断熱により生じる結露の原因と事前の対策方法

せっかくマイホームを買うなら、冬は温かくて快適に過ごせるお家にしたいですよね。でも、「断熱性が高い家は結露を起こしやすくなる」と聞いて不安を感じている方も多いでしょう。 そこで、この記事では結露が生じるメカニズムと対策について、家づくりの専門家の意見をもとに解説していきます。

今回ご協力頂いた家づくりの専門家
この記事は、100%天然由来の建材だけを使って調湿効果の高い家をつくられている、「東京ハウスデザイン」さんにご協力をいただいて作成しています。 株式会社東京ハウスデザイン

結露が起こる原因とメカニズム

質問

そもそもなぜ暖かい部屋は結露を起こしやすくなるのでしょうか?

回答

結露のもとになっているのは、室内の空気に含まれる水蒸気です。この水蒸気が、外気の影響で冷たくなった「窓」や「壁」に触れると、温度が下がって結露を起こすんですよ。
結露ができるメカニズム

結露が生じる主な要因は「温度差」です。例えば、断熱性が高い家は外気の影響を受けにくくなるので室内の温度をある程度一定に保つことができます。 しかし、屋外との温度差は大きくなり、外気が伝わり易い場所には集中して結露ができやすくなってしまうのです。

外気の温度を伝え易い箇所

また、冬は夏場に比べて空調設備の負担が増えるので、外気との温度差が大きくなる傾向にあります。

季節 最高気温(℃) 最低気温(℃) 空調の推奨温度(℃) 温度差(℃)
31.6 24.3 28 3.6
10.3 1.3 20 18.7

※各気温は気象庁のデータより東京都の平均気温を抜粋、「空調の推奨温度」は経済産業省資源エネルギー庁の推奨データを参照。

質問

結露はどんなところにできるのでしょうか?

回答

窓や壁はもちろん、「床下」や「壁の内側」など、構造内部の見えないところにも結露が生じる可能性があります。

「窓」や「壁」、「壁紙」といった表面的な部分にできる結露を「表面結露」、「壁の内側」など、構造内部で起こる結露を「内部結露」と呼びます。

参考 過去の気象データ検索気象庁 参考 無理のない省エネ節約 | 家庭向け省エネ関連情報省エネポータルサイト

なぜ結露を放置してはいけないのか?

質問

結露を起こすとどのような弊害があるのでしょうか?

窓や壁紙にできる「表面結露」の影響

回答

「表面結露」は、放っておくと「カビ」や「ダニ」が発生して、人的な被害を及ぼす恐れがあります。

「カビ」は木材やビニールクロス、壁紙、接着剤などの建材をエサにして生息する範囲を広げていきます。さらに、「ダニ」は繁殖しやすい環境がカビと似ており、カビをエサにしているので併せて発生するリスクが高くなります。

カビ カビ 湿度65%
室温20~25℃
ダニ ダニ 湿度70%
室温20~25℃

カビの胞子やダニの糞、ダニの死骸などが皮膚についたり、気づかないうちに吸い込んだりしてしまうと、さまざまなアレルギー疾患を引き起こす恐れがあるといわれています。

  • アトピー性皮膚炎
  • ぜんそく
  • シックハウス症候群
  • 鼻炎など

壁の内側で生じる「内部結露」の影響

回答

さらに、「内部結露」を起こしてしまうと、カビ腐朽菌(ふきゅうきん)の影響で木材が腐ったり、湿気を好む「シロアリ」が発生したりして、建物の「耐震性」に影響を及ぼす危険があるんですよ。

結露を起こさないための対策

質問

結露を起こさないためにはどのような対策をすれば良いのでしょうか?

回答

基本的には温度差が生じる場所をつくらないように、家全体にしっかりと「断熱」を施すことが重要です。

一般的に断熱の方法には「内張り断熱」と「外張り断熱」の2種類があります。施工方法の違いから、「結露の対策には外張り断熱の方が効果的」、といった意見もありますが、工法の違いだけで結露を防ぐことはできません。 いずれの工法にしても隙間なく断熱をすることが重要です。

断熱材はどれが良いの?

質問

「隙間なく断熱を施す」という点から見ると、どのような断熱材を使うのが良いのでしょうか。

回答

いずれの断熱材でも隙間なく施工をすることはできます。ただ、特徴を活かすという点では、「セルロースファイバー」を壁内に填圧する方法が、最もムラがなく効果的だといえるでしょう。
セルロースファイバーのサンプル

セルロースファイバーのサンプル。新聞紙が原料なので、直接手で触っても害がない。

施工する業者さんによって使い馴れている断熱材は違います。素材の性質上ビニールの袋で覆われた物や複雑な形をしたものなど、種類はさまざまです。

断熱材の取り扱いに関しては、十分な知識を持たないまま施工をしてしまう業者さんもあり、施工の品質が一定にならないのも問題だといわれています。

断熱材の施工例

断熱材の施工例。正しく施工ができていないと、右のように隙間ができてしまう。

仮に断熱材の間に隙間ができてしまうと、そこから「断熱欠損」を起こして、内部結露が生じる恐れがあります。 その点、「セルロースファイバー」は、壁内に直接ムラなく詰めることができるので、断熱欠損を起こすリスクが低いと考えられています。

その他セルロースファイバーの特徴
  • 化学物質を含まないので身体に優しい
  • ほう酸を含んでいるのでゴキブリが寄ってこない
  • 防音性が高い
  • 万が一燃えても有害なガスが発生しない

ただし、填圧する力が弱いと、時間が経った時に重力で壁内のセルロースファイバーが垂れてきてしまうので、施工の際は50kg以上の非常に強い力を掛けて締め固める必要があります。

セルロースファイバーの施工の様子

セルロースファイバーを吹き込んでいる様子

引用:株式会社東京ハウスデザイン

そのため、専門の業者さんでなければ施工そのものができません。また、他の断熱材に比べてコストが割高な点も覚えておきましょう。

窓は二重ガラスで断熱性アップ

質問

結露を防ぐにあたって特に注意が必要な場所はありますか?

回答

壁面に比べて、「」はどうしても薄くなってしまうので断熱性を担保するのが難しくなります。そのため、外気の温度を伝わりにくくする工夫が欠かせません

窓にできる結露を防ぐ方法として効果的なのが「ペアガラス」です。ペアガラスは、間にできた空気の層がクッションになって、外気の温度を伝わりにくくしてくれるのが特徴です。

ペアガラスの断面

ペアガラスの断面。より断熱性を高めるために、アルゴンガスを注入したものや、ガラスが三重になった「トリプルガラス」などもあります。

引用:複合ガラス|YKKap

断熱効果を高める「樹脂サッシ」

断熱を考える際におさえておきたいのが「熱伝導率」です。熱伝導率とは、素材ごとのに異なる熱の伝わりやすさを数値化したもので、値が小さいほど熱が伝わりにくい性質があります。

アルミ 樹脂 ガラス
熱伝導率(W/mk) 200 0.2 0.16 1
樹脂サッシの断面

樹脂サッシの断面。

一般的に窓のサッシには古くから「アルミ」が使われてきました。しかし、ここ10年くらい前から増えているのが「樹脂サッシです。樹脂はアルミに比べて熱伝導率が低いことから「ペアガラス」と併用することでより高い断熱性に期待ができるといわれています。

引用:複層ガラス仕様FIN72|OSMO&EDEL

参考 低い断熱性なぜ放置、世界に遅れる「窓」後進国ニッポン: 日本経済新聞日本経済新聞

余分な湿気は家の外に逃がす

質問

他にも結露を防ぐために気をつけた方が良いことはありますか?

回答

湿気が多いと結露を起こしやすくなってしまうので、「換気」をしたり、建材が持つ「調湿」や「透湿」の効果を利用したりして、普段から余分な湿気を家の中に留めておかないことが大切です。

屋内の空気には水蒸気が多く含まれている点も、結露が起こりやすくなっている要因のひとつです。

水蒸気が生じる例

最適な換気方法はどれ?

質問

換気の方法にも何かポイントがあるのでしょうか?

回答

単に換気をしてしまうとせっかく温めた空気も一緒に家の外に出てしまい、室内の温度が下がってしまいます。そこで注目してほしいのが「計画換気」です。

計画換気については、2006年から建築基準法により導入が義務付けられました。 一般的には「24時間換気システム」に分類される第1種から第3種までの3つの換気方法から、いずれか1つを選ぶのが一般的です。

各換気システムの特徴
第一種換気
第1種換気方式
「給気」と「排気」の両方を、換気システムによって管理する方法。排気する空気の温度を再利用することで限りなく温度変化を抑えることができる。
第二種換気
第2種換気方式
電動ファンで給気を行い、自然排気で室内の空気を押し出す方法。気密性が低いとかえって結露ができやすくなるので、住宅ではあまり使われていない。
第三種換気
第3種換気方式
電動ファンで排気を行い、自然吸気で外気を取り込む方法。最も一般的な換気方法だが、外気をそのまま取り込むので温度変化が起こりやすい。

引用:24時間換気システム 戸建住宅用|Panasonic

換気システムは導入費用に加えて電気代やメンテナンス費などの維持費も掛かります。どの換気システムを導入するかは長期的な利用も視野にいれて、慎重に選びましょう。

天然の素材が持つ調湿効果を活用する

質問

調湿効果がある建材にはどういった物があるのでしょうか?

回答

自然素材を原料とする建材の中には、もともと調湿や透湿といった効果を持っているものがあります。

調湿性や透湿性に優れた自然素材としては、「木チップ」や「パルプ」を原料とした壁紙や、「シラス」を原料としたシラス壁、「無垢」の木材などが代表的です。

天然由来で「透湿」に優れた建材

ルナファザー

引用:日本ルナファザー株式会社

木チップ」や「パルプ」が原料の「ルナファザー」は世界30カ国で愛用されている「通気性」と「透湿性」に優れた壁紙です。化学物質が入っていない顔料を使っていて、豊富なデザインがあるのが特徴です。

スーパー白洲そとん壁

引用:スーパー白洲そとん壁

シラス」を原料にした「そとん壁」は「防水性」と「透湿性」に優れた外壁で、湿気のような小さな粒子だけが壁の中を通過するので、防水性を維持しながら調湿を行うことができます。ルナファザーなど、通気性の高い壁紙と併用すると効果的です。

特に、天然の木をそのまま切り出して使う「無垢」は、古くから日本建築に使われており、合板などに比べて高い調湿効果があるといわれています。 さらに、無垢材が持つ調湿効果は適度な乾燥状態を保ってくれるので、結露が生じるのを防ぐだけでなく、木材が腐りにくくなり建物が長持ちすると考えられています。

法隆寺のイラスト

1300年以上前に無垢の木を使って建てられた「法隆寺」は、世界最古の木造建築として世界文化遺産に登録されています。

とはいえ、自然素材が持つ調湿効果は科学的に立証するのが難しく、具体的な根拠についてはまだ明らかになっていない部分も多いです。 また、加工されている「新建材」に比べて、無垢などの自然素材は取り扱いが難しい点もおさえておきましょう。

「無垢」は建材になった後も調湿効果の影響で形が変化するので、伸び縮みする幅も考慮した上で施工する必要があります。

調湿効果が高い自然素材100%の家

自然素材には「ホルムアルデヒド」など、シックハウス症候群の原因になる化学物質が含まれていないのも特徴です。 なお、今回お話を伺った東京ハウスデザインさんでは、天然由来の素材のみで調湿性に優れた素敵なお家をたくさん手掛けていらっしゃいます。気になる方はぜひ相談してみてください。

まとめ

この記事では、結露が起こる原因や具体的な方法について詳しくご紹介しました。 結露を放置してしまうと人的な被害だけでなく、建物の構造部分にも影響が出てしまう恐れがあります。とはいえ、事前にしっかりと対策をすれば結露を抑えることも可能です。マイホームを購入しようと思っている方は、ぜひ慎重に家づくりを検討してください。

今回ご協力頂いた家づくりの専門家
この記事は、100%天然由来の建材だけを使って調湿効果の高い家をつくられている、「東京ハウスデザイン」さんにご協力をいただいて作成しています。 株式会社東京ハウスデザイン
会社名 株式会社東京ハウスデザイン
代表者名 木村隆・前はる美
住所 神奈川県川崎市宮前区東有馬 1-3-1
電話番号 044-871-2088
公式HP https://tokyo-hd.com/
営業時間 9:00〜18:00
主な業務 建物設計・施工・施工管理
対応エリア 川崎市・横浜市(都筑区・港北区・青葉区)

当協会の運営サイト「コノイエ」は、工務店・ハウスビルダー・建築家・建築設計事務所等の500以上のインタビュー記事を掲載。また、新築・建て替えを検討中のユーザーにとって有益となる情報を発信しています。
当協会は、建て替えに伴うお住まいの取り壊しのご相談を年間で2,500件ほど承っており、各地域の住宅関連会社の情報が集まります。今後も「コノイエ」では、新築ユーザー様の発注先や評価、住宅関連会社様への独自インタビューといった当協会ならではの独自のリアルな情報をお届けします。

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