新築住宅を建てる予定の人の中には、「できるだけ収納を増やしたい!」とお考えの方も多いと思います。 しかし、収納が多すぎることにはデメリットもあります。大切なのは、必要な荷物を適切な場所にしまえる利便性です。
そこでこの記事では、新築の収納計画を立てる上で大切なポイントや、各部屋の収納アイディアについてご紹介します。 スッキリ片付いた新居にしたいとお考えの方は、ぜひ参考になさってください。
収納計画で大切なポイント
まずは、新居の収納計画を立てる上で押さえておきたいポイントや、注意すべきポイントについてご紹介します。
理想的な収納の広さを知ろう
一戸建て住宅の理想的な収納の広さは、延床面積(各階の床面積の合計)の「12〜15%」とされています。この値を「収納率」と言います。
例として、1階が60㎡、2階が40㎡の住居で考えてみましょう。この場合、延床面積は1階と2階を合計して100㎡になります。
先ほどの値を当てはめてみると、収納率12%で「12㎡(6〜7畳ほど)」、収納率15%で「15㎡(8畳ほど)」が、理想的な収納の広さになります。
広すぎる収納にはデメリットもある
「整理整頓が行き届いた家にしたいから、もっと収納を増やしたい!」とお考えの方も多いと思います。 しかし収納が多すぎる家には、以下のようなデメリットもありますので注意が必要です。
居住スペースが小さくなる
建てられる家の大きさには限りがあります。つまり収納スペースを広く取ると、それだけ居住スペースは狭くなってしまうのです。
リビングなどの居住スペースが狭くなったために、家族がゆっくりくつろげなくなってしまっては本末転倒ですよね。そのため、収納スペースと居住スペースのバランスには気を配ったほうがいいでしょう。
建築費用が高くなる
収納スペースを広くするためには、その分の建築費用もかかります。
例として、坪単価60万円の住宅で考えてみましょう。夫婦のウォークインクローゼットをつくるために1坪(2畳ほど)のスペースを追加すると、それだけで60万円のコストがかかります。 ものを収納するだけのスペースに60万円と考えると、とても無視できない金額ですよね。
使わないものまで収納して、ものが増えてしまう
収納スペースが多ければ多いほど、収納できるものは多くなります。その結果、「いつか使うかもしれない」と思って、不要なものを何年も放置してしまう可能性もあります。
不要なもののために家のスペースを使うのはもったいないですよね。このように、収納スペースが多いことは、メリットだけでなくデメリットも存在することを知っておきましょう。
収納計画を立てる上で注意するポイント
スッキリ片付いた家をつくるには、単に収納スペースを増やすだけでは足りないことが分かりました。 では、具体的にどんなことに気を付ければいいのでしょう?
現在の荷物を整理する
まずは自分や家族がどんなものを持っているのかをしっかり把握しましょう。荷物を整理する中で、何年も使っていないようなものがあれば、今度も使う可能性は低いため、新築のタイミングで断捨離するようにしましょう。
現在の収納スペースの不満点を洗い出す
現在のお住まいの収納に対する不満点を洗い出してみましょう。
「収納が少なくて片付けが大変なのか?」「動線が悪いのか?」等によって、新居にどんな収納スペースを設けたらいいかが明確になり、失敗も少なくなるでしょう。
壁面積を重視した収納計画を立てる
押入れのように奥行きのある収納スペースは、奥にある荷物が取り出しにくく、広さのわりに使い勝手に不便さを感じやすいです。 そのため新居では、奥行きよりも「壁面積(天井までの高さ)」を有効活用できる収納スペースを検討したほうがいいでしょう。
当サイト「コノイエ」でインタビューさせていただいた一級建築士事務所やしろ設計室の八代代表も、このようにお話ししています。
八代代表
各部屋の収納アイディア
収納計画を立てる上での大切なポイントについて解説してきました。それらを踏まえ、特に収納に悩みがちな「リビング」「キッチン」「玄関」「洗面脱衣所」をスッキリ片付けるための収納アイディアを見ていきましょう。
リビング
リビングは家族が集まる場所ですから、非常に散らかりやすい場所です。しかし収納を広く取りすぎると、せっかくの家族の団らんスペースが手狭になってしまう可能性があるため、収納に頭を悩まされる方も多いです。
では、突然の来客にも焦らない綺麗なリビングにするには、どんな収納を取り入れたらいいのでしょうか?
小上がり
まずは、リビングの一角に小上がりを取り入れてみるのがオススメです。小上がりとは、下の写真のような段差のあるスペースのことです。
小上がりを取り入れると、床下が収納スペースになるほか、子どものお昼寝や遊び場所、オムツ替えするためのスペースとしても利用できます。 床面積を圧迫しないため、収納の取りづらいリビングには特にオススメの収納です。
- 子どものおもちゃ、ベビー用品
- 掃除道具、オフシーズンの家電(扇風機・ストーブ等)
- 来客用の布団
さらに、当サイト「コノイエ」でインタビューさせていただいた有限会社クエストワークス一級建築士事務所の大谷さんは、小上がりの高さを生かして「すべり台」を取り付けています。 遊び心のある小上がりで、子どもも喜びそうですね。
壁面収納
リビング収納には、壁面収納もオススメです。壁面収納は、天井~床までの空間(壁面積)が有効活用できます。
引用:特集 vol.6『すっきりリビングのためのリフォーム』|大京のリフォーム
奥行きを必要としないため、リビングの床面積を圧迫せずに、大容量の収納ができるようになります。
- 日用品、文房具
- 書類、本
- 家事用具(アイロン・アイロン台・ミシン等)
- ワイングラス等の見せる収納
リビングクローゼット
リビングにクローゼットを導入するご家庭も増えています。「壁面収納は圧迫感を感じて嫌だ」という方には特にオススメの収納です。
リビングの荷物をリビングクローゼットに集約させたい方は、クローゼットの奥行きや幅を広く取り、細々したものを収納したい方はコンパクトなクローゼットにするといいでしょう。
- 日用品、文房具
- 書類
- 家事用具、掃除道具、オフシーズンの家電
- 子どものおもちゃ、ベビー用品
キッチン
次に、キッチンの収納を見ていきましょう。キッチンは食器や調理器具だけでなく、食品や調味料なども収納する必要があるため、収納スペースが足りないとごちゃごちゃした印象になってしまいます。
片付けやすく作業のしやすいキッチンにするには、どんな収納を取り入れたらいいのでしょう?
パントリー
キッチンにはパントリーを取り入れるのがオススメです。パントリーとは、キッチンの一部もしくはキッチンに隣接した場所に設けられた収納スペースのことです。
パントリーに食品をストックすることで在庫管理がしやすくなるほか、使用頻度の低い調理器具や食器類も収納できるため、キッチンをスッキリさせたい方はぜひ取り入れてみましょう。 当サイト「コノイエ」でインタビューさせていただいた株式会社ヴァンクラフト空間環境設計の福嶋さんも、このようにお話ししています。
福嶋さん
- 食品、飲料
- 調理器具、調理家電
- 食器
玄関
「お家の顔」とも呼ばれる玄関の収納アイディアも見ていきましょう。 玄関が片付いているかどうかで、ご自宅の第一印象や、玄関の使い勝手は大きく変わってきますよ。
シューズクローク
玄関には、シューズクロークを導入するのがオススメです。シューズクロークとは玄関横に設けられた、靴を履いた状態で出入りできる収納スペースのことです。
玄関の収納が足りないと、収納に入り切らないものが玄関に散乱し、雑然とした印象を与えてしまいます。そこでシューズクロークを取り入れることで、生活感のある玄関をスッキリ見せてくれるのです。 当サイト「コノイエ」でインタビューさせていただいた株式会社 人と古民家(Hitocomi Design)の牧野嶋さんも、このようにお話ししています。
牧野嶋さん
- 靴
- ゴルフバッグ、アウトドアグッズ、スポーツ用品
- ベビーカー
- スーツケース
- 自転車
- コート、バッグ(帰宅後に置いておく)
洗面脱衣所
続いて、洗面脱衣所の収納アイディアも確認していきましょう。洗面脱衣所はもともと収納が少なく、散らかりやすい場所です。そのため新居では洗面所の収納を増やしたいとお考えの方も多いと思います。
では、洗面脱衣所にはどんな収納を取り入れたらいいのでしょう?
造り付け収納・クローゼット
洗面脱衣所には、新築のタイミングで造り付け収納やクローゼットを導入しましょう。もともと狭い洗面脱衣所に、あとから収納を取り付けると、さらに手狭になってしまいます。そのため、新築のタイミングで収納を取り付けておくのがオススメです。
あまり奥行きのある収納だと使いづらく、スペースも圧迫してしまうので、天井までの高さを活かした薄型の収納にするのがオススメです。
- 着替え、下着、パジャマ
- フェイスタオル、バスタオル
- シャンプー、ボディソープ、洗剤等のストック
新築の収納についてのまとめ
この記事では、新築の収納計画を立てる上で大切なポイントや、各部屋の収納アイディアについてご紹介しました。ただ広い収納を取り入れるだけでは、使い勝手が悪くなるほか、大切な新居のスペースを浪費してしまう可能性もあります。
そのため、必要な荷物を適切な場所にしまえる、利便性の高い収納を取り入れてみてください。
もし「自分の家族にはどんな収納がベストか分からない」とお悩みでしたら、ぜひ建築家への相談も視野に入れてみてください。 ゼロから家を設計してくれる建築家なら、あなたのご家族にぴったりな収納アイディアを提案してくれるでしょう。