木造2階建ての新築なら、工期はおよそ3~6ヶ月といわれています。とはいえ、新築を建てるあたって、「スケジュール通りに滞りなく進めてもらえるか不安だ」という方は多いようです。そこで、この記事では、新築の工事に必要な工程をいくつかに分けて、分かりやすく解説していきます。
「新築工事の工程を把握して、安心して工事を済ませたい」という方はぜひ参考になさってください。
参考 【ホームズ】新築住宅ができるまで! 工事の流れ・かかる期間について解説 | 住まいのお役立ち情報住まいのお役立ち情報【LIFULL HOME'S】新築工事の大まかな流れを確認しよう
「新築の工事は楽しみだけど、何もしなくて大丈夫なのだろうか?」、とご不安な方もいるでしょう。初めての新築では、知識がないと何から始めればよいのか分かりませんからね。
まずは、新築工事の工程がどのようにして決められるのか、また、具体的にどのような工程があるのか大まかに確認していきましょう。
新築工事の工程は「工程表」が頼り
新築の工事には、たくさんの業者さんが関わります。そのため、各業者さんや職人さんたちがスケジュール通りに工事を進められるよう、あらかじめ元請けの業者さんが、「工程表」を作成して工事の工程や進捗を管理していきます。
一般的な木造住宅の工程表の例
なお、工程表には決まったフォーマットがありません。そのため、業者さんによって項目の名称や数、書き方が異なります。とはいえ、工事の大まかな流れは基本的に変わりません。工事の流れが把握できれば工程表の見方も分かるようになります。ここからは、新築工事の流れを分かりやすくご紹介していきます。
新築工事には大きく分けて5つの工程がある
基本的に木造家屋は、初めに土台をつくり、その上に骨組みを立てて肉付けをしていきます。具体的には、建物の土台となる基礎の工事をしてから、大工さんによる骨組みや下地をつくる工事をして、お風呂やキッチン、電気関係などの内装工事を施していくわけです。
- 建物の土台となる基礎の工事
- 大工さんによる骨組みや下地をつくる工事
- お風呂やキッチン、電気関係などの内装工事
加えて、工事の前には必ず、地盤に関わる調査と改良工事を行ない、家を建てても問題がない土地にする必要があります。また、建物が完成した後は、カーポートや塀といった、建物周辺の外構工事も忘れてはいけません。
- 地盤に関わる調査と改良工事
- 建物周辺の外構工事
このように、新築の工事は建物を建てるために必要な3つの工事に加え、前後にも1つずつ工程があり、大きく分けて5つの工程に分けることができます。
新築工事の各工程を詳しく解説
新築工事の大まかな流れが把握できたところで、続いては実際にどのように工事が進んでいくのか、少し具体的に見ていきましょう。
地盤に関わる調査と改良工事
新築を建てる時、まず初めに行われるのが地盤の調査です。一般的な木造家屋を建てると、地面にはおよそ60tもの圧力が掛かるといわれています。そのため、不安定な場所に家を建ててしまうと、建物が傾いて窓が開きづらくなったり、壁にひびが入ってしまったりするので注意が必要です。
参考 知らないと後悔する!ポラスの分譲日本では、短期間で精度の高い調査結果が得られる、「スウェーデン式サウンディング試験」、という方法で地盤の調査をするのが主流です。調査の結果は半日から数日程度で分かりますが、もし地盤の改良が必要な場合は、さらに数日ほど工期が長くなります。
必要に応じて地盤の改良が必要
もし、地盤調査の結果、改良が必要な土地だと分かった場合は地盤の改良工事が必要です。なお、地盤の改良には、固化材で表面を固める方法と、杭を打ち込んで補強する方法の2つがあります。
固化材で表面を固める方法
「表層改良工法」といわれる方法で、深さ2mほど土を掘り起こし、固化材を加えて再度埋め直すことで地盤を強化する方法です。費用は坪当たり約2~3万円程といわれています。
引用:表層改良工法(浅層混合処理工法)|地盤調査・地盤改良のサムシング
杭を打ち込んで補強する方法
表層改良工法で強度を出すのが難しい場合は、コンクリートや鋼の杭を地面に刺して地盤を強化するのが一般的です。「柱状改良工法」や、「鋼管杭圧入工法」と呼ばれる方法で、表層改良工法と比べると費用はおよそ2倍程度掛かります。
参考 地盤改良工事とは?工法別のメリット・デメリットと費用ジャパンホームシールド|住まいの安心研究所家を建てるにあたって、まずはじめに行われるのが地盤の調査と改良工事。安心して長く住めるお家にするためにも、事前にしっかりチェックしてもらいましょう。
地盤の調査が終わると、「地縄張り(じなわはり)」といわれる、建物の配置を決める作業に移りますが、その前後で地鎮祭を行うのが一般的です。
なお、地鎮祭とは、その土地を守る神様に、家を建てる事の許可をもらうための儀式で、工事の安全を祈願して行われます。地鎮祭については、以下の記事で詳しく紹介しているので気になる方はご覧ください。
非公開: 新築を建てる前に、地鎮祭で良い節目を迎えよう建物の土台となる基礎の工事
地盤の調査が終わると、続いて基礎と呼ばれるお家の土台になる部分を作っていきます。特に、基礎をつくる際に重要なのが、地面に防湿シートを張って湿気を取り除く工程です。日本は湿度が高く、湿気の影響で床下部分が腐ったり、シロアリが発生したりする恐れがあります。
そのため、基礎をつくる際は、丁寧に湿気を取り除いた上で作業を進める必要があるわけです。また、基礎の工事には、他にも複雑な工程がいくつも含まれており、10種類以上の細かい手順があります。
- 地縄張り
- 根切り
- 砕石敷き
- 防湿シート敷き・捨てコンクリート
- 配筋(鉄筋組み)
- 基礎外周の型枠組み
- 床ベースの生コン打設
- 基礎内部の立ち上がり型枠組み
- アンカーボルトの設置
- 基礎立ち上がりの生コン打設
- 養生
- 型枠ばらし
- 雑コン・仕上げ
工程の細かい呼び名や手順は基礎工事を担当する業者さんによって多少変わりますが、工期はおよそ2週間程度です。 なお、掲載している基礎工事の詳細は以下のサイトを参考にさせていただきました。詳しい手順が気になる方はチェックしてみてください。
参考 【戸建住宅の基礎工事】工程や手順と注意したいチェックポイントIEsaku注文住宅ラボー建築士と学ぶ失敗・後悔しない家づくり基礎工事と並行して配管も確保しておく
ちなみに、基礎はコンクリートで出来ているため、完成した後に穴を空けて配管を通すには大変手間が掛かります。そのため、業社さんによっては、基礎工事の前後で水道やガスの配管を予め通す、スリーブ工事を行う場合があります。
また、基礎工事を担当する業社さんと、水道やガスの配管を管理する業社さんは異なる場合があります。このように、複数の業社さんが同時に関わる場合、工程表には以下のようにスリーブ工事の有無が記載されているケースが多いです。
スリーブ工事の記載例
参考 スリーブってなに?梁のスリーブ位置や間隔、孔径、スリーブ補強建築学生が学ぶ構造力学基礎はお家全体の土台となります。建てた後も末永くお家を支えもらえるよう、一つひとつの工程を丁寧に、頑丈な基礎を作ってほしいですね。
大工さんによる骨組みや下地をつくる工事
基礎が完成すると、いよいよ柱や梁などのお家の主要な部分が組まれていきます。この工程を「建て方」といい、ここからは大工さんたちの出番です。ちなみに、建て方から内装の手前までを総称して、木工事といいます。実際に、工場でカットされた木材が次々と運び込まれ、家が形になっていく姿を見ることができます。
なお、建物の最上部まで建て方が進むと「棟上げ」と呼ばれ、骨組みが完成したことを祝って上棟式が行われます。ここまで、工事に着工してから、およそ1~2ヶ月程度が目安です。
上棟式は余分に費用が掛かるだけでなく、スケジュール調整なども必要なので、近年は上棟式をやらない方が増えています。ハウスメーカーさんなどを利用した場合、特に上棟式の話が出ない時は、無理にやらない方が良いケースもあるみたいです。
とはいえ、上棟式は、大工さんたちに普段のねぎらいを込めてお祝いをする場です。心を込めてお家を建ててもらうためにも、コミュニケーションのひとつとして活用してみてください。
参考 注文住宅ができるまで。工事編 着工~お引渡しまで東京・都心の注文住宅設計アーキブラスト 参考 【ホームズ】新築の際の上棟とは? 住まいのお役立ち情報【LIFULL HOME'S】上棟げが終わると、雨にも耐えられるようお家の屋根もあわせて作っていきます。この時点で、電気やコンセントの位置などを確認をするために、一度立ち会いを行なうケースが多いようです。
さらに2ヶ月、大工さんたちの作業が進められる
さて、建物の骨組みが完成した後は、さらに大工さんたちによって、その他の柱や壁の下地、床などが作られていきます。まずは、大きな柱と柱の間に間柱(まばしら)と呼ばれる柱を入れて骨組みを補強していきます。さらに、筋交いを入れて骨組みの強度を増していきます。
引用:スタジオカメラサトウ様新築工事(間柱)|早島町の家づくり物語引用:筋交いの入れ方|DIY日曜大工で家をつくる
他にも、窓台(まぐさ)とよばれる、窓を水平に保つための柱を入れたり、合板や構造金物といわれる金物を取り付けていきます。
引用:開口部枠造作、窓サッシ取付け|DIY日曜大工で家をつくる
引用:構造金物って何?|地球品質IG STYLE HOUSE
建物の構造部分ができたところで、木工事の仕上げです。窓やサッシ、玄関が取り付けられ、日々の工事が終わると戸締まりもされるようになります。
また、床や壁に石膏ボードを貼り付ける前には、ところどころに下地となる木材が必要です。特に、エアコンや壁掛けテレビなど、強度が必要なところにはしっかりと下地になる木材を取り付けていきます。
参考 現場に行こう!木造軸組工法での木工事の工程と流れIEsaku注文住宅ラボー建築士と学ぶ失敗・後悔しない家づくり以上で大工さんによる骨組みや下地をつくる工事は完了です。しかしながら、大工さんによる木工事は職人技。実際に基礎の上に次々とお家が建っていく様子を、ぜひ間近で見てみたいですね。
なお、木工事の詳細は以下の記事を参考にさせていただきました。より細かい手順を詳しく紹介されているので、気になる方はチェックしてみてください。
参考 現場に行こう!木造軸組工法での木工事の工程と流れIEsaku注文住宅ラボー建築士と学ぶ失敗・後悔しない家づくりお風呂やキッチン、電気関係などの内装工事
大工さんによる構造部分の工事が完了した後は、お風呂やキッチン、電気関係といった内装の工事をしていきます。ここまで来ると新築工事も終盤です。
内装工事ではまず、壁に断熱材を入れて、石膏ボードを取り付けた上からクロスが貼られます。この時、電気配線などの工事も平行して行ない、コンセントの位置などが問題なく取り付けられるかを確認しながら進めていきます。
引用:【施主が学ぶやさしい住宅建築講座-38】内装仕上げ下地(クロス下地)| 初めての家づくり成功応援ブログ
続いては、お風呂やキッチンといった水回りを取り付けていきます。なお、内装工事が完了するまでの期間は、おおよそ約1~2ヶ月程度です。たくさんの業者さんが関わるところなので、工程表の項目は多岐に渡ります。
内装工事の項目例
内装工事が終わると、新築工事のうち建物に関わる工程は完了です。とはいえ、ここまでを振り返ってみると新築工事にはたくさんの工程があり、いくつもの業社さんが関わっているのが分かります。実際の工事も、滞りなくスムーズに進めたいですね。
建物周辺の外構工事
新築工事の最後は、カーポートやフェンス、ブロック塀、植栽といった建物の周辺に関わる外構工事です。ハウスメーカーさんの中には、外構工事も含まれている場合がありますが、注文住宅の場合は、外構工事も別途手配する必要があります。
なお、部分的な作業になるので、業社さんごとに入れ替わりで作業をされるところもありますが、各工程は2日~数日程度です。内装工事全体では2週間から1ヶ月程度が目安になります。
引用:愛知県名古屋市港区 平板設置工事 外構工事|株式会社大南
また、外構工事は新築工事のスケジュールに直接は影響しないので、生活に支障がないようであれば、ゆっくり時間を掛けて考えながら進めるのも良いでしょう。
参考 外構業者の工事は遅い!?工事日数はどのくらいかかるもの? | エデンな暮らしエデンな暮らし工事が遅れる原因は主に天候
最後に少しだけ、工程が予定通りに進まない時の要因について触れておきましょう。実際に新築工事を進めてみると、色々な要因で遅れが生じてしまうケースがあります。その中でも、工事が遅れる主な要因は天候です。そのため、天候の影響を受けやすい時期はなるべく避けて新築工事をしたいですね。
工程により着工を避けるべき時期がある
特に、木工事の序盤は柱がむき出しになっているので、雨の影響を受けやすいです。そのため、雨季に木工事がかぶるようなスケジュールは避けた方が良いといわれています。
また、建物の基礎はコンクリートで出来ているので、冬場に基礎工事をしてしまうと基礎が凍ってしまい、十分な強度が得られない場合があります。夏場も同様に、コンクリートがひび割れを起こしやすい季節なので、同様に基礎工事は避けた方が良いでしょう。
新築を建て始めるのに理想とされる時期
そのため、具体的には、10月、11月に着工して、1月から2月に竣工する。もしくは、4月、5月に着工して8月から9月に竣工するのが理想だといわれています。
- 10月、11月に着工して、1月から2月に竣工
- 4月、5月に着工して8月から9月に竣工
せっかくなら、理想的な時期に着工してスムーズに新築工事を進めたいですよね。 ご不安な方は、工事の日程やスケジュールを確認してみてください。
参考 着工・竣工時期はいつごろがいいの?理想的な家づくりのスケジュールとは住友林業のPFウッドで建てる家新築の工事に関する工程についてのまとめ
簡単ではありますが、新築工事に必要な工程を5つに分けてご紹介しました。新築の工事を控えてご不安な方も、大まかな工事の流れをイメージできたのではないでしょうか。
なお、新築工事の工程は、実際にはもっと細かく分かれています。より詳しい工程も知りたい、という方は、工程表の項目を参考にしながら調べてみると詳しい工程が分かると思います。