新築で築年数が浅ければ、「シロアリは出ない」と思ってしまいますよね。
ですが、シロアリ駆除業者のシロアリ110番から得られたデータによると、築年数が5年以下の住宅でもシロアリ被害に遭っている人は一定数存在します。
そこで、本記事でなぜシロアリが出てしまうのか「その理由」や、シロアリ被害に遭いやすい家、そしてシロアリが出てしまった際の対処法をご紹介します。 なお、シロアリが出てしまった際の対処法をすぐ知りたい方は下記をクリックしてください。
新築でもシロアリが出てしまう理由
住宅の品質確保の促進等に関する法律によると、新築と明確に定義できるのは、「建設工事が完了してから1年以内の物件」だそうです。
ですが、工事完了後から1年以上経過していても築何十年の物件と比べれば新しい家であることに変わりありません。 にもかかわらずシロアリが出てしまう理由は、大きく分けて3つあります。
理由1:シロアリ被害に遭いやすい造りだから。
新築で家を建てる際、シロアリ対策は後回しにしてしまうこともありますよね。シロアリ被害に遭いやすい木材や床下を暖かく保てる基礎断熱工法を採用している場合は、シロアリ被害率も高い傾向です。
なお、シロアリ被害に遭いやすい家については、次の章で詳しくご紹介します。
理由2:シロアリの保証期間を過ぎたのに予防していないから。
シロアリの保証期間は多くの場合、最大で5年と言われています。
これは、シロアリ予防に使われる薬剤の効果は約5年が大半だからです。 内閣府認定の「日本シロアリ対策協会」によると、「保証は5年となっていますが、なぜなのですか。」との質問に対し下記のように回答しています。
協会では5年を超えて長期間有効な薬剤は環境によくないと考えています。そのため認定する薬剤の有効期間は5年になっています。
木造建築物のシロアリ被害および腐朽を防止する目的で、国土交通大臣の許可を得て結成された50余年の歴史を持つ法人です。平成25年1月4日には、内閣府の認定の下、公益社団法人に移行いたしました。
引用(一部抜粋):公益社団法人 日本シロアリ対策協会
5年以上有効な薬剤の場合は、環境によくないため日本シロアリ対策協会が認定する薬剤の効果は5年、つまり公式に認定された薬剤を使用する場合、シロアリ対策の効果は5年で切れるということです。
そのため工務店やハウスメーカーなどでは、シロアリの保証期間は5年の場合がほとんどです。なお、一条工務店さんや、スウェーデンハウスさん、城東テクノさんなどは、シロアリの保証期間は10年です。
シロアリの保証期間を過ぎている場合は薬剤の効果が切れているので、再度シロアリ予防しないとシロアリの発生リスクは上がります。 保証期間を過ぎた場合は、再度薬剤でシロアリ予防を行いましょう。
理由3:鉄骨やコンクリートだからとシロアリ予防をしていなかったから。
日本シロアリ対策協会によると、最近は鉄筋コンクリート造やブロック造のシロアリ被害が増えているそうです。
シロアリは、雑食で基本的に何でも食べる昆虫のため、墓地や納骨堂の人骨まで食べてしまう場合も。 そのため鉄筋コンクリート造やブロック造の住宅でも、何も予防していない場合シロアリ被害に遭う可能性があります。
シロアリ被害に遭いやすい家
家を建てる際は、性能やデザインなどに気が向きがちで、中々シロアリ対策まで気が回らないですよね。 ですが、家の造りや採用する建材によって、シロアリ被害に遭う確率は異なります。
これから家を建てる方は、予めリスクを知った上で建設しましょう。 また、「もう建ててしまった」という方は、注意が必要なんだなという認識を持っていただき、後ほどご紹介する方法で対策していただければ幸いです。
シロアリが好む木材を使用している家
下記は、木材ごとに「ヤマトシロアリ(北海道北部を除く日本全国に生息している、1年中活動するシロアリ)の被害はどのくらい異なるか」を検証したものです。
検証結果によると一番左のホワイトウッドが、最も被害を受けていることがわかります。 反対に桧(ヒノキ)と米ヒバ(ベイヒバ)は、ほとんど被害を受けていません。
このようにシロアリに強いかどうかは、木材によっても大きく異なります。 ホワイトウッドは安価なことからローコスト住宅や、建売で多用されがちです。ご自宅で使用されている方は注意しましょう。
参考 大手ハウスメーカーをお薦めできないわけ|kokochieコラム大手ハウスメーカーをお薦めできないわけ|kokochieコラムまた、同じ木材でも、樹の中心部分の「心材」を使うか、樹の外側に近い部分の「辺材」を使うかでもシロアリの被害率は異なります。 シロアリに弱い木材を使用した上で、さらに水分の少ない「心材」を使用した場合は、その分シロアリ被害率も高くなります。
基礎断熱工法で施工したのにシロアリ対策をしていない家
床下の保温や結露対策などができることから、最近では、新築で基礎断熱工法を取り入れる方も増えています。 ですが、実はこの基礎断熱工法は、シロアリ被害率がとても高い工法です。 基礎断熱工法は、下記のように大きく分けて4種類あります。
基礎断熱シロアリ対策フォーラムによると、特に外基礎断熱は多い地域で4割近くの家で侵入の痕跡があったそうです。
また、下記は地域別の基礎断熱工法によるシロアリ被害の頻度です。
どの工法、どの地域でもシロアリ被害があることがわかります。 同フォーラムによると、基礎断熱工法は「シロアリに対しては対策なしでは非常に危険な工法」と明記されています。 もし対策なしで施工された方や、基礎断熱工法を取り入れるかお悩みの方は、基礎断熱工法シロアリ対策フォーラムへご相談してみてください。
通気性の悪い家
害虫の生活救急車によると、生き物であるシロアリは水分が必要なため、湿気のある場所、水分のある場所を好むそうです。 そのため雨がよく降る日本では、木材が乾きにくい通気性の良くない家は、シロアリ被害に遭う確率が高いです。 特に、日本の床下は、「湿度が高く、通気性も良くない」と言われているため、もし通気性を意識して床下点検口を造っていない場合は注意しましょう。
下記は、シロアリ被害実態調査報告書による床下でシロアリが発生した割合です。
保証期間内かどうかでも異なりますが、床下のシロアリ発生率は全国で、1,004棟/5,322棟。(北海道、青森、山形、山梨、岡山、高知、沖縄以外)。つまり、約5軒に1軒のシロアリ被害率です。
シロアリ被害を最小限に抑えるには早期発見が肝心。早期発見のポイントとは?
シロアリ被害を最小限に食い止めるためには、早期発見、早期駆除が大切です。 自分でシロアリを発見する方法は主に5つあります。
蟻道がないか確認
蟻道とは、土の中に作るシロアリ専用の通り道のことで、主に床下やその周辺、土台や基礎などに作られます。 下記は床下で見つかった蟻道ですが、木材に向かって続いている5ミリ程度の筋が蟻道です。
引用:株式会社雨宮/蟻道
既にいない場合もありますが、この蟻道を崩すと中から大量のシロアリが出てくることがあります。 シロアリは、地面の中にこの蟻道を作って家の中へ侵入するケースが多いため、見つけた場合はすぐに「シロアリ駆除業者」を呼びましょう。
注意点としては、蟻道を安易にすべて壊してしまわないことです。 シロアリの駆除業者が正確に被害状況を把握するために、蟻道はある程度残しておくことが大切です。
空洞音がしないか確認
壁や柱など外観に異常がない場合でも、「実はシロアリ被害が進んでいる」ということがあります。 シロアリは木材のすべてを食べるわけではなく、柔らかい部分を好んで食べ硬い部分は残す傾向にあります。 樹の中心部分の「心材」は、外側部分の「辺材」より柔らかいためシロアリが好きな箇所です。
木材の中(心材)だけが食べられている場合は、中に空洞ができています。 壁などの木材表面を叩いて、「コンコンコン」というような不自然な空洞音がしないか確認してみましょう。
食痕(シロアリに食べられた痕跡)がないか確認
家の中だけでなく家の外でも、シロアリの有無を確認できます。 シロアリ駆除業者によると、庭にある植木や切り株、柵などはシロアリ被害に遭う確率が高いそうです。
庭に木や柵がある方は、シロアリに食べられた痕跡がないか確認してみてください。
建物が変形していないか確認
シロアリ被害が進むと柱が下がったり、ふすまや雨戸などの閉まりが悪かったり、床が沈んできたりします。
何か違和感を感じたら、シロアリ被害を疑いましょう。
羽アリが周りに飛んでいないか確認
日本のシロアリは主に2種類、ヤマトシロアリとイエシロアリがいます。
引用:害虫駆除110番
兵アリは少し見分けにくいですが、羽アリはヤマトシロアリとイエシロアリで色が異なり、ヤマトシロアリは黒みががっているのに対し、イエシロアリは茶色、もしくは黄色っぽいのが特徴です。
下記は、ヤマトシロアリとイエシロアリ(羽アリ)が出現しやすい時期と時間帯です。
ヤマトシロアリ | 4月~5月の午前中~昼間 |
---|---|
イエシロアリ | 6月~7月の夕方~夜 |
参考 ヤマトシロアリの生態や自宅に与える被害は?イエシロアリとの見分け方も解説シロアリの雨宮のコラム
4月~7月にかけて羽アリを大量に見かけた場合は、シロアリが周りに潜んでいる可能性が高いです。特にこの4月~7月の時期は、注意して周りを観察しましょう。
シロアリを見つけたら?自分で駆除するか業者に頼むかの2択!
シロアリを発見してしまった場合は、保証期間内であれば業者にお任せするのが最適ですが、保証期間外だった場合は自分で駆除する方法もあります。
自分で駆除する場合
シロアリの駆除は業者に頼んだほうが確実ではありますが、費用面で考えると自分で駆除したほうが安いのも事実。 業者に頼む前に、「まずは自分で対処してみたい」という方もいるかもしれませんね。
シロアリの駆除は基本的に薬剤(殺虫剤)を使います。 そのため、自分で駆除する場合は、シロアリ駆除に効果的な薬剤を選ぶことが大切です。
シロアリ駆除に効果的な薬剤は「忌避性」(きひせい)のない薬剤で、反対に忌避性のある薬剤は逆効果となります。
忌避性の薬剤は、ピレスロイド系の薬剤です。成分表に、「ピレスロイド」と表記されていたら、その殺虫剤での応急処置は止めましょう。(シロアリは弱い生き物なので応急処置としては、掃除機での駆除がオススメです)。
シロアリ駆除には、予防用ではなくシロアリが逃げにくい駆除用の非忌避性が強い薬剤を使いましょう。 オススメの駆除用の薬剤は、下記のような日本シロアリ対策協会が認定した公式の薬剤です。日本シロアリ対策協会では、薬剤を効力、安全性などの適格性を評価することによって認定しています。
製品名 | 製造元 |
---|---|
ハチクサンFL | バイエルクロップサイエンス㈱ |
ステルスSC | BASFジャパン㈱ |
ミケブロック | 三井化学アグロ㈱ |
ミケブロック乳剤(木部処理用) | 三井化学アグロ㈱ |
白アリミケブロック(木部処理用) | ㈱吉田製油所 |
タケロックMC50スーパー | 大阪ガスケミカル㈱ |
製品名から商品ベージへ飛べるようになっているので、気になる方はチェックしてみてください。
業者に頼む場合
確実にシロアリ駆除をするなら、業者へ依頼するのがオススメです。
重複しますがむやみに市販の殺虫剤を撒いて対処した場合、潜んでいたシロアリがあちこちに逃げてしまい逆効果となります。 また、素人ではシロアリの発生元である巣を特定するのは難しい上、巣が1つであるとも限りません。
信頼できる業者に駆除を依頼するためには、日本しろあり対策協会に加盟していて、シロアリ防除施工士の資格者が在籍している業者を選ぶことが大切です。 日本で唯一、国土交通省からの許可を得て運営している日本しろあり対策協会では、シロアリ防除施工士の検定・登録や、シロアリ防除および防腐に欠かせない薬剤等の認定登録を行っています。
シロアリ防除施工士が在籍している業者かどうかは、下記サイトから確認できます。
参考 しろあり防除施工士 | しろあり防除施工士 | 公益社団法人 日本しろあり対策協会しろあり防除施工士 | しろあり防除施工士 | 公益社団法人 日本しろあり対策協会また、日本シロアリ対策協会に加盟している業者は、下記公式サイトから都道府県ごとに検索できるようになっています。
参考 会員名簿 | 公益社団法人 日本しろあり対策協会会員名簿 | 公益社団法人 日本しろあり対策協会ぜひ、上記方法で信頼できる業者を選んで確実にシロアリ駆除をしてもらいましょう。
まとめ
新築なのにシロアリが出てしまったら、とてもがっかりですよね。 シロアリが出てしまった場合は、まずは保証の有無を確認し、保証期間内であれば業者やハウスメーカーに対処してもらいましょう。 自分で行うより駆除費用は安くなる場合があります。
残念ながら保証期間外であった場合は、被害状況を確認して自分で処理するか業者に依頼するか適切に判断してください。 オススメは業者に依頼する方法ですが、予算があまりない方はまずは自分で駆除する方法もあります。
最適な方法を選んで、シロアリの出ない家を造りましょう。