神様を祀り、家族の健康や商売繁盛などを願う場所として、古くから信仰されている神棚。 現代でも「新築時には神棚を取り付けるもの」という風潮が根強いですが、果たして本当に必要なのでしょうか?
本記事では、そんな疑問にお答えすべく、神棚を取り付ける意味と必要性を解説していきます。 また、実際に設置する際の取り付け方や、神棚の正しい選び方もご紹介していますので、神棚に関心がある方はご覧ください。
新築に神棚は必要?不必要?
新築を建てる際に、多くの方が「本当に設置しなくちゃいけないの?」とお考えになります。 特に信仰している神道がない場合には、その必要性に懐疑的な印象を抱くかもしれません。
まずは、神棚を祀る意味とその必要性を確認していきましょう。
神棚は家族の健康や繁栄を願うもの
神棚とは、「家族の健康や繁栄を願い、神様に祈りを捧げる場所」です。 多くはその土地の神様や、自身が信仰している神道を祀ります。
新しく家を建てるというイベントはおめでたいものですので、人生の節目として神棚を購入される方は少なくありません。 特に、自分で商売をされている場合は、繁盛を願って神棚にお祈りされる方が多いです。
そのため、「普段から信仰している神様がいる」「家族がいつまでも元気で過ごしてほしい」「商売繁盛を祈願したい」といった方は、新築時に神棚の設置をオススメします。
ちなみに、神棚を設置するタイミングは家祓いの日が最適とされています。 家の邪気を払うと同時に神様を祀ることで、理にかなった取り付けができます。
参考 家祓い – 福岡神社仕事運-現人神社福岡神社仕事運-現人神社神棚は必ずしも設置するものではない
とはいえ、神棚は必ずしも設置するものではありません。 むしろ、お祈りをする習慣がなかったり、手入れを欠かしたりするのであれば、取り付けないほうが無難だと言えます。
無理をして設置するのではなく、ご家族の趣向やライフスタイルに合わせて、神棚を設置するかを決めましょう。 ただ、そうはいっても神棚な神聖な場所ですので、次のようなことを心配される方もいらっしゃいます。
神棚がないと罰が当たる?
「神棚がないと罰が当たるのでは?」と心配される方もいますが、その心配は無用です。 むしろ、神棚を設置するだけで手入れがずさんになってしまう方が、神道の世界では良しとされません。
もしも、家庭や住まいの縁起を気にされるのであれば、神棚だけにこだわらず、風水を取り入れてみましょう。
間取りやインテリア、カラーデザインなどからお手軽に取り入れられるので、新築に関する風水もチェックしてみてください。
新築の間取りで最低限意識する風水は6つ!! 良くない間取りの対処法も解説お神札を置いておく場所がない
神社などでお神札を入手した時に神棚が無いと、どこへ置いたら良いか迷ってしまう方も多いそうです。 もちろん、置き場は神棚がベストではありますが、「目線よりも背が高く清潔な場所」であればどこに置いても大丈夫です。
例えば棚などの家具の上に置いても良いですし、柱や壁に貼り付けても構いません。 家具の上に置く際は、ホコリが溜まらないように掃除を欠かさず、下に白い布を敷いておきましょう。
参考 神棚がないときにお神札をお祀りする方法 | でぐっちcomでぐっちcom神棚の正しい選び方
神棚は、信仰する神様やライフスタイルに合わせて、いくつかの選び方が存在します。 取り付けを決めた場合は、家族に合わせた神棚を選んでみましょう。
基本的な2つの形から決める
神棚の基本的な形は、大きく分けて「一社宮」と「三社宮」の2つです。
一社宮(いっしゃみや)
引用:板屋根神棚|厚屋根一社宮(小)金具付 | 神棚の西口神具店
一社宮は、扉が一枚の神棚です。基本的にはお神札を1枚置いてお祀りをします。 複数のお神札をお祀りする際には、1番手前に天照大神、2番目に氏神様、3番目に自分が信仰している神様のお神札を重ねてお祀りします。
三社宮(さんしゃみや)
三社宮は、扉が三枚の神棚です。中央に天照大神、右側に氏神様、左側に自分が信仰する神様のお神札を置いてお祀りします。
また、五枚扉になっている「五社宮(ごしゃみや)」、七枚扉になっている「七社宮(ななしゃみや)」も存在しますが、こちらは規模が大きく、豪華な造りになっているため、一般家庭ではあまり見かけません。
祀る神様によって神棚のデザインを決める
また、祀る神様によって神棚のデザインが異なるため、適切なデザインの神棚を選んでみましょう。
家庭で祀られる神様
一般的に家庭や事務所などで祀られる神様の場合は、「茅葺(かやぶき)」「板葺(いたぶき)」「檜皮葺(ひかわぶき)」「箱組(はこぐみ)」などの神棚を採用します。 個人的に特定の神様を信仰する際は、以下のタイプから選ぶのが一般的です。
荒神様(こうじんさま)
荒神様は火の神様と言われており、住宅においては特に台所と関係があります。 食事や生活を豊かにしたい方は、荒神様を祀ることが多いです。その際には、「御神札掛」「板葺荒神様」などの神棚を採用します。
二福神様(にふくじんさま)
七福神のうち、えびす様とだいこく様を二福神と言います。 えびす様は漁業の神様として知られる、福の神の代表的な存在。知恵を働かせて努力することで、「大漁守護」「除災招福」「五穀豊穣」などのご利益があると言われています。
だいこく様は、手に持っている打ち出の小槌から分かるように、金運の神様として知られ、「商売繁盛」「出世開運」などのご利益があると言われています。
そんな二福神様をお祀りする際には「二福神社」の神棚を採用するのが一般的です。
巳様(みぃさま)
巳(蛇)は脱皮を繰り返して成長するため、「長寿」「金運」「生命力の強さ」の象徴として、各地でその土地を守る神様として祀られています。
蛇に限らず全国各地に点在している地域の守護神は「板葺神棚」で祀るのが一般的です。氏神様を祀る際は、このタイプの神棚を選びます。
稲荷様(いなりさま)
稲荷様はもともと豊穣の神で、現在は商売の神様として祀られています。稲荷様を祀る際には、「稲荷社」「板葺流造り」「檜皮葺流造り」などの神棚を採用します。 稲荷社に使われる朱色には、魔除けの効果もあるとされています。
材質は主に4つの中から選ぶ
神棚に使われる材質は、主に4つです。 高級素材になればなるほど価格も上がりますので、予算とのバランスを考えて選定しましょう。
木曽桧(きそひのき)
木曽桧は、神殿や神祭具に用いられる最高級素材で、木曽の山に生えている天然木を使用しています。 香り高さと柾目の細かさが特徴で、年月を重ねるにつれて落ち着きのある薄茶色になります。 伊勢神宮では必ず木曽桧を使用するため、宮内庁が管理している希少な木材です。
米桧(べいひ)
木曽桧に次ぐ高級素材で、年々希少性が上がっています。木曽桧よりも香りが強く、柾目も少し粗いのが特徴です。
米ヒバ
木曽桧、米桧に次ぐ素材。前述の2つは年々希少性が増しているため、米ヒバが多く使用されています。 予算と材質の兼ね合いを考え、米ヒバを採用される方が多いです。
地桧(じび)
何処の土地にもある、一般的な木材です。 桧製の神棚は欲しいけど、費用を抑えたい方へ向けてオススメな素材です。
神棚を取り付ける際の4つの心得
実際に神棚を取り付ける際には、いくつかの心得があります。 ただ単に取り付けただけでは、神棚の意味がありませんので、しっかり確認していきましょう。
1 神棚は静かで清潔な場所に取り付ける
神棚は、家の中でも静かで清潔な場所に置くのが良いとされています。具体的には客間や空き部屋、リビングなどがオススメです。反対に、以下のような場所に取り付けるのはNGとされています。
- 水回り、または神棚が汚れてしまう場所(トイレ、台所、浴室など)
- 人が神棚を見下ろせる場所(階段の下、2階建ての1階など)
- 人が頻繁に横切る場所(玄関、廊下、部屋の入口など)
- 閉鎖的な場所(物置、押入れ、クローゼットなど)
- 片付きづらい場所(子供部屋など)
また、どの部屋に取り付けるにしても、人の目線よりも高い場所に取り付けましょう。
2 神棚の方角は南か東になるように
神棚は、基本的に南か東に設置するのが良いとされています。これは、南と東が日の当たる明るい場所であるためです。 日の光は古くより「陽の気」と呼ばれ、万物を成長させるパワーがあると言われています。
とはいえ、北や西の縁起が悪いわけではありません。 家の造り的に南や東が難しい場合は、前述の「静かで綺麗な場所」を優先して取り付けましょう。
3 神棚は正しい手順でこまめな手入れを
神棚は清潔な場所である必要があるため、定期的に溜まった埃などを掃除しましょう。 念入りに行わずとも、毎月2回ほどは埃を払い、神棚を清潔に保つことが大切です。
本格的な大掃除は、やはり12月に行いましょう。ただし、29~31日は新年を前にした慌ただしい日ですので、神棚の掃除には向いていません。神棚の大掃除はなるべく12月の上旬から中旬に終わらせておくのがベストです。
また、神棚の大掃除には手順がありますので、併せてご確認ください。
- 手や口を水で清める
- 神棚に感謝の気持ちをこめて一礼する
- 神棚と榊等をすべて下ろして、机に布を敷く
- 棚板にがたつきがないか確認して、板を掃除する
- 神様に息がかからないように、口に和紙をくわえて神棚からお札を取り出す
- 取り出したお札を白い布の上に置く
- ブラシや乾いた綺麗な布で神棚を掃除する
- 和紙を口にくわえながら、先ほどのお札を神棚に戻す
- 中のお札がずれないように神棚を戻す
- お米、清酒、水、塩などの新しいお供え物をお供えする
- 新しいしめ縄、紙垂(しで)、雲などで装飾をする
- 神棚に一礼し、掃除を終える
4 処分する時が来たら御札を返納
神棚を処分する際には、神棚本体を粗大ゴミ、お札は神社に返納するのが一般的です。 魂が籠もっているのはお札のみと言われているため、神棚本体は普通に処分しても構いません。
また、神社では神棚の祈祷やお焚きあげも行っていますので、粗大ゴミとして処分することに抵抗がある方は、神社に持ち込んでみてください。
参考 古い神棚の処分について 村屋坐彌冨都比賣神社新築の神棚についてのまとめ
神棚は必ずしも設置するものではありませんが、家族が幸せに暮らせることを祈る神聖な場所であることは、間違いありません。 ですので、神棚を取り付ける際には、正しい選び方と手順を守ることが大切です。
自分がどんな神様を信仰し、家族がどうなっていきたいのかを考えながら、神棚を選んでみましょう。