わが家の建て替えには、資金がたくさんかかるし、工事や届け出についてなど、考える事がいっぱいですね。
そんな中「建て替えをすると固定資産税が上がる!」と耳にしてしまって、驚かれる方も多いでしょう。
そう、建て替えをすると、固定資産税が大幅に高くなるケースもあるのです。
固定資産税はどのように決まる?
固定資産税とは、土地や家屋などの固定資産を所有している場合にかかる税金です。
固定資産税は毎年1月1日を基準日として、その時点で土地や家屋などを所有していると、その分の税金がかかるようになっています。
土地や家屋などの固定資産には、それぞれどれくらいの価値があるのか概算で価格がつけられており(固定資産評価額)、固定資産税は、固定資産評価額をもとに算出された課税標準額に税率を掛けて算出されています。
課税標準額とは?
上の計算式にもある課税標準額とは、固定資産税を課税する対象となる金額のことです。
建物の課税標準額は通常、固定資産評価額と同じですが、土地の課税標準額は、土地の使われ方によっては軽減措置が適用され、固定資産評価額よりも低い場合もあります。以下で詳しく見てみましょう。
家屋の課税標準額
家屋の課税標準額は、建物のもともとの価値(再建築価額)と、年数が経つにつれて失われていく価値(経年減点補正率)とを考慮に入れて算出されます。
家を建ててしばらくすると、自治体の職員さんが家にやって来て、家屋の価値がどの程度あるのか調査していきます(家屋調査)。
家屋調査では、さまざまな基準に照らして家屋の評価がなされ、その評価をもとに再建築価額が決定されます。
家屋の評価は設備によっても変わるため一概には言えませんが、再建築価額は建物本体価格のだいたい5~7割ほどが目安になっています。
家屋の課税標準額は、この再建築価額と、各自治体ごとに定められている経年減点補正率とを掛けあわせて算出されています。

再建築価額とは、評価の対象となる家とまったく同じ家をもう一度新しく建てたとして、かかる建築費のことです。
固定資産の評価額は3年ごとに見直されており(評価替え)、評価替えの度に、新築したときに行われた家屋調査のデータを元に家屋の評価額が出されています。
そのため、例えば30年前に新築したときは評価額が1300万円だった家でも、物価高などで建材の原価が上がっていれば、現時点での再建築価額が1500万円となる場合もあります。
よって「少しずつ下がっていくはずの固定資産税が下がらない」事態がまれに発生します。ただし、前年度の再建築価額を上回ってしまった場合は、前年度評価額に据え置くとされているため、「固定資産税が上がる」事態にはならないようになっています。

経年減点補正率とは、時が経って劣化した分の価額を評価額から差し引くため設けられている数値で、それぞれの自治体によって違います。
東京都の場合は「経過年数1年で0.80、2年で0.75…」となっており、経過年数ごとに0に向かって減らされていきます。(参考:東京法務局「経年減価補正率表」)
ただし、経年減点補正率が0になってしまうと固定資産税額が0円になってしまうため、経年減点補正率は0.20まで下がるとその後は固定されるようになっています。
土地の課税標準額
次に土地の課税標準額の求め方を見てみましょう。
土地の固定資産評価額は、土地の面積と、国の定める基準とをもとに算定されています。
ただし、土地が住宅用の敷地として使われる場合は「住宅用地」として扱われ、軽減措置が受けられます。
よって、住宅用地の課税標準額は、土地の固定資産評価額から軽減分が差し引かれた額となっているわけです。
区分 | 面積 | 計算式 |
---|---|---|
小規模 住宅用地 |
200㎡以下 の部分 |
課税標準額=固定資産評価額 × 1/6 |
一般 住宅用地 |
200㎡超 の部分 |
課税標準額=固定資産評価額 × 1/3 |
上の表にあるように、住宅用地は面積200㎡(60.5坪)までの部分は「小規模住宅用地」として扱われ、課税標準額は「固定資産評価額×1/6」で計算されます。
それ以上の部分は「一般住宅用地」として扱われ、課税標準額は「固定資産評価額×1/3」で計算されます。
例えば、住宅用地を300㎡所有している場合は、200㎡分だけ「固定資産評価額×1/6」で、残りの100㎡分は「固定資産評価額×1/3」で計算されます。
しかし、例えば住宅とカーポートとの間に道やブロック塀などがあり、「住宅の敷地と物理的に分断されている」とみなされると、住宅用地とは認められない場合があります。
わが家の固定資産税額を知ろう
それでは、わが家は毎年いくらくらいの固定資産税を支払っているのでしょうか?
ここからは固定資産税額の調べ方について見ていきましょう。
現在の土地・家屋の固定資産税額を知るには?
現時点でかかっている土地・家屋の固定資産税額を知るためには、以下のような方法があります。
- 納税通知書の「課税明細書」を見る
- 「固定資産公課証明書」を取得する
現在所有している土地・建物の固定資産税額は、毎年4月ごろ送られてくる納税通知書の中に入っている「課税明細書」を見るとわかります。
ただ、明細書が手元にない場合もありますよね。そんなときは市町村役場(東京23区は都税事務所)で「固定資産公課証明書」を取得するか、または郵送で取り寄せましょう。
固定資産公課証明書は、土地・建物の評価額などがわかる「固定資産評価証明書」の内容に加えて、課税標準額や固定資産税相当額(実際に課税される額)などが記載された証明書です。
取得には交付申請書と本人確認書類、手数料300~400円ほど、また、代理人が申請する場合は委任状が必要です。詳しくは各自治体のホームページなどをご覧ください。
新築した家の固定資産税額を知るには?
古い家が建っていたところに新しく家を建てるのであれば、土地の固定資産税額は変わりません。
一方、家屋の固定資産税額は、自治体の家屋調査が入り、建物の評価額が決定した後にはじめてわかります。
家屋の評価額は床面積や構造、設備などを見て決定されるので、どのような構造・設備の家にするか決まっているのであれば、モデルルームなどで聞くと、だいたいの税額の目安を教えてもらえるでしょう。
(例)
・劣化しにくい建材
・タイル貼りの玄関
・太陽光発電システム
・エネファーム
固定資産税を少しでも安くするために、後づけできる設備は家屋調査のあとに設置する方もいます。
建て替えで固定資産税が上がる?
それでは、建て替えによって固定資産税がはね上がるのはどのような場合でしょうか?
結論から言ってしまうと、「今まで住んでいた家と同じ敷地で建て替える」一般的な建て替えであれば、新築になって評価額が上がった分、家屋の税額は上がるものの、土地の税額は変わりません。以下で詳しく見ていきましょう。
建て替えで土地の固定資産税が上がる?
土地の固定資産税は、建て替え前後で土地の使われ方が同じであれば、建て替えをしても基本的に固定資産税額は変わりません。
ただし、新しい家が未完成のまま固定資産税の基準日である1月1日をまたいでしまうと、「住宅用地」の特例が適用されない場合があります。
・小規模住宅用地の特例が適用される場合
3000万×1/6×1.4%=7万円
・住宅用地の特例が適用されない場合
3000万×1.4%=42万円
住宅用地の特例が適用されないと、土地の固定資産税額だけで見ると、こんなにも上がってしまうのです。
それでは、建て替えをしている間に1月1日をまたいでしまうと、1年分とはいえ、高い固定資産税を払わなければならないのでしょうか?
「建て替え特例」が適用されるか確認しよう
1月1日時点で家が建っていなければ、原則として住宅用地の特例は受けられません。
しかし建て替えの場合は、いくつかの要件を満たしていて、きちんと手続きをすれば、「建て替え特例」が適用され、家が未完成でも住宅用地として扱ってもらえます。
建て替え特例の要件を見てみましょう。
- 家を取り壊した年の1月1日時点で住宅用地だった
- 取り壊した家と同じ敷地で建て替えている
- 取り壊した年とその翌年の1月1日時点で土地と住宅の所有者が同一である
- 住宅の建築が1月1日において着手されているか、未着手であっても提出期限までに建て替え工事契約等がなされている
(※所有者の配偶者または直系血族でも「同一」として扱う)
(※客観的に見て、適正な工事期間を定めて工事が進行中であれば「着手している」と認められる)
建て替え特例が適用されるには、以上の要件をすべて満たしている必要があります。
ただ、要件4においては、自治体によって認めるとする範囲が曖昧な場合もあります。
そこで東京都などでは範囲をわかりやすくするために、未着手の場合は「またいでしまう1月1日の時点で新築に関する建築確認申請書を受領していることが受領印等で確認でき、かつ、その年の3月末日までに住宅の新築工事に着手していること」という条件を提示しています。(参照:東京都主税局PDF)
建て替え特例については、事前に各自治体の要件と届け出方法をしっかり確認しましょう。
建て替え特例が適用されないよくあるパターンは、以下のようなものです。
- 土地つきの中古物件を購入して建て替え工事中に1月1日をまたいでしまった
- 1月1日前に取り壊しをしたが、1月1日までに建築確認申請がされていない
⇒要件3を満たさない
⇒要件4を満たさない
建て替えで家屋の固定資産税が上がる?
新築の家は経年減点補正率がリセットされます。また、古い家よりも家屋の評価額が上がっていれば、さらに税額は上がりますね。
・築30年以上の場合
1400(再建築価額)×0.20(経年減点補正率)×0.014(税率)=3.92
⇒3万9,200円
・新築1年目の場合
1400 × 0.80 × 0.014 = 15.68
⇒15万6,800円
以上のように、家屋分の固定資産税は、経年減点補正率がリセットされるだけで5倍近く高くなる場合もあります。
ただし、新築住宅は3年間(長期優良住宅などは5年間)にわたって、固定資産税が1/2となる軽減措置により、上の例では、
となります(ただし課税床面積120㎡までの部分のみ)。
4年目・6年目にはもとの税額に戻るので、「固定資産税がいきなり上がった!」と慌てないよう、頭に入れておきましょう。
まとめ
お家の建て替え期間中は、新築工事が終わるまでとても忙しく、頭がいっぱいになりますね。ただ、建て替え工事が1月1日をまたいでしまいそうな場合は要注意です。
思わぬ事態で工事が延期された場合なども考慮に入れて、工事の計画を立てましょう。
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