「子どもが犬を飼いたがっていたから」「犬を飼うのが長年の夢だったから」
犬を飼いたいと思うきっかけは人それぞれです。もしかすると、犬を飼うために新築する方もいらっしゃるかもしれません。
でも、初めて犬を飼う場合、どんなところに気を付けて新築すればよいか分からないでしょう。できれば、新築後になって「ああすれば良かった」と後悔するのは避けたいものです。
そこで、この記事では犬を飼いやすい新築をつくるために知っておきたいポイントについてお話しいたします。
愛犬の気持ちになって快適な新築を考えよう
犬は嬉しい、甘えたい、寂しい、怖いといった感情を体全体で表してくれる動物です。だからこそ、できるだけワンちゃんに寄り添った新築を建てて、喜んでもらいたいと思いませんか?
そこで、犬になったつもりで新築での暮らしを思い描いてみましょう。自分が「こうなっていたら嬉しいな」と思ったら、それが答えかもしれません。
安心できるテリトリーが欲しい
愛犬が甘えてくる姿を想像すると、いつでも一緒にいてあげたいと思いますよね。犬は飼い主さんのそばにいたがるので、基本的には犬と人が一緒にいられる空間を造ることが大切です。
ただ、犬は縄張り意識の強い動物でもあります。どんなに飼い主さんのことが大好きであっても、自分だけのプライベート空間を持てなければストレスを感じてしまいます。
犬にもプライバシーがある
寝ているときや食べているときに、誰かから見られていたらイヤになりませんか?実は、それは犬にとっても同じことです。
なので、ワンちゃんのプライバシーを守ってあげましょう。L型やコ型の壁で居場所を囲むなどして、人の死角に居場所を造ると安心して寝てくれます。
また、エサ場は人の通る場所を避けて造ってください。ワンちゃんは食事中や食後に興奮する習性があるため、近づいてきたお子さんに噛みついてしまう恐れがあります。
エサ場はなるべく壁際に配置して、ワンちゃんが落ち着いて食事をとれるように配慮しましょう。
2階建てのお家なら、階段下にちょっとしたスペースができます。一般的には収納場所として使うことが多いのですが、大きさがぴったりなので、ワンちゃんの居場所とするのもお勧めです。
外の音に警戒してしまう
家の中にいると、外から聞こえる車の音や人の話し声などは大変気になります。正体の分からない音が近づいてくるのは、ちょっと怖いものです。
ワンちゃんの場合は、自分のテリトリーを守るために懸命に吠えます。結果的に「自分が吠えると敵を撃退できる」と学習し、吠えグセが悪化するケースが多いので、飼い主さんは困ってしまうでしょう。
ですから、新築する際は防音性を高めておくことが大切です。外の音が聞こえにくければ、ワンちゃんが吠える場面も少なくなります。
新築の防音性を高める方法としては、窓を二重にしておくことが挙げられます。壁に入れる断熱材なども防音の役に立つので、建築会社さんと相談する際に確認しておくとよいでしょう。
また、新築後に防音性の高いカーテンを付けておくと、防音性能を一層高められます。
なお、防音性を高めておくと、ワンちゃんの鳴き声が外に漏れにくくなるメリットも生じます。ご近所に対する配慮にもつながるため、防音対策は欠かせません。
思いきり走り回りたい
犬は運動が大好きです。散歩に連れて行ってもらうと、とても喜びます。ですが、忙しくて散歩に連れていく暇がない場合もあるでしょう。
そんなとき、庭にドッグランがあれば、ワンちゃんが気軽に走り回ることができます。
ちなみに、ドッグランを造るために必要となる広さは、ワンちゃんのサイズによって異なります。目安は、だいたい以下の通りです。
- 小型犬:100平米(約30坪)
- 大型犬:500平米(約151坪)
参考 自宅の庭はドッグランにできる! 使用する床材のポイントと費用も解説リフォマ
ドッグランの地面には、天然芝や人工芝などを敷き詰めます。芝以外の素材もありますが、どの素材を選んだとしても定期的なメンテナンスは必要となるので注意してください。
なお、犬は穴掘りを好む習性があるので、あらかじめ敷地内に穴掘りできるスペースを造ってあげるのも一つの手です。これには、フェンスのそばで穴を掘って、敷地の外へ出てしまうのを防ぐ目的もあります。
自分の体に合った室内環境で暮らしたい
人間にとって暮らしやすい環境が、犬にとって快適とは限りません。人と比べて体の大きさが小さいため、注意しないとワンちゃんの体に大きな負担がかかってしまう場合があります。
室温調節をエアコンに頼りきらない
昔は、犬を飼っていると、常にエアコンのスイッチを入れておく必要がありました。ワンちゃんは夏の暑さと冬の寒さが苦手だからです。
最近の新築は高気密高断熱が進んでいるため、外気の影響を受ける心配は減ってきています。ただし、気密性が高まった分、換気も必要になったので、外気の影響を排除できたわけではありません。
そこで、ワンちゃん自身の判断で体温調節ができる工夫をしておきましょう。夏はひんやりする土間で涼むことができて、冬は陽の差し込むサンルームなどで日光浴ができるようにしておくのがお勧めです。
足腰に負担をかけない床や階段にする
ツルツルしている歩きにくい場所を通ると、足腰などの関節が痛くなりませんか?それは、ワンちゃんも同じです。床が滑りやすい素材でできていると、足腰を痛めたり骨折したりする可能性があります。
そこで、新築したら、すぐに床をコーティングしておくのがお勧めです。シリコンコーティングであれば、30平米あたり10~25万円で施工できて、約10年以上もつとされています。
参考 フローリングコーティングの必要性は高い?犬がいる家庭はマスト?株式会社調和プロダクトサービス
さらに、ワンちゃんが歩き回る場所には、なるべくコルクマットを敷いておくとよいでしょう。コルクマットは柔らかくて厚みがあるので、ワンちゃんの足に負荷をかけずにすみます。
また、ワンちゃんが通る階段の傾斜は、なるべく緩くしてください。一般的な高さの階段にすると、ワンちゃんの体に大きな負担がかかってしまうからです。
愛犬を危険にさらさないためには
愛犬が元気いっぱいに走り回っていると、見ているこちらも楽しくなりますよね。
でも、ワンちゃんは好奇心から思わぬ行動をとってしまうものです。なので、ワンちゃんが安全に過ごせる新築にするためのポイントを、ぜひ知っておきましょう。
外に飛び出せないようにゲートを設けておく
ワンちゃんは外の世界に興味津々です。そのため、ドアが開いていると外へ出て行ってしまう可能性があります。また、おとなしいワンちゃんであっても、雷の音に驚いてドアのすき間から逃げてしまうことがあるかもしれません。
ワンちゃんが外に飛び出すと、事故にあったり通行人にケガを負わせてしまったりする可能性があるので大変危険です。そこで、門扉は二重にしておきます。
玄関にはペットフェンスを取り付けておいてください。玄関が開いた瞬間に、ワンちゃんが外へ飛び出してしまう危険を防げるからです。なお、ペットフェンスを新築に取り付けなかった場合は、代わりに置き型タイプを設置しておきましょう。
両手を使おうとリードから手を離した瞬間に、ワンちゃんがどこかへ行ってしまう場合は少なくありません。そこで、玄関付近などには必ずリードフックを取り付けておきましょう。なお、リードフックを家中に設置しておくと、あらゆる場面で両手を空けられるようになり、大変便利です。
屋内の危険な場所には対策を講じておく
屋内にも、ワンちゃんにとって危険な場所が少なくありません。危険な場所には、必ず対策を講じておきましょう。
たとえば、階段付近の手すりやベランダにすき間があると、ワンちゃんが転落してしまうかもしれません。そこで、ペットフェンスで近づけないようにしたうえで、二重の安全策としてネットや柵などですき間をなくしておくのがお勧めです。
また、キッチンはコンロや包丁といった危険でいっぱいです。玉ねぎやチョコレートなど、ワンちゃんにとって有害な食べ物が保管してある場合も少なくありません。ですから、キッチンの出入り口には必ずドッグゲートを設けて、ワンちゃんが中に入れないようにしておきましょう。
ワンちゃんにとって最も危険な場所は、お風呂です。湯舟の中に落ちてしまった場合、命にかかわりかねません。
そこで、お風呂の扉は引き戸タイプなどにしておくと安心です。もしワンちゃんが体重をかけたとしても、扉が開く心配が少ないからです。
なお、開きにくい扉を設けていたとしても、うっかり開けっ放しにしてしまうケースは考えられます。なので、浴槽のふたは常に閉めておくようにしましょう。
噛むと危険なものを置かないようにする
いろいろなものを噛んでしまうのは、ワンちゃんの習性です。なので、触れてほしくないものは、あらかじめ遠ざけておくようにしておきましょう。
たとえば、コンセントは高めに付けるのがお勧めです。ワンちゃんの顔の届く高さにコードがあると、噛んで感電してしまう恐れがあるためです。併せて、使っていない穴にはコンセントカバーをはめておくとよいでしょう。
また、庭に植える植物や観葉植物にも注意が必要です。チューリップやアロエなど、犬にとって有害な植物は少なくないからです。
新築してワンちゃんを飼うなら、犬にとって危険な食べ物や植物について熟知しておいた方がよいでしょう。
愛犬と一緒に気持ちよく過ごすための工夫
ワンちゃんを飼うにあたって避けられないのが、新築が傷ついたり汚れたりする問題です。いくら愛犬が可愛いといっても、せっかく建てた新築がすぐにボロボロになってしまったらイヤですよね。
ですが、新築するときに対策を講じておけば、問題を減らすことは十分に可能です。ご家族が愛犬と一緒に気持ち良く暮らせるように、新築時にできる工夫を知っておきましょう。
壁と床の耐久性を高めておく
犬は賢い動物なので、きちんとしつければ噛みグセなどを減らせます。そうはいっても噛むのは犬の習性なので、完全になくすことはできません。
なので、ワンちゃんが噛んだり引っかいたりしても大丈夫なように、壁や床の耐久性を高めておくのがお勧めです。壁には引っかき傷の付きにくい、耐久性の高いクロスを用いましょう。
ちなみに、クロスは上下を別々に分けておくとよいかもしれません。汚れが目立ってきた場合に、下の部分を張り替えるだけですむようになるからです。
また、床はコーティングして傷に強くしておくとよいでしょう。すでにご紹介したように、ワンちゃんの足が滑らないようになる効果もあるのでお勧めです。
なお、床材は愛犬の毛の色に合わせたカラーを選び、抜けた毛を目立たなくするのが基本的です。ただし、目立つカラーの床材を選んだとしても、毛がはっきりと見えて掃除しやすくなるメリットはあります。
なので、毎日欠かさず掃除ができるご家庭の場合は、あえて目立つカラーを選ぶのもよいかもしれません。
消臭機器を付けておく
犬に限らず、動物を飼っているとどうしても気になるのがニオイです。消臭機能のあるクロスを選べば軽減できますが、すでにお話しした通り、クロスには耐久性も必要となります。消臭機能と耐久性の両方に優れたクロスを探すとなると、どうしても選択肢が限られてしまいます。
そこで、消臭機器を利用するのがお勧めです。天井に取り付けられるタイプがあるので、新築する際に導入を考えてみてください。
なお、消臭機器はトイレスペースの天井に設けると最も高い効果を発揮します。なので、少なくてもトイレスペースには取り付けておいた方がよいでしょう。
犬専用の洗い場を造っておく
玄関からお風呂場まで距離があると、散歩から帰ってきたときにワンちゃんの足で床が汚れてしまいます。ですから、ワンちゃん専用の洗い場を造っておくとよいでしょう。
洗い場は、全身をシャンプーする際にも非常に役立ってくれます。
洗い場は、玄関の真横に造るのがお勧めです。足をキレイにしたあと、そのままお家の中に入れるからです。
なお、上の写真のように洗い場に枠があると、夏に水浴びをすることができます。ワンちゃんは暑いのが苦手なので、水浴びに喜んでくれるでしょう。
新築で犬を飼う時のポイントについてのまとめ
この記事では、犬を飼いやすい新築をつくるために気を付けたいポイントについて、お話しいたしました。新築してワンちゃんを飼い始めようとお考えの方は、以下の3点について意識しておきましょう。
- 犬の視点で快適に暮らせる家を考える
- 犬を危険にさらさない対策を事前に講じておく
- 犬を飼ってもボロボロにならない工夫を施しておく
なお、本サイトにはペットを飼う際の床や壁の傷対策・ニオイ対策・防音対策について、詳しく解説している記事があります。気持ち良くワンちゃんと過ごせる新築を造るのに役立つので、どうぞ参考にしてみてください。