新築賃貸に礼金は必要?礼金交渉のポイントと礼金なし物件の注意点

新築 礼金

内装や外装がキレイ」「IHクッキングヒーターや温水洗浄便座に憧れてる」といった理由で高い人気を誇るのが新築賃貸。家族が増えたり、子どもが大きくなって手狭になってきたことから、今の住居から新築物件へと引っ越しを検討される方も少なくありません。

とはいっても、「引っ越しには家賃の5ヶ月分の費用がかかる」と言われているように、引っ越しには多額の初期費用が生じます。
その中でも気になる費用が、礼金です。「敷金と何が違うの?」「礼金ゼロの物件って大丈夫?」「礼金交渉はできる?」などなど、礼金にまつわる質問はネット上でもよく見かけます。

そこで本記事では、礼金に関してゼロから知りたい!という方に対して、礼金とは何かというところから、礼金交渉のポイントに至るまで、詳しく解説していきます。
新築賃貸への引っ越しを検討されている方は、ぜひ本記事を参考になさってください。

礼金に関する基礎知識

賃貸物件を探す際、必ずといっていいほど目にする「礼金」という言葉。ここでは、意外に知られていない礼金の由来や相場について、順を追って説明していきます。

礼金とは?

礼金とは、その名の通り、お礼の意味を込めた支払金を指します。借り主から大家さんに対して支払われるお金で、敷金や保証金とは異なり、退去の際に返金されることはありません

「家賃を払うのに、なんでお礼として追加のお金を支払うの?」と不思議な感じもしますが、礼金の由来は戦後にあると言われています。戦後、地方から東京へ出稼ぎに来た人のご両親や後見人が「ご迷惑をかけるかもしれませんが、よろしくお願いします」という意味を込め、大家さんへ謝礼金を支払う文化がありました。法的に定められたものではないため、地方によっては礼金の習慣自体が無かった地域もあります。

現代においては、大家さんへの謝礼という概念は薄れつつありますが、礼金の必要な物件は今も多数存在します。

敷金との違い

物件情報を見ると、必ずといっていいほど掲載されているのが「敷金◯ヶ月、礼金◯ヶ月」という情報です。
混同しやすい単語ですが、敷金と礼金は意味合いが全く異なります。わかりやすいように表にして、違いを説明していきます。

敷金と礼金の違い

用途 返金の有無
敷金 退去時の修繕費や、家賃滞納時に補完するための預け金 契約終了後、原状回復費用を差し引いた金額が返還
礼金 大家さんへの感謝の意味で払う 返金されない

このように、敷金と礼金の大きな違いは「お金が返ってくるかどうか」です。敷金はあくまで預け金であるため、原則として、家賃滞納、故意・過失による住居の損傷が無い限り、借り主へ返金されます。一方、礼金は大家さんへの謝礼金として渡すため、あとから返金されることはありません。

ちなみに、礼金は入居前に、大家さんまたは不動産会社へ支払います

礼金の相場

礼金と敷金の違いが理解できたことで、次に気になるのは礼金の相場です。
リクルート住まいカンパニーの調査によると、2019年度の礼金の平均額は、家賃の0.7ヶ月分でした。意外に少なくて驚かれるかもしれませんが、これは最近の賃貸業界で、礼金なしの物件が増えてきていることが背景にあります。礼金の必要性が薄れているため、礼金ありの物件だと入居希望者が集まりづらい、という事情から、礼金なしを謳う物件が増えています。
参考 【賃貸】敷金・礼金ゼロ物件の増加傾向、減少に一転。そもそも敷金と礼金はなぜ必要? | スーモジャーナル - 住まい・暮らしのニュース・コラムサイトスーモジャーナル - 住まい・暮らしのニュース・コラムサイト

礼金なしは大家さんにとってもメリットあり?

前述のとおり、礼金なしの物件がある理由は、「礼金ありだと、入居希望者が集まりづらい」ためです。大家さんにしてみると、礼金ありにして門戸を狭くすることは、長期的な家賃収入の機会を逃す恐れがあるため、入居希望者の少ない物件なら、礼金ゼロにしたほうが得と考えます。

MEMO
最近では、一定期間の賃料を免除する「フリーレント」付きの物件が、増えてきています。大家さんや不動産管理会社にとっては、入居者のいないことには家賃収入が発生しないため、フリーレントや礼金なしといった条件を提示することは、理にかなった行動といえます。
参考 賃貸の「フリーレント」物件のメリットとは? どんな人におすすめ?注意点は? | 住まいのお役立ち記事住まいのお役立ち記事

礼金なし物件の割合

参考までに、賃貸情報サイトのSUUMOで、礼金なしの物件がどれほどあるのか調べてみました。東京23区内で、礼金ありとなしの表示物件数は、次のとおりでした(2021年4月調査時点)。

礼金あり 礼金なし
表示物件数 97万9,595件 38万5,550件

こうして調査してみると、礼金なしは礼金ありと比べ、3分の1ほどの物件数しかありませんでした。地域差もあるため一概には言えませんが、礼金ありの物件はまだまだ多いというのが現状のようです。

礼金なし物件のメリット・デメリット

礼金なし、聞くと「お得だ!」と思う方もいれば、「何か裏があるのでは?」と身構えてしまう方もいます。そこで、ここでは礼金なし物件のメリットとデメリットについて、詳しく解説していきます。

大きなメリットは、初期費用の節約

経験済みの方もいらっしゃると思いますが、引っ越しにはとにかくお金がかかります。敷金、礼金、前家賃、仲介手数料、保証料、火災保険料、鍵交換費用といった費用を合わせると、家賃の5〜6倍に達すると言われており、ここに引っ越し代が加わると大変な支出額となります。
礼金が無くなるだけで家賃の1ヶ月分ほどの金額が浮くため、礼金なしの物件は、引っ越しを希望する人にとって魅力的な物件といえます。

礼金なしの甘い罠

初期費用を節約するために礼金なしの物件を選びたい、と考えることは間違っていません。しかしながら、礼金なしの物件の中にはいくつか注意の必要な点があるため、礼金なし=お得と考えるのは危険です。

よくあるケースが、「礼金なしの代わりに、他の費用が請求される」ことです。鍵の交換代、入居時・退去時のクリーニング費・住居メンテナンス代など、本来であれば借り主が負担する必要のない費用を、大家さんから請求されることがあります。礼金なしだからと安易に契約した結果、結局ほかの請求で礼金1ヶ月分より高くついた、といったケースもあるため、ご注意ください。

注意
敷金礼金なしの「ゼロゼロ物件」は、礼金だけでなく敷金もかからない物件となっており、引っ越しを検討されている方には大変魅力的に映りますが、契約時には細心の注意が必要です。なぜかというと、敷金は「部屋の修繕費」「家賃滞納に対する担保金」を目的とした預り金であるため、敷金をゼロにすると、大家さんの損するリスクが高まります。そうした背景から、敷金なしの物件では、「部屋のクリーニング代」や「鍵の交換代」といった費用を借り主に請求することで、帳尻を合わせるケースもあります。

ゼロゼロ物件、礼金なしの物件のすべてが裏のある物件ではありませんが、のちのちトラブルを抱えないためにも、契約を交わす前に賃貸契約書の中身は必ず確認しておいてください。

礼金の交渉で失敗しないために気をつけておきたいポイント

ここまでは、礼金の意味や礼金なしの物件に関する基礎情報をご紹介してきました。押さえていただきたいポイントは、次の3点です。

  • 礼金は大家さんへの感謝を意味するお金
  • 礼金ゼロ物件の数は、礼金ありと比べ3分の1程度だが、最近では増えつつある
  • 敷金・礼金なしのゼロゼロ物件は、別の部分で費用が発生する可能性があるため、要注意
ここからは、「礼金ありだけど気になる物件がある。交渉できないかな?」といった悩みを解決するために、礼金の交渉ポイントをご紹介していきます。

礼金交渉は基本的に可能

「交渉なんかして、不動産屋や大家さんを不快にさせないだろうか?」と不安な方もいらっしゃるかと思いますが、実は礼金の交渉は、ほかの初期費用より交渉しやすいものです。繰り返しお伝えしているように、礼金は昔の慣習からきており、現代においては存在意義が薄れています。大家さんとしては、一度の礼金より、長期の家賃収入を得るほうが重要なので、礼金を多少減らしても、お客さんに賃貸契約を結んでもらおうと考えます。

交渉が可能な範囲としては、一般的に家賃の1ヶ月程度となっています。家賃が10万円だとすると、10万円ものお金が値切れる計算となります。
参考 敷金・礼金って何?相場は何か月?値引きは可能?敷金・礼金って何?相場は何か月?値引きは可能?

礼金交渉をしやすくするには?

何事もそうですが、うまく物事を進めるには押さえるべきポイントが存在します。ここでは、礼金の交渉成功率を高めるためのポイントをご紹介していきます。

物件の状況・条件で交渉難易度が変わる

礼金の交渉は、物件の状況や条件によって難易度が変わってきます。たとえば、入居希望者の多い繁忙期(1〜3月)ですと、礼金を下げなくても入居者の見つかる可能性が高いため、礼金交渉に応じる確率は低いでしょう。反対に、4〜7月のような閑散期であれば、次の繁忙期まで埋まらない可能性があるため、「礼金を下げてでも入居してもらいたい」と考えやすくなります。
このように、同じ物件であっても、時期によって礼金交渉の難易度が変わることを、忘れず覚えておきましょう。

他にも、空き室期間が長い、駅からのアクセスが悪い、築年数が古いといった物件は、入居希望者が少ない背景から、礼金交渉に応じやすい傾向にあります。

不動産会社の力を借りて交渉する

意外に軽視しがちなのが、物件を紹介してくれる不動産会社の存在です。通常、物件は不動産会社を通じて探すことになり、家賃や礼金の交渉も不動産会社をはさんで行ないます。不動産会社の場合、自分たちの利益となる仲介手数料の交渉には難色を示しますが、礼金を下げることにデメリットはないため、うまくお願いすることで、礼金の金額を交渉する際の強い味方となってくれます。

なお、礼金交渉を不動産屋へお願いするときは、内見が終わり、入居申し込みをする前がいいとされています。「礼金を下げたら、入居してくれそうだ!」と思ってもらえれば、成約に向けて不動産屋の交渉意欲も高まり、大家さんをうまく説得してくれるでしょう。

交渉がうまくいかない時の対応策

いざ交渉してみたものの、大家さんから色好い返事をもらえなかった。そんなケースも少なくありません。
礼金交渉が難しいと感じた場合、気持ちを切り替えて別の物件を検討するのも手ですが、「どうしても、この物件に住みたい!」と一度思ったら、簡単に諦めたくはありませんよね。

そのような場合は、切り口を変えた提案をしてみてください。具体的な提案内容としては、次の3点が挙げられます。

  • 礼金を敷金に変えてもらう
  • 分割払いをお願いする
  • 家賃を値上げする代わりに、礼金を値下げしてもらう
礼金を敷金扱いにしてもらえれば、退去時にお金が戻ってくる可能性があります。大家さんとしても、礼金を値下げするより敷金に変えて契約したほうが、家賃滞納や修繕費にあてる金額が増えるメリットがあります。

分割払いや、家賃値上げによる礼金交渉に関しては、トータルで支払う金額には変化がないかもしれませんが、引越し時の初期費用の節約が可能となるので、支払いのタイミングを少しでも分散させたい方はご検討ください。

まとめ

本記事では、賃貸物件を契約する際に発生する礼金について解説し、どのように礼金交渉をしていけばいいのか、抑えるべきポイントをご紹介してきました。

礼金の交渉は決して恥ずかしいことではありませんので、自分の希望する物件が見つかった際には、ぜひ本記事を参考に礼金交渉へチャレンジしてみてください。