新築にウォークインクローゼットを設置しよう|おすすめの事例も紹介

新築のウォークインクローゼット

洋服が多すぎて、普通のクローゼットでは収まりきらない

クローゼットの中で着替えができたらいいんだけど…

たまにしか使わない荷物がたくさんあって、保管場所に困っている

収納でお悩みの方の多くは、新築にウォークインクローゼットの設置を検討されているかと思います。

そこで本記事では、新築を建てる方に向けて、ウォークインクローゼットの基礎知識、設置のポイント、おすすめの事例をご紹介いたします。新築の収納でお悩みの方は、ぜひ本記事を参考になさってください。

ウォークインクローゼットとは?

ウォークインクローゼット

引用:セキスイハイム

ウォークインクローゼット」は、住宅の収納の中でもとくに人が中を歩けるほどの広さがあるもののことを指します

ちなみに、間取り図のうえでは英語表記の「Walk-in closet」を略して「WIC」と表記されることが一般的です。

ウォークインクローゼットのメリット・デメリット

ウォークインクローゼットの主なメリット・デメリットは、下記の通りです。

  • 【メリット】収納が大容量
  • 【メリット】収納の自由度が高い
  • 【メリット】中で着替えることができる
  • 【デメリット】生活スペースが狭くなる
  • 【デメリット】上手に収納しないと散らかる

それぞれのメリット・デメリットについて、詳しく解説していきます。

【メリット】収納が大容量

ウォークインクローゼット最大のメリットは、大容量の収納です。

大量の荷物を収めることができるので、衣類に限らず、ゴルフバッグや釣具といった場所を取る荷物もスッキリと収納できます

【メリット】収納の自由度が高い

ウォークインクローゼットの内部は、収めたい荷物に適した収納ボックスや衣装ケースを用いて、使い勝手良くカスタマイズすることができます

また、収納としての利用に限らず、デスクを置いてパウダースペースや書斎として活用することも可能です。

【メリット】中で着替えることができる

このTシャツにスカートは合わないな」「やっぱりデニムのほうがいいかも

ファッションをコーディネイトしながら着替える場合、全身鏡のすぐ近くに洋服が掛かっているほうが便利ですよね。

ウォークインクローゼットの内部に全身鏡を置けば、洋服を手に取りながら着替えができるのでおすすめです。

【デメリット】生活スペースが狭くなる

限られた敷地の中では、収納スペースを広く取るほど生活スペースが狭くなります。そのため、やみくもに大きなウォークインクローゼットをつくるのはおすすめできません。

【デメリット】上手に収納しないと散らかる

大容量のウォークインクローゼットには、つい色々な荷物を入れてしまいます。奥にあるものが取り出せなくなったり衣類が山積みになったりと、気づけば散らかっていることが珍しくありません。 そのため、ウォークインクローゼット内の整理整頓は常に心がける必要があるでしょう。

ほかの収納との違いを知ろう

お家の収納は、ウォークインクローゼットに限らずいくつかの種類があります

収納の種類によって使い勝手が異なるため、それぞれの特徴を把握して最適なものを選ぶ必要があります。そのためにも、ウォークインクローゼットとほかの収納の違いを確認していきましょう。

壁面クローゼットとの違い

壁面クローゼット

引用:セキスイハイム

壁面クローゼット」は、壁面にハンガーレールと扉が取り付けられている収納で、単に「クローゼット」と呼ばれることもあります。奥行きは60~90cmと狭めで、ハンガーにかけた洋服を収納できる程度の広さしかないことが特徴です。

奥行きがないぶん物の出し入れがしやすいので、ウォークインクローゼットのような大型収納を一つ設置するより、壁面クローゼットを各部屋に設置したほうが良いと考えるご家庭もあるようです。

また、収納が小さければそのぶん生活スペースを広く取りやすいため、敷地面積が少なめな住宅では採用されやすい傾向にあります。

ウォークスルークローゼットとの違い

ウォークスルークローゼット

引用:セキスイハイム

ウォークスルークローゼット」は、ウォークインクローゼットのように大容量であることに加え、出入り口が2つあり人が通り抜けられるものを指します。

人の動線を考慮してウォークスルークローゼットを設置することで、家の中を回遊しやすくなるメリットがあります。また、狭小住宅においては廊下をウォークスルークローゼットとして活用するケースもあるようです。

通気性や換気性が高いため、収納でありがちな湿気に悩まされづらいのも嬉しいポイントです。

ウォークインクローゼット設置のポイント

ウォークインクローゼットを設置する際は、いくつか注意すべきポイントがありますウォークインクローゼット設置のポイントは、下記の6点です。

  • 【ポイント1.】間取りの広さ
  • 【ポイント2.】設置場所
  • 【ポイント3.】収納の形
  • 【ポイント4.】収納の方法
  • 【ポイント5.】換気の方法
  • 【ポイント6.】扉の種類

【ポイント1.】間取りの広さ

ウォークインクローゼットの間取りの広さは、2畳~4畳ほどが一般的です。

ただし、広ければ広いほど良いわけではなく、荷物の量や用途に合わせて最も使い勝手の良い広さにすることが大切です。間取りの広さのごとに、特徴を確認しましょう。

2畳以下の場合

2畳以下のウォークインクローゼットは、およそ夫婦二人分の荷物を収納するのに適した大きさです。また、各個人の自室にウォークインクローゼットを設置する際は、2畳より小さな1.5畳ほどのウォークインクローゼットを設置することもあります。一名分の荷物であれば、これでも十分です。

3畳の場合

3畳のウォークインクローゼットは、夫婦の荷物に加え、小さなお子様の荷物を入れるのに丁度いい大きさです。また、お子様が成長して荷物の管理を自分で行うようになってからも、来客用の布団など使用頻度の低い荷物の収納に重宝するでしょう。

4畳以上の場合

4畳以上あるウォークインクローゼットは、収納スペースとしてはかなり大きい部類に入ります。4畳以上あれば、家族全員ぶんの荷物をまとめて収納することも可能でしょう。また、ウォークインクローゼット内を書斎スペースや化粧スペースとして利用したい場合などにもおすすめです。

【ポイント2.】設置場所

最も利便性の高いウォークインクローゼットの設置場所は、ご家庭によって三者三様です。家族の個人主義なども関わってくるため、広さと合わせて慎重に決めましょう。よくある設置場所ごとに、特徴を確認しましょう。

主寝室の中

最も多いのは、主寝室の中に3畳以上ある大きめのウォークインクローゼットを設けるパターンです。夫婦の衣類や荷物と合わせて、家族で使用するアウトドア用品などもまとめて収納できます。

その場合、個人の部屋には壁面クローゼットなど小さめの収納を設置するケースが多いようです。

個人の部屋

大きなウォークインクローゼットはつくらず、子供部屋など個人の部屋に小さめのウォークインクローゼットをそれぞれ設置するのもおすすめです。

自分の荷物は自分で管理することができるので、個人主義の強いご家庭ではこのパターンが人気のようです。

廊下に接する場所

廊下から入れる場所に、4畳以上ある大きなウォークインクローゼットを設け、ファミリークローゼットとして利用するパターンもあります。

家族全員分の衣類を同じ場所にしまうことで、取り込んだ洗濯物の振り分け作業が不要になり、家事負担が軽減されます。

【ポイント3.】レイアウト

ウォークインクローゼット内のレイアウトには「Ⅰ字型」「Ⅱ字型」「コの字型」「L字型」の4種類があり、レイアウトによって収納できる量や荷物の取り出しやすさが異なります。

Ⅰの字型、Ⅱの字型、コの字型、L字型

ただし、レイアウトを決める際は、収納や人が通るために必要な「」を考慮する必要があります。

下記の幅がそれぞれ不足した状態だと、使い勝手の悪いウォークインクローゼットになってしまいますので注意が必要です。

ハンガーがかけれる幅 人が通るのに必用な幅 衣装ケースが置ける幅
60cm以上 60cm以上 40cm以上

それでは、レイアウトごとに特徴を確認しましょう

Ⅰ字型

Ⅰ字型」は、ウォークインクローゼット内の左右いずれかに収納スペースを設けるレイアウトです。収納スペースそのものは少ないですが、そのぶん通路が広く確保できるため、スムーズに荷物の出し入れができます。

なお、Ⅰ字型は通路とハンガーラックに最低限必要な幅が合わせて120cmと少なく、1.5畳ほどの小さなウォークインクローゼットに採用されるケースも多いです。

Ⅱ字型

Ⅱ字型」は、ウォークインクローゼット内の左右どちらも収納スペースとして利用するレイアウトです。出し入れのしづらいデッドスペースが生まれないため、最も使い勝手の良いレイアウトと言えます。

ただし、左右にハンガーをかけるためには通路と合わせて180cm以上の幅が最低限必要になります。スペースの確保が難しい場合、片面を収納棚にすれば160cmの幅で収まります。

コの字型

コの字型」は、左右に加え奥の壁にも収納を設けるレイアウトです。入口と通路以外が全て収納スペースとなるため、最も収納力の高いレイアウトと言えるでしょう。

ただし、奥にある左右の角は荷物の出し入れがしづらいデッドスペースとなるため、使い勝手はⅡ字型と比べて劣る可能性があります。デッドスペースには使用頻度の低い荷物を収納するなど、工夫が必要です。

L字型

L字型」は、左右いずれかの壁と奥の壁に収納を設けるレイアウトです。コの字型と同じくデッドスペースが発生します。

しかし、Ⅰ字型と同じく最低限必要な幅は120cmと少ないため、小さなウォークインクローゼットの収納を最大化したい場合には最もおすすめのレイアウトです。

【ポイント4.】収納の方法

ウォークインクローゼット内の収納の方法は「ハンガーパイプを設置する」「造作の収納棚を設置する」の2種類です。 どんな荷物を置くかによって適した収納の方法は異なります。

収納の方法ごとに、特徴を確認しましょう。

ハンガーパイプを設置する

衣類を収納するウォークインクローゼットにおいて一般的に必要不可欠なのが、ハンガーをかけるためのハンガーパイプです。

衣類の量が多い方の場合は、収納棚を造作せずにハンガーパイプをメインの収納をするのもおすすめです。

造作の収納棚を設置する

収納棚は、衣類以外の荷物を収納するのに便利です。可動式の収納棚を造作すれば、あらゆる大きさの荷物を収納することができます。

左右いずれかをハンガーパイプにし、もう片方を造作の収納棚にするなど、収納方法を組み合わせるのもおすすめです。

【ポイント5.】換気の方法

ウォークインクローゼットに限らず、通気性が悪い部屋は湿気こもりがちです。最悪の場合、大事にしまってある荷物にカビが生えてしまうことも。 そのため、ウォークインクローゼットをつくる際は湿気対策をしっかりと行う必要があります。換気の主な方法としては、「窓を設置」か「換気扇を設置」の2種類があります。 換気の方法ごとに、特徴を確認しましょう。

窓を設置

換気の基本的な方法として、窓を設置することが挙げられます。しかし、収納スペースにおいては窓の設置がデメリットとなることが多く、必ずしもおすすめできる方法とは言えません。

ウォークインクローゼットに窓を設置するデメリットは、下記の5点です。

  • 窓を設置した場所に荷物が置けず、デッドスペースが生まれる
  • 窓を開けっ放しにしておくと、雨水が入る可能性がある
  • 窓を開けて換気すると、衣類に花粉が付着する可能性がある
  • 窓から入る日差しによって、衣類が日焼けしてしまう
  • 防犯面で不安がある

換気扇を設置

ウォークインクローゼット内の換気方法としておすすめなのが、換気扇の設置です。換気扇であれば、しっかりと換気をすることができるうえ窓の設置によるデメリットは防ぐことができます。

【ポイント6.】扉の種類

ウォークインクローゼットに設置する扉の種類は「開き戸」「引き戸」「折れ戸」「扉なし」の4種類があります。

それぞれ、開閉の方法や必要なスペースが異なりますので、一番使いやすそうなものを選びましょう。扉の種類ごとに、特徴を確認しましょう。

開き戸

開き戸のメリットは、扉を全開にできる点にあります。入口からクローゼットの内部がよく見えるうえ、中にあるものをスムーズに出し入れすることができます。

デメリットは、クローゼットの手前に扉を開くぶんのスペースが必要になることです。

引き戸

引き戸のメリットは、開き戸のように開閉スペースを必要としないことです。 しかし一方で、開き戸のように扉を全開にできないため、中のものを取り出しづらいデメリットがあります。

折れ戸

折れ戸は、開き戸のようにドアを全開にすることができるうえ、開閉スペースが少なくて済みます。開閉の動きがほかの扉と比べるとやや複雑ではあるため、小さなお子様には開閉が難しく感じられることがあるかもしれません。

扉なし

ウォークインクローゼットには、扉をつけないこともできます。扉をつける場合と比べると通気性がよくなるため、湿気がこもりづらいメリットがあります。また、ウォークインクローゼットを利用する頻度が高い方の場合は、扉を開閉する手間がはぶけるので出入りがラクになるでしょう。

なお、扉をつけない場合は、必要に応じてロールスクリーンやカーテンで目隠しをすることもできます。

ウォークインクローゼットおすすめの事例

最後に、参考にしたいおしゃれなウォークインクローゼットや収納アイデアの事例をご紹介いたします。素敵なウォークインクローゼットづくりの参考になさってください。

事例1.「壁のアーチがおしゃれ!扉なしのウォークインクローゼット」

事例1

引用:RoomClip

ウォークインクローゼットの内部は湿気がこもりがちで、カビにお悩みの方も多いのではないでしょうか。そこでおすすめなのが、扉をつけないウォークインクローゼットです。

ただし、ただ扉をつけないだけでは生活感が浮き彫りになることがあります。その場合は、事例のように入口の壁面をアーチ状にすれば、空間のアクセントになっておしゃれですよ。

事例2.「アクセントウォールで個性を出したウォークインクローゼット」

事例2

引用:RoomClip

リビングや個室などの壁には、色や柄が派手な壁紙を使用するのは勇気がいるものです。そんな時は、事例のようにウォークインクローゼットのアクセントウォールとして使用するのがおすすめ。

家族以外の目に触れないウォークインクローゼット内であれば、来客の反応が気になることもなく、自分の好きな色や柄の壁紙を楽しむことができますよ。

事例3.「スペースを色分けした家族共有のウォークインクローゼット」

事例3

引用:SVACO

一つのウォークインクローゼットを家族で共有する場合、どのスペースを誰が使用するかが曖昧になりがちです。そんな時は、事例のようにクローゼット内部を色分けしてゾーニングすると良いでしょう。

家づくりのプロが語る「収納の設計で大切にしていること」

本サイトコノイエでは、これまで数多く家づくりの専門家の方々にインタビューを行ってきました

その中で、収納の設計で大切にしていることをお話ししてくださった「一級建築士事務所 トレス建築事務所」さんのインタビュー記事を一部抜粋してご紹介いたします。トレス建築事務所さんが設計した、こだわりのウォークインクローゼットの事例写真もご覧ください。

【一級建築士事務所 トレス建築事務所】

スタッフ

お客様とは具体的にどんなふうにお話しをされるのでしょうか?

梨保子さん

例えばお洋服にしても、ハンガーに掛けるものはどれくらいあるのか、靴下はいつもどこにしまうのか、衣替えはするのかしないのかなど、それくらい細かくお話を伺います。

梨保子さん

そうすると、じゃあクローゼットのパイプの長さは最低これくらい必要だとか、この間取りにするならこういう所にこういう引き出しがあって、引き出しを入れ替えるだけで衣替えが済むようにできるといいとか、かなり細かいところまで詰めたご提案ができるんですよ。

スタッフ

そこまで詳細に聞いていただけると、実際の生活を思い描きやすいですね。

梨保子さん

そうですね。特に収納はこだわりたい方が多いので、それこそ棚の作り方一つ、引き出しの一つひとつまで、その方たちの暮らしにどう合わせていくか、将来の変化に追随できるかどうかを、じっくりとお話ししています。
トレス建築事務所さんトップ一級建築士事務所 トレス建築事務所
クローゼット

トレス建築事務所さん設計のウォークインクローゼット。
パイプに掛ける服の量や種類を選別し、低いところはプラスチックケースで小物衣類を、高いところはバッグなどの大物を収納できます。

新築のウォークインクローゼットについてのまとめ

本記事では、新築のお家を建てる方に向けて、ウォークインクローゼットの基礎知識、設置のポイント、おすすめの事例をご紹介いたしました。 ウォークインクローゼットをつくる際は、広さやレイアウトなど注意すべきポイントがいくつかあります。

人それぞれ使い勝手が良くなるポイントは異なりますので、よく検討して快適なウォークインクローゼットをつくってくださいね。

著者情報

コノイエ編集部

コノイエは、東京都港区に本社を置く株式会社アールアンドエーブレインズが運営するオウンドメディアです。累計80,000人以上が利用する「解体無料見積ガイド」の姉妹サイトとして、住宅関連コンテンツを発信しています。人が生活する基本となる「衣・食・住」の中でも、コノイエでは「住」にフォーカスして独自の情報をお届けします。

監修

中野達也

一般社団法人あんしん解体業者認定協会 理事
解体工事施工技士 登録番号:23130106
石綿作業主任者 修了証番号:13820
解体工事業登録技術管理者
公益社団法人 日本建築家協会(JIA)研究会員
一般社団法人東京都建築士事務所協会 世田谷支部会員

静岡県出身。日本全国の業者1,000社超と提携し、約10年間で数多くの現場に関与。自身でも解体工事業登録技術管理者としての8年間の実務経歴を持つ。専門家として、テレビ番組をはじめとする多数メディアに出演。これまでに一般家屋はもちろん、マンション、ビルなど様々な建物の取り壊しに従事し、工事を行いたい施主、工事を行う業者の双方に精通している。

出演メディア
めざまし8(フジテレビ系列)、ひるおび!(TBS系列)、情報ライブ ミヤネ屋(日本テレビ系列)、バイキングmore(フジテレビ系列)、CBCニュース(CBCテレビ系列)他多数

当協会の運営サイト「コノイエ」は、工務店・ハウスビルダー・建築家・建築設計事務所等の500以上のインタビュー記事を掲載。また、新築・建て替えを検討中のユーザーにとって有益となる情報を発信しています。
当協会は、建て替えに伴うお住まいの取り壊しのご相談を年間で2,500件ほど承っており、各地域の住宅関連会社の情報が集まります。今後も「コノイエ」では、新築ユーザー様の発注先や評価、住宅関連会社様への独自インタビューといった当協会ならではの独自のリアルな情報をお届けします。

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