せっかく新築するなら、長く住み続けたいですよね?
そのため、自分たちの老後に備えて、新築でバリアフリーを導入する方が増えています。
でも、バリアフリーには様々な種類があるので、選ぶのに迷ってしまうかもしれません。
そこで、今回は新築でバリアフリー導入を成功させる3つのポイントを、新築で導入すべき理由とあわせて紹介します。
新築するならバリアフリーを導入しよう
バリアフリーはリフォームで導入する方が多いのですが、最近はハウスメーカーなど多くの建築業者が「新築でのバリアフリー導入に対応していますよ!」と宣伝しています。
なぜ新築時点でバリアフリーを導入をオススメしているのでしょうか?
なぜ新築時点でバリアフリーを導入すべきなのか?
新築時点でバリアフリーを導入すべき最大の理由は、リフォームで導入するより費用を安く抑えられるからです。
廊下の幅や浴室、間取りのスペースなどは後から変えるのが大変困難です。ですから、リフォームで対応しようとすると大掛かりな工事になってしまいます。
当然、多額の費用が要りますし、間取りによっては工事自体できないかもしれません。
その点、新築なら最初からバリアフリーを設計に組み込めます。無理なくバリアフリーを導入できるため、ほとんど簡単な工事だけで済ませられます。
よって、新築時にバリアフリーを導入するとムダな工事がなくなるため、かかる費用を極力抑えられるのです。
どんなバリアフリーがあるのか?
さて、バリアフリーと聞くと何を思い浮かべるでしょうか?
代表的なものでは、駅や商業施設に設置されたスロープ(斜面になった通路)がありますよね。
ただ、自宅に導入できるバリアフリーはスロープにとどまりません。
そこで、主なバリアフリーをいくつか紹介します。
浴室やトイレのスペースを広めに確保
高齢や障害で車いす生活や歩行が困難になった場合、入浴とトイレが自分でできない問題が起きます。
そのため、新築の間取りを考えるにあたり、あらかじめ浴室とトイレのスペースを広めに確保しておく方法があります。介助者が一緒に入って介助がしやすくなるからです。
リフォームで浴室やトイレのスペースを確保しようとすると、大掛かりな工事になってしまいます。
一方、新築なら設計に盛り込めばよいだけなので、スムーズに導入ができます。
バリアフリーを考えるなら、まずは浴室やトイレのスペースを広めに確保しましょう。
廊下や階段などの転倒防止策
高齢になって足が上がらなくなると、ちょっとした段差でも転倒してしまう危険があります。実は、自宅内で転倒、転落事故で亡くなられた方はとても多いのです。
以下は、厚生労働省の人口動態統計をまとめた表です。
家庭内における主な不慮の事故の種類別にみた年齢別死亡数(平成18年)
死因 | 総数 | 45~64才 | 65~79才 | 80才~ |
---|---|---|---|---|
スリップ,つまづき及びよろめきによる同一平面上での転倒 | 1036人 | 118人 | 350人 | 540人 |
階段及びステップからの転落及びその上での転倒 | 435人 | 101人 | 189人 | 132人 |
引用元:厚生労働省|人口動態統計|家庭内における主な不慮の事故の種類別にみた年齢別死亡数・構成割合
65才以上では、1年間で1000人を超える方がご自宅での転倒や転落により亡くなられています。
そのため、転倒や転落の防止策として滑りにくい床を導入する方法があります。リビングや廊下、階段、玄関、浴室など、生活空間の至る所を滑りにくい床にしておくと安全です。
段差については、すり足でもつまづかないようにしておく必要があります。
廊下や階段には幅を持たせ、手すりを設置できるようにしましょう。
段差の解消や廊下の幅確保については、車いすを利用するようになった場合でも役立ちます。
このように、転倒防止策はお年を召されたときなどに備えて導入したいバリアフリーです。
エレベーターの設置
バリアフリーを意識して新築する場合、平屋建てと2階建てとでは大きな違いがあります。
平屋建てではコストを安く抑えられる反面、土地の広さによっては窮屈な間取りになるかもしれません。
一方、2階建てはバリアフリーにはあまり向きません。
1階と2階との間を往復する負担が大きいため、将来2階がムダなスペースになる可能性があります。
そこで、家の中にエレベーターを設置する方法があります。
エレベーターを導入する場合、目安として以下の費用がかかります。
エレベーター設置コスト(新築の場合)
費用の種類 | かかる金額 |
---|---|
本体価格+設置工事費 | 約250万円~460万円 |
申請費用 | 約10万円~15万円 |
法定点検費用 | 年間約4万円~7万円 |
固定資産税 | 年間約2万円 |
電気代(1日平均20回程度利用) | 年間約6000円~7200円 |
単純計算をすると、導入費用が約260万円~475万円、ランニングコストが年間約7万~10万円程度と、決して安いとはいえません。
それでも、エレベーターを設置し、2階を寝室として利用することには大きな理由があります。
1階は人の出入りが多いので、声や足音が響きやすい問題があります。そのため、寝室の配置が難しいのです。
その点、静かな2階は寝室に向いています。
長く暮らし続けるなら、なるべくストレスを少なくしたいですよね?
費用はかかりますが、エレベーターがあると大変役立ちます。
ヒートショック対策の導入
バリアになるのは、物理的な段差やスペースだけではありません。室温にも気を配る必要があります。
高齢者にとって、部屋ごとの気温差は大変な脅威です。
急に暖かい部屋から寒い浴室やトイレに行くと、ヒートショックを起こす危険があります。
以下は、先ほどと同じく厚生労働省の人口動態統計をまとめた表です。
家庭内における主な不慮の事故の種類別にみた年齢別死亡数(平成18年)
死因 | 総数 | 45~64才 | 65~79才 | 80才~ |
---|---|---|---|---|
浴槽内での溺死及び溺水 | 3316人 | 270人 | 1473人 | 1465人 |
浴槽への転落による溺死及び溺水 | 54人 | 5人 | 24人 | 20人 |
引用元:厚生労働省|人口動態統計|家庭内における主な不慮の事故の種類別にみた年齢別死亡数・構成割合
浴室は自宅内で一番寒暖差が激しいので、ヒートショックを引き起こしやすい場所です。
ですから、浴槽内での溺死が多いのは、ヒートショックによる失神が原因ともいわれています。
そこで、ヒートショック対策を導入しましょう。
具体的には、以下のような対策があります。
・脱衣室に暖房機を付ける
・トイレに室内暖房を付ける
・トイレと寝室を近づける
脱衣所に暖房機を設置するには電気配線が必要です。
新築時点で暖房機を導入しない場合でも、電気配線さえ整えておけば後から簡単に設置できます。
また、トイレを寝室に近づけて寒暖差を軽減するのも、有効なヒートショック対策です。新築の設計をする際に検討してみてください。
参考 注文住宅の教科書:FP監修の家づくりブログ注文住宅でバリアフリーの家を建てる!事例や費用・間取りを紹介新築でのバリアフリーで失敗を回避する3つのポイント
新築はバリアフリーを導入する絶好のタイミングです。
ただ、なかにはバリアフリーの導入に失敗し、後悔した方もいらっしゃいます。
そこで、失敗から学ぶ新築でのバリアフリー導入ポイントを3つ紹介します。
一部の設備は下地作りに留めておく
手すりの設置は、代表的なバリアフリーの一つです。
ただ、高さや太さ、右手用と左手用のどちらが必要になるかなど、実際に使用するタイミングになるまで、どういった手すりが必要になるかは分かりません。
まったく役に立たなかった場合、手すりをいったん取り外して再設置するというムダな工事が発生してしまいます。そのため、新築時に設置するのはオススメできません。
ただし、廊下の幅はリフォームで変えるのが難しいので、新築時に確保しておきましょう。
廊下の幅だけ広げておき、必要になった時点で手すりを設置すればムダな工事を回避できます。
もし車いす生活になった場合でも、工事せずに済みます。
このように、一部のバリアフリーは新築時に下地だけ作っておいて、将来必要になってから設置するようにしましょう。
往復距離と動きやすさを想定して間取りを決める
新築をする際、リビングなどを優先的に配置し、トイレの配置にまで気が回らないケースがあります。
ただ、高齢になってから気付く方が多いのが寝室とトイレの距離の遠さです。
トイレは後になってから簡単に変えられないため、後悔したという声がネットで散見します。
ですので、トイレは寝室に近い位置にしましょう。すでにお話しした通り、ヒートショック対策にもなるのでオススメです。
このように、間取りをリフォームで変えるのは大変困難ですので、新築時点でよく考えて設計しましょう。
なお、トイレは洗面所と隣接させたうえ、ドアを2つ作ったり壁を取り除きやすいしたりしておくと良いです。
広いスペースにより作業しやすくなるので、介助者の負担をグッと減らせるからです。
代わりになるものがない&将来ムダになりにくい設備を選ぶ
バリアフリーは将来に備えるものですから、可能な限り導入した方が安心できそうな気がします。
ですが、一歩立ち止まって考えてみてください。
「そのバリアフリーは本当に必要なのか?」
玄関の段差に関しては、段差解消台を置いてしまえば解決できる可能性があります。代用できるものがあるなら、建物自体をバリアフリー化する必要はありません。
むしろ、玄関に段差がないとホコリが屋内に入りやすくなります。そのため、完全に平らにしてしまうのはオススメできません。
このように、バリアフリーにはメリットとデメリット両面があることを知っておきましょう。
むやみにバリアフリー化すると、体が健康な間は暮らしにくい家になってしまう可能性があります。
また、当然ながらバリアフリーの設備を導入するほどコストがかかります。高額なコストはデメリットに他なりません。
特に、エレベーターや浴室は多額の費用がかかる場所です。グレードの高い設備を導入すれば便利になりますが、その場合バリアフリーだけで何百万円という資金が必要になるので要注意です。
新築でバリアフリーを導入する目的は、将来の不安を解消することですよね。そのため、将来使う見込みが低い設備でも「とりあえず導入しておけば安心」と考えがちです。
かけたコスト分以上の見返りがあるか、よく検討しましょう。
まとめ
以上、失敗から学ぶ新築でのバリアフリー導入ポイントを3つ、導入メリットなどとあわせて紹介しました。
繰り返しになりますが、新築はバリアフリーを導入する絶好のタイミングです。
リフォームでのバリアフリー化は高額になりやすいので、ぜひとも新築の設計に取り入れてください。
なお、実際に新築でバリアフリーを導入する場合は、必ず介護の知識を持つ建築業者に依頼しましょう。
介護の知識がないと、個人に合わせたバリアフリーの提案ができません。
建築後に「廊下の幅が車いすの幅ギリギリで、通りにくい」といった問題が発覚する可能性があるので要注意です。
最後に新築でバリアフリーを導入するにあたってオススメの業者さんを3社ほどピックアップしました。
ぜひ、参考にしてください。
LIFULL HOME’S(ライフルホームズ)
全国の不動産・住宅情報を発信しているサイトです。
リンク先では、こだわりポイントのバリアフリー・シニア向け住宅にチェックを入れて、バリアフリー新築を行っている住宅メーカーを検索できます。
飯田産業
関東を中心に、宮城県以南の全国に展開している住宅メーカーです。大手かつ十分な実績に裏打ちされた信頼があります。
バリアフリーに対応した注文住宅のプランもあり、モデルプランに沿った確実な家作りが可能です。
阿部建設株式会社
愛知県の建設業者です。
社長さん自身が車いすを利用しているため、本当に導入すべきバリアフリーを熟知していらっしゃいます。
会社全体でもバリアフリー住宅を得意としているので、新築でバリアフリーを導入したい方にオススメの業者さんです。

