新築するならZEH(ゼッチ)にすべき?|メリットや注意点を知ろう

ZEHって、知ってる?

ZEH(ゼッチ)とは、電気を消費量を抑えながらも快適に過ごせる、性能の高い住宅のことです。
国が補助金を出しているだけあって、新築を検討していると耳にする機会は多いかもしれません。

しかし、単に「新築をZEHにした方がいいですよ」とだけ言われても、必要性は伝わらないでしょう。
なぜお勧めなのか、注意点はないのか、情報を得てからZEHの導入を決めたいところです。

そこで、この記事では新築をZEHにするメリットや注意点などについて、2021年度(令和3年度)の制度をもとにお話しいたします。

ZEHはエネルギー効率に優れた住宅

日本の電力は、化石燃料に依存しています。
地球温暖化が進み、二酸化炭素の排出量を減らすことが課題となっています。

そのようななか、誕生したのがZEHです。
国は、電力会社から送られてくる電気に頼りきらない住宅を増やして、日本全体の電力消費量を減らそうと考えたわけです。

しかし、制度が少々複雑なので、ユーザーはとっつきにくく感じるかもしれません。
そこで、まずはZEHの仕組みや導入するメリットについて、簡単に確認してみましょう。

実質的なエネルギー消費量ゼロを目指す

ZEHの正式名称は「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」です。年間エネルギー消費量が実質的にゼロ以下になる住宅を指します。
ZEHにおいて「エネルギー消費量」とカウントされるのは、主に空調・換気・給湯・照明の4つです。その他の家電で消費する電力はカウントされません。

ただ、エネルギー消費量をゼロにするといっても、空調・換気・給湯・照明を使わなければ普通の生活は送れません。

そこで、太陽光発電等でエネルギーを創り出す「創エネ」を組み合わせることにより、エネルギー消費量を相殺すればよいと国は考えました。
エネルギー消費量が実質的にゼロとなれば問題ない、というわけです。ZEHの正式名称に含まれる「ネット(net、正味)」は、この「実質的」を表しています。

ちなみに、ZEHは次の3点を備えています。

  1. 断熱……外壁や屋根等の断熱性能向上
  2. 省エネ……高効率な設備導入による省エネ実現
  3. 創エネ……再生可能エネルギーの導入

ZEHは、上記3点の特徴を組み合わせてエネルギー消費量ゼロを目指します。
「1.断熱」と「2.省エネ」で年間エネルギー消費量を削減し、「3.創エネ」で年間エネルギー消費量を差し引きゼロ以下にするというものです。

具体的には、以下をはじめとする数値目標が設けられています。

○基準1
「1.断熱」と「2.省エネ」で、エネルギー消費量を20%以上カットできる
○基準2
「1.断熱」と「2.省エネ」でカットしきれなかったエネルギー消費量を、「3.創エネ」で100%以上カバーできる
参考 ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について経済産業省 資源エネルギー庁

なお、太陽光の少ない北国や、必然的に屋根の面積が狭くなる都市部の狭小地などは、「基準2」の創エネが不足する可能性が高いと考えられます。
そのため、国はZEHにいくつか種類を設け、地域や立地によってはZEHの条件を緩めています。

対象地域・立地 基準1の数値目標 基準2の数値目標
ZEH 指定なし 20%以上 100%以上
Nearly ZEH 寒冷、低日射、多雪地域 20%以上 75%以上100%未満
ZEH Oriented 都市部狭小地、多雪地域等 20%以上 なし
参考 ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)経済産業省 資源エネルギー庁

ちなみに、後に触れる補助金の交付について、Nearly ZEHやZEH OrientedがZEHよりも不利になることはありません。安心してください。

ZEHより基準の厳しい制度がある
国はさらに高性能な省エネ住宅を推進するため、ZEH+(ゼッチプラス)という制度を設けています。
「1.断熱」と「2.省エネ」によるエネルギー消費量のカットを25%以上達成できるなど、ZEHよりもさらに省エネ性能に優れた住宅が対象となります。
そのZEH+をさらに一歩進めたのが、次世代ZEH+(じせだいゼッチプラス)です。
次世代ZEH+では、ZEH+の基準を満たしたうえで、蓄電システムや太陽熱利用温水システムなどを導入することが条件となっています。
ZEH+や次世代ZEH+の対象となった場合、補助金が増額されます。

ZEHの主なメリットは快適性と災害対応力の2つ

ZEHにすると、ユーザーにとってどのようなメリットがあるのでしょうか?
メリットは大きく分けて2つあります。

1つめのメリットは、外気温の影響を抑え、年間を通して快適に暮らせる点です。
高断熱により夏の暑さと冬の寒さから屋内の空気を守るので、室温を一定に保つことができます。

特に、冬の風呂場でヒートショックを起こしにくくなるのは嬉しいポイントです。
ヒートショックとは、急激な温度差により血管が収縮し、失神や心筋梗塞など引き起こすことを指します。
ヒートショックの心配がなくなれば、ご両親と一緒に住む場合や、ご自身が高齢になったときも安心して暮らせます。

2つめのメリットは、災害時でも電気を使える点です。
地震や台風などの災害により、地域で大規模な停電が起こったというニュースを近年よく見かけます。
自家発電ができるZEHは、そういった非常時に力を発揮します。

このように、快適性と災害対応力に優れる点がZEHのメリットです。

なお、ZEHを導入する主なデメリットは、住宅のデザインが制約される点です。
太陽光パネルを設置するために屋根の向きや傾きが、断熱性を高めるために窓の大きさ等が制限されます。注意してください。

新築をZEHにする際は導入・維持コストに注意

ところで、国は新築をZEHにする3つめのメリットとして、経済性を挙げています。
断熱性と省エネにより月々の光熱費を安く抑えられ、創エネで売電すれば収入まで得られるというのです。

しかし、経済性については過度に期待しない方がよいかもしれません。
なぜなら、ZEHの導入と維持には、それなりのコストがかかるからです。

そこで、国は補助金を出してZEHの導入を後押ししています。

長期的に見ると導入コストは相殺できる

ZEHを導入する場合は、建築費用が目安で200万~300万円ほどアップします。
太陽光発電システムや、ZEHの基準に適合した設備などを導入する必要があるからです。

さらに、太陽光発電システムについては、機械的な故障がないか点検したり、発電効率を保つためにパネルを掃除したりしなければならないため、数年に一度は定期的なメンテナンスを行う必要があります。

このように、ZEHの導入と維持にはコストがかかるので要注意です。

ただし、国の言うように、断熱と省エネにより月々の出費が抑えられたりするのも事実です。
そのため、太陽光発電システムの不具合が少なければ、トータルの収支がプラスに転じる場合もあるでしょう。

したがって、お金の損得だけを考えてもZEHの導入は決められません。
快適性や災害対応力といったメリット、住宅のデザインが制約されるデメリットを含めて総合的に判断するべきといえます。

ただし、国際的なエネルギー事情により、国はZEHの義務化に向けて動いています。
したがって、長い目で見た場合は、新築した住宅の資産価値を下げないためにもZEHを導入しておいた方がよいでしょう。

導入コストの高さを緩和する補助金

導入コストの高さは、ユーザーがZEHの導入を諦める原因となっています。
そのため、国はZEHの導入に補助金を出し、ユーザーの負担が軽くなるように配慮しています。

2021年(令和3年度)におけるZEHの補助額は以下のようになっています。

公募方法 補助額 備考
ZEH 先着方式 60万円/戸 条件によって補助額を加算
ZEH+ 先着方式 105万円/戸
次世代ZEH+ 先着方式 105万円/戸 条件によって補助額を加算

※寒冷、低日射、多雪地域のNearly ZEH(Nearly ZEH+)、都市部狭小地、多雪地域等のZEH Orientedを含む
参考 【環境省戸建ZEH】令和3年度 環境省によるZEH補助金一般社団法人 環境共創イニシアチブ

さらに、先進的再エネ熱等導入支援事業として、地中熱ヒートポンプ・システムや液体集熱式太陽熱利用システムなど、国が指定する建材や設備のいずれかを導入した場合、最大で90万円の補助金を追加で交付しています。

なので、補助金の交付が受けられれば、資金面でZEHの導入を断念せざるをえないケースは少なくなるでしょう。

補助金の交付は新築完成後
補助金が交付されるのは、新築が完成してから目安で3ヶ月ほど経ったあとです。
つまり、工事代金は補助金の交付前に支払う必要があるので注意してください。
また、ローンの審査において補助金は考慮されません。ZEHの分だけローンの総額を増やしたい場合、審査に影響しないか慎重に検討しましょう。

実績豊富なZEHビルダー/プランナーに依頼しよう

新築をZEHにしたいと思ったら、ZEHに対応している建築会社を探す必要があります。
どこの建築会社でもZEHが建てられるわけではないからです。

ZEHを建てられる工務店・ハウスメーカー・建築設計事務所などはZEHビルダー/プランナーと呼ばれています。

ただし、ひとくくりにZEHビルダー/プランナーといっても、ZEHを建てた実績には差があります。
ZEHの建築には高い技術が求められるため、ZEHの実績豊富な会社さんを選んだ方が安心です。

そこで、国はZEHの実績が分かるようにZEHビルダー/プランナー評価を設け、一般に公開しています。

以下のサイトから、ZEHビルダー/プランナーの実績をまとめたExcelファイルをダウンロードできるようになっています。

一般社団法人環境共創イニシアチブ

引用:一般社団法人 環境共創イニシアチブ|ZEHビルダー/プランナー(フェーズ2)一覧検索

ちなみに、上記Excelファイルを開いて特定の建築会社を探す場合は、Excel上で「Ctrl」キーを押しながら「F」キーを押してください。
すると、以下のボックスが出てきます。

検索ボックスのサンプル

「Ctrl」+「F」で表示される検索ボックス。

「検索する文字列」の欄にご希望の会社名を入れ、「次を検索」ボタンを押します。
建築会社さんがZEHビルダー/プランナーであれば、検索でヒットするはずです。

また、Excelファイルで重要な項目は、最新年度の「ZEH普及実績」「ZEHビルダー/プランナー評価」の2点です。

たとえば、千葉県の株式会社エリアワンさんの項目を見ると、「ZEH普及実績[2019年度]」が100件となっています。
この実績をもとに「ZEHビルダー/プランナー評価」が実施された結果、5段階中2番目に高い「★★★★」を獲得しています。

「★★★★」なら実績十分なので、安心して依頼できると判断できるわけです。

株式会社エリアワン(デザインハウス千葉)

このように、ZEHを導入したい場合は、ZEHビルダー/プランナーのなかでも実績の高い会社を選ぶのがお勧めです。
検討している建築会社さんがZEHビルダー/プランナーなのか、どのくらいZEHの施工実績があるのか、上記のExcelファイルを使ってチェックしてみてください。

まとめ

この記事では、新築をZEHにするメリットや注意点などについてお話しいたしました。

新築にZEHを導入する場合は、以下の3点を把握しておきましょう。

  • 快適性や災害対応力の高さがメリット
  • 長期的に見るとコストが高いわけではない
  • 実績のあるZEHビルダー/プランナーに依頼すると安心

これから新築を建てるなら、ZEHを導入するのがお勧めです。
興味のある方は、ぜひZEHに対応している建築会社さんを探してみてください。

新築の太陽光発電新築に太陽光発電を導入するための基礎知識|損をしないための注意点