マイホームを購入するとき、多くの方は住宅ローンを利用しています。住宅ローン返済中に、古くなった家を建て替えたいと思っていても「残債があるから建て替えは難しいのでは?」と感じる方は多いでしょう。
結論から言いますと、残債があっても建て替えはできます。
しかし、残債があるまま建て替えるということは負担額が増えるわけですから、審査基準は厳しくなります。この記事では、残債がある場合の建て替えにおいて確認しておくべきこと、ローンの申請条件、審査が通らなかった場合について説明していきます。
残債があるなら「建て替えローン」を利用しよう
建て替えをする最低条件は、現在ある建物の抵当権が解除されていることです。抵当権が解除されていないと、ご自宅を解体することができないためです。
つまり、ローンを完済していないと抵当権を解除することはできません。
新しく別のローンを組むことで建て替えは可能になる
残債があるまま建て替えをしたい場合、「建て替えローン」を組むことで建て替えができるようになります。 新しくローンを組むことになりますが、二重ローンになるわけではなく、現行のローン残債+建て替えのための借り入れ分を一本化し、返済先を1つにまとめるものになります。
「建て替えローン」を受けるための最低条件
初めて住宅ローンを申請したときと、建て替えローンを申請するときとでは置かれている状況が違うことが多いです。 そのため、「住宅ローンの審査が通ったから建て替えローンも大丈夫だろう」と安心はできません。
実際に建て替えローンを行っている金融機関の条件をもとに、審査を受ける最低条件をチェックしていきましょう。
審査を受ける前に確認すべきこと4つ
1.土地所有者の名義が自分になっているか
土地が親や親族の名義になっていないか確認しましょう。
金融機関は、建て替えローンでお金を貸し出す際、建て替える物件に対して抵当権を設定しますが、土地所有者の名義がローンの申込者と違う場合は、審査が通りません。
2.借入時完済時の年齢はクリアしているか
住宅ローンの審査を受けたときのは若齢だったのに対し、建て替えを考えるのは高齢になってからの方が多いです。 ローンの申請条件として、借入時完済時の年齢は必ず設定されています。
金融機関 | 借入時のご年齢 | 完済時のご年齢 |
---|---|---|
りそな銀行 | 満20歳以上、満70歳未満 | 満80歳未満 |
三井住友銀行 | 満20歳以上、満70歳の誕生日まで | 満80歳の誕生日まで |
多くの金融機関は、ローン完済時の年齢が「80歳未満」となっています。
3.年収を算出する
金融機関からお金を借り入れるには、毎月決まった金額を返済できる能力があるかを問われます。 自営業か会社員なのか、雇用形態や勤続年数も関わってきます。
金融機関 | 年収 | 給与所得者 | 会社経営者、個人事業主 |
---|---|---|---|
りそな銀行 | 税込年収100万円以上 | 勤続年数1年以上 | 勤続、営業年数3年以上 |
三井住友銀行 | 前年度税込年収500万円以上 | 条件の明示なし | 条件の明示なし |
4.公共料金やクレジットカードは遅滞なく支払っているか
住宅ローンと同じことが言えますが、借り入れの審査基準として確実なのは、個人の信用情報です。 個人の信用情報とは、クレジットカードの支払い履歴や携帯電話代の滞納の有無や、お金の借り入れや支払いの状況のことです。
個人信用情報を提供している機関は、指定信用情報機関であるCICとJICCがあります。
とくに、個人信用情報(CIC)に「異動」の文字があると審査は通りません。たとえ公務員やお勤め先が一部上場企業だとしてもです。
「異動」とはブラックリストのことで、カードの支払いなどの延滞が61日以上あると個人信用情報(CIC)に書き込まれる可能性があります。
審査のハードルが高いと感じた場合
ご紹介した4つの条件のなかで1つでも当てはまらないものがあれば、建て替えローンを組むのは難しいかもしれません。 それでも「今の家をなんとかしたい」方はいらっしゃると思います。
そんな方にオススメする別の方法があります。
2世帯で建て替えをするなら「親子リレーローン」を利用しよう
親子リレーローンとは、親子で1つの住宅ローンを組むもので、親の返済期間が終わったら子の返済期間へリレーのように引き継ぐ商品です。次の項目にあてはまる方にぴったりなローンとなります。
- 親子で2世帯住宅を建てたい
- 将来、親と同居して老後の面倒をみたい
- 実家をリフォームして子と同居する
親子リレーローンは、「いずれ親と子が同居すること」が前提です。
親子リレーローンのメリット
親子リレーローンを利用することで、建て替えローンで不安だった部分を解消することができます。
- 返済期間が長くなり、毎月の負担額が小さくなる
親子リレーローンは、子の年齢から返済期間を設定します。親が高齢でも子の年齢が45歳以下であれば、住宅ローン最長借入期間の35年にすることができます。高齢の親が単独で同額借り入れるよりも、毎月の返済額を抑えることができます。
- 借入可能金額が増え、理想の建て替えに近づける
ご自身の年収だけでなく、親子双方の年収を合算した金額が判断基準となるため、借入金額を増やすことができます。 借入金額が増えた分、建て替え費用にあてられるため理想の建て替えに近づけられます。
審査のハードルが低い「リフォームローン」
建て替えをせず、リフォームで住みよい家にするのはいかがでしょうか。「リフォームローン」とは、名前のとおり家をリフォームするときの資金づくりとして利用できるローンとなります。
建て替えローンと異なる点は、残債をゼロにする必要がありません。
次の項目にあてはまる方にぴったりなローンとなります。
- 老後に残債を増やしたくない
- 返済期間は短めがいい
- 今ある家で不便な箇所が少ない
リフォームローンのメリット
リフォームローンは「無担保型」と「担保型」が選択できます。「担保型」は建て替えローンと内容に大差ないので、「無担保型」のメリットをあげていきます。
- 無担保のため抵当権を設定する必要がない
ご自宅を担保にしないため、万が一ローンの返済ができなくなったとしても、ご自宅を競売にかけられる心配がありません。
- 借入可能金額が低いため、返済期間が短い
大がかりなリフォームでない限り500万円前後でまかなえるため、部分的に改善すれば問題ないのであればリフォームローンで充分です。
- 審査期間が早い
建て替えローンの審査には最短でも2週間かかりますが、無担保リフォームローンの審査は最短で1、2日とすぐに審査結果がでるため、スムーズにリフォームへ取りかかることができます。
商品名 | リフォームローン |
借入上限金額 | 500~1000万円ほど |
借入期間 | 最長10~15年ほど |
違う土地に住み替える「住み替えローン」
いま住んでいる家を売却しても残ってしまった残債と、つぎに購入する家の購入金額をあわせて借り入れることができるローンです。残債があることが考慮されており、担保物件の1.5倍~3倍などの水準で借入が可能です。
「いまよりも駅近や買い物がしやすい立地に住みたい」「転勤で引っ越しをしなければならない」と考えている方は視野にいれてみてくださいね。
参考 住宅ローンが残っているのに借り入れできる?住み替えローンとはオウチーノニュース建て替え時の残債についてのまとめ
残債があるまま建て替えをする場合の申請条件とご自身の状況を照らし合わせることで、見直すきっかけにもなったかと思います。
1番大事なのは、建て替えローンを利用したうえで生活に負担がなく毎月返済できるかがジャッジポイントです。
まずは、建て替えローンを利用した場合、月々の支払額の負担がいまよりもどのくらい増えるのかを算出してみましょう。
建て替えローンを利用することになった場合、「いくらまで借りることができるかな」よりも、「いくらまでなら無理なく返済していくことができるかな」という心持ちでローンを組むようにしていってください。