本記事では、新築時に防犯カメラを導入するか迷っている方へ向けて、防犯カメラの必要性や費用相場、導入する際の注意点などを解説しています。
新築を建てる際、家族の安全のために防犯カメラを導入した方が良いとお考えになる方は多くいらっしゃいます。 「本当に我が家に防犯カメラが必要なのか?」を確認していきましょう。
新築に防犯カメラは必要?
防犯カメラとは、事件や事故が起きた時の映像を記録するために、特定の場所を撮影し続けるカメラのことです。 常に特定の場所を撮影し続けることで、犯罪を未然に防止するという効果もあります。
新築の場合でも、空き巣やいたずらを防止するために防犯カメラを設置するケースがあります。 ですが、多くの方は「普通の家に防犯カメラを付ける必要があるの?」と疑問を抱えていらっしゃいます。
まずは、一般家庭での防犯カメラの普及率を確認してみましょう。
防犯カメラの普及率と印象
以下の表は、ホームセキュリティ会社であるALSOKが実施した「防犯カメラに関する意識調査」の結果です。
この調査によると、一般家庭での防犯カメラの普及率は、意外にも低く22%です。
しかし、「費用や環境の制限が無ければ」自宅に防犯カメラを設置したいと思っている割合は58.2%。普及率と倍以上の乖離があります。 この事実から、「付けたほうが良いとは思っているけど費用の関係などで断念している」方が多いということが推測できます。
ちなみに、街中に防犯カメラを設置することに対しては、87.8%の人が「犯人逮捕や犯罪防止に有効」と答えており、65.7%の人が「防犯カメラがあると安心する」と回答しています。
一般家庭でも防犯カメラの設置が推奨されている
一般の方を対象としたアンケートでは、「普及率は低いものの、多くの人が防犯カメラの有効性や必要性を評価している」ことが分かりました。 他にも、神奈川県が実施した「県民ニーズ調査結果(令和2年)」では、「犯罪がなく安心してくらすために最も重要だと思うもの」という質問に対して36.8%が「防犯カメラなどの防犯設備の整備」と回答しています。
これを受けて各都道府県の警察も、一般家庭での防犯カメラ設置を推奨しています。 実際に犯人逮捕に繋がった事例もあるため、一部の市区町村では「家庭用防犯カメラ設置に対する補助金制度」を設けている場合があります。設置の前に、お住いの地域で補助金制度があるかを調べてみるのも良いでしょう。
どんな防犯カメラを選べば良い?
さて、実際に防犯カメラを設置する際にはどんなカメラを買えば良いのでしょうか。 続いては、防犯カメラの種類と最低限必要なスペックを解説していきます
防犯カメラの種類
防犯カメラには、大きく分けて3つの種類が存在します。 「屋外用防犯カメラ」「屋内用防犯カメラ」「ダミーカメラ」の3つです。
屋外用防犯カメラ
屋外を監視するために造られているカメラ。防滴性や防水性があるため、雨ざらしになっても大丈夫です。ボックス型と呼ばれる、いわゆる防犯カメラという形が主流。昔ながらの長四角タイプもありますが、近年では画像のような筒状の防犯カメラが多く使われています。基本的には有線タイプですが、その分鮮明に撮影できるというメリットがあります。
屋内用防犯カメラ
屋内を監視するために造られているカメラ。そのため、防滴性や防水性がありません。 基本的にはドーム型と呼ばれる半球状のカメラが多く、広範囲を撮影することができます。また、存在感が薄いため、周囲に気付かれにくいというメリットもあります。
新築の防犯カメラに適した性能
新築に防犯カメラを導入する際には、以下の4つを意識して選んでみてください。
- 200万画素以上で鮮明に録画ができる
- 防水防塵性能がIP66をクリアしている
- ボックスカメラは抑止力効果が高い
- 屋外カメラは有線で回線を安定させる
200万画素以上で鮮明に録画ができる
防犯カメラに求められる「証拠を残す能力」を果たすためには、最低でも200万画素が必要になります。 現代の防犯カメラの一般的な画素数は200万~400万画素だと言われていますので、よほどスペックの低いものを選ばなければ大丈夫です。ちなみに、高画質と言われる画素数は500万画素以上が基準になります。
参考 防犯カメラの画素数と画質について防犯カメラセンター防水防塵性能「IP66」をクリアしている
IEC(国際電気標準会議)およびJIS(日本工業規格)では、防水防塵性能の等級が定められています。 屋外に防犯カメラを設置する場合、雨風をしのぐために「IP66」をクリアしている必要があります。
IPの後に続く数字はそれぞれ「防塵性能」「防滴性能」を表しており、「IP66」というのは「防塵性能6+防滴性能6」という意味です。 ちなみに、防塵性能は0~6の7段階、防滴性能は0~8の9段階で表します。
防塵性能 | |
---|---|
等級 | 内容 |
0 | 保護されていない |
1 | 直径50mmの固形物が内部に入らない |
2 | 直径12.5mmの固形物が内部に入らない |
3 | 直径2.5mm以上のワイヤーや固形物が中に入らない |
4 | 直径1mm以上のワイヤーや固形物が中に入ら |
5 | 有害な影響が発生するほどの粉塵が中に入らない |
6 | 粉塵が中に入らない |
防滴性能 | |
---|---|
等級 | 内容 |
0 | 保護されていない |
1 | 鉛直から落ちてくる水滴による有害な影響がない |
2 | 鉛直から15度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がない |
3 | 鉛直から60度の範囲で落ちてくる水滴による有害な影響がない |
4 | あらゆる方向からの飛まつによる有害な影響がない |
5 | あらゆる方向からの噴流水による有害な影響がない |
6 | あらゆる方向からの強い噴流水による有害な影響がない |
7 | 一時的に一定水圧の条件に水没しても内部に浸水することがない |
8 | 継続的に水没しても内部に浸水することがない |
引用:電気機械器具の外郭による保護等級 | Wikipedia
参考 防塵防水規格のIP66とは?屋外に防犯カメラを設置する際の注意点キヤノンボックスカメラは抑止力効果が高い
屋外に設置する場合、空き巣などを事前に防ぐことが第一目的になるため、周囲に目立つボックスタイプの設置をオススメします(「パレット型」「ガンタイプ」とも呼ばれます)。 ドーム型は、どちらかというと「こっそり撮影する」という役割を持っているため、屋外よりも室内での設置に向いています。
空き巣を防止するためには、「この家はリスクが高い」と思わせることが大切。露骨にカメラを設置していることをアピールしていきましょう。
屋外カメラは有線で回線を安定させる
近年では無線タイプの防犯カメラも増えていますが、屋外は有線タイプをオススメします。 有線の場合は、カメラとレコーダーをケーブルで繋いで使用するため、回線が途切れる可能性が極めて低く、映像を安定して記録することができます。
無線の場合、WiFiを使って映像をクラウドに保存するため、回線が不安定になると映像が途切れたり画質が悪くなったりすることがあります。 いざという時に映像が残っていない、確認することができない、といった自体を避けるために、出来るだけ有線タイプを採用しましょう。
防犯カメラの費用相場はおおよそ100万円前後
新築に防犯カメラを設置するには、およそ100万円前後の費用が必要になります。 カメラ自体の価格は数万円程度なので、「そんなに高いの!?」と思われがちなのですが、本当に費用が掛かるのは「録画機」「モニター」「工事費」なのです。
カメラの種類 | カメラ | 録画機+モニター | 工事費 |
---|---|---|---|
屋内 | 2~5万円 | 30~50万円 | 10~50万円 |
屋外 | 3~10万円 | 30~50万円 | 50~70万円 |
機材の質やカメラの数によっても費用は変わりますが、トータルで考えた時の導入コストは100万円前後と言えます。 やはりこれだけの費用だと、防犯に効果的だと分かっていても躊躇される方も多くいらっしゃいます。
そこで最後に、防犯カメラの代替効果が期待できるアイテムをご紹介します。
防犯カメラの代わりになる?ダミーカメラ設置の注意点とは
防犯カメラの設置費用が高くて取り付けを断念しそうな方は、ダミーカメラの導入も検討されてはいかがでしょうか。 ダミーカメラとは、録画機能の無い見せかけのカメラのことです。
録画機能が無いため、事件が起きても犯人逮捕には繋がりませんが、犯罪の抑止力には貢献してくれます。 防犯カメラは導入できないけど防犯対策をしたいと考えている方にはオススメのアイテムです。
とはいえ、ダミーカメラなら何でも良いわけではなく、設置の際にはいくつかの注意点があります。
3,000円以下のものは購入しない
ダミーカメラは1,000円台からお手軽に購入できるのが魅力ですが、あまりに安価なものは素人目にも見破れる見た目なのがネック。空き巣などは一般人よりも防犯カメラに詳しいため、なおさら簡単に見破られてしまいます。そのため、安価なものを設置しても、犯罪防止にほとんど効力を発揮しません。
基本的には、1,000円~3,000円のダミーカメラは避けるのが無難です。
安物のダミーカメラは基本的にプラスチック製なため、光沢や質感がどうしても本物のカメラとは異なり、おもちゃのような印象を与えます。 また、屋外用の防犯カメラであれば必ず配線が繋がっています。安物のダミーカメラには配線が付属していないことが多く、それでは一瞬で見破られてしまいます。
屋外用のダミーカメラを選ぶ際には「配線が付属していること」「アルミ製であること」を重視してみましょう。
取り付ける位置やカメラの種類に注意する
ダミーカメラを設置する場合は、取り付ける場所やカメラの種類にも注意が必要です。 やりがちなのが、屋外に屋内用カメラを設置してしまうケース。雨風に当たるような場所にドーム型のカメラがあったら一発で偽物だとバレてしまいます。
また、基本的にダミーカメラは高い位置に取り付けましょう。 背丈が低ければ低いほど、カメラを間近で確認することができるため、偽物だと見抜かれる可能性が高くなります。
また、LEDが常に点灯しているタイプは購入を避けましょう。 本物の防犯カメラは、夜間のみ赤いLEDライトが光ります。そのため、昼間でもLEDが光っている場合は偽物とバレる可能性が高いのです。
綺麗すぎても汚すぎてもダメ
ダミーカメラは、綺麗すぎても汚すぎても偽物だとバレてしまいます。 まず、綺麗すぎる場合。プラスチック製のダミーカメラは表面がつるつるとしており、アルミ製よりもホコリが付かないため、異様にキレイな防犯カメラはプラスチック製だとバレてしまうのです。
反対に汚すぎる場合。本体が汚れている場合は問題ありませんが、レンズが汚れている場合は要注意です。本当に録画をしているなら、画面の汚れを放置するはずがないからです。 このように、ダミーカメラは綺麗すぎても汚れすぎていてもバレる原因になってしまいます。
- 本体がプラスチック製
- 配線が繋がっていない
- 屋外に屋内カメラがある
- LEDランプが常に点灯している
- カメラの位置が低すぎる
- 綺麗すぎるor汚すぎる
新築の防犯カメラについてのまとめ
一般家庭だとしても、防犯カメラを設置するに越したことはありません。 しかし、実際に取り付けるかどうかは、取付費用と地域の治安を踏まえて考えてみましょう。
また、防犯対策は防犯カメラを取り付ける以外にも存在します。ダミーカメラのみならず、ALSOKのようなホームセキュリティに加入する手段もあるため、どんな防犯手段を採用するかを家族で話し合ってみてください。
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