という成分を使っており、使用する際に家具にカバーをかけたり、人やペットを避難させる必要がありません。
それでいて、くん煙剤と同等の効果を得られるとして近年人気を博しています。 ちなみに「イヤな虫ムエンダー」は、本来薬剤が効きにくいクモやコバエにも効果がある優れものです。
害虫を住まいに寄せ付けない
家の中の害虫を駆除したら、次は害虫を家に寄せ付けないように気をつけましょう。
侵入経路を塞ぐ
まずは、害虫たちが侵入しそうな経路を塞ぎましょう。 害虫が侵入する主な経路と塞ぎ方は以下の通りです。
侵入経路 | 塞ぎ方 |
---|---|
玄関 | 隙間テープで塞ぐ |
排水口 | ゴミ受けを設置 |
換気口 | 専用のフィルターを付ける |
室外機 | 室外機カバーを付ける |
排水ホース | ドレンキャップを付ける |
詳しい塞ぎ方や便利アイテムは、ゴキブリ対策の記事で同じく説明をしています。 気になる方は併せてご覧ください。
新築でもゴキブリは出る!原因と対策を知ってG撲滅へ虫を寄せ付けない薬品を使う
外からの侵入を防ぐ方法として、待ち伏せタイプの殺虫剤や忌避剤を使うのも有効です。 殺虫剤は虫に直接噴射するタイプだけでなく、事前に噴射することで虫を寄せ付けないようにするタイプもあるため、事前にチェックしてみてください。
・ゴキジェットプロ 秒殺+まちぶせ|アース製薬
・クモの巣消滅ジェット|アース製薬
・虫コロリアース スーパージェット|アース製薬
・バルサンまちぶせスプレー|バルサン
害虫別の具体的な対策
最後に、害虫別に取るべき対策をご紹介します。 既に発生してしまった虫や、絶対に発生させたくない虫の対策法は要チェックです。
ゴキブリの対策
ゴキブリは1にも2にも清潔な空間を造ることが大切です。単に掃除をするのではなく、匂いの元になるような食品は密閉容器や冷蔵庫に入れるなど、管理を徹底しましょう。 家に寄せ付けないためには、ゴキブリの嫌いなハーブやミントの香りがする忌避剤を使ったり、待ち伏せタイプの殺虫剤を使うのも効果的です。
もしゴキブリを家に入れてしまったら、くん煙剤などを使用して繁殖を防ぎましょう。 特に冬を越させないことが大切なので、秋から冬にかけてバルサン等を炊くのがオススメです。
また、「ゴキブリだけは姿も見たくない」という声にお応えして、ゴキブリ対策にのみスポットを当てた記事もご用意しております。 併せてご確認ください。
新築でもゴキブリは出る!原因と対策を知ってG撲滅へクモの対策
クモを発生させないためには、他の害虫を撲滅させる必要があります。基本的にクモが室内にいる時は、その獲物である害虫もセットで存在するため、クモだけを退治するのは賢明ではありません。 クモは主に「ゴキブリ」や「ハエ」などを好んで食べるため、それらが室内からいなくなれば、クモも自然と姿を消します。
もし家にクモが出てしまった場合は、殺虫剤などで駆除しましょう。 また、クモは「益虫」としても知られるため、捕まえるのが怖くない方は、生かしたまま外に逃がしてあげるのも吉です。
カツオブシムシの対策
カツオブシムシは服を食い荒らすため、被害を出さないように防虫剤の使用をオススメします。 ちなみに、カツオブシムシに効くとされる殺虫剤は効果が薄いため、駆除よりも繁殖を増やさないことを意識しましょう。
コクヌストモドキの対策
コクヌストモドキの最も有効な対策法は、丁寧な掃除です。コクヌストモドキは乾燥した食品や植物を好むため、食われている場合は破棄し、食品くずなどが散らばっている場合は掃除をします。 長期保存する食品は基本的に密閉容器に入れておくことで、コクヌストモドキを寄せ付けないことができます。米やパンなどのクズを散らばせないことで予防ができますので、日頃からの掃除を心がけましょう。
万が一、室内で大量発生をしてしまった場合は、くん煙剤を使用して一斉駆除を行います。
チャタテムシの対策
チャタテムシは湿気を好むため、室内をある程度乾燥させることが大切です。 1年を通じて湿度を60%以上にしないようにエアコンや換気システムを使用したり、窓を開けたりして湿度調節をしてください。
また、ダンボールや紙袋を好んで繁殖するため、不要になったダンボール等はすぐに処分をしましょう。
コバエの対策
コバエの対策は、食品の徹底管理にあります。 春から夏にかけては、三角コーナーに生ゴミを溜めたり、部屋に食べかけの物や食べかすを放置するだけで、あっという間に大繁殖するため注意が必要です。 しかも、最もポピュラーな「ショウジョウバエ」には殺虫剤が効きませんので、発生と繁殖をとにかく抑えないといけません。
カメムシの対策
カメムシは野菜や果物が大好きなため、庭で家庭菜園などを行っている場合は、害虫に効く農薬の使用がオススメです。 それが難しい場合には、家の網戸に忌避剤をスプレーしましょう。家への侵入を防ぐため、定期的な使用がオススメです。
新築の害虫対策についてのまとめ
綺麗な状態の新築でも、当たり前のように害虫は発生します。大切なのは敵を知り、それぞれに対して適切な予防法を練ることです。 どの害虫にも通じて言えるのは「侵入させないこと」と「繁殖させないこと」。
万が一侵入を許してしまっても、繁殖を防ぐことで快適な虫ゼロライフに繋がります 引き渡し後から徹底対策を行い、奴らと無縁な生活を送りましょう!
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