ハイコスト住宅は豪華なデザインや高性能な設備、ローコスト住宅は金額がアピールポイントです。
ところが、ミドルコスト住宅には決まった特徴がありません。 ミドルコスト住宅の場合、ハウスメーカーごとにアピールポイントが異なるからです。
そのため、ミドルコスト住宅をお探しの場合は、ハウスメーカーごとの特徴を詳しくチェックしたいところです。 ハウスメーカーの特徴が自分自身の重視するポイントと合致していれば、満足度の高い家づくりが実現できると考えられます。
そこで、この記事ではミドルコストで建てられるハウスメーカーのなかでも特に注目したい5社についてご紹介いたします。
ミドルコストと呼べる住宅価格や坪単価はいくらなのか?
一口にミドルコストといっても、人によって思い浮かべる金額は異なります。
たとえば、「ハイコストより下」を求める方なら、ミドルコストのなかでも高めの価格帯をイメージしていると考えられます。 「ローコストより上」を求める方からすると、高額だと感じる価格帯になるかもしれません。
ですので、まずはミドルコストとはどのくらいの住宅価格や坪単価を指すのか、全国データから簡単に割り出してみましょう。
注文住宅の一般的な建設費は3,279万円
住宅に関する全国データとしては、住宅金融支援機構の公開している集計表が信頼できます。
集計表のうち、注文住宅編に記載されている「建設費」の中央値と平均値は以下の通りです。
中央値 (単位:万円) |
平均値 (単位:万円) |
|
---|---|---|
全国 | 3,279.0 | 3,452.4 |
三大都市圏 | 3,439.0 | 3,648.7 |
首都圏 | 3,541.0 | 3,768.8 |
近畿圏 | 3,343.0 | 3,553.0 |
東海圏 | 3,379.0 | 3,518.6 |
その他地域 | 3,141.0 | 3,274.5 |
ちなみに中央値とは、データを数値の大きさ順に並べたときに、真ん中に配置されるデータの数値を指します。なので、全国の中央値である3,279万円が、注文住宅を建てる場合の一般的な建設費だと捉えることができます。
注文住宅の一般的な建物本体価格は2,295万円
注文住宅を建てる場合の一般的な建設費は3,279万円です。
しかし、その全額が新築に投じられているわけではありません。 電気や水道、ガス等の工事代や解体費用、外構費用等の付帯工事費、その他諸費用なども含んだ数値だからです。
ちなみに、付帯工事費や諸費用の目安は、建築費全体の約3割です。 したがって、残りの約7割が建物本体に投じられていると考えられます。
なお、「建物本体に投じられている建設費」とは、すなわち建物本体にかけられている金額を表しています。 したがって、注文住宅の一般的な建物本体価格は約2,295万円だと言い換えることができます。
ミドルコストと呼べる坪単価の範囲は55~70万円
あとは一般的な新築の広ささえ分かれば、上記の建物本体価格から坪単価が割り出せます。 そこで、先に紹介した住宅金融支援機構のデータから、注文住宅の住宅面積を調べてみましょう。
全国における住宅面積の中央値と平均値は以下の通りです。 平米を坪単価に換算した数値も併せてお示しします。
中央値 | 平均値 |
---|---|
119.5㎡ | 125.8㎡ |
36.15坪 | 38.05坪 |
以上のデータより、一般的な新築の広さは36.15坪だと分かりました。なので、一般的な建物本体価格2,295万円を36.15坪で割ることで、坪単価を算出できます。
上記より、一般的な坪単価は63.5万円です。したがって、厳密には坪単価60~65万円、少し幅を広げて坪単価55~70万円がミドルコストと呼べる範囲だと考えられます。
ミドルコストで建てられるお勧めのハウスメーカー5選
上記より、ミドルコストと呼べる坪単価はおおよそ55~70万円です。
そこで、坪単価55~70万円ほどで建てられるハウスメーカーをピックアップしました。 ここでは、特にお勧めできるハウスメーカー5社と、その特徴について取り上げます。
1.住友不動産
引用:住友不動産の注文住宅
ハイコスト住宅を主軸にする大手ハウスメーカーが多いなかで、ミドルコスト住宅をメインとしているのが住友不動産です。
坪単価は50~70万円ほどですが、オフィスビルなどで培ったデザイン力や技術を活用し、「住友」の名前に相応しい高級感の漂う外観と高い住宅性能を実現しています。 高級マンションで使用している設備が標準仕様になっている点も特徴です。
主力商品は「J・アーバン・シリーズ(J・URBAN Series)」。 同シリーズの半分はグッドデザイン賞を受賞しています。
「J・アーバン・シリーズ」は都市型住宅なので、狭小地など限られた敷地にも対応できるのが強みです。 庭を中庭にすることで、プライバシーにも配慮しています。
また、ウッドパネル工法などにより、耐震性や断熱性の高い木造住宅を実現しています。 住宅性能を表す「耐震等級3」「断熱等性能等級4」などの各項目で、最高ランクを獲得しています。
なお、不動産の総合ディベロッパーであるため、土地探し・仮住まい探し・引っ越し作業についてサポートしてもらえます。
会社概要
会社名 | 住友不動産株式会社 |
---|---|
本社 | 〒160-0023 東京都新宿区西新宿二丁目4番1号(新宿NSビル) |
公式HP | https://www.j-urban.jp/ |
対応エリア | ・首都圏エリア(東京、神奈川、千葉、埼玉、群馬、茨城、栃木) ・東海エリア(静岡、愛知、岐阜、三重) ・近畿エリア(大阪、京都、奈良、兵庫、滋賀) ・九州エリア(福岡・熊本) ・北海道、宮城、新潟、岡山 |
主な特徴 | ・木造住宅(ウッドパネル工法、2×4工法、2×6工法) ・平屋、3階建て、二世帯住宅等 ・ハイグレードな設備が標準仕様 ・30年保証 |
補足 | ・土地探し、仮住まい探し、引っ越しに対応可 |
2.ヤマダホームズ
引用:ヤマダホームズ
ヤマダホームズは、大手家電量販店ヤマダ電機の子会社です。 ヤマダホームズ自体は2018年の合併により誕生した会社ですが、「エス・バイ・エル」という木造注文住宅の専門会社の流れをくんでいるため実績は豊富です。
ヤマダホームズの家は基本的に自由設計なので、間取りや設備を好みで決められます。
また、「スーパーフル装備住宅」であれば、坪単価60万円前後で家具・家電付きの家を建てられます。 一般的に別費用となる場合が多い、エアコン・照明・カーテンの費用も価格に含まれているため安心です。
ちなみに、家具・家電付きといっても組み合わせが決まっているわけではありません。 ヤマダギフト券を使って自由に選ぶことができます。
会社概要
会社名 | 株式会社ヤマダホームズ |
---|---|
本社 | 〒370-0841 群馬県高崎市栄町1番1号 |
公式HP | https://yamadahomes.jp/ |
対応エリア | ・北海道・東北エリア(北海道、青森、秋田、岩手、宮城、山形、福島) ・関東エリア(栃木、群馬、茨城、埼玉、東京、千葉、神奈川) ・中部エリア(山梨、長野、新潟、石川、静岡、愛知、岐阜) ・近畿エリア(三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山) ・中国・四国エリア(岡山、広島、香川、愛媛、高地、徳島) ・九州エリア(福岡、熊本、宮崎) ※展示場のある場所を基準にしています。 |
主な特徴 | ・木造住宅(ティンバーメタル工法、木造在来工法) ・最長60年保証 |
補足 | ・ヤマダHDに属するヤマダ電機で家電を、大塚家具で家具を調達 |
3.サンヨーホームズ
引用:サンヨーホームズ
鉄骨造の住宅は頑丈で優れた耐震性をもっています。 ただ、軽量鉄骨のプレハブ住宅を取り扱っているハウスメーカーの多くは、高級志向のユーザーを対象としています。 そのため、ミドルコストの軽量鉄骨のプレハブ住宅というのは、ほとんど存在しません。
ですが、例外的にサンヨーホームズは坪単価60~65万円近辺のミドルコストで軽量鉄骨のプレハブ住宅を提供しています。 1969年から半世紀以上にわたり、軽量鉄骨のプレハブ住宅を専門に取り扱ってきたからこそ可能なのだと考えられます。
ちなみに、鉄骨造住宅の弱点である断熱性については、家全体を外から断熱材で包み込むことでカバーしているので問題ありません。 さらに、三洋電機の子会社時代に培った、太陽光発電システムを標準装備している点も特徴です。
太陽光発電システムと断熱材の組み合わせで、効率的な電力消費を実現しています。
サンヨーホームズの商品名は「ライフスタイルクラシテ(life style KURASI'TE)」。 ただ、外観やインテリアなどが幅広いプランから自由に選べるため、商品の形はお客様ごとに異なります。
なお、坪単価の目安は55~70万円ほどです。 住宅設備を大株主のLIXILから調達するといった工夫を行っています。
会社概要
会社名 | サンヨーホームズ株式会社 |
---|---|
本社 | 〒550-0005 大阪市西区西本町1丁目4番1号 |
公式HP | https://www.sanyohomes.co.jp/ |
対応エリア | ・関東エリア(神奈川、千葉、埼玉) ・中部エリア(愛知、三重) ・近畿エリア(大阪、兵庫、京都) ・九州エリア(福岡、熊本) ※展示場または営業所の所在地を基準にしています。 |
主な特徴 | ・軽量鉄骨造プレハブ住宅 ・太陽光発電システム標準装備 ・最低30年、構造体保証と無料点検あり ・最低20年、屋根・外壁などの防水保証あり |
補足 | ・LIXILから住宅設備を調達 |
4.一条工務店
引用:一条工務店
一条工務店は、年間の建設住宅数において1万棟超を誇る大手ハウスメーカーです。
2019年には、「最新年間で最も売れている注文住宅会社」「最新年間で最も多くの太陽光搭載住宅を建てた会社」「最大の工業化住宅工場」の3項目でギネス世界記録に認定されるほど、お客様から高い支持を集めています。
一条工務店の特徴は高い住宅性能です。 ミドルコスト住宅でありながら、高気密・高断熱を実現しています。
なかでも注目商品は「i-smart(アイ・スマート)」で、坪単価は60~70万円ほどです。
「i-smart」は、天井・外壁・床・窓サッシなど家全体に高性能の断熱材を用いる「外内ダブル断熱構法」を採用しています。 外気の影響をシャットアウトする魔法ビンのような構造により、夏は涼しく冬は暖かく過ごせるのが強みです。
なお、一条工務店は、テレビや新聞を用いた広告よりも住宅展示場に力を入れています。 その住宅展示場も、ハイコスト商品中心の一般的な展示場とは異なり、標準仕様で造られています。
ミドルコストで実現可能な暮らしを体感できるため、一条工務店をお考えの方は一度展示場に足を運んでみてもよいでしょう。
会社概要
会社名 | 株式会社一条工務店 |
---|---|
本社 | 〒135-0042 東京都江東区木場5-10-10 |
公式HP | https://www.ichijo.co.jp/ |
対応エリア | 沖縄を除いた全国 ※ただし、高知県に住宅展示場はありません。 |
主な特徴 | ・木造住宅(木造軸組工法、2×6工法、ツインモノコック構造等) ・高断熱(「i-smart」のQ値0.51、UA値0.25) ・最長30年保証 |
補足 | ・オリコンの2021年顧客満足度(ハウスメーカー・注文住宅)にて第5位獲得 |
5.東急Re・デザイン
引用:東急Re・デザイン
東京・神奈川の大手私鉄である東急電鉄と同じ、東急グループに属しているハウスメーカーが東急Re・デザインです。 東急ホームズから移管されて、新築事業を手がけるようになりました。
東急Re・デザインの特徴は、ミドルコストの輸入住宅を取り扱っている点です。
一般的に輸入住宅といえば、そのほとんどはハイコスト住宅に当たります。 ミドルコストで輸入住宅を建てられるハウスメーカーはあまり見られません。
取り扱っている輸入住宅の種類も豊富にあります。 主に、アメリカンスタイル、ヨーロピアンスタイル、南国スタイルなどが用意されています。
ちなみに、坪単価は55~65万円が目安です。 ミドルコストで輸入住宅を建てたいとお考えの方に、ぜひお勧めしたいハウスメーカーといえます。
ただし、ヨーロッパスタイルは漆喰といった高級素材を使うためか、若干高くなる傾向があります。 そのため、坪単価はおおよそ60~70万円になるとお考えください。
会社概要
会社名 | 株式会社東急Re・デザイン |
---|---|
本社 | 〒158-0097 東京都世田谷区用賀4-10-1 世田谷ビジネススクエア タワー3F |
公式HP | https://www.tokyu-re-design.co.jp/shinchiku/ |
対応エリア | 主に首都圏 |
主な特徴 | ・輸入住宅(アメリカ、ヨーロッパ、南国等) ・注文住宅の場合は木造、鉄骨造、RC造住宅に対応 ・最長30年保証 |
補足 | ・東急グループで不動産事業を行っているため、土地探しから対応可能 |
ミドルコストで建てられるハウスメーカーについてのまとめ
この記事では、ミドルコスト住宅を手がけるハウスメーカー5社についてご紹介いたしました。
統計をもとに算出すると、ミドルコスト住宅と呼べる坪単価の範囲は55~70万円です。
坪単価55~70万円のミドルコスト住宅を建てているハウスメーカーのなかで、特にお勧めなのは以下の5社です。 各社に特徴があるので、ご興味がある方は各ハウスメーカーの公式サイトなどもご覧になってください。
※ハウスメーカー名をクリックすると、該当の記事に戻ります。
1.住友不動産 | 住友ブランドと優れたデザイン・耐震性・断熱性が特徴 |
---|---|
2.ヤマダホームズ | 「スーパーフル装備住宅」で家具・家電も併せて用意 |
3.サンヨーホームズ | 頑丈な軽量鉄骨造プレハブ住宅をミドルコストで提供 |
4.一条工務店 | 他社より優れた高気密・高断熱の住宅を建てているのが特徴 |
5.東急Re・デザイン | ハイコストになりやすい輸入住宅をミドルコストで提供 |