建て替えと一緒に古い擁壁も工事するべき?迷ったら「がけ条例」を確認!

住宅の建て替えを考える時、意外と対処が悩ましいのが「擁壁(ようへき)」。

家の建て替えと一緒に工事したくても、どこに連絡すればいいのか。そもそも工事すべきなのか判断が難しいと思います。

実は、擁壁工事は各地方自治体の条例と大きく関わりがあります

本記事では、擁壁工事の判断材料として、擁壁に関わる条例などを解説していきます。

建て替え工事で擁壁を工事するケースは?

擁壁

まずは、建て替え工事をする場合、どのようなケースで擁壁工事をすべきなのかを見ていきましょう。

現在の擁壁が「がけ条例」を満たしていない場合

現在建っている擁壁部分が、がけ条例を満たしていない場合は擁壁工事が必要です。
たとえば条例の基準を満たせないくらいに劣化していたり、規制範囲の中で建物が建っていたり、条例が出来る前に擁壁を施工していたりする場合は要注意です。

がけ条例とは
崖のすぐ上や下に、家やビルなど人の住む建物を建てることを制限するために設けられた条例。
基本的には、崖の高さの2倍の範囲内には建物を建てられず、建てる場合は擁壁や防土堤を設けるという内容です。
なお、「がけ条例」というのは通称で、各都道府県や自治体によって呼び方が違います。

がけ条例とは要するに「崖の近くに建物を建ててはいけませんよ」「建てる場合はしっかり対策してくださいね」という条例です。
この条例に基づいて必要になるのが、「擁壁」です。
擁壁の設置により、がけの崩壊が発生しないと認められれば、建築の規制範囲が緩和されます。

崖の高さの2倍以内の位置に建築物を建築し、又は建築物の敷地を造成する場合においては、崖の形状若しくは土質又は建築物の規模、構造、配置若しくは用途に応じて、安全上支障ない位置に、規則で定める規模及び構造を有する擁壁又は防土堤を設けなければならない

引用:横浜市建築基準条例及び同解説 | 横浜市

なお、この擁壁は何でも良いわけではなく、建築士によって安全性が確認されたもの確認申請を行って検査済証を取得しているものなど、規則通りに造られたものでないといけません。

ちなみに、がけ条例は昭和40年代ごろから定められたので、それ以前に建てられた建物はがけ条例を満たした擁壁ではない可能性があります。
(※がけ条例の制定年は、地域ごとに異なります)

また、経年の劣化により擁壁自体の耐久性が弱まっているケースもありますので、擁壁の耐久性に不安を感じたら、まずは各自治体にご相談ください

がけ条例とは具体的に何なのか

がけ条例は、各自治体によって細かい内容が異なりますが、概ねの規則は一緒です。
今回は、大都市ながら坂道が多く、条例もわかりやすく制定されている横浜市の「横浜市建築基準条例」をもとに、他の地域と共通している内容を解説していきます。

そもそも擁壁とは

擁壁工事でお悩みの方の中には「そもそも、我が家にあるのは擁壁なのか?」という方もいらっしゃるかもしれません。
擁壁とは、広義で言うと「崖などの倒壊を防ぐために造られた、コンクリート製の壁状の構造物」です。

なお、横浜市は「擁壁」の定義を「高低差があり、土を抑えている構造物」と定めています。

塀と擁壁

引用:建築・開発等よくある質問「崖」| 横浜市

擁壁と見た目が少し似ている「へい(塀)」は、構造物を挟んだ両側の土地の高さに高低差がなく、土を抑えていないものとしています。
まずは、自分の家にあるものが擁壁なのかを確認してみてください。

がけの定義は、高さ3m以上かつ傾斜30°以上

条例内での「がけ」の定義は、高さ3mを超え、なおかつ傾斜が30度を超えるものを指します。
※2mと定めている地域もあります。

第3条 高さ3メートルを超える崖(一体性を有する1個の傾斜地で、その主要部分の勾配が30度を超えるものをいう。以下この条において同じ。)

引用:横浜市建築基準条例及び同解説 | 横浜市

条例の規制範囲は、がけの長さの2倍

がけ条例の規制範囲は「がけの長さの2倍」です。

がけ条例

引用:横浜市建築基準条例及び同解説 | 横浜市

赤線の部分が、がけ条例で規制される範囲です。
がけの着地点から、がけの2倍の長さを半径として範囲をとります。

この範囲には原則建物を建てられず、建てる場合は擁壁や防土堤を設けなければなりません。

擁壁の品質は一定以上が要求される

擁壁 質

引用:建築・開発等よくある質問「崖」| 横浜市

先ほど、擁壁は何でも良いわけではないとお話しましたが、規定では以下のようなルールがあります。

(1)擁壁については、法及び政令で定めるところによるほか、宅地造成等規制法施行令(昭和37年政令第16号)第6条第1項第2号及び第7条から第10条までの規定を準用する。
(2)防土堤の構造は鉄筋コンクリート造又は無筋コンクリート造とし、その高さは2メートル以上とする。

引用:横浜市建築基準条例及び同解説 | 横浜市

まずコンクリート造が前提であること。
そして、宅地造成等規制法に基づいた品質であることが条件になります。

宅地造成等規制法とは?
土砂災害が特に懸念される地域(=宅地造成工事規制区域)において、宅地造成工事を行う際に災害を防止するために制定された法律。擁壁の品質基準は、この法律に基づくため、一定の品質が担保されます。

擁壁工事の前には申請が必要

擁壁工事を行うにあたって、自治体の許可が必要なケースが2つあります。
それぞれ、条件と手続きの方法を確認しましょう。

擁壁の高さが2mを超える場合は「建築確認申請」

擁壁の高さが2mを超える工事では建築基準法に基き、自治体へ「建築確認申請」が必要になります。

確認申請の事前予約

それぞれの自治体へ建築確認申請を提出します。
なお、横浜市では申請する前に予約が必要です。各自治体によって手続き方法は異なるのでご注意ください。

確認申請書類をご提出頂く場合、事前にご予約をお願いしております。
ご予約は指導担当又は構造担当までお電話下さい。

引用:建築確認申請・検査手続き(建築物、擁壁以外の工作物) | 横浜市

申請等受付チェックシートを提出

申請の予約を取ったら、建築局へ「申請等受付チェックシート」を提出します。
横浜市のチェックシートは、人によって書式が異なるため、必ずホームページでご確認ください。

【提出先】横浜市建築局建築指導部建築指導課
【建築局住所】〒231-0012
神奈川県横浜市中区相生町3丁目56−1
【電話番号】045-671-2920
→チェックシートはこちらから

宅地造成工事規制区域内では申請書を提出

宅地造成工事規制区域と呼ばれる土砂災害の危険性が高い地域では、擁壁を建てる際に自治体へ申請が必要になります。
ちなみに横浜市はこの区域が非常に広く、市内面積の63%が該当します。
→横浜市の宅地造成工事規制区域はこちらから確認

申請手続きの2ステップ

手続きの主な流れは、事前調整→許可申請です。
事前調整では、まずは市長の同意を得るために話し合いを行うので、建築局へ連絡しましょう。
横浜市以外の方は、各自治体の建築局または市役所へご連絡ください。

1 事前調整 (1)横浜市開発事業の調整等に関する条例
造成主は、宅地の面積が500平方メートル以上の宅地造成を行う場合は、許可申請の前に横浜市開発事業の調整等に関する条例の手続を行い、同条例第17条に基づく市長の同意を得るよう努めなければなりません。

必要な書類

事前調整が済んだら、次は許可申請です。
許可申請では、「宅地造成に関する工事の許可申請書」を建築局へ提出します。
また、設計図面や資格などの書類も必要になりますが、これは施工業者さんに用意してもらいましょう。
申請書以外の必要書類は以下の通りです。

  • 設計資格を証する書類
  • 土砂の搬出入に関する書類
  • 位置図
  • 現況図
  • 造成計画平面図
  • 造成計画断面図
  • 排水施設計画平面図
  • 崖の断面図
  • 擁壁の配置図
  • 擁壁の展開図
  • 擁壁の構造図
  • 排水施設の構造図
  • 求積図
  • 公図の写し
  • 地盤調査報告書

引用:宅地造成に関する工事の手続 | 横浜市

以上が、申請手続きの主な流れです。
実際の申請手順や必要書類などは、各建築局のホームページをご確認ください。

まとめ

建て替え工事を検討されている時に、擁壁の耐久性に不安を感じたら各自治体へ相談してみましょう

また、地元の外構業者さんなら、その地域の条例は当然頭に入っていますから、手続きに関しては業者さんに相談するのも良い方法です。

とはいえ、建て替えでは最初に解体工事がありますので、まずは擁壁を取り壊さないといけません。

もし、擁壁の取り壊しを扱ってくれる解体業者をお探しなら、当協会が運営する「解体無料見積ガイド」へご相談ください。

更地 擁壁

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擁壁まで綺麗に取り壊したい方は、ぜひお気軽にご連絡ください。

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