新築を建てる際にまず悩むのが「外観と内装のデザイン」。 せっかく建てるならオシャレなデザインにしたいですよね。 ところが、「どんなデザインにしたらいいか分からない」「そもそもどんなデザインがあるのか分からない」と頭を抱えている方は意外と多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、外観・内装デザインの人気のテイストやデザインが決まる要素、その選び方をご紹介します。
さらに後半では、現役で活躍する建築家たちが「デザインを決める際に重視するポイント」をお伝えします。デザインだけでなく家づくり全体に生かせる知識ばかりなので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事はこんな方にオススメです
- 外観・内装デザインにはどんなものがあるのか分からない
- 好きなデザインは漠然とあるが、明確には決まっていない
- トレンドのデザインが何か知りたい
- 一生住む家だから、途中で飽きるようなデザインにはしたくない
- 建築家たちがどうやってデザインを決めているのか、気になる
外観の印象は「外装のデザイン」でほぼ決まる
外観の印象は、家の外装と外側にある駐車場や門柱などの外構(エクステリア)によって決まります。 しかし外構(エクステリア)のデザインを決めるのは、建物が完成してこそ。
つまり、「外装のデザイン」によって最終的な外観の見栄えや印象が決まると言っても過言ではありません。 家の外観全体を考える前に、「外装をどんなデザインにするか」決めましょう。
外装デザインの好きなテイストを見つける
外装デザインが決まる要素はいくつかあるのですが、まずは外装デザインにはどんなものがあるか見てみましょう。 テイストにはいくつか種類があり、見た目の印象はそれぞれ異なります。
「こんな感じにしたいな」とイメージできれば、それに向かって外装の色や形、素材が決めやすくなります。
- ナチュラル
- モダン
- 和モダン
- 洋モダン
- アーリーアメリカン
- リゾート
ナチュラル
引用:ナチュラルな家のデザイン実例12選と知っておきたい注意点|注文住宅の無料相談窓口auka(アウカ)
「ナチュラル」は一見洋風に見えますが、洋風よりシンプルなデザインです。白や淡いベージュなど優しい色合いをベースに、明るいブラウンの木材やレンガ調の屋根が使われるなど、柔らかい雰囲気で可愛らしいのが特徴です。
モダン
「モダン」は、無駄な装飾がなくシンプルなデザインが特徴的で、色も白・黒・グレーなどシンプルなカラーが使われることが多く、1色でデザインされているものも少なくありません。 ちなみにモダンとは、現代的という意味です。 縦長や横長の形をしたスタイリッシュな窓を並行に配置させたり、玄関だけ他の外装と全く違う色にして目立たせたりと様々な工夫をすることで、シンプルながらも個性的なデザインに仕上げられます。 また、流行に左右されにくいので何年経っても古臭さを感じさせません。
和モダン
「和モダン」は、黒や濃い色など和を感じさせるようなカラーや質感と、モダン(現代的)なシャープさをミックスさせるのが特徴です。 形はシンプルなのに、屋根には昔ながらの日本瓦を、外壁には町屋を思わせるような細い縦格子を取り入れるといった仕上げ方があります。
洋モダン
引用:073洋モダン|谷川建設
「洋モダン」は、屋根や窓の形はシンプルなのに、外壁にはレンガ調でベージュや濃いめのブラウンなど落ち着いた色が使用されているなど、「どこか洋風に感じる」のが特徴です。
洋風
引用:施工実例紹介 アーチサッシと六角形屋根の洋風住宅|アヴィエスホーム
「洋風」は、白や明るいベージュやオレンジ色、またはレンガ調をベースに、窓の周りに飾り戸やフラワーボックス、外壁には壁飾りをつけるなど、洋風らしい装飾が施されているのが特徴です。 ヨーロッパにある宮殿のようなデザインにも見えます。 窓には窓面が格子状になっている、フランス窓が使われていることが多いです。
アーリーアメリカン
引用:アーリーアメリカンスタイルの2×4住宅 | 愛媛県【トータルハウジングトップ】
「アーリーアメリカン」は、アメリカの住宅街にあるようなデザインが特徴です。 屋根にはポピュラーな三角屋根、外壁には優しい色合いのカラーが単色で施されていることが多いです。
リゾート
旅行先でリゾートホテルなどに泊まった際に、「南国の雰囲気を家でも味わいたいな」と感じたことはありませんか? そんな方はリゾートテイストの外観にしてみてはいかがでしょう。 木の柱を玄関先やテラスに立てたり、形の異なるタイルや石を並べて貼り付けたりするとリゾートのような雰囲気に仕上がります。
外装のデザインが決まる要素とは
外装デザインの好きなテイストが見つかったら、それを目標に家の形・色・素材を細かく決めていきます。 見栄えの大きな決め手となるのは、屋根・外壁・窓・玄関ドアの4つです。
外装箇所 | デザインの決め手 |
---|---|
屋根 | 形、素材 |
外壁 | 素材、仕上げ方 |
窓 | 大きさや形、位置、サッシの色、数 |
玄関ドア | デザイン、色 |
屋根のかたち
屋根には様々な形状がありますが、住宅で使われているのは下記の9タイプです。
切り妻(きりづま)
切り妻(きりづま)は、最も馴染みのある三角の形をした屋根です。 和風にも洋風にも合うので、どんなテイストでも使えます。
寄棟(よせむね)
4方向に傾斜面がある屋根が寄棟(よせむね)です。 各面の面積が小さいため、風圧に強い構造で、切り妻と同様、和風・洋風どちらにも合います。
引用:(39)piterest
方形(ほうぎょう)
方形(ほうぎょう)屋根はピラミッドの形をしています。宝形(ほうぎょう)とも書きます。 すべての面が同じ形・面積なので正方形の家に使われることが多いです。
引用:スッキリ間取りとバランスのいい方形屋根の木の家|HOMMIFY
陸屋根(りくやね)
勾配のない平らな屋根を陸屋根(りくやね)と言います。「ろくやね」とも呼びます。 屋上を設けたい場合に最適ですが、排水性が悪いため定期的なメンテナンスが必要です。
中には雪を地面に落とさないために作られた、排水性の高いタイプもあるので、雪が積もる地域の方はチェックしてみてください。
シンプルでモダンな外観によく使われます。
引用:CASE348 壁の家|フリーダムアーキテクツデザイン
片流れ(かたながれ)
一面のみで構成され、片側に傾いた屋根を片流れ(かたながれ)と言います。 方角によっては、ソーラーパネルなどを設置して効率よく電力供給の運用ができます。
招き屋根(まねきやね)
招き屋根(まねきやね)は、切り妻と同じ2面の屋根で構成されていますが、屋根の頂点が建物の中心ではなく片側に寄っているため、片方は短く、もう片方は長い形状をしています。 片流れと同様、方角によっては太陽光を利用して効率よく電力を供給できます。
引用:屋根に注目!知ってるようで知らない「屋根」の名称&特徴を学ぼう!|おうちマガジン
差し掛け
2面で構成されている屋根の頂点の位置が上下にずれ、段差があるのが差し掛け屋根です。 向かい合う屋根同士が支え合う構造なので風に強いです。
引用:佐賀県三養基郡 エレガントな白い家を引き立てる、プロヴァンススタイル・エクステリア|エクシエ
バタフライ
ほとんどの屋根が外勾配なのに対し、バタフライ屋根は内勾配の形をしています。
ご覧の通り、中心が窪んでいるため雨水や雪の排水性は良くありませんが、陸屋根のように屋根に積もった雪を溶かし集めて排水する、といったタイプもあるので積雪地域でも使えます。
ギャンブレル
切り妻の屋根を途中で折り曲げられ、面が4つになった屋根をギャンブレル屋根といいます。 頂点から途中までは緩やかな勾配、折れた部分から下端の面は急勾配になっており、屋根上に水が溜まりにくいので排水性が良く雨漏りのリスクも少ないです。
欧米でよく見られる形状なので、和風・洋風よりもアメリカンテイストにぴったりです。
屋根の素材
屋根として使われる材料も外観デザインの一部です。 現在住宅の屋根に使われる主な素材は、化粧スレート、ガルバリウム鋼板、瓦の3種類です。
・ガルバリウム鋼板
・瓦(日本瓦、セメント瓦)
引用:化粧スレートとは?詳しく知ると家に最適な屋根材がわかるかも?!|生活110番
ガルバリウム鋼板屋根のメリット・デメリット|クイック屋根工事
【保存版】日本瓦の種類とその特徴、基礎知識を図解で説明|住宅総合研究所
化粧スレート
今最も主流の屋根材が化粧スレートです。 化粧スレートとは、防水性・耐火性・耐候性・耐久性に優れている粘板岩(ねんばんがん)を薄い板状に加工した材料のこと。 表面はほぼフラットでシンプルな形をしており、カラーバリエーション・デザインが豊富なのでどんな外壁にも合わせやすいです。
ガルバリウム鋼板
金属からできているのがガルバリウム鋼板です。外壁材にも使われます。 一見化粧スレートと見た目に大差ありませんが、金属からできているので光沢感があります。凸凹した瓦風の形状種類が豊富です。
瓦
瓦には、粘土を材料にした「日本瓦」とセメントを材料にした「セメント瓦」の2種類があります。 日本瓦は粘土や土を高温で焼成してつくる、昔ながらの和風の瓦なので風格のある和風の外観にするのにオススメです。 セメント瓦は文字通り、セメントを成形して成る瓦で、和風・洋風・モダンなデザインなどカラーやデザインのバリエーションが豊富です。
参考 人気でおすすめできる屋根材の種類は? – ハピすむ人気でおすすめできる屋根材の種類は? – ハピすむ外壁
外壁は、外観の中で大きく面積を占める部分です。 どんな素材でどんな仕上げ方をするかで外観の印象は左右されます。
住宅で使われている外壁材は下記の7タイプです。
- 窯業(ようぎょう)系サイディング
- ガルバリウム鋼板(金属系サイディング)
- 樹脂系サイディング
- 木質系サイディング
- モルタル
- タイル
- ALC
窯業(ようぎょう)系サイディング
窯業(ようぎょう)系サイディングは、セメント質と繊維質などの原料を板状に形成した外壁材で、近年の住宅でもっとも多く使用されています。年々各メーカーの技術が向上しており、タイル調や木目調、コンクリート調などの外装板が本物に見えるようなデザインが豊富です。
引用:片流れ屋根と陸屋根を組み合わせたスッキリしたシルエットの外観デザイン|ニチハ株式会社
ガルバリウム鋼板(金属系サイディング)
ガルバリウム鋼板は、材料に金属が使われいている材料で、屋根の素材としてもよく使われます。金属系サイディングとも呼びます。 サイディングのように繋ぎ目がなく単色で統一するので、スッキリとした外観に仕上がります。
引用:スタイリッシュでリーズナブル!ガルバリウムを外壁に使うメリットとデメリット|ホームプロ
樹脂系サイディング
樹脂系サイディングは塩化ビニル樹脂が使用された外壁材で、優しい質感が特徴です。 単色でデザインのバリエーションは少ないですが、北米では約50%シェアされています。アーリーアメリカンのテイストにしたい方にオススメです。
引用:自分の理想のサイディングが分かる!サイディングの種類と特徴を大解説!|プロタイムズ
木質系サイディング
木質系サイディングは、無垢の木を使用した外壁材で、腐食や変色を防ぐために表面に塗装されていることが多いです。自然に調和しやすく景観を損ねにくいのが特徴です。
モルタル外壁
砂とセメントと水を混ぜ合わせた材料・モルタルを塗って外壁を仕上げることもできます。 手作業でイチから仕上げるので、仕上げ方によって多彩な表情を演出できますが、工場で作られた外壁材とは違い、品質や仕上がりは職人さんの腕に委ねられます。
なお、モルタル外壁には様々な仕上げ方があります。 気になる工法があればチェックしておきましょう。
- リシン仕上げ
- スタッコ仕上げ
- 吹き付け
- ローラー工法
- コテ工法
引用:リシン吹き付けとは?3つの特徴と導入前に知るべき3つの注意点|住まいるレシピ
タイル
タイル調のデザインが施された窯業系サイディングとは違い、本物のタイルを1枚ずつ外壁に張り付けて、リアルな凸凹感や質感を出す方法もあります。
外壁全体はもちろん、一部のアクセントとしても使えます。
ALC
ALCは「Autoclaved Light weight aerated Concrete 」の頭文字を取った呼称で、日本語に訳すと「軽量で気泡が入ったコンクリート建材」のことです。 シンプルでフラットな「平パネル」と、模様が施されていてデザイン性の高い「意匠パネル」があります。
窓
窓は外観の表情をつくるパーツです。 形や大きさ、位置、数、サッシ(窓枠)の色で外観の印象は左右されます。 しかし窓は外観の見栄えだけでなく、採光や風通しなど生活に関わる部分にも影響します。 デザイン性と住環境をバランスよく意識するには、窓の種類とその特徴を事前に把握しておくことが大切です。 新築の窓選びや配置の仕方でオススメの記事がありますので、ぜひ参考にしてみてください。
参考 注文住宅の窓で失敗しないために抑えておきたい21種類の窓と配置のコツ | 注文住宅、家づくりのことならONE PROJECT注文住宅、家づくりのことならONE PROJECTまた、目標にしているテイストの施工例の「窓に注目」し、配置や大きさのバランスを参考にしてもよいでしょう。
窓には色々な種類があり、見た目や機能性などはバラバラです
引用:注文住宅の窓で失敗しないために抑えておきたい21種類の窓と配置のコツ|ONE PROJECT
サッシ(窓枠)の色
サッシ(窓枠)の色は、基本的には外壁に近い色を選びます。 家全体で1色しか使えないわけではないため、外壁が2色ならそれぞれに合わせて選択できます。
しかし、外壁と近い色でも色がぼやける場合もあるので、バランスを見て決めるようにしましょう。 外壁をシンプルにして、差し色として真反対のカラーにするのもアリです。
玄関ドア
玄関ドアは、外出時と帰宅時には必ず目に触れるパーツです。 外壁に馴染んだ色で全体的に統一感を出したり、あえて目を惹くような差し色にしたりと、家によって様々です。
外装全体にあまりにも馴染まない色味やデザインだと、そこだけ浮いているように見える恐れもあるため、他の部分とのバランスを見て選ぶことが大切です。
外壁や屋根がシンプルなので、レッドカラーの玄関ドアが目立ってオシャレです
玄関ドアが外壁と同じような色合い・雰囲気だと外観全体に統一感が出ます
引用:玄関ドアの色を上手に選ぶには?選び方のポイントを画像付きで解説!|家仲間コム
内装デザインは「見栄えだけで決めない」こと
これまで、外観デザインのテイストや決まる要素についてご紹介しました。つぎは「内装のデザイン」を決めていきましょう。どんな内装にするかで室内の印象が決まります。また、当たり前ですが室内はご飯を食べたり眠ったりと生活の基盤となる場所です。
住み心地や使い勝手など、生活に関わる様々なことを意識することが大切です。
内装デザインの好きなテイストを見つける
とはいえ、まずはどんなテイストのデザインがあるのか知っておきたいですよね。外観と同様、「内装デザインが決まる要素」を把握する前に、まずはどんなテイストの内装デザインがあるか見てみましょう。
「こんな感じにしたいな」とイメージできれば、それに向かって細かなパーツが選びやすくなります。
- ナチュラル
- モダン
- 和モダン
- インダストリアル
- アメリカン
- 北欧テイスト
- ミッドセンチュリー
- モダンクラシック
- リゾート
- シャビーシック
ナチュラル
「ナチュラル」は、無垢の木や漆喰など自然素材を多く使ったデザインが特徴です。明るい木目をベースに、アイボリーやよもぎ色など大地や植物などをイメージした色味を取り入れることが多いです。
モダン
「モダン」は、色数が少なく直線的でシャープなデザインが特徴で、落ち着いた色の床と白い壁など、モノトーンでまとめてメリハリをつけることが多いです。 クロスのほとんどを無地にし、ドアや壁の一部だけにアクセントなカラーを入れて変化をつけるとよりモダンな雰囲気になります。 また、シンプルでスタイリッシュなので、家具も合わせやすいです。
引用:光をふんだんに取り入れるシンプルモダンな家|三井ホーム
和モダン
「和モダン」は、日本の伝統的な住まいの要素とモダン(現代的)なデザインが共存するデザインです。現代的でシャープな間取りをベースに、柱や梁など和の要素をそのまま活かしたり、縦格子で空間を間仕切ったりして和をプラスします。
引用:【インテリア実例】心和む、“和モダン”の北欧インテリア㈰|プラスロゴバ
インダストリアル
壁や床をあえて使い込んだように加工したりして、ヴィンテージ感やユーズド感を効かせたデザインが「インダストリアル」です。ダークな床や壁をベースに、配管をむき出しにしたり、照明には電球が見えているものを使用したりして武骨な雰囲気を演出します。
引用:インダストリアル〜工業的インテリア〜|株式会社ウェルハウジング
アーリーアメリカン
「アーリーアメリカン」は、イギリス植民地時代のアメリカで一般的だったローカルな住宅の雰囲気を現代風にアレンジしたもので、当時のアメリカの懐かしさとヨーロッパインテリアの雰囲気を感じることができます。 ログハウスのような空間に、木のぬくもりを感じられる家具などを設置して演出します。
北欧
「北欧」テイストは、優しい色合いの木の床をベースに、淡いグレーやベージュなど優しい色合いを全体的に使うのが特徴です。一部の壁や家具にはパステルカラーやビビッドカラーが使われるなど、明るくも優しい雰囲気が多いです。
ミッドセンチュリー
「ミッドセンチュリー」は、1950~60年代にアメリカやヨーロッパで生まれた家具や照明を現代風にアレンジしたものを取り入れたインテリアデザインです。 長年使い込んだような床をベースに、壁には褐色や深緑のアクセントカラーを施し、変わった曲線のチェアやポップな色をあしらった家具などを取り入れたりします。ヴィンテージ家具との相性も良いです。
引用:ミッドセンチュリーの特徴とは? インテリアで1950年代のような世界観を取り入れよう|ログリノベ
モダンクラシック
「モダンクラシック」は、ヨーロッパの貴族のような優雅でラグジュアリーなクラシック感と現代的なモダンスタイルをミックスしたデザインです。 落ち着いた濃い色でまとめると重厚感が上がり、ホワイトなど淡い色でまとめると上品な印象に仕上がります。
引用:モダンクラシックインテリアの作り方2つの方法&厳選57例|INTERIOR FORCE
リゾート
リゾートな外観デザインにするなら、内装も「リゾート」テイストにするのがオススメです。 ラタンや流木を使った家具やソファなどをインテリアに取り入れて仕上げることが多いです。
引用:日本の邸宅に合わせたトラディショナルアジアンスタイル|KAJA
シャビーシック
「シャビーシック」は、白をベースとしたアンティーク調のデザインで、古さ(ヴィンテージ感)とエレガントさ(クラシック感)がミックスされているのが特徴です。床や壁、家具などもすべて白やアイボリーで統一させることも少なくありません。
引用:フレンチシックスタイルのファザードが美しい|ロビンスジャパン
内装のデザインが決まる要素とは
内装デザインのイメージができたら、それを目標に細かく空間づくりをしてみましょう。 内装の見栄えの大きな決め手となるのは、配色・間取り・照明・家具・カーテンの5つです。
内装箇所 | デザインを決めるポイント |
---|---|
配色 | テイストのベースづくり |
間取り | 土地の条件や住みやすさ |
照明、家具、カーテン | テイストの仕上げ |
床・壁・天井・ドアの配色は3色までにする
まずはテイストのベース作りです。室内の面積を多く占める床・壁・天井・ドアの配色は3色までにしましょう。なぜなら1〜2色だと物足りなく、4色以上だとまとまりのない印象になるからです。 先ほどご紹介した内装デザインのテイストも、どれも基本は3色がベースとなっています。
3色の役割や割合、選ぶポイントは以下です。
ベースカラー | メインカラー | アクセントカラー |
---|---|---|
部屋全体の70% | 部屋全体の20〜25% | 部屋全体の5〜10% |
部屋の印象を大きく左右する色 | インテリアの主役になる色 | インテリアのポイント・差し色・引き締め役 |
キッチンの色も考慮する
キッチンの空間に占める割合がどれくらいかで、最適な色味も変わります。 リビングや調理場が狭い場合、ベースカラーやメインカラーよりも暗い色にしてしまうと圧迫感が出てしまいます。
逆に広々としたスペースにキッチンを設置するなら、差し色としてアクセントカラーを選んでもバランスは崩れにくいです。もちろん、ベースカラーやメインカラーと同じような色で統一感を出してもまとまります。
「間取り」は土地の条件や住みやすさを優先する
間取りは住んだ時の心地良さや使い勝手に大きく影響するため、「これがいい」とは一概に言えません。 土地の条件やこだわりなど様々な点を踏まえたうえで、最適な間取りを決めるようにしましょう。
照明
照明の明るさや照らし方・演出の仕方で空間の印象は変わるため、照明も内装デザインに大きく影響します。
テイストに合わない照明だとチグハグな空間になり、内装がチープに見える恐れがあります。 クラシックやシャビーシックテイストにはアンティーク調のシャンデリアなどでゴージャスに、モダンなテイストには照明器具が目立たないダウンライトでシンプルに仕上げるなど、テイストに合う照明をチョイスしましょう。
照明の種類によって工事が必要なものもあるので、設計中に考えておくのが無難です。
カーテン
カーテンは日中の窓からの熱や光を調節する役割を担っています。この際に、どのカーテンを使うかで光の入り方も変わるため、内装デザインを左右する要素といえます。
建材とは違い簡単に取り付けられるとはいえ、一度着けたら変えることはなかなかないものです。 ドレープカーテンにするのかブラインドにするのかなど、好みのテイストに合わせて選ぶことが大切です。
家具
テイストの仕上げとなるのが、ラグやソファなどの家具です。 インダストリアルテイストならレザー生地のソファを使用したり、北欧テイストなら淡い色味のラグを敷くなど、自分好みに仕上げてみましょう。 レイアウトに慣れてきたら観葉植物や絵画などで、より一層インテリアを楽しむのもアリです。
もし、「この先どうすればいいか分からない……」「自分でインテリアを考えるのはハードルが高い……」と悩んでしまう場合には、家具レンタルサービスの利用をオススメします。
レンタルもできるインテリアコーディネートショップ・STYLICS(スタイルリクス)
自分だけで外観・内装デザインを考えるのは難しい
これまで、外観・内装のデザインが決まる要素や選び方についてお話ししました。しかし、外観・内装のデザインが決まる要素は他にもたくさんあります。
【内装】床材・壁材の種類やクローゼットのデザインはどうするかetc...
そしてそれら全てをバランスよくオシャレに仕上げるには、自分だけでは難しいのが現実。 その道の知識や経験に長けている、建築のプロの力が必要不可欠です。
「難しい」と感じる部分は、一緒に家づくりを進めていくパートナーに判断を委ねましょう。
建築家から学ぶ、「洗練された外観・内装デザイン」にするために知っておきたい知識
後悔しないオシャレな外観にするには、一緒に家づくりをするパートナー選びが重要です。
しかしつくり手によって重視するポイントは異なるため、「期待して任せたのに思っていたのと違う」と仕上がりに満足できない可能性もあります。
そこで当サイト「コノイエ」でインタビューさせていただいた建築家の方たちの「外観・内装デザインを決める際に重視するポイント」をまとめました。 家づくりの知識として役立つものばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。
【外観】他にはないデザインにするために
外観のデザインは、最終的につくり手側のセンスによって委ねられます。 他にはないようなオシャレなデザインに仕上げるには、それなりの知識と色々なアイディアを持つ設計者に依頼することが大切です。
一級建築士事務所吉デザイン設計事務所・吉川さんは、海外で触れてきたたくさんのデザインに影響を受け、今ではそれが家づくりに生かされている、と言います。
吉川 直行さん
一級建築士事務所吉デザイン設計事務所・吉川さんの住宅外観デザイン
【外観】外からの視線を遮りつつ、開放感のある室内にするために
「開放感のある室内にはしたい……でも外からの視線は遮りたい」。これは誰もが家づくりで課題となる部分ですよね。 ところがg_FACTORY建築設計事務所・ガクさんは、どんな土地でも家の外側と室内のあいだに空間を設けることでそれは叶えられる、と言います。
g_FACTORY建築設計事務所・ガクさんの住宅デザイン
ガクさん
【外観】好きなデザインがその土地にマッチするとは限らない
家は一生モノですから、「せっかくなら好きな色やデザインを施したい」とお考えの方は多いでしょう。 しかし堀川設計舎・堀川さんは、周囲の環境や状況に合わせて外観のデザインを考えるべき、と言います。
堀川さん
【内装】漠然とした理想をうまく伝えようとしなくていい
「こだわりのある家を建てたいけど、どういうものがこだわりなのか分からない」と悩む方は結構多いのではないでしょうか? ですがエー・エム・エーデザイン建築設計事務所・朝倉さんは、無理にこだわりを作ったり、漠然とした理想を伝えたりしようとしなくても、最終的には住む人の個性・こだわりの詰まった家が完成する、と言います。
朝倉 元さん
【内装】「デザインが素敵なだけ」の家にしないために
内装を素敵なデザインに仕上げられても、実際に住んでみたときに住みづらさを感じてしまっては元も子もありません。 内装のデザインは、見栄えだけでなく、住み心地や使い勝手を考えることも大切です。
一級建築士事務所結人建築設計事務所・吉野さんは、家が住む人の生活に合っていないと、部屋を片付けるのに苦労する、と言います。
吉野さん
また、一級建築士事務所荻原雅史建築設計事務所・荻原さんは、デザインに特化した家は、最初は満足しても後で後悔する可能性がある、と言います。
一級建築士事務所荻原雅史建築設計事務所・荻原さんの手掛けた住宅デザイン
荻原さん
【内装】空間の広さが人の心理に影響することがある
「家族の人数分、個人の部屋をつくる」のを前提に間取りを考え始める方は少なくないでしょう。 ですが、空間の広さが人の心理に影響することもあるため、部屋の数から間取りを決めるのは避けたほうがいいかもしれません。
伊波一哉建築設計室・伊波代表によると、のびのび暮らすためには、あまり壁で仕切っていない、なるべく開けた空間にすることが大切なのだそうです。
伊波一哉建築設計室・伊波代表の手掛けた住宅デザイン
伊波代表
【内装】自分のこだわりを詰めても満足な仕上がりになるとは限らない
「自分の好きやこだわりを詰めて、自分だけの家をつくりたい」。そんな声は多くありそうですが、m·style一級建築士事務所・茂垣さんは、自分のこだわりを詰めただけでは、満足な仕上がりにはならない、と言います。
m·style一級建築士事務所・茂垣さんの手掛けた住宅デザイン
茂垣 直樹さん
【内装】好きなデザイン=心地よい空間とは限らない
好きなデザインを内装に施しても、心地よい空間になるとは限りません。 心地よい空間にするには、異なる素材を適度に使い、色味や風合いのバランスが取れたデザインにすることが大切、と坪井当貴建築設計事務所/一級建築士事務所・坪井代表は話します。
坪井代表
新築のデザインをお洒落に仕上げるプロセスついてのまとめ
外観・内装デザインの好きなテイストは見つかりましたでしょうか?
自分好みのデザインにするには、具体的なイメージを持ち、それに向かって細かいパーツを選んでいくことが大切です。 しかし全体をバランスよく整えるには建築のプロの力が不可欠なため、家づくりの依頼先選びも重要です。
まずはデザインの大まかな方向性を決め、好きなデザインに仕上げられそうな建築家なり、ハウスメーカーなりを探してみましょう。 つくり手が家づくりに重視するポイントはそれぞれなため、気になる会社のホームページで「家づくりのこだわり」や「施工例」を見てみると良いかと思います。
なお、当サイト「コノイエ」では本記事で紹介した建築家の方たち以外にも、たくさんの「建築のプロ」にインタビューを行っております。よろしければ覗いてみてくださいね。