結婚や出産などライフスタイルが大きく変わったことで、マイホームの購入を検討し始める方は多いかと思います。
ですが、家は一生に一度のお買い物。大きな金額を用意することはもちろん、購入に至るまで様々な検討事項をクリアしていかなければなりません。
そこで本記事では、マイホーム購入を検討した際に「まずやるべきこと」や、家を買うまでの流れをご紹介します。後半では、マイホーム購入後によくある失敗と、その対策についてお話しするので、ぜひ参考になさってください。
この記事はこんな方にオススメです
- マイホームを購入しようか検討し始めたばかり
- みんなはどのタイミング(年齢や年収)で家を買ったの?
- 家を買うと決めたので、購入までの流れを知りたい
- 家を買って後悔したくない
マイホーム購入を検討したら、まずやること3つ
マイホームの購入を検討したときに、まず「戸建てか、マンションか?」など、どんな住まいにしようか想像する方は多いでしょう。
しかしそれ以前にやるべきことが3つあります。
- マイホームの購入可能金額を把握する
- マイホームの購入に必要な費用を知る
- 購入のタイミングは今で大丈夫か確認する
その1.購入可能金額を把握する
家を買うには、大きなお金を用意することが大前提。「どんな暮らしがいいか、どこに住もうか」を考える前に、「準備できるお金はいくらくらいか」把握することが大切です。
物件を一括で支払えない場合は、住宅ローンの利用が必須。現在の年収から、住宅ローンを利用した場合のマイホーム購入可能金額を算出してみましょう。
ローン借入金額(マイホーム購入可能金額)の算出方法
まず年収に対する返済比率を決めます。返済比率の割合が多いほど毎月の返済額も高くなるため、無理のない返済利率を設定することが大切です。 一般的には20%〜25%が望ましいと言われていますが、毎月の出費は皆同じではないため、家庭によって適切な返済利率は異なります。
ご自身の年齢や年収、車や子どもの有無などを踏まえ、無理のない返済額を設定し、返済利率を割り出してみてください。
(毎月の返済額×12ヶ月分)÷年収額×100=返済利率(%)
【例:税込年収が500万円で、毎月の返済額を9万円に設定した場合】
(9万円×12)÷500万×100=21.6%
返済利率が決まったら、毎月の返済額からローンで借入できる金額を確認しましょう。借り入れ可能金額の目安は以下の通りです。
なお、住友不動産販売|住宅ローンのページでは、具体的なローン借入金額の目安を確認できるほか、返済のシミュレーションも行えます。気になる方は参考にしてみてください。
その2.購入に必要な費用を知る
マイホームを購入する際は、物件取得費用に加え、税金や手数料などの諸費用が必要になります。
住宅ローンの借り入れ金額は、あくまでも物件を取得するために借りれるお金なので、一般的には諸費用は現金で支払います。住宅ローンで賄うことはできないため、あらかじめ自身で用意しておく必要があります。
諸費用の項目
諸費用の項目は、物件購入の際に必ずかかるものや購入時のケースによってかかるものなど様々です。
物件購入の際に必ずかかる費用 | 購入時のケースによってかかる費用 |
---|---|
・印紙税 ・登録免許税 ・司法書士報酬 ・融資事務手数料 ・融資事務手数料etc… |
・ローン保証料 ・物件検査手数料 ・火災保険料etc… |
諸費用の割合
そして、物件購入費用に対する諸費用の大まかな割合は、物件の種類によって異なります。
新築マンション | 3~5%前後 |
---|---|
建売住宅 | 6~8%前後 |
注文住宅 | 10~12%前後 |
物件価格×諸費用の割合=諸費用
【例:注文住宅の物件価格が3000万円で、諸費用の割合が10%の場合】
3000万円×10%=300万円
貯金のすべてを充てるのは危険
いざという時や万が一の時に役立つ貯金。「まさにマイホームを購入するためにコツコツ貯めてきた!」という方は多いでしょう。
もちろん、資金が多いほど頭金に充てられる割合も増えるので、住宅ローンの借り入れ金額を減らし、毎月の返済額を抑えることは可能です。
しかし、新居へ移る際の引っ越し代、家具代など、マイホームを購入した後のことも考慮しなければなりません。また、ケガや病気など思いがけない出費、場合によっては子どもの教育費・マイカー購入資金など、将来のイベントやライフスタイルを見据えた貯蓄を考える必要もあります。
マイホームの購入に貯金全額を充てるのは避けましょう。
頭金を貯めてから家を買うべきか?
物件の取得に住宅ローンを活用できるとは言えど、諸費用や新居へ引っ越した際にかかる費用など、現金で用意すべきお金は多いのが現実です。
家を買いたい人
「コノイエ」スタッフ
頭金なしで購入しても、購入後に貯まったお金で繰上げ返済をすれば総返済額を減らすことができますよ。
現在お住まいの家賃を踏まえた、家を買うタイミングも考慮しましょう。
なお、「頭金なし貯金なしでマイホームを買う方法」についてまとめた記事がございます。併せて参考になさってください。
頭金なし貯金なしのマイホーム購入|実現するためのポイントその3.購入のタイミングは今でいいのか?
「家を買う」というイベントは誰もが不慣れなもの。
「買うタイミングは今でいいのか?」「みんなはどのタイミングで購入してるんだろう?」と不安に感じる方は多いのではないでしょうか。
国土交通省の令和元年度住宅市場動向調査によると、マイホームを購入する年齢層は30代が最も多く、マイホームを初めて購入(一次取得)した時の世帯年収は400万円〜600万円未満が最多、つぎに多いのが600万円〜800万円未満だそうです。
しかし、なぜその年齢・収入で「家を買う!」と決めたのか気になりますよね。
その結果をもとに、マイホーム購入の決め手を20代、30代前半、30代後半~40歳の年代別に見ていきましょう。
20代
年齢 | 世帯年収 | 20代で家を買った理由 |
---|---|---|
Cさん26歳 | 400万円 | ・主人が年上で購入を希望していた ・早いうちにローンを組むのもアリと考えた ・2人目の子どもが生まれるタイミングに合わせた |
Dさん26歳 | 400万円 | ・県内で1、2を争う良い物件がたまたま空いていた ・周辺には暮らしに必要なお店や施設がほとんど揃っていた |
Eさん29歳 | 650万円 | ・アクセスの良い場所で、価格も安かった ・消費税増税前に購入した方が良いと判断した |
30代前半
年齢 | 世帯年収 | 30代前半で家を買った理由 |
---|---|---|
Fさん31歳 | 600万円 | ・旦那が10歳年上なので、今買わないとローンを組むのが難しくなると判断した ・子供が幼稚園に入る前には引っ越しをしたかったため、このタイミングで |
Gさん32歳 | 500万円 | ・当時第2子妊娠中で、今の賃貸では子どもが増えたときに収納が足りないと思った ・第2子出産までに引っ越したかった |
Hさん32歳 | 900万円 | ・子供が生まれ、今後落ち着いて子育てができる場所に引っ越したかった ・永住することを考え、マイホームを購入したいと思った ・賃貸で家賃を払い続けるよりもローンの支払いの方が安くなるため、長い目で見ると経済的に得と判断した |
Iさん33歳 | 600万円 | ・結婚をして新しく住み始める家として、賃貸で家を借りるより、建ててしまおうということになり家を購入した |
Jさん30歳 | 900万円 | ・当時は、30歳ぐらいでローンを組まないとローンを組むことが厳しいと感じたため |
30代後半〜40歳
年齢 | 世帯年収 | 30代後半〜40歳で家を買った理由 |
---|---|---|
Kさん39歳 | 1000万円 | ・35年ローンがギリギリ組める年齢だった ・消費税が上がるタイミングだったので、少しでも安い時期にと購入を決意 |
Lさん40歳 | 400万円 | ・転校しなくてもいいように、子どもが小学校に上がるまでに購入したかった ・それまで住んでいたアパートが手狭になった |
マイホーム購入に至った決め手は、「ローンを軸に考え、年齢にメリットや焦りを感じた」「子どもができた・将来性を考えた」「たまたま良い物件に出会った」など、人によって様々なことが分かります。
つまり、家を買いたい!欲しい!と思った時があなたのタイミングなのです。家を買う際に必要な費用についてしっかり理解できていれば、マイホームの購入を決断して良いかと思います。
参考 あなたは何歳でマイホームを買った?なんでそのタイミング?リアルな声を集めてみた|ニフティ不動産あなたは何歳でマイホームを買った?なんでそのタイミング?リアルな声を集めてみた|ニフティ不動産マイホーム購入の流れ
家を買う決意が固まったら、いよいよ物件(土地)探しです。つぎに、マイホーム購入までの基本的な流れを確認しましょう。
- 住みたいエリアの相場(土地・物件)や利便性などを確認する
- 気になる物件や土地を内覧、見学する
- 購入申し込み+住宅ローンの事前審査を受ける
- 重要事項説明書と契約書の内容確認後、契約
- 住宅ローンの本審査を受ける
- 建物の最終確認
- 残金決済(住宅ローンの融資実行)
- 物件の引き渡し
(1)住みたいエリアの相場(土地・物件)や利便性などを確認する
エリアによって物件価格相場は異なります。これは、利便性に優れ、人気が高いエリアほど物件や土地の価格が高くなるためです。
住みたいエリアにはどんな物件(または土地)がどのくらいの価格で売られているのか、まずは大まかな相場を把握しましょう。色々な物件をチェックしているうちに、「間取りは3LDKがいいな」「病院から近いところがいいな」など条件が固まってくることもあるので、少しずつ条件を絞りながら気になる物件(土地)をチェックしてみてください。
住みたいエリアが特にない場合は、通勤・通学など交通の利便性や、買い物など生活の利便性、治安の良さなど、長く生活することを想像しながら決めていくといいでしょう。
(2)気になる物件や土地を内覧、見学する
気になる物件や土地が見つかったら、内覧・見学をしましょう。
インターネットで良い印象を受けても、現物を見たときに印象が異なるかもしれません。
また、住んでみた後に住みづらさを感じる可能性もあります。
これから長く生活を送る場所を決めるわけですから、実際に足を運び、自分の目で立地や利便性などを確かめることが大切です。
納得できるところがなかなか見つからない場合は、条件を少し変えてみるなど選択の幅を広げて探してみましょう。
(3-1)購入の申し込み
「ここに住みたい!」と思える物件に出会えたら、購入の申し込みを行います。
購入の申し込みとは、物件を購入する意思を正式に示すことで、ここから購入の手続きがスタートします。
物件の種類によって方法は変わるため、それぞれの流れを把握しておきましょう。
物件の種類 | 購入の申し込み方法 |
---|---|
不動産会社から直接購入する物件(新築マンション、一部の新築一戸建て、土地etc…) | 販売開始日以降に先着順で受け付けることが多い |
仲介会社を通して購入する物件(中古マンション、一部の新築の一戸建て、土地etc…) | 仲介会社に「買付証明書」を渡すのが一般的 |
不動産会社から直接購入する物件の場合、販売開始日以降に先着順で受け付けることが多いため、買う意思が決まれば早めに応募することをオススメします。
いっぽう仲介会社を通して購入する物件の場合は、仲介会社に「買付証明書」を渡すのが一般的です。
買付証明書とは、購入価格や手付金の額、引き渡し時期などについて「この条件なら買います」という意思を売主に伝える書面のことです。
具体的な購入の申し込み方法は物件によって異なるので、買いたい意思が固まったら、その不動産会社または仲介会社に今後の流れを聞くのが無難です。
(3-2)住宅ローンの事前審査を受ける
住宅ローンを利用する場合、金融機関による審査を2度行います。
1度めが、購入の申し込みと同時に行う事前審査です。
事前審査では「融資できるかどうか」を判断されます。
これに通らないと契約に進めないため、最初の段階で無理のない資金計画を行うことが最も大切です。
(4)重要事項説明書と契約書の内容確認後、契約
住宅ローンの事前審査が無事通ったら、いよいよ購入契約を行いますが、契約をする前に大事な工程があります。それは、重要事項説明書と契約書の内容確認です。
不動産取引を行う際には、契約を交わす前に必ず「重要事項の説明」が行われます。重要事項説明とは、価格や使用における条件など、契約に関して重要な事項を宅地建物取引士が口頭で買主に説明を行うことです。
重要事項説明と契約の内容に納得がいけば、「重要事項説明を受けた」証拠となる重要事項説明書と契約書に署名・捺印をし、契約成立となります。
署名・捺印は契約内容すべてに納得してから!
契約成立後に買い手側の都合で解約する場合、契約時に支払った手付金は手元に戻りません。また、契約から規定の期間が経過した後に解約する場合は違約金が発生します。
契約する前に疑問や不安点があれば解消し、契約内容に一切不満のない状態で契約に臨むことをオススメします。
(5)住宅ローンの本審査を受ける
売買契約が成立したら住宅ローンの申し込みを正式に行うこととなり、ここで2度めの審査、本審査を受けます。本審査は事前審査とは違い、「本当に融資していいか」を判断されます。
晴れて承認されれば、金融機関と正式にローン契約を結びます。
(6)建物の最終確認
建物の完成前に契約を行う新築物件の場合、物件の引き渡し前に、完成した建物の状態を確認する、内覧(竣工検査)が行われます。
建物の状態や仕上がりが契約と異なる部分はないかしっかり確認しましょう。問題があれば引き渡しの日までに解決してもらえるよう依頼します。
(7)残金決済(住宅ローンの融資実行)
物件購入価格から手付金を引いた金額すべてを支払います。住宅ローンを利用する場合、住宅ローンで借り入れたお金を契約した不動産会社に振り込みます。金融機関から直接振り込んでもらうこともできます。
(8)物件の引き渡し
残金決済が終われば、住まいの鍵を受け取り、物件の引き渡しを行います。
新築物件の場合、内覧で指摘した箇所が改善されているか確認しましょう。問題なければ、ここから念願のマイホームでの新生活が始まります。
マイホーム購入後によくある失敗と、その対策
多くの時間やお金を掛けて家を買ったにもかかわらず、「家なんて買わなきゃよかった……」と後悔してしまう方も少なからず存在します。
そこで、マイホーム購入後によくある失敗と、その対策についてご紹介します。ぜひ参考になさってください。
住宅ローンの返済が苦しくなった
想定外の収入減少や、別の出費が継続的に増えたことが原因で、住宅ローンの返済が苦しくなるケースがあります。
住宅ローンの返済期間は人によって様々ですが、最長で35年あると考えると、その期間中に予測していなかった事態が起こることは十分に考えられます。
住宅ローンを借りる際に、想定外のことも考慮するなど、できるだけ綿密な将来計画をしたうえで借入金額を設定するようにしましょう。
家を買うタイミングが早かった
夢のマイホームを手に入れたものの、子どもの進学先や急な転勤などが絡み、「まだ家を買うタイミングじゃなかった……」と後悔するケースがあります。
子どもの教育環境や仕事先など、住む場所に影響しそうなイベントが過ぎた後にマイホームの購入を考えるのが無難かもしれません。
周辺環境や立地が良くなかった
家を買う前に周辺環境や立地について十分調べていても、住んでみてから「意外とスーパーが遠かった」「夜になると周りが騒がしい」など利便性や住環境の悪さを感じるケースがあります。
インターネットに掲載している情報には、良い面しか書かれていないことも多いです。実際に現地へ足を運び、自分でその立地の特徴や周辺環境を把握することをオススメします。
間取りや部屋の広さに不満
購入前に生活イメージをしていたものの、実際に住んでみたら間取りや広さに不満が出るケースがあります。
「子どもができたら」「親と一緒に暮らすことになったら」など将来の家族構成を考慮しながら、動線や収納は十分に確保できているかなど考えてから決めるようにしましょう。
また、注文住宅やリフォームを行う場合は、将来の多様性に配慮してくれる会社に家づくりを依頼することをオススメします。
当サイト「コノイエ」では、つくり手の家づくりの想いやこだわりが詰まったインタビュー記事が多数ございます。ぜひ依頼先選びの際にご覧になってください。
老朽化が原因で多くの手間と費用が掛かった
中古物件を購入した場合、思っていたより劣化が激しく、大規模なリフォームが必要になり出費がかさむケースがあります。
建物の劣化状況は見た目だけでは判断できません。自分だけで判断せず、建築や不動産に知見のあるプロに診てもらうなど、正確な劣化状況を把握してから購入するか決めましょう。
参考 「家なんて買うんじゃなかった…」と後悔した理由11選と2つの対策安心の不動産売却・査定なら「すまいステップ」マイホーム購入の流れや失敗談についてのまとめ
マイホームの購入は「大きな金額を用意する」ことが前提です。住宅ローンの利用でそれは叶いますが、月々の出費に大きく影響するため、無理なく返済できる融資金額を設定することが大切です。
まずは、現在の年齢や世帯収入を始め、家族の人数やライフスタイル・将来の動向を考慮しながら、いくら借り入れできるか計算してみましょう。
また、家を買った後は気軽に引っ越すことはできません。家を買う決意が固まったら、資金計画や物件の下調べは入念に行い、物件購入の流れや注意点をしっかり確認することをオススメします。
「買ってよかった!」と言える素敵なマイホームを購入できますように。