建て替えでセットバックが必要と言われたら?利用したい3つの支援策

みんなのため、セットバックに協力しよう!!

建て替えでは、お家の前にある道路を広げるために、セットバックが必要になる場合があります。

セットバックをすると、自分の使える敷地が狭くなります。
しかし、道幅が広くなるので以下のメリットが生じます。

  • 日当たりや風通しが良くなる
  • 景観が良くなる
  • 火事が延焼しにくくなる
  • 救急車や消防車が通りやすくなる

つまり、セットバックをすると地域に貢献できるのです。
さらに、みんなが住みたがるような環境の良い地域になれば、地価が上がる可能性もあります。

加えて、セットバックに協力した方に対して、支援を行っている自治体は少なくありません。
なかには、感謝のプレートを配っている自治体もあります。

セットバックの感謝のプレート

引用:狭あい道路等拡幅整備事業のお知らせ|東京都北区
東京都北区が配っているプレート。
セットバックに協力した方にお渡ししています。

この記事では、気持ちよくセットバックに応じるために知っておきたい注意点と、自治体の支援策を3つご紹介いたします。

セットバックで新築が小さくなる場合がある

セットバックの対象となるのは、主に4m未満の道幅しかない道路の脇で、お家を建て替えるケースです。

道路が狭いと、特に火事による被害が広がりやすくなります。
消防車が通れないうえ、お家同士が近くて火が燃え移りやすいからです。

そのため、自治体は道幅を4m以上に広げたいと考え、セットバックをお願いしています。

注意したいのは、新築の大きさが敷地の広さに左右される点です。
つまり、セットバックして敷地が狭くなると、建て替え後のお家が小さくなる可能性があるのです。

そこで、まずはセットバックによる影響を確認しておきましょう。

道路の中心から2mの位置まで境界線を下げる

セットバックは、道路の中心線を基準に考えます。
道路の中心線から2mの位置まで下げたところが、新たな境界線になります。

たとえば、ご自身と道路の反対側にあるお宅が、それぞれ2mの位置までセットバックしたとしましょう。
すると、道幅を4mに広げられるわけです。

セットバックする部分

ただし、道路の反対側にあるお宅が先にセットバックを済ませている場合、道路の中心線は見た目と異なるので注意してください。

また、道路の反対側がお家ではなく、川になっている場合も気を付けなければなりません。
ご自身のセットバックだけで、道幅を4mに広げる必要があるからです。

反対側が川の場合のセットバック

例外はあるものの、基本的には道路の中心線から2mの位置まで境界線を下げると考えてください。

敷地が狭くなると新築は小さくなる

新築は、好きな大きさに建てられるわけではありません。
お家の安全性や近隣宅への影響を考えて、お家の面積には上限が決められているからです。

お家の最大面積は、敷地の面積をもとに計算します。
そのため、敷地の面積が狭くなると、お家の最大面積も小さくなります。

具体的には、お家の広さは容積率によって制限されます。

容積率とは?
お家の各フロアの面積を合計した延べ床面積を、敷地面積で割った値です。
容積率 = 延べ床面積 ÷ 敷地面積
なお、容積率の上限は、お家が建っている地域によって決まります。

容積率を一定とした場合、敷地面積が小さいほど延べ床面積は小さくなります。

敷地面積 × 容積率 = 延べ床面積
だから、敷地面積が小さくなるほど、延べ床面積も小さくなります。

たとえば、敷地面積が100㎡で容積率が80%の場合、延べ床面積は最大80㎡です。

敷地面積 100㎡ × 容積率 80% = 延べ床面積 80㎡

ところが、5㎡のセットバックを行うと敷地面積が95㎡に減るので、延べ床面積は最大76㎡に変わります。

敷地面積 95㎡ × 容積率 80% = 延べ床面積 76㎡

つまり、セットバックして建て替えると、新築の最大面積が狭くなるのです。
お家が小さくなれば間取りに影響しますので、注意しましょう。

セットバックの負担を減らす3つの支援策

セットバックにかかる費用は、自費で払うのが一般的です。

ただ、測量などの手続きを専門家にお願いするだけでも、30万円以上がかかります。
ですから、建て替える方にとって大変な負担となりかねません。

そこで、自治体はさまざまな支援策を行っています。
セットバックは地域のためになるので、自治体としても協力していただける方を手助けしたいのです。

自治体の支援策のなかでは、以下の3つが特にオススメです。

  1. セットバック費用の補助金
  2. セットバック部分の寄付制度
  3. セットバック部分の税金免除

支援策を使えば、セットバックの負担を大幅に減らせます。
そこで、表の順番通りに、支援策の内容を一緒に見ていきましょう。

【支援策1】セットバック費用の補助金

セットバックでは、以下のような工事や手続きが必要となります。

内容
境界確定測量 セットバック後の新たな境界線を決める作業
建築物の撤去 セットバック部分にある門や塀などの撤去
舗装工事 建築物を撤去したあとのアスファルト舗装
分筆(ぶんぴつ)登記 法的にセットバック部分を敷地から切り離す手続き

工事や手続きにかかった費用は、自治体に補助してもらえる場合があります。
そこで、実際に自治体が行っている補助金の一部をご紹介いたします。

門や塀の撤去にかかった費用の補助金

古いお家を解体するとき、セットバック部分にある門や塀の解体費用を補助してもらえる場合があります。

たとえば、東京都北区では道路沿いの門や塀を撤去すると、門と塀1mにつき5,000円を補助してもらえます。

「道路に沿っている門・塀の長さ(m) × 5,000円」を補助

もし、撤去した門と塀の長さが合計10mだとすると、50,000円を補助してもらえます。

参考 狭あい道路等拡幅整備事業のお知らせ東京都北区

舗装にかかった費用の補助金

セットバック部分は道路の一部になるので、アスファルト舗装が必要です。
そこで、アスファルト舗装に補助金を出している自治体があります。

たとえば、東京都港区の場合はアスファルト舗装1㎡につき7,000~23,000円までを補助しています。

「アスファルト舗装する広さ(㎡) × 7,000~23,000円」までを補助

ちなみに、アスファルト舗装は構造の違いによる種類があります。
種類に応じて自治体が補助する金額は異なるので、注意してください。

港区のアスファルト舗装1㎡あたりの補助金は、以下のように決められています。

アスファルト舗装の種類 補助の上限額
L形上部改修 7,000円/㎡
20型 11,000円/㎡
25型 17,000円/㎡
40型 23,000円/㎡

20型・25型・40型は、アスファルト舗装の種類を指します。
もし、5㎡の広さを25型のアスファルト舗装にする場合、最大で85,000円が補助されます。

セットバック部分 5㎡ × 25型の補助上限額 17,000円/㎡ = 補助の上限額 85,000円

なお、アスファルト舗装の種類は自由に選べるわけではありません。
強度などが異なるので、場所に合った種類を選ぶ必要があるからです。

どのアスファルト舗装にするのかについては、自治体に問い合わせてみてください。

参考 細街路拡幅整備事業港区役所

測量と登記にかかった費用の補助金

セットバック部分は、実質的に自分の所有地ではなくなります。
ですから、別の土地として切り分けて管理する必要があります。

そこで、建て替え後に土地の分筆登記をします。

分筆(ぶんぴつ)登記とは?
国が管理する帳簿を使って、法的に1つの土地を2つに切り分ける手続きです。
権利や税金などの管理は、1つの土地ごとに行われます。分筆登記をすれば、セットバック部分と残りの敷地を別々に管理できるようになります。

また、セットバック後の境界線を決めるために、工事前に正確な測量が必要です。
測量は専門家でなければできないので、手数料がかかります。

測量と分筆登記にかかる費用を合わせると、一般的に約31万円以上になります。

そこで、自治体によっては、測量と分筆登記にかかった費用を補助しています。
たとえば、栃木県佐野市では、測量と分筆登記にかかった費用のうち最大30万円を補助しています。

測量と分筆登記にかかった費用のうち、最大30万円を補助

自治体は、さまざまな補助金の制度を設けています。
ですから、「〇〇市(お住まいの地域名) セットバック 補助金」で検索してみてください。
補助金の制度があれば、簡単に見つかります。

参考 土地登記費用一覧白木登記測量事務所 参考 狭あい道路の後退に係る測量分筆費の補助制度について佐野市役所

【支援策2】セットバック部分の寄付制度

セットバックした部分は、実質的にみんなのものになります。
ですが、法的には自分の所有地として残るので、税金や権利の管理がややこしくなってしまいます。

そこで、セットバック部分は自治体に寄付するのがオススメです。

東京都練馬区では、建て替えが終わったあとにセットバック部分を寄付する制度を設けています。
建築物の撤去にかかる費用を除けば、すべて練馬区に行ってもらえます。

自分の所有地でなくなれば、税金や権利の問題はもう起きません。
なので、セットバック部分は寄付して、自治体に所有してもらうのがベストです。

なお、「〇〇市(お住まいの地域名) セットバック 寄付」で調べてみると、お住まいの地域に寄付制度があるか簡単に調べられます。

参考 公道化事業練馬区

【支援策3】セットバック部分の税金免除

寄付ができない地域では、セットバック部分が自分の所有地として残ります。
所有地には固定資産税がかかるので、自分で使えない土地に税金を払い続ける状態になります。

ですが、自治体に申請すれば、セットバック部分にかかる固定資産税を免除してもらえます。

東京都であれば、申告書を提出して都税事務所の職員さんにセットバック部分を確認してもらいます。
すると、セットバック部分にかかる固定資産税が、翌年度から免除されます。

固定資産税を免除している自治体は、数多くあります。
ただし、基本的に申請をしなければ免除されません。

ですから、お住まいの地域に固定資産税を免除する制度があるかどうか、必ず確認しましょう。
確認するときは、「〇〇市(お住まいの地域名) セットバック 固定資産税 非課税」で検索してみるのがオススメです。

参考 (1)固定資産税・都市計画税の概要について東京都主税局

まとめ

セットバックが必要な地域では、建て替えるときに敷地が狭くなります。
敷地が狭くなると新築の最大面積も小さくなるので、新築の間取りを考えるときには注意が必要です。

セットバックの費用はご自身で支払うのが一般的です。
ただ、セットバックに協力していただいた方の負担が大きくならないように、自治体はさまざまな支援策を行っています。

特に、以下の3つの支援策を使うと、セットバックの負担が大幅に減らせます。

  1. セットバック費用の補助金
  2. セットバック部分の寄付制度
  3. セットバック部分の税金免除

ただし、自治体ごとに行っている支援策は異なります。

ですから、「〇〇市(お住まいの地域名) セットバック」などと検索してみてください。
お住まいの地域で受けられる支援策を簡単に調べられるので、オススメです。

地域の環境が良くなれば、地域の方々だけでなくご自身も気持ちよく生活できます。
この先も何十年と暮らしていく地域のために、お家を建て替えるときはセットバックにぜひ協力しましょう。

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