現在の住まいから新築へ引っ越される際には、様々な機関や会社への「住所変更手続き」が必要です。
ただし、住所変更はいつでも行えるわけではなく、機関や会社ごとに手続きをするタイミングが異なります。 中には、新築へ住む前に手続きをすると違法性に問われるケースもありますので、住所変更の正しいタイミングをしっかり確認しておきましょう。
引越し前に転入届(転居届)を出すのは違法
引っ越しの際には、引っ越し先の市区町村で転入届及び転居届を提出します。
ただし、新居に住み始める前に転入届(転居届)を提出した場合、役所に嘘の申立てをした事になり、違法行為とみなされます。
公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
引越し前に転入届を出すのは虚偽の届け出になる
実は、新築の住宅ローンを組んだり登記を行ったりする際に、ハウスメーカーや金融機関から「新住所(引越し先)の住民票が必要」と言われるケースが良くあります。
新住所の住民票を入手するには、引っ越し先の市区町村で住所変更を済ませる必要がありますが、入居前の住所移転は基本的には認められておりません。
しかし、一部自治体では購入の売買契約書を出せば住所移転を認めているケースがあります。
質問……引越しもしてないのに2~3週間も前に住所変更できるのか新住所管轄の市役所に電話して聞いたところ「引越し後翌日から14日以内しか無理です」と言う回答でした。そのことを銀行に言ったところ「市役所には引越しをしましたと嘘をついて住所変更してください。嘘をついて住所変更しても何の問題もありませんし、みなさんそのようにやっていただいています。」と言われました。実際に引越しをしていないのにしたと嘘をついて住所変更すること自体法的に問題はないのでしょうか?
回答……私も最近新築しましたが、先に住所変更しましたよ。質問者さんと同じような心配をしていましたが、特に問題なかったです。役場でも何も言われませんでしたし、おそらく暗黙の了解という感じになっているような気がします。
引用元:転入届について教えてください。 | 教えて!住まいの先生
上記のように、引越し前に住所変更を行ってしまうケースは確かに存在します。しかし、何度も申し上げるように、引越し前の住所変更は「違法行為」です。
ではなぜ引っ越し前に住所変更をする方がいるのでしょうか。それは、登録免許税の軽減措置が適用されるからです。
引越し前に住所変更を行うと、税率の軽減措置が適用される
引越し前に住所変更を行う大きな理由は、新築を購入する際の「税率が下がるから」です。
まず、建物を購入すると「登録免許税」という税金がかかります。登録免許税の税率は、購入する建物の用途によって変わります。
建物を「投資用」で購入した場合は、税率が建物評価額の2%ですが、「居住用」で購入した場合は0.3%と税率の軽減措置が適用されます。そして、購入した新築を「居住用」だと証明する1番簡単な方法が、「新住所の住民票」を用意することなのです。
ちなみに、新築を「居住用」だと証明できない場合は、「投資用」として登録されるので、実質的に登録免許税が1.7%高くなってしまいます。
仮に建物の評価額を2000万円とした場合、登録免許税が34万円も増えると計算できます。
【新築を「投資用」で購入した場合の登録免許税】
2,000万円(建物の評価額) × 0.02(税率) = 40万円(登録免許税)
【新築を「居住用」で購入した場合の登録免許税】
2,000万円(建物の評価額) × 0.003(税率) = 6万円(登録免許税)
【「投資用」と「居住用」の登録免許税の差額】
40万円 - 6万円 = 34万円
引越し前に住所変更を行うメリットを知ると、先に手続きをしたくなるかもしれませんが、思いとどまってください。実は、新住所の住民票が無くても、登録免許税等の軽減措置は受けられます。
住所変更をしなくても軽減措置は受けられる!!
新しい住民票を用意出来なくても、登録免許税等の軽減措置は受けられます。
元のお住まいが賃貸の場合は「賃貸借契約書」、持ち家の場合は「媒介契約書」を用意しましょう。どちらも今のお住まいを購入、契約された際に不動産屋さんから受け取っています。
そして、「申立書」と呼ばれる書類を作成することで、引越し前の住所でローンの申請や登記を行うことができます。
詳しい手続き方法は、下記の記事を参考にしてみてください。
参考 旧住所登記で家を買った場合、登録免許税や不動産取得税が高額になってる?!マイホーム購入はミトミ住所変更の正しいタイミングを解説!!
新築の引っ越し時に必要な「住所変更」は転入届や転居届だけではありません。免許証やライフライン、クレジットカードなど、多くの住所変更手続きが必要になります。
住所変更の手続き方法や期間は、それぞれの機関や会社によって異なるので、各種手続きの正しいタイミングをご紹介します。
引越し後にしかできない住所変更の手続き
引越し後に行う住所変更は、「新しい住民票が必要な手続き」です。住所変更の期限が決められている手続きも多いので、漏れのないようにご確認ください。
転入届(転居届)の手続き
転入届は、引越し元と違う市区町村に引っ越した際に行う手続きです。転入届を提出する前には、引越し元の市区町村で「転出届」を提出する必要があります。
ちなみに、同じ市区町村内で引っ越した場合は「転居届」を提出します。転居届は、転出届と転入届を1回にまとめたものです。
転入届と転居届の違い | |
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転入届 | 引越し元と違う市区町村に引っ越す際に必要。転入届の前には引越し元で転出届を行う。 |
転居届 | 同じ市区町村内で引っ越す際に必要。転出届の手続きは不要。 |
転入届の手続き期限は、引っ越し後14日間なので、ご注意ください。また、届け出が14日を過ぎた場合でも手続きは可能ですが、罰金が生じる場合があります。罰則の規定などは、下記の記事を参考にしてみてください。
参考 Q.住民票の移動(異動)が遅れた場合、罰則がありますか。住民票ガイドベストタイミング | 新築に引っ越した直後 |
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手続き期間 | 引っ越し後14日間 |
手続き場所 | 引っ越し先の市区町村の役所 |
手続きをする人 | 世帯主、同じ世帯の人 |
必要なもの |
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国民年金、国民健康保険の手続き
引っ越し先の市区町村の役所で、国民年金と国民健康保険の手続きを行うケースがあります。 ただし、勤務先などで社会保険に加入している場合は、自分での手続きは不要です。
個人加入している方のみ、引っ越し先の役所にて住所変更を行いましょう。
ベストタイミング | 転入届(転居届)と同じタイミング |
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手続き期間 | 引っ越し後14日間 |
手続き場所 | 新築の市区町村の役所 |
手続きをする人 | 加入者本人、代理人(委任状が必要) |
必要なもの |
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運転免許証の手続き
新築に引っ越したら、運転免許証の住所変更を行います(正式には記載事項変更)。
各都道府県によって手続き場所や受付時間は変わりますので、最寄りの運転免許センターや運転免許試験場などのホームページをご確認ください。ちなみに、東京都では以下の場所で手続きが出来ます。
ベストタイミング | 転入届(転居届)の手続き完了後 |
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手続き期間 | 明確な期限は無し(ただし早めに) |
手続き場所 | 最寄りの運転免許センター、運転免許試験場等 |
手続きをする人 | 免許証本人、代理人 |
必要なもの |
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車庫証明書の手続き
自動車を保有している方は、引越し後に「車庫証明書」の住所変更を行う必要があります。
手続きは、引越し先の都道府県にある警察署で行えます。必要なものや手続きが行える時間は、警察署ごとに異なりますので、詳細はホームページ等をご確認ください。
なお、住所変更の期限は引越し後15日以内です。引越し後15日を過ぎても手続きを行わない場合、「車庫飛ばし」と呼ばれる違反行為となりますので、ご注意ください。
ベストタイミング | 転入届(転居届)提出後 |
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手続き期間 | 引越し後15日以内 |
手続き場所 | 新居の都道府県にある警察署 |
手続きをする人 | 自動車の所有者本人 |
必要なもの |
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引越し前にやるべき住所変更の手続き
住民票が必要ない住所変更の手続きは、引越し前にも行えます。 むしろ、引越し前に行ったほうが良い手続きもありますので、今からご紹介する住所変更は早め早めの手続きを心がけましょう。
転出届の提出
転出届は、「他の市区町村」に引っ越す場合に必要になります。先程の転入届と違い、転出届は「引越し元(現住所)」の役所で行う手続きです。※同じ市区町村内で引っ越す場合は「転居届」1回で住所変更が完了しますので、転出届を提出する必要はありません。
引っ越しの前後2週間で行うのが一般的ですが、オススメのタイミングは引越し前の2週間以内です。引越し後に手続きをする場合は、また引越し元の役所まで出向く必要があるため、2度手間になってしまいます。
どうしても日程調整が出来ない場合以外は、基本的に引っ越し前の手続きをオススメします。
ベストタイミング | 引っ越し前2週間以内 |
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手続き期間 | 引っ越し前後2週間 |
手続き場所 | 引っ越し前の市区町村の役所 |
手続きをする人 | 引っ越しを行う本人、世帯主、同一世帯の人 |
必要なもの |
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郵便の住所変更(転送届)
郵便局では、元の住所に送られてきた郵便物を、新しい住所に1年間転送してくれるサービスを行っています。 転送サービスは、郵便局で手続きをしてから1~2週間後に適用されます。 そのため、引越し後や引っ越し前ギリギリに手続きをすると、郵便物が正しく転送されない可能性があるため、ご注意ください。 オススメの手続きタイミングは、引越し日の2週間前です。
ベストタイミング | 引っ越し日の2週間前 |
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手続き期間 | いつでも |
手続き場所 | 最寄りの郵便局 |
手続きをする人 | 世帯主本人 |
必要なもの |
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詳しい手続き方法は、下記よりご確認ください。
参考 転居・転送サービス日本郵便クレジットカード会社への住所変更
引っ越しの際には、クレジットカード会社に住所変更の連絡を入れる必要があります。カード会社からの利用明細票や新しく発行されたカードなどが、元の住所に送られるのを防ぐためです。
なお、新しく発行されたカードは個人情報の漏洩を避けるため、郵便局の転送サービスでも転送されません。引越し前には必ずカード会社に住所が変わったことを伝えましょう。
クレジットカード会社への住所変更は、ウェブサイトや電話で行うのが一般的です。ただし、カード会社によっては新住所の住民票が必要となるため、各カード会社の手続き方法を良くご確認ください。
ベストタイミング | 引越し1週間前 |
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手続き期間 | いつでも |
手続き場所 | ウェブサイト、電話 |
手続きをする人 | カードを利用している本人 |
必要なもの | 各カード会社により異なる |
電気・水道・ガスの住所変更
電気、水道、ガスなどのライフラインも、引き続き同じ会社を利用する場合は住所変更が必要です。ライフラインは、引越し元の利用停止日と引っ越し先での利用開始日を、こちらが指定します。
電気と水道はウェブや電話で申し込むだけで簡単に手続きが出来ますが、ガスだけは引越し先での立ち会いが必要です。日程調整が必要になるため、引っ越し日が確定したらなるべく早く申し込むのがオススメです。
ベストタイミング | 引っ越し日程が確定した時 |
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手続き期間 | いつでも |
手続き場所 | ウェブサイト、電話 |
手続きをする人 | 世帯主本人 |
必要なもの | 特になし |
インターネット回線の住所変更
インターネット回線を引っ越し先でもそのまま使いたい場合は、インターネット会社に移転作業を依頼します。
引っ越し先が新築の場合、回線の開通工事が必要になりますので、業者さんと日程調整をする必要があります。引っ越したその日から回線を使いたい場合は、引っ越し作業と被らない時間に工事を依頼しなくてはなりません。
自分が都合の良い日程と時間を指定するために、引っ越し日が決まったら、なるべく早めにインターネット会社に連絡しましょう。
ベストタイミング | 引越し日が確定した時 |
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手続き期間 | 引越し前まで |
手続き場所 | ウェブサイト、電話 |
手続きをする人 | 契約者本人 |
必要なもの | 特になし |
新築の住所変更についてのまとめ
新築に引っ越す際には様々な機関や会社へ住所変更を行う必要があります。
それぞれの機関や会社で手続きをするタイミングは異なるため、本記事を参考に手続きを行ってみてください。安全かつスムーズに手続きを済ませるために、法律に反することなく正しいタイミングで住所変更を行いましょう。